年収1200万で料理人を募集!? 業界不況をサバイブする「マルハン」の新規事業・M&A戦略
皆さんこんにちは。企業を総合サポートする株式会社K.I.D.S.広報です。
ネットサーフィンをしていたら、面白い求人広告が表示されました。

料理人で年収1000万円~1200万円!
円安の寄与度が高いとはいえ、興味がそそられます。
しかも、パチンコのマルハンの求人という意外性付きです。
(お寺の新規事業も気になるw)
ご存知の通り、パチンコ業界はコロナ禍もあって苦境にあります。
そんな中、マルハンはパチンコ以外の事業に手を伸ばしています。
「事業ドメインの見直し」という側面でも面白いので、この機会にご紹介したいと思います。
今回は、普段メディア企業に所属し、さまざまな企業の記事やプレスリリースを目にしているK.I.D.S.広報の目線から特徴的な取り組みを紹介します
●コロナ禍で打撃を受けたパチンコ業界
最近、パチンコ屋が減っていると感じませんか?
帝国データバンクの調査によると、2023-2024年の1年間でパチンコホールの経営法人数は1割も減ったそうです。
2024年にデータベースに登録のあるパチンコホール経営法人数は1201社となった。2023年より135社(前年比10.1%減)少なく、2015年の2618社から10年間で1417社(54.1%)減少した。
パチンコはコロナの感染防止で大きな影響を受けましたが、長期スパンで見ても売上高の減少が顕著。この10年でほぼ半減しました。
総売上高は11兆7133億円(……)10年前の2015年からは10兆円以上減少
売上高業界1位(店舗数は2位)のマルハンも、2016年3月期の売上高1.9兆円に対し、2025年3月期は1.5兆円(78.9%)ですから、2割ほど減っています。
●飲食やホテル事業で積極的なM&A
コロナ禍を受けて、マルハンはさまざまな新規事業やM&Aに取り組んできました。
代表的なのは、飲食やホテル事業です。
2021年にレストラン・ホテルなどの事業を手掛ける「ひらまつ」、2023年に「MUGEN」がグループに加わりました。
2024年には中国料理店「KOBAYASHI」もオープン。いずれも大衆店というよりは、やや高級路線です。
冒頭のアメリカでの求人も「新しく立ち上げる海外での飲食事業」だといいます。
もともとパチンコは長時間の滞在が見込まれるので、弁当の販売や飲食店の併設がおこなわれていました。
マルハンにも、マルハンダイニング(旧・エムフーズ)があり、飲食店経営は初めてではありません。
ホテル事業では、ひらまつのほかにも、以下の2つがグループ入り。
・2022年:ワイナリーと連携した「笛吹川温泉 坐忘」(山梨県)
・2024年:創業150年超の道後温泉の老舗旅館「大和屋本店」(愛媛県)
これ以外にも、ゴルフ場の経営権も取得しています。
・2014年:会員制ゴルフ場の「太平洋クラブ」
・2024年:「新東京都民ゴルフ場」
これらの事業の目的としては、富裕層やインバウンド観光客ねらいと分析されています。
マルハンが第2の柱と考えているのは、富裕層に向けた観光事業だ。
(……)
高級な宿泊施設に、高級な飲食店は欠かせない。(……)和の居酒屋に加え、寿司やラーメンは訪日外国人に人気があり、大いにチャンスがある。海外展開も視野に入れている。
(……)
訪日外国人は日本での食事に期待しており、マルハンは関係会社のひらまつに続いてMUGENがグループ入りしたことで、料理を売りとしたリゾート開発がぐっと具体性を帯びてきた。
コロナの流行が2020年からですから、コロナ禍により事業分散が強く意識されている様子がうかがえます。
●パチンコから総合レジャーへ
しかし、なぜ観光事業なのでしょうか?
もちろん、パチンコ以外なら何でも良かったというわけではないはずです。
通底しているのは「娯楽」や「レジャー」という点でしょう。
マルハンの歴史を紐解くと、1957年に京都府峰山町(現・京丹後市)で名曲喫茶「るーちぇ」をオープンしたのが始まりで、祖業は飲食業である。60年代にはボウリング場にも進出し、元々総合エンターテイメント事業を志向していたともいえる。2000年、東京・池袋にオープンした映画館「新文芸坐」も、マルハンが運営している。
引用にもあるように、パチンコを軸にしながら「総合エンターテイメント」企業に向かっているんですね。
変わり種としては、2022年5月に銀座三越に開館した「アートアクアリウム美術館GINZA」や、同年8月オープンの都内最大級のBBQ施設「キラナリゾート豊洲」なんていうのもあります。
一見無関係そうですが、アクアリウムの映像表現などはパチンコの演出、大規模出店やその維持、おもてなしなどはパチンコの店舗経営にも通じるところがあります。
要するにまったくのゼロというわけではなく、ノウハウをうまいこと転用しているとみることもできるわけです。
●ブランディングにも注力
事業が多角化する中で、ブランディングやイメージ戦略にも変化が生まれています。
そのひとつが、「ヲトナ基地」というプロジェクト。
「偏愛」や「脳汁」をキーワードにパチンコにこだわらないコンテンツを展開しています。
直近の最新記事では、有名ライターのトイアンナさんがクラフトビールについて書いていました。

ギャンブルには負のイメージがつきまといます。
だからこそ、中央競馬(JRA)は有名芸能人を起用してポップなCMをつくり、レジャーやスポーツのイメージを築いてきました。
パチンコも同様で、趣味の1つという地位を確立し、新しくて若いファンを取り込まないと先細りは避けられません。
ヲトナ基地では、イベントを実施することもあります。
たとえば、日本一銭湯が多い東京・大田区の銭湯とコラボした「脳汁銭湯」。銭湯をネオンなどでデコレーションする企画ですが、毎回若者の行列ができるといいます。
誰もが、脳が喜ぶ刺激と体験に出会い、明日からの日常をまた頑張ろうと思えるだけのエネルギーをチャージする場所を提供したい。マルハンへのイメージを少しでも変えてもらいながら、新しいファンをつくっていきたい
●変わるパチンコ観?
最近ではマルハンの介護福祉事業「デイサービス ラスベガス」がメディアにも注目されています。
施設内でのみ通用する通貨を使って、パチンコや麻雀などを楽しめ、認知症予防にもつながるのだそうです。
競馬がスポーツ、麻雀が子どもに大人気の習い事という地位を獲得したように、ギャンブルもブランディング次第で、イメージを払拭できる可能性があります。
ギャンブルを快く思わない人にとっては、「余計なことをするな」ということになるかもしれませんが(笑)、ビジネスということでは大事な側面です。
そういう意味で、多角的にいろいろと手を出しているように見えて、マルハンの新規事業やM&Aには、相互のシナジーがきちんと考えられている印象を受けます。
減っているとはいえ、マルハンの売上高は1.5兆円あります。これを他の分野にどう投資していくか、引き続き注目したいと思います。
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