松田隆智の主張と要求-中国拳法の研究-17
“松田書簡に対する項目別反論”の紹介
(承前)
エ歴史上の事実は誰が書いても変わる訳はない。そのため著者の中国武術史に対する認識において事実であると思われた部分は原典に基づき取り上げている。松田の書いた本が事実でなく、人名や流派名、拳法の種類、内家・外家、北派・南派等が小説のようにフィクションである架空の物語で、松田が創作したものである場合は、著作権の侵害が主張出来るであろうが、著者の『中国拳法』は歴史上存在した事実を中国原典に基づき確認し、著者の日本武術史観に基づき書き上げた本であるから、その意味でも、松田の台湾武術界の一部を寄せ集めた中国武術史観とは、説明が異なるのは、当然の帰結である。まとめ方が異なるから、曲解・独断・捏造との言いがかりは、著者に対する名誉毀損も甚だしい。特に、それが本人宛でなく、出版社に対した書簡である以上、出版社に対する著者の信用を著しく侵害している。
松田は、一度は著者に指導を仰ぎに来た若輩であるから、著者はまともに松田の書簡をもって名誉毀損として提訴するつもりはないが、今後の松田の出方によっては法的手段を取ることを考えざるを得なくなるであろう。
オ出版社宛に出した松田書簡の狙いが何処にあるかわからぬが、松田が出した本の中で、どこかに中国拳法を説明する部分で柳生新陰流と小野派一刀流の流派名を使っているのを読んだ記憶があるが、その場合でも、松田の本では、尾張新陰流を柳生新陰流と書き(松田は尾張柳生しか知らない)小野派一刀流に対しても、一般通念上の小野派一刀流名称のみを取り上げていることで対比した説明たなっていた。同じ日本の古流武術名称を使っても著者が『中国拳法』の中で取り上げた新陰流は江戸柳生のことであり、また、小野派一刀流も会津藩に伝えられた小野派一刀流(小野派を名乗る流派は多い)である。
小野派一刀流は、既述した「発刊の主旨」のとおり、著者が長年研究している会津藩合気柔術との関連もあり、現実に著者は江戸柳生の研究者である大坪指方先生に師事しており、合気柔術の正統を継ぐ久琢磨先生にも師事していることから、著者と切り離せない問題である。そのため松田が認識する小野派一刀流・柳生新陰流(尾張)とは、本質的に異なっていることは勿論である。このように、松田と著者とは日本伝統武術に対する認識も異なっている。なお、常識的なことではあるが、日本伝統武術派名である柳生・小野派に対する認識がもしも松田と著者が同一見解であったと考えてみても江戸柳生・小野派一刀流の流派名称は、日本伝武術史上実在した流派名称であるから、広く読者に理解させるための、その名称の使用は、松田の本と抵触することにはならない筈である。(続)
