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🎼 📝BMIとThe MLCに登録する理由─DistroKidでは回収できない演奏権と機械的使用料、音楽著作権収益のしくみ🇯🇵

はじめに

Jun OKUNOはBMI(米国の著作権管理団体)およびThe MLC(ストリーミング使用料回収団体)への登録が、いずれも正式に承認されました。

これにより、Spotifyなどの配信サービスで再生された楽曲について、作詞・作曲者として発生する著作権使用料を、米国をはじめとする各国で正しく受け取るための体制が整いました。

音楽の発表と流通の仕組みはこの十数年で大きく変わりましたが、その裏側にある「著作権収益の回収」は、今もなお理解しづらく、見落とされやすい領域のひとつです。
作品がどこで聴かれたかよりも、適切な団体に登録されているかどうかが、収益の有無を決めるという構造は、特に海外配信においては重要なポイントとなります。

この記事では、「演奏権」と「機械的使用料」という2種類の使用料を軸に、BMIとThe MLCの役割、そしてSpotifyなどを取り巻く配信構造との関係性を整理していきます。
音楽活動を継続可能なものとするための「仕組みづくり」に関心のある方にとって、何らかの参考になれば幸いです。


第1章:演奏権(Performance Royalties)とは何か

「演奏権」は、音楽がラジオ、テレビ、ライブ、ストリーミングなどで“公に再生された”ときに発生する使用料です。
これは演奏者やレコード会社ではなく、作詞・作曲者に対して支払われるものであり、いわば“作品そのもの”の対価です。

日本ではJASRACやNexToneがこの権利を管理していますが、米国ではBMI(Broadcast Music, Inc.)やASCAPがこの役割を担っています。
Jun OKUNOはBMIに登録済で、IPI番号は 01299495678です。

Spotifyなどのストリーミングサービスでも、再生1回ごとにごくわずかながら演奏権使用料が発生しています。
ただしSpotifyは、これらの使用料をアーティスト本人や配信代行業者(ディストリビューター)に直接支払うわけではありません。
演奏権管理団体(例:BMI)に対して支払い、そこから作詞作曲者に分配されるという仕組みになっています。

つまり、BMIに登録していなければ、Spotifyが演奏権を支払っていたとしても、作詞・作曲者はその対価を一切受け取ることができません。


第2章:機械的使用料(Mechanical Royalties)とは何か

「機械的使用料」とは、楽曲がコピー(複製)されたことに対して支払われる著作権使用料です。
これは元々、CDやダウンロードなどの「物理的な再現」を前提にした権利でしたが、現在ではSpotifyやApple Musicといったストリーミング再生でも発生します。

この使用料も、演奏権と同様に作詞・作曲者に支払われるべき報酬ですが、演奏権とは異なる団体が管理しています。

米国においては、2021年からThe MLC(The Mechanical Licensing Collective)という政府認定の非営利団体がこの役割を担っています。
The MLCはSpotifyなどから集めた使用料を、登録済みの作詞・作曲者に分配する仕組みになっています。

ここでも注意すべきなのは、ディストリビューター(DistroKidやTuneCoreなど)を通じて楽曲を配信していても、The MLC経由の機械的使用料は一切支払われないということです。
あくまで、作詞・作曲者本人がThe MLCに登録して初めて、回収対象となるという構造です。

なお、The MLCがカバーするのは米国内でのストリーミングによって発生した機械的使用料のみであり、米国外での再生分については、各国の団体との提携によって処理される可能性がある一方、完全な保証はありません。


第3章:Spotifyに出して終わりではない──配信プラットフォームと各団体の関係

3-1. 配信プラットフォームの役割

SpotifyやApple Musicといった配信プラットフォームは、音楽をユーザーに届ける役割を果たしますが、同時に著作権使用料を発生させる“起点”でもあります。
再生が発生することで、以下のように3つの収益が生まれます:

  1. マスター音源の使用料(=レコード製作者・配信者への報酬)

  2. 演奏権(Performance Royalties)=作詞・作曲者への報酬

  3. 機械的使用料(Mechanical Royalties)=同上


3-2. ディストリビューター(DistroKidなど)の役割

DistroKidやTuneCoreなどのディストリビューターは、Spotifyなどにマスター音源を納品し、その使用料を受け取る役割を担っています。
つまり、Spotifyから支払われた1. マスター使用料はディストリビューターを経由してアーティストに届けられます。

しかし、2. 演奏権と3. 機械的使用料は、ディストリビューターとは無関係です。
SpotifyはそれらをBMIやThe MLCといった著作権管理団体に直接支払っており、ディストリビューター経由では一切回収されません。

DistroKid自身も「私たちはPublishing(作詞作曲者の権利)には関与していません」と公式に明記しています。


3-3. 著作権管理団体の役割

  • BMI → 演奏権(Performance Royalties)の管理・分配

  • The MLC → 機械的使用料(Mechanical Royalties)の管理・分配(米国内のみ)

この2つの団体に作詞・作曲者として登録していなければ、Spotifyがいくら使用料を支払っていても、そのお金は誰にも分配されず、保留または未請求のままになります。
一定期間が過ぎると、権利が失効するか、団体によってプール処理される可能性もあります。


3-4. Jun OKUNOはなぜ登録しているのか

Jun OKUNOは、DistroKidを使って楽曲を世界配信しています。
しかし、DistroKid経由では回収できない収益があることを理解し、自身でBMIとThe MLCの両方に登録しました。

Spotifyなどの再生で発生する収益のうち、マスター使用料はDistroKid経由で受け取れますが、演奏権と機械的使用料は、登録しなければゼロのままです。

そのため、作詞・作曲者としての対価を正しく受け取るには、この2つの登録が不可欠という判断に至りました。


おわりに

「Spotifyに出せば自動的にすべての収益が入ってくる」と考えている人は少なくありません。
しかし現実には、Spotifyは3つの使用料を異なる相手に支払っており、そのうち作詞・作曲者としての報酬の多くは“自分で登録しない限り”受け取れません。

BMIとThe MLCへの登録は、そうした構造に対する備えです。
Jun OKUNOとしては、著作権と収益の仕組みは冷静に、淡々と整えておくというスタンスで臨んでいます。

また、YouTubeなどの映像系プラットフォームにおける著作権収益(いわゆるContent IDによる収益)は、BMIやThe MLCでは管理されておらず、AdRevやIdentifyyといった別の団体による管理が必要です。Jun OKUNOはContent IDについては費用対効果の面から現時点では見送っています。
さらに、演奏者やレコード製作者としての収益(隣接権)は、米国ではSoundExchange、日本ではNexToneなどが扱っており、別途の登録が必要です。

これから海外配信を考えている方、すでに配信しているが収益に疑問を持っている方にとって、本記事が実務的な足がかりになれば幸いです。


補足情報

Jun OKUNO 著作権登録情報:

  • BMI IPI: 01299495678

  • The MLC 登録完了済


参考リンク(英語)

  • BMI (Broadcast Music, Inc.)
    https://www.bmi.com/

  • The MLC (Mechanical Licensing Collective)
    https://www.themlc.com/

  • DistroKid – Royalties & Payments Guide
    https://support.distrokid.com/hc/en-us/articles/360013534293

  • Identifyy (YouTube Content ID)
    https://www.identifyy.com/

  • SoundExchange (Neighboring Rights)
    https://www.soundexchange.com/


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