家ではマイペースな娘、外では全力だった
娘は家だと、とてもマイペースだ。
朝は特にすごい。
どんなに起こしても、なかなか起きてこない。
やっと席についても、
朝ごはんはずっと口に入ったまま。
声をかけないともぐもぐが進まず、
気づけば40分くらい経っていることもある。
私は朝から何度も時計を見る。
「早くして」
「もう時間ないよ」
仕事前で余裕もなく、
娘のペースに合わせられない自分に焦る。
つい語気も強くなる。
正直、朝からへとへとだ。
そして、頑張りすぎて帰ってきた日は特にすごい。
ちょっとしたことで大泣きする。
喚く。
機嫌も悪い。
こちらも仕事終わりで余裕がなく、
「なんでそんなことで泣くの」
と思ってしまう日もある。
そんな娘に、今月初めてのお泊まり保育がある。
娘は今まで、自宅以外で一人で泊まったことがない。
家での様子を見ていると、
私は不安でたまらなかった。
「ほんとにできるの?」
「家でできないことは、お外でもできないよ」
そう言った瞬間、
娘は私を睨みながら、
目に大粒の涙をためた。
「外ではできるもん!!」
泣きながら必死に言い返してきた。
そして、
「こんなに頑張ってるのに、なんでそんなに怒るの」
と言った。
でも私は正直、
到底信じられなかった。
あまりにも家での姿がマイペースすぎたから。
気になって、先生に聞いてみた。
すると返ってきたのは、
想像と全然違う言葉だった。
「園では休憩する暇もないくらい、頭も体も動かしていますよ」
「年下の子のお世話もしてくれますし、次に何をするかもちゃんと考えて動いています」
え?本当に?
信じられなかった。
でもその瞬間、
ふと思った。
あれ、これ私と同じかもしれない。
私は外では、
なるべくちゃんとしていたい。
迷惑をかけたくない。
空気を悪くしたくない。
だから自然と気を張る。
娘に対して、
「そんなに頑張らなくてもいいのに」
と正直思っていた。
でも自分に置き換えてみたら、
私も同じだった。
「力を抜けばいい」
と言われても、
どこを抜けばいいのかわからない。
外で頑張る分、
家で電池が切れる。
娘もきっと、
そうなのかもしれない。
先生に、
「こんなに頑張っているので、おうちではゆっくりさせてあげてください」
と言われた。
その言葉を聞いて、
胸が痛かった。
先日、娘と二人でランチに行った。
お店の人が、
「ごゆっくりどうぞ」
と言ってくれた時、
娘が嬉しそうに言った。
「ママ、お店の人とっても優しいね」
「ごゆっくりって言ってくれた」
「ゆっくりご飯食べていいんだね」
その言葉を聞いた瞬間、
なんだか胸がギュッとなった。
私は毎日、
「早くして」
「時間ないよ」
と娘を急かしていた。
もちろん、
仕事もあるし、
余裕がない朝も多い。
でも娘は、
“ゆっくりしていい”
と言われるだけで、
こんなに嬉しかったんだ。
家でゴロゴロしている娘を見ると、
「またダラダラして…」
と思ってしまう日も、正直まだ多い。
仕事で疲れて帰ってきていると、
余裕がなくなる日もある。
でも以前よりほんの少しだけ、
「今日も外で頑張ってきたんだな」
と思える瞬間が増えた気がしている。
毎回そう思えるわけじゃない。
3回に1回くらいできたらいい方だと思う。
それでも、
前より少しだけ、
娘の見え方が変わった。
すぐには変われないと思う。
きっとまた、
「早く!」と言ってしまう日もある。
それでも、
休みの日くらいは。
少し余裕がある時くらいは。
私も娘に、
「ごゆっくりどうぞ」
と言ってあげられる母でいたいと思った。
