【観音寺城】残念すぎる日本の名城 第52回|石垣のマチュピチュ、近江の幻城
はじめに
滋賀県近江八幡市に位置する観音寺城(かんのんじじょう)は、六角氏の本拠地として戦国時代に栄えた山城です。日本100名城にも選ばれ、国の史跡にも指定されているこの城は、石垣の美しさや壮大な縄張りで多くの城ファンを魅了しています。しかし、その一方で「残念すぎる」ポイントも数多く存在し、訪れる人を戸惑わせることもしばしば。今回は、観音寺城の歴史や魅力、そして残念ポイントを徹底解説し、楽しみ方までご紹介します。

1. 観音寺城の歴史
観音寺城は、近江国守護・佐々木六角氏の本拠として、室町時代から戦国時代にかけて重要な役割を果たしました。築城年代は明確ではありませんが、南北朝時代の1335年にはすでに存在したとされ、応仁・文明年間(1467年~1487年)に六角氏頼によって本格的な山城として整備されたと伝わります。
城は繖山(きぬがさやま)の山上から山腹にかけて広がり、曲輪(くるわ)や石垣、土塁、井戸などの遺構が今も残っています。六角氏はこの城を拠点に近江を支配しましたが、織田信長の侵攻によって永禄11年(1568年)に落城。その後、城は廃され、静かに歴史の幕を閉じました。
2. 残念すぎる観音寺城
2.1 防御施設の脆弱さ
観音寺城は規模こそ日本屈指ですが、防御のための虎口や竪堀などの構造が単純で、防御施設は貧弱と評されることも。六角氏は本格的な籠城戦を行わず、城を一時的に明け渡して再奪取する戦術を取っていたため、戦国の山城としてはやや物足りなさを感じるかもしれません。

2.2 案内標識・登山道の分かりにくさ
観音寺城には複数の登山道がありますが、登り口や下り口の標識が少なく、初めて訪れる人には非常に分かりにくいのが現状です。特に五箇荘ルートや南側の登山口は道幅が狭く、どちらから登るべきか迷う人も多いです。案内板も要所にしかなく、山道はまるで獣道のようで不安になることも。

2.3 城跡への訪問者の少なさ
観音寺城がある繖山は、西国三十三所の札所・観音正寺の参詣者で賑わいますが、城跡を目指す人はごくわずか。参拝客と城ファンがただすれ違うことも多く、城跡はひっそりと静まり返っています。観音正寺を訪れても、城跡まで足を延ばす人は少ないのが現状です。

2.4 東側曲輪へのアクセス困難
本丸から東側の曲輪(淡路丸、三井丸など)へ向かう案内標識が少なく、道も分かりづらいため、初見では迷いやすいかもしれません。東側の見どころを見逃してしまう人も多く、せっかくの広大な縄張りを十分に楽しめないのが残念なポイントです。

2.5 駐車場・アクセスの課題
観音寺城の登山口には駐車場がありますが、台数が限られており、山道も狭め。しかも通行料金・駐車料金が必要で、アクセス面でもややハードルが高い印象です。公共交通機関からのアクセスもやや不便で、気軽に訪れにくいのが実情です。
3. それでも魅力的な観音寺城の見どころ
3.1 初期石垣山城の傑作
観音寺城は、戦国時代初期に石垣を本格的に導入した山城の代表例です。昭和44年からの発掘調査で斜面に埋もれていた大石段や石垣が発見され、今も多くの石垣が現存しています。

池田丸や平井丸の曲輪の石垣は内側にも立ち上がっていて石塁となっています。沖縄の城が思い浮かぶような石垣です。石垣好きにはたまらないスポットです。

3.2 巨石の算木積みと"日本のマチュピチュ"感
本丸や曲輪の虎口の石垣には、巨石を算木積み(石を交互に積む技法)で垂直に積み上げた箇所があり、その壮大さは「日本のマチュピチュ」と称されることも。自然の岩と人工の石垣が融合した景観は、他の城にはない独特の魅力です。

3.3 碁盤目状に並ぶ曲輪群
観音寺城の縄張りは、山腹に碁盤目状に曲輪が並ぶのが大きな特徴。城下町石寺の屋敷群と連続している点も珍しく、城と町が一体となった中世山城の姿を今に伝えています。

3.4 山上からの絶景と歴史の息吹
山頂からは湖東平野や旧中山道、朝鮮人街道まで一望でき、当時の六角氏が見渡していた景色を体感できます。山上に残る石垣や井戸、石畳の樋など、随所に工夫が見られ、歴史の息吹を感じられるのも魅力です。

4. 残念ポイントを逆手に取った楽しみ方
4.1 冒険気分で山城を満喫
標識や道が分かりにくいのは裏を返せば、まるで冒険のような感覚で山城を探検できるということ。地図やGPSを片手に、自分だけのルートを見つけて歩くのも楽しい体験です。

4.2 参詣者と城ファンの"すれ違い"を楽しむ
観音正寺の参詣者と城跡目当ての登山者が同じ山道を行き交うのは観音寺城ならでは。お互いの目的地や歴史談義を交わすのも、ここならではの楽しみ方です。
4.3 東曲輪探検で自分だけの発見を
案内標識が少ない東側曲輪は、逆に"自分だけの発見"を楽しめるエリア。地図を頼りに進み、隠れた石垣や曲輪跡を見つけた時の達成感は格別です。

まとめ
観音寺城は、石垣の山城としての歴史的価値や壮大な縄張り、絶景など、他の城にはない魅力が詰まった名城です。その一方で、案内標識の少なさやアクセスの不便さなど「残念すぎる」課題も多く、訪れるには少し冒険心が必要です。しかし、それらの課題も含めて"幻の名城"観音寺城を楽しんでみてはいかがでしょうか。
観音寺城の4コマ漫画はこちら:
参考資料
滋賀・びわ湖観光情報「観音寺城跡」 https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/886/
「隠れた名城 日本の山城を歩く」(小和田哲男監修、かみゆ歴史編集部編)山川出版社
Wikipedia「観音寺城」https://ja.wikipedia.org/wiki/観音寺城
デジタル城下町「観音寺城(滋賀県近江八幡市)の登城の前に知っておきたい歴史・地理・文化ガイド」https://note.com/digitaljokers/n/nc7802a15cd65
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