『刑務官が覚醒剤を買ってきた』 2013年府中刑務所事件から見える、受刑者に籠絡される怖さ
「刑務官が受刑者に覚醒剤を渡した」―― 府中刑務所で実際に起きた事件
刑務所の中で、受刑者が覚醒剤を使用する。
普通に考えれば、そんなことが起こるとは思わないでしょう。
ところが、実際に起きました。
その覚醒剤を入手して受刑者に渡したのは、刑務所を管理する側の人間でした。
現役の刑務官でした。
東京都府中市にある「府中刑務所」で起きた、刑務官による覚醒剤譲渡事件です。
2013年、当時の報道によると、府中刑務所に勤務していた30代の看守と、30代の受刑者が、覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されました。
2人とも容疑を認めていたと報じられています。
看守はわざわざ関西方面(西成)まで出向いて覚醒剤を購入し、それを受刑者に渡したとされています。
受刑者は、受け取った覚醒剤を刑務所内の独房で使用。
さらに驚くことに、使用後に残った覚醒剤や注射針を、看守が回収して自宅に持ち帰っていたと報じられています。
刑務所の中で覚醒剤が使用された。
そして、その覚醒剤を用意したのが現役の刑務官だったのです。
なぜ刑務官が覚醒剤を買ったのか
ここで、一つの疑問が浮かびます。
受刑者から、
「覚醒剤を買ってきてほしい」
と頼まれた。
普通なら、どうするでしょうか。
当然、断るでしょう。
刑務官として上司に報告するという選択もあります。
ところが、この事件では、その要求に応じてしまった。
なぜなのでしょうか。
もちろん、当事者本人にしか分からない現場の事情もあるでしょう。
その受刑者がどのようなタイプだったかも報じられることはありません。
ただ、当時の報道を見ると、警視庁は、看守が受刑者に日常的に不正な便宜を図っていた可能性もあるとみて、動機を調べていたとされています。
このような事件が起こると、全国各地の刑務所、拘置所では周知徹底、再発防止のため、さまざまな研修を実施されます。
よって、事件については、どの刑務官もどのような背景があったのかなどはある程度理解しています。
籠絡(ろうらく)という言葉を知っていますか。
**籠絡(ろうらく)**とは、
巧みな言葉や態度、利益を与えるなどの手段によって相手を自分の思いどおりに動かし、支配したり、取り込んだりすることを意味します。
相手の心理や弱み、欲求などにつけ込み、いつの間にか自分の意のままに動かせるようにするという、やや否定的な意味を持つ言葉です。
実はこのような事件の場合のほとんどが、刑務官が受刑者に籠絡されているのです。
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