アーティストはCDを作ろう!
これだけ配信が普及している今、CDって本当に必要でしょうか?サブスクでは、世界中の音楽がいつでも、どこでも聴ける時代です。
そんな中で、「この時代に、わざわざCDを作る意味とは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。でも私は、CDはアーティストにとっての「名刺」であり、「ファングッズ」であり、「贈答品」であり、「ブランディング」そのものだと思っています。
■名刺
一般的に名刺とは、「私はこういう者です」と短時間で相手に伝えるためのツールです。アーティストにとってのCDも同じです。ジャケット写真で世界観を伝え、プロフィールや肩書きだけでは分からない音色や表現、音楽への考え方まで、一枚の作品を通して自己紹介してくれます。
「ぜひ聴いてください。」
そう言って手渡せるCDは、紙の名刺以上に、自分自身を語ってくれる存在です。
■ファングッズ
ファンは、会場に一歩足を踏み入れた瞬間から、その公演を楽しんでいます。プログラムノートを受け取り、ロビーのポスターを眺め、グッズ売り場をのぞく。
終演後にはCDを購入し、サイン会に参加する。
帰りの電車では、主催者がSNSにアップした速報写真を見返しながら、サイン入りのCDを眺め、今日の演奏を思い返す。
音楽を聴くだけなら、配信で十分かもしれません。
しかし、そのCDには、その日に感じた感動や思い出が刻み込まれています。だからCDは単なる音源ではなく、ファンにとって、その瞬間をいつでも思い出せる大切なファングッズになるのです。
■贈答品
お世話になった先生、応援してくださるスポンサー、コンサートを主催・公演してくださった方、取材をしてくださったメディアの方。
「ありがとうございました。」という気持ちを込めてお渡しする一枚のCDには、言葉以上の価値があります。
贈るのは音楽だけではありません。その時代の自分自身を、一つの作品として贈ることができる。それがCDの魅力だと思っています。
■ブランディング
CDは単なる音源ではありません。選曲、タイトル、ジャケット写真、ブックレットのデザイン、解説文、紙質。そのすべてが、「私はこういうアーティストです」という世界観を表現しています。
私は写真家として、多くのCDジャケットを撮影してきました。その人はどんな音楽を奏で、どんな価値観を持ち、どんな未来を描いているのか。その世界観が一枚の写真から伝わることを大切にしています。
ブランドとはどう記憶されるかだと思っています。CDは、音楽だけでなく、写真やデザイン、言葉までも含めて、印象を相手の心に残してくれます。CDとはアーティストにとって最も強力なブランディングツールだと思っています。
配信が当たり前になった今だからこそ、CDは「音楽を聴くためのもの」から、「自分というアーティストを伝えるための作品」へと役割を変えたのではないでしょうか。
そして、その一枚は、誰かとの新しい出会いを生み、ファンとの思い出を育み、お世話になった方への感謝を伝え、自分というブランドを静かに語り続けてくれる。
音楽を届けるためだけではなく、貴方を届けるために、アーティストはCDを作ろう!
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