100社以上の企業分析で見えてきた、自分の強みと「次の壁」
こんにちは。「走り出した企業内診断士」です。
ここ1年ほど、私は100社を超える企業事例を分析してきた。
最初は、単純な興味だった。
「成長企業には、何か共通するパターンがあるのではないか。」
そんな疑問から始めた。
製造業。
小売業。
宿泊業。
教育。
食品。
伝統産業。
業種も規模も、まったく違う。
それでも分析を続けていると、不思議なくらい共通点が見えてくる。
そして最近、もう一つ気づいた。
企業を分析しているつもりが、
自分自身の思考の癖まで見えるようになってきた。
今回は、100社以上を見てきた中で改めて感じた、
自分の強みと、次に乗り越えるべき壁について整理してみたい。
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強み① 企業の「転換点」を見つける
企業には、必ずと言っていいほど転換点がある。
例えば、
下請けから自社ブランドへ。
薄利多売から高付加価値へ。
売り切りから継続収益へ。
職人依存から標準化へ。
卸中心から直販へ。
成長企業は、どこかのタイミングで、
「それまでの勝ち方」を変えている。
私は比較的、
「何が、この会社を変えたのか」
を見つけることが得意なのだと思う。
例えばホテル松本楼。
表面的には、
「従業員30人が辞めた」
という大きな組織トラブルに見える。
でも私は、それを単なる人間関係の問題としては捉えなかった。
その危機をきっかけに、
旅館中心の経営から、従業員ファーストの経営へ転換した。
ここが本質だと考えた。
出来事そのものではなく、
その出来事を境に、経営構造がどう変わったのか。
この転換点を見る力は、自分の強みの一つだと思っている。
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強み② バラバラな施策を「一つの物語」にする
企業の取り組みは、一見するとバラバラに見える。
特定顧客への集中。
リピート率向上。
多能工化。
DX。
人材育成。
現場改善。
普通に並べると、単なる施策一覧になる。
でも実際には、それぞれが独立しているわけではない。
例えば、
高収益顧客へ集中する。
その顧客に継続利用してもらう。
業務を標準化して、対応できる人を増やす。
DXで生産性を上げる。
結果として、利益率を改善する。
こう見ると、
顧客戦略 × 組織戦略 × 生産性向上
が、一つの利益構造につながっている。
私は、こうしたバラバラな施策をつなぎ、
「この会社は、こう勝つ」
という一つのストーリーにまとめることが比較的得意だ。
最近では、それを「勝ち筋」と呼ぶことが増えた。
戦略は、施策の数ではない。
すべてが一つの方向につながっているか。
そこが重要なのだと思う。
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強み③ 「未来の地図」を描く
企業分析をしていて、最近特に感じることがある。
私は、
企業の未来を考えることが好きだ。
今の会社が、
3年後にどこへ行くのか。
5年後に何屋になっているのか。
短期では何を変えるのか。
中期では、どの利益構造へ移行するのか。
長期では、どのポジションを取るのか。
こうした未来像を考えている時は、かなり没頭できる。
例えば、
短期は高収益顧客への集中。
中期は継続契約化。
長期は顧客やパートナーを巻き込んだ事業モデルへ。
といったように、
現在地から未来までの道筋を描く。
経営者にとっての「未来の地図」を作ること。
これは、自分の大きな強みかもしれない。
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ただし、分析レベルが上がると「次の壁」も見える
強みが見えてきた一方で、
「ここがまだ弱い」
という部分も以前よりはっきりしてきた。
むしろ、分析の精度が上がるほど、自分の粗さも見えるようになった。
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課題① KPIが「動かせる数字」になっているか
私はKPIを考える時、
LTV。
売上比率。
リピート率。
粗利率。
などを置きがちだ。
もちろん、どれも重要である。
でも、これらは多くの場合、結果指標だ。
現場の人は、明日いきなりLTVを上げることはできない。
では、何なら動かせるのか。
例えば、
DM送付件数。
提案件数。
次回予約提案率。
イベント開催数。
ヒアリング実施率。
こうした行動である。
つまり、
KPIは「重要な数字」ではなく、「現場が動かせる数字」まで落とす必要がある。
ここは、今後さらに磨きたい。
例えば、
「リピート率を上げる」
ではなく、
「購入後30日以内のフォロー実施率を90%にする」
まで落とす。
その方が、現場は動ける。
KPIは観察するための数字ではない。
行動を変えるための数字である。
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課題② 「どう伸ばすか」より「どこで詰まるか」
私は戦略を考える時、どうしても、
「どう成長するか」
から考えてしまう。
売上を増やす。
顧客を増やす。
用途を増やす。
新市場へ進出する。
でも、中小企業では、その前に見るべきものがある。
それが、
供給制約だ。
人手。
設備。
生産能力。
資金。
熟練者。
物流。
どれか一つでも詰まれば、成長は止まる。
むしろ、売れたことで現場が壊れることもある。
注文が増えた。
でも作れない。
熟練者に仕事が集中する。
納期が遅れる。
品質が落ちる。
残業が増える。
利益が減る。
これでは意味がない。
だから今後は、
「どこを伸ばすか」ではなく、「伸ばした時にどこが壊れるか」
を先に見る。
この視点をもっと強くしたい。
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課題③ 大きな言葉で逃げない
私は、将来像を描くのは好きだ。
その分、
「海外展開」
「プラットフォーム化」
「法人展開」
「プロデュース事業」
といった大きな言葉を使いたくなる。
でも、これだけでは戦略として粗い。
例えば、
「介護市場へ進出する」
では広すぎる。
本当は、
「要介護高齢者を抱え、外出機会が減っている家族」
くらいまで絞る必要がある。
海外展開でも同じだ。
「欧米へ」
では弱い。
どの国か。
誰に売るのか。
どのチャネルか。
なぜそこで勝てるのか。
どんな商品から入るのか。
ここまで具体化しないと、現場は動けない。
未来を描く力はある。
だから次に必要なのは、
その未来を、実行単位まで細かくする力
だと思う。
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課題④ 心理を「構造」に翻訳する
企業分析をしていると、つい心理的な言葉を使いたくなる。
「セクショナリズムが強い」
「やる気がない」
「意識が低い」
「協力しない」
確かに、現象としてはそう見える。
でも、コンサルタントとしては、それでは弱い。
なぜなら、
「やる気を出しましょう」
では何も変わらないからだ。
例えば、
「部門間の対立」
ではなく、
専門職分業によって情報が分断され、共通KPIもなく、部門最適になっている
と捉える。
「若手が育たない」
ではなく、
熟練者しか判断できない工程が多く、判断基準が言語化されていない
と捉える。
感情を、構造へ翻訳する。
そうすると、初めて打ち手が見えてくる。
意識改革ではなく、
情報共有。
KPI。
役割。
評価制度。
業務プロセス。
こうした仕組みへ落とせる。
心理的な問題に見えるものを、構造として説明する。
これは、次の大きな課題だと思う。
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「未来の地図」だけでは足りない
ここまで整理して、自分の強みと弱みはかなりつながっていると感じる。
私は未来を描くことが得意だ。
その分、現場の足元が少し粗くなる。
可能性を見ることが得意だ。
その分、制約を見るのが遅れる。
大きな構造を考えるのが得意だ。
その分、具体的な行動まで下り切れないことがある。
つまり、
強みの裏側に、そのまま弱みがある。
だから次に必要なのは、
未来を描く力を捨てることではない。
そこに、
現場。
数字。
制約。
行動。
を加えることなのだと思う。
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今後、企業分析で必ず確認したい4つの問い
今後は、企業を見る時に、少なくとも次の4つを確認したい。
1.この会社は、何を変えたから成長したのか
転換点を見る。
2.その勝ち筋は、どう利益につながっているのか
施策ではなく、利益構造を見る。
3.成長した時、どこが最初に詰まるのか
供給制約を見る。
4.明日から現場は何を変えるのか
行動KPIまで落とす。
この4つがつながれば、
分析はかなり実行に近づくと思う。
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まとめ
100社以上の企業を分析して感じるのは、
企業分析とは、企業を見る作業であると同時に、自分自身を磨く作業でもある
ということだ。
今の自分の強みは、
企業の転換点を見つけること。
バラバラな施策を一つの勝ち筋にすること。
そして、未来の地図を描くこと。
一方で、次の課題は、
現場が動かせるKPI。
供給制約。
戦略の具体性。
心理を構造へ翻訳する力。
ここをさらに磨きたい。
企業の未来を描くだけなら、理想論で終わる。
必要なのは、
その未来へどうたどり着くかを、現実の行動まで描くこと。
そこまでできた時、
「面白い戦略ですね」
ではなく、
「これなら実行できる」
と言ってもらえる提案になる。
未来の地図から、実行できる地図へ。
次に越えるべき壁は、そこなのだと思う。
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