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項羽の最期〜項羽と劉邦/横山光輝

項羽と劉邦読了。

文庫版で12冊と言う超大作だが、中弛みすることなく一日一冊くらいのペースで一気に読んだ。
項羽が死に、最後は劉邦が漢を設立するという結論はすでに知ってはいるものの、何度見てもストーリーが味わえるのは司馬遷の組み立てによるものか、それとも横山光輝の解釈によるものか。

それにしても、2000年以上前の物語がこのように手軽に味わえるようになったのは、ありがたい限りだなとつくづく思う。
最初に父の意図を汲み、鋼の意思で史記を書き上げた司馬遷に始まり、それを現代まで保存し続けたなもなき人々、そして横山光輝先生ならびに出版に携わった人。改めて感謝したい。


ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、項羽は日本で言うと武士らしい最期を迎えます。
韓信の策略にハマり徐々に兵の数が減っていく項羽軍。
鬼神とも称される項羽の武力により、最後の最後まで粘りますが、人間の体力には限界があります。
徹底的な人海戦術で叩かれた項羽。

最期は劉邦軍の中に自分の知り合いを見つけ、自分の首を持って帰れば褒章を得られるだろう、くれてやる!といって自らの喉元に刀を当て、壮絶な人生に幕を閉じます。

死の前に項羽が読んだ詩は、垓下の歌として今も残っています。

私には山を引き抜く力と世を覆う気迫があった。

今時運を失い、愛馬騅も歩もうとしない。

前に進まぬ騅をどうしたものか。

虞よ虞よお前をどうしたらよいものか。

最終行の虞とは、項羽の愛人の名前です。
彼女の墓の上に咲いた花が、今も”虞美人草”として名が残っているというのが興味深いところです。

この詩、劣勢を悟った項羽が死を覚悟して読んだものですが、読む人の立場によって評価が分かれるなーと思います。
昔は「おお、愛する人のために読んだ美しい詩だ」としか思いませんでした。
でも、ストーリー全体を知ってから改めて読むと

・時運を失うって、自分が悪くないみたいに言ってるけど、今の状況を作り出したのも項羽だよな
・馬をどうしたものか?と言う前に軍全体、国のことを考えてよ
・最後は愛人の話かい!何万人の兵が命を失ったと思ってるんだろうか。

など、いろんな感情が湧き上がります。

また、見方を変えると日本における平家物語の冒頭「祇園精舎の〜」にも通ずる、無力感や盛者必衰の理を述べているようにも読み取れます。


背水の陣、韓信の股くぐり、虞美人草など、2000年以上の時と国を超えて当時の教訓なりエピソードが現在も残されていることも面白いですね。

三国志と項羽と劉邦は、よむとおじさんとの距離が一気に縮まるので若い方にもぜひ読んでもらいたい作品ですw


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