歌詩 『記憶の中』
モノクロの中で
若き日の父が
サングラス越しに
笑顔を見せる
抱かれているのは
子どもの頃の僕
母と京大病院へ
行った帰り
ふだん厳しい母が
買ってくれたアイスクリーム
賀茂川河川敷
駄菓子屋で
100円使う友を見て
驚いた僕のポケットには
10円しかなく
王将が食べたくて
おばさんの目を盗み
宝物持って走り去った
冷たくて甘くて
美味しかった
保育園の帰り
牛乳屋さんにかばんを預けて
祖父に連れてもらった
伏見稲荷 鳥居の回廊
年に一度の家族旅行
強羅温泉へ
窓を開ければボイラー室
妹とふたり
眩しそうに笑ってた
妹が生まれた
3月のある日
産婦人科まで走った
きっと笑っていた
父と母
宝が池子どもの楽園
大宮交通公園
岩田山の猿の群れ
いつも同じ場所だったけど
白いクーペ
お風呂がなくて
毎日 銭湯へ行った
風呂上がりのパイゲンC
当たり探して
ふたの裏を覗き込んだ
保育園のお弁当
僕の好きなお赤飯
母がいつも買ってきてくれた
園長先生に
手作りのお弁当をと
母が注意された
視力矯正 一回500円
行きたくなくて
本屋で立ち読み
チケットを捨てて
ばれた時
散々 叱られた
親の心 子知らず
年に一度の夏祭り
当たらぬラジオ
僕はいつもの癇癪
祖母がなだめて
500円 余分にくれた
だけど当たらず
世の中の理を知った
床に就くと
瞼の裏に
浮かぶ 祭りの灯り
いつもアイロン片手に
汗だくでワイシャツに向かってた
祖父と並んで
朝から夜 遅くまで
夜食はカップうどん
入学式のカラー写真
着慣れない制服
着物姿の母
かしこまり笑顔で
ファインダーを見る僕
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