カラクリ探偵団 11雑音って何?
B1がお気に入りのレコードを真空管アンプで聴いて悦に入っていますが、隣でM5がサキソホンの練習を始めました。この後どうなるのでしょう?
表紙画像はGoogle Geminiで生成しました。
今回は信号処理で扱うノイズについて説明します。
信号処理で扱うノイズ
前回「統計分布曼荼羅」で回帰モデルと残差の関係を説明しましたが、信号処理にも同じ考え方が通用します。回帰モデルy(t)=a1∙x(t-1)+a2∙x(t-2)+⋯
+b+ε(t) について、残差はε(t)=y(t)-y ̂(t)(実測波形y(t)とモデル推定期待値y ̂(t)との差)という見方もできます。
残差ε(t)
モデルy ̂(t)と現実y(t)が完璧一致していると常にε(t)=0となりますが、そうでないと何かしら変動する信号(ノイズ)になります。ノイズが全くランダムなものなのか、そうでないのかは回帰モデルの近似精度に依存します。このモデル規模(ステップ数など)と精度(ロバスト性)間のトレードオフを理解した上で回帰モデルを運用していく必要があります。
エルゴード性
信号解析する信号(ノイズを含む)はエルゴード性(時相によらず均質)を前提とすることが一般的です。大学初等数学イプシロンデルタ論法で、微積分の連続性(微分可能)や有限性(積分可能)について学びます。信号処理分野でも、信号連続性があること,発散しないこと,性質が変化しないことが大前提です。(実世界ではそんな都合のいいものはありません。材料力学の等方均質や統計学の一様分布などと同じ手口です。)
定常不規則信号
定義は平均値mが長期的に変動しないこと(=DCドリフトがなく発散しない),観察時相で性質が変化しないこと(=自己相関が無相関)を満たす信号で、トランジスタの熱雑音などに相当します。

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白色雑音
白色雑音(ホワイトノイズ)は広く利用され役立つ道具で、平坦パワースペクトラムを持つノイズです。広帯域信号なので信号処理ブロック入力に用いられ、出力スペクトラムから信号処理ブロック自体の周波数特性を推定することもできます。
システム伝達関数h(t)の入出力とパワースペクトラムの関係を下図に示します。白色雑音の平坦スペクトラムを逆フーリエ変換するとデルタ関数となり、インパルス入力と同等になります。h(t)のインパルス応答をフーリエ変換すればパワースペクトラムが簡単に求められるからです。「出力スペクトラム側から見ると白色雑音入力もインパルス入力も等価な入力として扱うことができます。」

白色雑音とインパルスの関係は「信号処理入門」の「第4章 周波数解析とフーリエ変換」で説明しています。
(補足)太陽で発生する水素やヘリウムの電磁波スペクトラが大気中でレイリー散乱します。その結果様々な波長成分となり、昔は太陽光を白色光と呼んでいました。厳密には地表から見る太陽高度により電磁波の通過する大気層厚さで色温度が変化します。
B2の記憶では、1990年代超短光パルスレーザー光(フェムト秒オーダー)も白色光と呼んでいました。2023年にピエール・アゴスティーニ氏らがアト秒パルスレーザー光でノーベル物理学賞を受賞しました。その有用性は上図白色雑音とインパルスの関係と同じです。
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