今日はなんだかとっても『素敵な日』
このシリーズは、アルバムのレビューではありません。私がその頃どのように音楽を聴いていたのか、その記憶を書き残すためのものです。
第一印象
これ、ジブリのサウンドトラックですか?
It's a Beautiful Day のアルバムカバーだけ眺めていると、思わずそう言いたくなります。実際は1969年の作品なので、ジブリよりはるか昔のアルバムなのですが、いわゆるロックやサイケデリックというイメージとは少し違います。当時のサンフランシスコ、ヒッピー文化の真っただ中で生まれた作品とは思えないほど、どこか幻想的で穏やかな雰囲気があります。
このアルバムを知ったのは割と最近のこと。個人的なサイケブームの勢いで、思わずオークションサイトでレコードに手を出してしまったのがきっかけでした。
最初に聴いた印象は、どこか Jefferson Airplane を思わせる空気感。『White Bird』や『Hot Summer Day』を聴くと、「当時の流行はこんな音だったのかな」と想像してしまいます。バイオリンやブルースハープが自然に溶け込み、オルガンが全体を彩る。どこか懐かしく、それでいて古臭さを感じさせない一枚です。
ブルースを基盤とした武骨なロック
A面だけを聴いていると、当時らしいサイケ作品かと思うのですが、B面では一転して骨太なブルースロックを聴かせてくれます。
『Bombay Calling』はエキゾチックな雰囲気の中を、美しいオルガンソロと耳に残るフレーズが駆け抜けるインストゥルメンタル。そして『Bulgaria』は、美しいコーラスが印象的な哀愁漂うバラードです。
そして最大の聴きどころは、ラストを飾る『Time Is』。イントロのピアノ、ベース、ドラムだけの時点で、すでに何かがおかしい。徐々にテンポと熱量が増し、再びエキゾチックな世界へ入り込んでいきます。音はどんどん厚みを増し、聴いているこちらまで何かに急かされるような感覚になる。
一度ベースだけになり、ドラムのフィルを合図に本格的なロックが始まる。「笑っている時間なんてない」というようなフレーズが繰り返され、ピアノが激しく連打される頃には、もう完全にこの曲の虜です。その後は Love と Time をひたすら繰り返しながら、バイオリン、パーカッション、そしてギターが混然一体となって暴れ回る。ギターはペグのあたりを弾いているような金属的な音まで飛び出し、もはやカオス。それなのに不思議と破綻せず、一つの世界として成立しているあたりが見事です。
途中にはドラムソロまで挟み、最後は再びエキゾチックなテーマへ帰っていく。この発想と展開力には本当に脱帽するしかありません。サイケデリックでありながら、どこか後のプログレッシブ・ロックを予感させる瞬間もあり、何度聴いても新しい発見があります。
まとめ
音楽はもちろんですが、このアルバムはジャケットを眺めるためだけに手元へ置いておいても十分価値があると思います。私はオークションで2,000円もしない再発盤を購入しましたが、ライナーノーツを読むと、発売当時は日本ではほとんど紹介されていなかったようです。
半世紀以上を経て、こういう作品に偶然出会えるのも、レコードや中古盤を漁る楽しみの一つなのかもしれません。

