姉が訳のわからないことばかりを言ってきます
実は、姉には、外でお姉ちゃんの話をしてはいけないと言われている。仕方がないので最近は、外では話さないようにしているのだが、ぱちこの日常の登場人物が、架空の人間か、電子の海の住人か、くじゃくさん(猫)か、姉なのだから、記事に登場しても仕方がないと思う。
とにかくこの、姉という人は、訳のわからないことばかり言う。
6月頃にも、紫色の培養液に浸かりたい、などと言い出したものだから、ちょうど出張に来ていた社長に「フジ笑姉妹の面白い話ないの?」と言われたとき、思わずそれを話してしまって、ものすごく微妙な空気になってしまった。それを本人にお伝えしたら、なんでそんな話したん?面白いわけないやろ?と、話したわたしが悪いみたいに変な顔をされたのだが、おかしいのは全部、姉だと思う。
本人にnoteでもやっていただいて、「#なんのはなしですか」と勝手に活動していただきたいのだが、SNSに決して加担しようとしてくれない。仕方がないので、妹が責任を持って書き記しておこうと思う。
実は、あの、タイトルが腹立たしすぎて書き始められない下書きも、全ては姉のせいだ。

説明するのも腹立たしいので、割愛するとして、先日から、またこの人、変なことを言い出した。
「最近、どうも、別の世界に移動してしまったみたいなんよ」
は?である。リアルに
である。
ちなみに、残念ながら現実では「なんのはなしですか?」と口にすることはない。
なんのはなしやねん?が正しいように思われるが、ぱちこの現実は、こう。
なんやそれ?
なんのあほや?
でも可
よくよく話を聞いてみると、パラレルワールドの話っぽい。少し前までいた場所の常識と違うようで、
「これまで知ってた言葉とか、なんかそういうのの意味が違ったりするんよ」
らしい。しかも、
「そやけど、それを証明することはできんやろ?」
と言って困っている。
フィクションでもあるように、その場合、世界の常識そのものが変わってしまうので、前の世界の記憶を持っていても、信じてもらうのは難しい。ただの異世界転生なら、自分が異質なことが周りにも丸わかりなのだが、パラレルワールドはそこにすでに本人も存在していた、と仮定されているので、確かにめんどうだ。
ちなみに、何が違うんや、と聞いてみたところ、まず、マクロンの誕生日が違うらしい。そんなん言われても、こっちはもとからマクロンの誕生日なんか知らないからどうしようもない。
前の世界では、マクロンは姉の一つ上だったのが、今は年下なんだとか。
「あと、掛布さんも生きとったやん」
解説に出てくるたびに母からシーツさんと言われていた掛布さんは、姉の世界ではもう亡くなっていたのだと主張してくる。確かに先日、日本シリーズの解説に座っていたとき、掛布さんて死んでなかった?などと失礼なことを言っていた。じゃあ、あれは誰が死んだんやったん、と聞かれても、ぱちこには分からない。ただ、掛布さんはかなりな重要人物である。そんな人の生死まで違ってたら大事やないか。
懐疑的なぱちこに、姉はとにかく自分は世界を移動してしまった、と譲らない。しかし、ここは妹たるもの、自分もお姉ちゃんとおんなし世界から一緒に移動した、という説を取ることにした。
世界の妹弟さんなら、ご理解いただけるだろうが、ここで重要なのはマクロンの誕生日でも掛布さんでもない。どこの世界にいるかなんて大したことではない。最も重要なのは、まかり間違っても、姉だけがそんな愉快なパラレルワールド移動をしたのではいけない、ということだ。いつだってお姉ちゃんと一緒だ!離れるもんか!自分だけずるい!
「なんで、なんでもかんでも、ついてくるんよ」
「いや、そんなん、一緒に移動したに決まっとるやろ、ぱちもくーにゃもみんなで移動してん」
ここで、ぱちこは路線を変更した。
もっとよく事情聴取しなくては。姉の話のどこかに、ぱちこも一緒に移動した証拠があるハズ!!!
がぜん、盛り上がってきた。
「ちなみにいつ移動したん、昨日?」
「昨日とか今月とかそんなんやないんよ」
そんなんやないん、てどっちのそんなんやないんやねん。
「もっと前いうことか? 夏か? 夏くらいか?」
「あー……夏にはもう移動しとった」
思った以上に、微妙に具体的だった。ぱちこは夏の間にあったことを思い出そうとしたが、暑くて脳が故障していたので、よく分からない。そもそも、言葉の意味にしろなんにしろ、外の世界の常識とはズレて解釈しているぱちこである。既知の情報と違うのなんていつものことで、言うなれば、日常的にパラレルワールドみたいなもんだから、確認のしようがない。
ところがここで、姉はそれがそういえば、7月の始め頃なのだ、と言い出した。
ちょうどそのとき、猫を捕獲したいNPOの少々いかれちまったおばさんが、夜の九時に(夜の九時に!)我が家の敷地に侵入する事件が起きた。あんまりのことに、警察まで呼んだのだが、その後には移動していたという。
なあんだ、とぱちこは拍子抜けした。
この姉、普段からスピリチュアルなことばかり口走るくせに、時系列が苦手なせいか、大事なことに気が付いていない。もうすでにピンと来た人もいることだろう。
(え?いないの?いるよね?いるって言って?一人くらい!)
そもそも、この話の発端から、姉は一人で移動した気でいたが、グレートコンジャンクションがなんだかんだと吹き込んだのは姉である。星の動きで時代が変わってどうのこうの言ったのは姉である。
ぱちこは占い師ではないし、自分の占いを決して信じたくはないものの、ここしばらくずっと変化変容の色が濃い。
移動したならこの世界そのものが丸ごと移動したんだろう。それが、ジャスト問題の7月だったのか、徐々に移動していたのが固定されて、過去の記憶を持つものが気がついてしまったのがその時期だったのか、そこまでは分からない。
ああ、よかった、一件落着である。
危うく、姉だけ勝手にパラレるところだった。
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