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NTS-3 kaoss pad kitでテルミンを作ってみた|logue.sdk開発記

はじめに

内蔵エフェクトだけでなく、logue.sdk を使って自作エフェクトや音源まで開発できる NTS-3 kaoss pad kit がとても面白かったので、今回はこの logue.sdk を使ってテルミン風の音源を作ってみました。

本記事では、その開発過程や試行錯誤について紹介したいと思います。

こんな感じで使っています。

なぜ作ろうと思ったのか

もともと私は、ダブミックスを行う際に DAW 上で FabFilter Pro-Q 3 のポイントをマウスで動かしながら、フィルターのような効果をリアルタイムで録音する手法に可能性を感じていました。

以下の音源でも、その手法を取り入れています。

こうした XYパッド的な操作 とダブミックスは相性が良いのではないかと考え、過去にはPC用のタッチモニターも試してみました。しかし、どうもしっくりきませんでした。

その後、iPadアプリの Loopy Pro を知り、iPadとオーディオインターフェースを接続して外部エフェクターのように使ってみたところ、これは非常に面白く感じました。

そんな中で今回の NTS-3 kaoss pad kit の存在を知ります。

通常の KAOSS PAD とどちらを選ぶか悩みましたが、NTS-3 は logue.sdk を使って自分で音色やエフェクトを開発できる という大きな魅力がありました。

「もし自由に開発できたら、ものすごく楽しいのではないか」

そう思って導入したのが始まりです。

そしていくつかエフェクトを作っているうちに、

「せっかくだから、エフェクトではなく楽器そのものを作ってみよう」

と思い立ち、テルミン風音源の開発に挑戦することにしました。


開発環境を準備

まずは logue.sdk で開発するため、私の環境(Windows 11)に以下のソフトをインストールしました。

  • Docker Desktop

  • Git Bash

  • Visual Studio Code

  • KORG Kontrol Editor

今回の logue.sdk 開発では、環境構築からコーディングまで主に Gemini を活用しています。


Gemini にコードを書いてもらう

logue.sdk のコードは C++ で記述されています。

私は C++ の知識がほとんどないため、今回は Gemini を活用しながら開発を進めました。

基本的には Gemini にコードを書いてもらい、実際に NTS-3 で動作を確認します。そして気になる点やイメージと異なる部分があれば、その内容を伝えてコードを修正してもらい、再び動作確認を行う――という流れを何度も繰り返しました。

今回のテルミン風音源も、最初から狙いどおりのものができたわけではありません。実際に触ってみて感じた違和感や改善点を Gemini にフィードバックしながら少しずつ調整を重ね、最終的な形へと仕上げていきました。

コードを一行ずつ自分で書くというよりも、「こういう動作にしたい」「ここをこう変えたい」といった仕様やアイデアを伝えながら開発を進める感覚に近く、AIを活用した開発の面白さを実感しました。

VSCODEの様子

テルミンの音に近づけるための試行錯誤

まずは Gemini に、

「テルミンのような音が出るシンセを作ってほしい」

と依頼して試してみました。

しかし、出てきたものは YouTube などで聴くテルミンとはかなり異なる印象でした。

その後何度も修正を重ねました。

最初のバージョンでは、

  • X軸:音程

  • Y軸:ビブラートの深さ

という仕様にしていましたが、どうもイメージと違います。

そこで改めてテルミンの音について調べ直しました。

調べてみると、テルミン特有の音色は単純な波形だけでなく、

  • シンプルなサイン波がベースになっている

  • スピーカーと木製キャビネットによる響きがある

  • 手の微妙な動きによって音程や音量が常に揺らぐ

といった要素が組み合わさることで、あの人の声やヴァイオリンのような独特の表情を生み出しているようでした。

そこで次は、

  • ローパスフィルター

  • ルームリバーブ

などを追加してみました。

しかし、それでも本物のテルミンのような生々しさには届きません。


トゥンバボックスとの組み合わせを思いつく

色々と考えた結果、

「そもそもテルミンのようにスピーカーを共鳴体として使えばいいのではないか」

という発想に至りました。

そこで以前製作した トゥンバボックス を利用することにしました。

さらに logue.sdk では、XYパッドだけでなくその隣の DEPTHノブ にも独自の役割を割り当てられることを知ります。

テルミンも実質的には手の位置を三次元的に使って演奏する楽器です。

そこで今回は、

  • X軸:音程

  • Y軸:音量

  • DEPTH(Z軸):左右の音量差による音域切り替え(約1〜6オクターブ)

という構成にしました。

logue.sdk 側ではシンプルなサイン波を出力し、その音をトゥンバボックスへ送り込むことで、テルミンらしい音のキャラクターを作る方針にしました。

この仕様を Gemini に伝え、再度コーディングしてもらいました。


実際に使ってみた感想

完成したものを試してみると、自分なりにかなりテルミンらしい雰囲気の音になったと思います。

参考音源は記事末尾に掲載しています。

ただし実際に演奏してみると、NTS-3 kaoss pad kit は非常にコンパクトなため、細かいピッチコントロールが難しく感じました。

そこで登場するのが iPad です。


iPadをMIDIコントローラにする

調べてみると、iPad を NTS-3 の MIDI コントローラーとして利用できることが分かりました。

そこで TouchOSC を導入します。

TouchOSC は iPad 単体でも画面を作成できますが、個人的には作業しづらかったため、Windows版 TouchOSC Editor でレイアウトを作成し、それを iPad に転送して使用しました。

その結果、大きな画面で演奏できるようになり、NTS-3 本体よりもはるかに繊細な操作が可能になりました。

Touch OSC で作った操作画面

さらに、ガラスフィルムの摩擦によって指の動きが引っかかることが気になりましたが、以下のような指サックを使うことで滑らかに演奏できるようになりました。


まとめ

今回、logue.sdk を使ってテルミン風音源を開発してみました。

実際にはテルミン以外にもいくつかエフェクトや音源を作っており、NTS-3 kaoss pad kit の自由度の高さには驚かされています。

また面白いものができたら記事にして紹介したいと思います。

エフェクターとしても楽器としても楽しめる NTS-3 kaoss pad kit は、個人的にはかなり遊び甲斐のある機材でした。

そしてこの機材のおかげで、これまで手を出してこなかったデジタル音源やエフェクトの開発にも挑戦し始めてしまいました。気が付けば、またひとつ新しい沼に足を踏み入れてしまったような気がしています。

今後も使い倒しながら、新しい活用方法や面白いアイデアを探していきたいと思います。

参考音源

kaoss pad kit + TouchOSC + トゥンバボックスによるサンプル音源です。

免責事項
・本記事執筆者は電子工作・回路設計の専門家ではなく、試行錯誤しながら製作した内容を紹介しています。
・内容には誤りが含まれている可能性があります。
・本記事を参考に製作・使用された際の、機材故障・怪我・その他トラブルについては責任を負いかねます。
・製作・使用は自己責任にてお願いいたします。

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