パニック発作になった話
今から20年以上前、まだ外資系の不動産金融会社で財務の責任者の仕事をしていた頃、パニック発作を発症しました。
当時は商業用不動産バブルで、資金調達に奔走して毎日終電という多忙な時期にも関わらず、朝は5時起き、6時にホテルのプールに行き1時間泳ぎ、そこからランニングで出勤するという生活をしていました。
同僚とランチに行き、食後のアイスコーヒーを飲んで、何かの話で大笑いしている瞬間に、
「あ、あ・・」
突然息が出来なくなりました。
「どうした?大丈夫か。」
という同僚の声が遠のいて、息が出来ない、心臓発作だろうか、このまま死んでしまうのではないか。
そう思いなんとかしようと立ち上がり、その場を歩き回りました。周りの客が不審そうに見守る中、体の力が抜けてその場に倒れこみました。
同僚が救急車を呼び、人生初の救急車に乗って病院へ。脳梗塞か、心臓発作か、俺の人生これで終わりなのか。。
そんなことをぐるぐる考え、お医者さんに言われたのが、
「パニック発作ですね。問題ないですよ。」
それだけ。駆けつけた家族とともに、良かったと一安心しましたが、その後が大変でした。
「また発作が出たらどうしよう。」
そう思うと、不安がどんどん大きくなって、体調が悪くなっていきます。特に散髪をするときなど、首回りを絞められて、しばらくその場から動けない状況になると不安が大きくなり発作が出そうになりました。
散髪の間中、腕をつねって気を紛らわせ、散髪が終わった頃には腕が真っ赤になっていたことも。
当時はパニック発作についての本もあまり出版されておらず、情報も限られていました。自分はメンタルが弱い人間なんだろうか。これからもずっとこんな感じだと社会生活がちゃんと送れないかもしれない。
人生で初めて心療内科に通院すると、医者は1分ほど問診をした後「じゃあ、薬出すから飲んどいて。」
それだけでした。
薬を飲みながら治癒していく方法もあるのだと思いますが、当時自分は薬を飲む気になれず、自分で何とかしたいとパニック発作に関する本を読みあさっていました。
1つ救われたのは、パニック発作というのは精神的に弱いといことではなく、認知の歪みで脳が誤作動を起こしている、ということを知ったことでした。
じゃあ、認知の歪みを何とかすればいいと、自分なりに色々と考え、認知行動療法などを自分で試しながら対処しました。
その後パニック発作は出ていませんが、今でも仕事を含め、生活に無理があると感じたときは、自分の体の声に耳を傾けるようになりました。
この経験は、今教育の仕事をしている上で糧になっています。日々接する子ども達の中には、不安や怒りなどの感情をコントロールできないときがたくさんあります。例えば、
「何が不安なの?」
そう聞かれても、説明がつかず不安がどんどん自分の意思とは関係なく大きくなっていくあの感じ。
それを経験したから、子どもたちの気持ちを想像して接することができるようになったのだと思います。
生きていると色んなことがありますが、それらの経験全てを活かせるのが、教師という仕事なのかもしれません。
