刑務官になって初めて知った“普通じゃない世界” 刺青や暴力団の世界、そして新法拘禁刑への戸惑い
刑務官の仕事は、犯罪者を遠くから監視する仕事ではありません。
刑務所の中で刑期を務める受刑者の衣食住に関することから、出所するまで、すべてに刑務官が関わっています。受刑者が生活するあらゆる場所に刑務官が存在しています。
立場は違いますが、毎日顔を合わせ、会話をする――そのような関係です。だからこそ、受刑者と刑務官の距離は難しく、一様ではないのです。
新人刑務官のころ、上司からこう言われます。
「刑務所に入る人間は、相当悪いことをしていると思え」
普段は礼儀正しく、真面目に振る舞っていたとしても、刑務所に入る人間は、相当悪いことをしてここにきている――その認識を忘れないようにしなさい、と指導されます。
ホテルに宿泊するお客様ではない。
殺人や強盗、性犯罪などの凶悪犯はもちろん、何度も再犯を繰り返し、刑務所に出入りする人生を送っている者。犯罪に手を染めて逮捕されても、実刑を言い渡されずに社会で生活していた者。執行猶予中にもかかわらず、さらに犯罪を重ねる者。
罪を犯すことに抵抗がない。慣れている。
社会でそうした人間が友達で、常に周囲にいる環境の者。
摘発されたのがたまたまその一件だっただけで、見つかっていない犯罪に手を染めている可能性もある。罰金や労役を経て、留置場や拘置所での拘留、長い裁判を経て、最終的に刑務所へやって来るのです。
要するに、刑務官が接する受刑者とは、言い方を変えると「犯罪のプロ」である――その認識を持て、と言われます。
生きてきた環境が違う。人を騙すこと、脅すこと、弱みを握ることに長けている。
だからこそ、どんな受刑者も決して甘く見てはいけない。
そう教えられるところから、刑務官人生は始まります。
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