地雷女を定義する
「昨日会った女、地雷だったわ」
通話が繋がるなり、友人が言った。
開口一番である。
俺はまだ「もしもし」すら言っていない。
どれだけ酷かったのかが伝わってくる。
「何があったんだ?」
「まず割り勘はありえないって言われた」
「へぇ」
「同い年だぞ?」
「まあそういう価値観の女性もいるだろ」
「それだけじゃない」
友人は続けた。
「向こうから全然話さないんだよ」
「緊張してたとか?」
「いや、違う。俺のこと全然タイプじゃないのが丸わかりだった」
それはきつい。
「じゃあ何で来たんだ?」
「俺もそう思った」
友人はため息をつく。
「しかも写真詐欺だった」
「ああ……」
「地雷だよ。完全に地雷」
結局その後も友人の愚痴は続き、俺は1時間ほど聞き役になった。
さて、本題だ。
地雷女とは何だろう。
昔の俺ならこう答えていた。
割り勘拒否。
情緒不安定。
写真詐欺。
束縛。
メンヘラ。
いわゆる『分かりやすい地雷』だ。
だが最近は少し考えが変わった。
例えば割り勘拒否。
何も俺は割り勘派というわけではない。
問題なのは奢られることではないのだ。
『自分は何も差し出さないのに、相手には求める』
その姿勢だ。
写真詐欺もそうだ。
加工そのものは悪くない。
誰だって少しは盛る。
だが、
本来なら会えなかった相手と会うために実物以上に見せるのは、
相手の時間を使って自分だけ得をしようとしているとも言える。
情緒不安定も同じ。
恋愛をしていれば誰だって不安になる。
だが、
不安を全部相手に処理させる人と、
自分でも何とかしようとする人がいる。
こうして考えると、
割り勘拒否も。
写真詐欺も。
情緒不安定も。
全部別の問題に見えて、
実は同じ根っこから生えている。
つまり俺が思う地雷の正体は、
テイカー気質だ。
テイカーとは、
他人から受け取ることを最優先する人間のことだ。
愛情も。
金も。
時間も。
労力も。
とにかく「もらう」が先に来る。
逆に、
多少わがままでも、
多少面倒でも、
相手のために何か返そうとする人は意外と地雷にならない。
友人がマチアプで出会った相手は、
分かりやすくテイカー気質だった。
そんなのとマッチしてしまったのは不運だと思う。
だが本当に厄介なのは、
初対面で分かる地雷じゃない。
避けるのが簡単だからだ。
初対面では優しい。
気遣いもできる。
見た目も普通。
会話も上手い。
周りの評判も悪くない。
だから安心する。
この人は大丈夫そうだ、と。
だが数か月後。
気付けば、
会う予定を合わせるのも。
機嫌を取るのも。
連絡するのも。
謝るのも。
全部こちらになっている。
そして不思議なことに、
そういう相手ほど自分を悪いと思っていない。
もらうのが当たり前だからだ。
写真詐欺。
割り勘拒否。
情緒不安定。
そんなのはまだいい。
見れば分かる。
避けられる。
俺が本当に怖いと思うのは、
付き合うまで正体を見せないテイカーである。
