わたしとセロリ。
セロリを買うたび思い出すのは、前の職場の上司のこと。
その美人上司の住む岡山県総社市はセロリを推していて、産地直送の売り場が各所にある。
スーパーで売られているのとは、ぜんぜん違う。
ひと株が抱えなきゃ持てないほどの大きさの、立派なものだ。
彼女は時折、新鮮なセロリを大量に仕入れては職場に持ってきて、
「ほ~ら、かじりなさーい」
と、昼食時、おもむろに広げた新聞紙の上に置き始めるという謎行動をとるのだが、最近の若手の顔には、
「え、いりません」
と、書いてある。
こうして、なんでも快くいただく主義の私が、快く請け負い、それをわざわざ英字新聞でくるみなおし、わざとカバンから覗かせ、山崎まさよし(SMAP)の名曲を脳内で流しながら、
まるでニューヨーカーのように、
倉敷を歩いた。
料理しながら缶ビールを開けてしまう至福のひととき、
ただ洗っただけのセロリをかじれば、あら不思議。
さっき口に入れた柿の種を忘れさせてくれるほどの清涼感が、
自分は健康的な食事をとっている素敵な女性なのではないか
と、私に錯覚させてくれるのだ。
