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第6回 (最終回) 再発防止はどのように設計されるべきか――調査と制度のこれか


第4回では、原因が制度として操作可能な形に定義されているかを考えました。
第5回では、その原因認定が検証可能な方法で導かれているかを確認しました。

再発防止は、制度設計だけでも、事実認定だけでも成立しません。
検証可能な認識と、操作可能な制度設計の両方が揃って初めて機能します。


■ なぜこの二つは分断されやすいのか

現実の不祥事対応では、

・早く結論を示すこと
・目に見える対策を提示すること

が同時に求められます。

その結果、事実認定と制度改革が並行して進められ、
検証のプロセスが十分に整理されないまま対策が提示されることも起こり得ます

しかし、土台となる事実認定が検証可能な形で確立されていなければ、
その上に設計された制度も長期的な再発防止としては不安定になります。

制度は、認識の確かさの上にしか建てることができません。


■ 操作可能な対策とは何か

再発防止を制度として機能させるためには、
理念ではなく操作可能な条件へ翻訳されている必要があります。

例えば、

「反省を徹底する」という表現は、測定も運用もできません。
一方で、

・情報共有のためのチェックシートを整備する
・調査を担う主体とは別に、その過程を確認する役割を置く

といった設計は、具体的な制度として実装することができます。

再発防止とは、価値判断を掲げることではなく、
行為の条件を設計することでもあります。


■ 結論ではなく、プロセスを共有するという考え方

調査の目的は、結論を提示することだけではありません。

・どの資料に基づき
・どのような検討を経て
・どのような判断に至ったのか

その過程が共有されて初めて、調査結果は外部から検証可能な知識となります。

再発防止を社会の中で機能させるためには、
結論だけでなく、そこに至るプロセスが共有されていることが重要になります。


■ 個別事案を「社会の知識」に変えるということ

個別の出来事を特定の組織に固有の問題として閉じてしまえば、
そこで得られた経験は他の場所に引き継がれません。

しかし、調査や制度設計が普遍的な方法として整理されれば、
それは別の組織や分野において同様の問題を防ぐための参照点となり得ます。

再発防止とは、過去を評価する作業であると同時に、
経験を共有可能な形へと制度化していく作業でもあります。


■ 再発防止を機能させるために

本連載では、

・原因が制度変数として定義されているか
・事実認定が検証可能な方法で導かれているか

という二つの条件を確認してきました。

再発防止は、特定の事案に対する結論ではなく、
これらの条件を満たす仕組みを継続的に設計していく過程の中で実現されます。

どのような調査と制度がそれを可能にするのか。
その検討は、今後も続いていくべき課題であると言えるでしょう。

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ここまでお読みいただきありがとうございました

■ 後書き

この連載を書き始めたきっかけは、
同じ出来事をめぐる民事裁判の一審と二審の判断が、なぜここまで異なって見えるのか、という素朴な疑問でした。

個別の評価を確かめるというより、
その違いがどのような手続や制度の中で生まれるのかを考えてみたい。
そう思ったことが、本連載の出発点です。

出来事の結論だけでなく、それを支える調査や制度のあり方に目を向けることが、
再発防止を考える一つの手がかりになるのではないかと感じています。


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