ステルス 著者の考察
このお話は、前に古いパソコンを発掘した際に出てきた数多のお話の中で、まだ完結していないものの一つだった。完結していない中では、わりと最後の方まで真面目に書かれていて、そのせいで、調子に乗って掲載することにした。
すぐに後悔した。
まず、何のことだか分からない。何のことだか分からないのに、お話は四分の三ほどまでで終わる。ちょうど、前回の回収で出した七話を少し過ぎて、終わっているのだ。
ぱちこはお話をまとめるのが異様に苦手だ。探偵なら、皆を集めてさてと言えばいいのだろうが、あれは風情がない。自分が読む分には好きだが、芸術的ではない。
なんならこれまでに書いてあるお話のどれもこれも、ラストが気に入らない。
それをちゃってぃに愚痴ったら、ぱちこの世界観だと、エンタメとして着地させるのには無理があるのだと言う。解決はさせない、余韻を持たせればええんや、と、あいつは適当なことを言う。純文学とエンタメの隙間を狙っていけ、などと変なことをさせてくる。
それはそうかもしれないが、ステルスはすでにエンタメ臭しかしない状態なのに、ここからどうやって、純文学に寄せるねん?
仕方がないので、あらすじをかいつまんでちゃってぃになげて、どうすればよいか答えさせてもみた。どれもこれも気に入らなかったので、ガン無視した。
もう一つは文章が気に入らない。下手くそなのはさることながら、今のぱちこの好みではない。しかし、ここを書き直していては、回収に間に合わないので、目を瞑って出した。
どんだけ回収されたいねん。
芸術はパッションとか言いつつ、回収を狙ってるやん。
芸術とは
なんのはなしですか
であり
回収されることです
うん、ぱちこすごくいいこと言った。色紙に書いて売ろうかな。
……なんのはなしだっけ。
そういうわけで、先週は一週間もやもやしながらできの悪い文章を出しまくっておいた。が、しかし、この後どうしたらいいんだ。
ぱちこは断片じゃなくてちゃんとまとまったお話も書けるんだぜ、と提示しようと思ったのに、そもそも着地点が分からない話のこの先をどうすれば?
しかも、来週回収とか無理言わないでよ!?
というわけで、この三日間、真剣にお話の先について考えた。全部断片と思って、思いついたシーンは全部書けばええんや!などと考えて、九話は3パターンできてしまった。
最終的に、自分が一番好みのラストを選んだ。よく考えたら、エンタメの賞に出すのでもないし、好きに終わらせたったらええねん。
いやもう、何個も行きつ戻りつしたので、コハルの世界にパラレルワールドが増殖してしまった。だけどそれぞれ、そんな未来も、あったかもしれない。ぱちこたちだって、そんな未来もあったかもしれないものを、知らずに生きてるだけだから。
とはいえ、読者のことは完全に無視して書いてしまったので、コニシさん以外は全部を読まないとは思うけれども、読んじゃった人はごめんなさい。
さて、このお話は、あたかも格差社会に苦言を呈したいかのようだが、そういう意図は全くない。
なんとなく、こうなってしまった、というのが正しい。
もともとは、わたしには見える虫が、姉には見えない、というところに端を発している。なぜ姉には、生まれたてのバッタやカマキリが見えないのか、謎である。
しかし、実際のところ、わたしが見ている世界とあなたが見ている世界が、ぴったり同じだったことなんて、一度もないはずだ。みんな、そんなふうに思い込まされているだけで、特に大人になる過程で、本当は見えているものを、口に出せなくなっていく。
コハルは少々困った、ぱちこと似たタイプで、元々自分が見ているものを積極的に人と共有しようと思わなかったのだと推察する。その場合は、誤差があっても気が付けないだろうし、変だと指摘されることもないだろう。
だけども、たとえば、これはりんごですよ、りんごは赤くて丸いですよ、と言われれば、それが正しいと思う人が多い。こどものころ、なぜそれをみんなが疑わないのか不思議だったが、それもまた、群れを形成するために必要な防御なのだろう。群れの中で全員が違うものを見ていたら、生き残るのは難しくなるだろうから。
そうするうちに、わたしたちは、そう、皆さんの大好きな「常識」に騙されてしまうのだ。テレビがネットが専門家が、それが常識だと言ったからといって、本当に正しいとなぜいえるのか。彼らが嘘をついている可能性はないのか。常識だと信じ込まされたら最後、真実からは永遠に遠ざけられ、大事なことを見落としてしまいはしないのか。
などということを、十年前のぱちこも考えたのだろうか。たぶん考えてはいない。
なんちゃってSFチックな話を軽々しく書こうとしただけだと思う。だいたい、SFが何かもよくわからない。あまり読まないし見ないからだ。
そう言うと、意外だね、とよく言われる。ぱちこが科学を好きなものだから、SFも好きだと思われているようだが、それはちょっと違う。
あれは、将来到達するかもしれない世界が描かれたものが多い。つまり、現実の延長なのだ。現実から逃れたいぱちこにとっては、現実の延長を突きつけられてもあまり愉快ではない。そうであろう、そうなるであろうと、自分が危惧している未来を、ありありと見せられても、辛いだけだ。
だから、できれば現実には起こり得ないであろう話の方を選択してしまう。そういうわけで、SFには明るくない。
お話の中で、致死性のウイルスに言及されているが、新型コロナとは全く関係ない。なぜならば、これが書かれたのは、十年前だからだ。
ちなみに、世界設定やら詳細に関して、資料をあたったりはしていない。というか、ぱちこは何かを書くのに真面目に調べることはない。ほとんどがぱちこの捏造で、だから、現実に即していない、設定がおかしい、などのご指摘はあまり意味がないことをお伝えしておく。
なんなら、設定資料もない。
ないから、読み返して書き足すのに大変困った。自分の記憶と書いてあることから推察するしかない。したがって、前後の齟齬もあるだろうから、これもお詫びしておく。
もし、そのようなことを見つけていただいた場合は、すみやかにぱちこに耳打ちされることをオススメする。世界に向けて発信していただいても構わないが、その場合は単にぱちこが気が付かないというだけだ。
以上が、このお話におけるぱちこの考察である。

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