【無料お試し】艶めく黒髪、染み込む蜜月〜吉原・すみれの章〜ソープランド物語

【女性プロフィール】
源氏名 すみれ
年齢 24歳
身長 162cm
スリーサイズ B88(D)/W58/H86
前職 高校中退(いじめによる)
現在 ソ〇プ専業(高級店)
肌 透き通るような色白
ヘアスタイル 黒髪ロングストレート
VIO 濃いが毛並みが整い美しい
出身地 東京都
趣味 サウナ、ヨガ、散歩、読書
性格 明るく積極的、プロフェッショナル
得意プレイ キス、パ〇ズリ、即尺、玉舐め、フ〇ラ、ごっくん、お掃除フ〇ラ、騎乗位
背景 都内出身。高校でいじめを受け中退後、18歳で川崎のソ〇プでデビュー。20歳から吉原の高級店へ移籍。ソ〇プのプロとして確かな技術を持つ。
場所 東京都台東区・吉原(高級店)
黒蜜の邂逅
夕闇が街を包み始めた頃、私は吉原の一角に足を踏み入れた。
揚屋通りを抜け、灯りが少し控えめになった路地の奥──そこにその店はあった。外観はまるで高級旅館のようで、白い暖簾には控えめに店の名が染め抜かれている。ガラスの引き戸を開けると、黒服の男性が深々と頭を下げた。
「徹様、お待ちしておりました。お嬢さん、もう準備は整っております」
スーツの上着を預け、革張りのソファで待つこと数分。黒服が戻ってきて「どうぞ、階段を上がっていただけますか」と促した。
木製の階段は掃除が行き届き、微かに蝋の香りがした。一段一段上がるごとに緊張が高まっていく。シティヘブンのプロフィールで見たあの黒髪の女性──実際はどんな人なんだろう。
踊り場を曲がると、突き当たりに一人の女性が立っていた。
パッと視界が明るくなったような気がした。
絹のような黒髪が、柔らかな照明に照らされて艶やかに輝いている。透き通るような白い肌は吸い付きたくなるほど滑らかで、大きな瞳はじっとこちらを見つめながら、優しい笑みを浮かべていた。
ピンクのシフォンワンピースが、彼女の豊かな胸元と細いウエストをほどよく包み込んでいる。ネックレスが鎖骨の辺りでキラリと光った。
「徹さん……ですよね?」
声は想像以上に優しく、澄んでいた。
「はい、徹です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします♡ すみれっていいます。お待ちしてました〜」
そう言って彼女が一歩近づいたとき、ふわりと甘いシャンプーの香りが漂った。
「こちらのお部屋になります。どうぞお入りください」
彼女はそう言って障子をそっと開けた。そこは十畳ほどの和モダンな空間で、中央には大きめのダブルベッドがしっかりとメイキングされていた。照明は間接光で、壁の間接照明がぼんやりと壁を照らし出す。床には幾重にも重ねられた座布団。エアコンの効いた室内はひんやりと気持ちいい。
ベッドの脇には小さな冷蔵庫と、ドリンク類が並べられたサイドテーブル。そして、引き戸を開けた先には広めの浴室が見えた──そこにはビニール製の大きなマットと、プラスチックのチェア、シャワーブースが設置されている。
「こちらがプレイルームです♡ どうぞおくつろぎください」
彼女はそう言って、軽やかな足取りで室内へ進むと、クッションのある場所に優雅に腰を下ろした。スカートの裾がひらりと揺れ、白い太ももが一瞬だけ覗く。
「どうぞ、こちらに座ってくださいね」
私が向かいのクッションに座ると、彼女はさりげなく少しだけ距離を詰めてきた。そうして両手を膝の上に揃え、少し首をかしげてまっすぐ私を見つめる。
その目は好奇心と親しみを帯びていて、見つめ返すだけで心臓の鼓動が速くなるのがわかった。
「今日はお仕事上がりですか? それともお休みですか?」
彼女がまずそう聞いてきた。さすがプロだなと思わせる、アイスブレイクの定番質問。
「今日は仕事が早く終わって、そのまま来ました。病院の近くの会社で」
「え、病院のお仕事なんですか?」
「いえ、製薬会社で。医療系の仕事です」
「かっこいいですね……白衣とか着るんですか?」
「いや、普通のスーツですよ。残念ながら」
そんな軽いやりとりのあと、彼女は話題を変えた。
「最近、急に寒くなりましたよね」
「そうですね。桜ももうすぐ咲くのかな。まだ少し肌寒いけど」
「私は桜大好きなんです。毎年お花見に行くんですよ。今年はどこに行こうかな〜なんて考えてます♡ 徹さんはお花見行かれますか?」
「たまに。でも仕事が忙しくてなかなか……」
「そうなんですね。でも、今日みたいにたまにはちゃんと遊ばないと、もったいないですよ♡」
その笑顔に、つい引き込まれてしまいそうになる。
彼女はさらに話題を続けた。
「徹さんは、ソ〇プはよく来られるんですか?」
「たまに。でもここは初めてです」
「そうなんですね。じゃあ今日は特別な日になっちゃうかも♡」
そう言ってウインクした彼女の表情は可愛らしくもあり、どこか色っぽくもあった。
「そういえば、徹さん、体格よさそうですけど……スポーツとかされてるんですか?」
「ジムで軽く筋トレを。プロテイン飲みながら続けてます」
「あっ、やっぱり! スーツの上からでもわかりますよ。胸板とか厚そうですもんね♡」
彼女がそう言って、そっと自分の胸元に手を当てる。
「私はヨガをやってるんです。体を柔らかく保つのにちょうど良くて♡」
「ヨガですか。それは素敵ですね」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです♡」
また一つ距離が縮まった気がした。
話題は彼女自身のことへと移っていく。
「私ね、高校のときちょっと色々あって、18歳で仕事始めたんです」
彼女がぽつりと漏らした。
「最初は川崎の店だったんですけど、20歳のときに吉原に移ってきて……だからもうソ〇プ歴は結構長いんですよね」
「そうだったんですね。しっかりされてるんですね」
「ありがとうございます♡ でも、最初はすごく大変でしたよ。技術とか接客とか、全部覚えるの大変で……」
「でも今はベテランって感じですね」
「えへへ、そう言ってもらえると頑張った甲斐があります♡」
そう言って彼女が近づいてきた。距離がもうすぐにでも触れ合えるほどに縮まっている。
「それにしても……」
彼女がじっと私の顔を見つめる。
「徹さん、イケメンさんですね。もしかして、すごくモテませんか?」
「そんなことないですよ」
「え〜、絶対嘘だ♡ 雰囲気が柔らかいし、話しやすいし……きっと女の人にすごく優しいんだろうな〜って伝わってきます」
彼女の言葉に少し照れくさくなりながらも、私は話題をそらすように質問した。
「すみれさんは普段、お休みの日はどう過ごされてるんですか?」
「そうですね……サウナに行くことが多いです。あとは読書とか。散歩も好きで、天気のいい日はよく近所をぶらぶらしてます」
「読書ですか。どんなジャンルを?」
「小説が多いです。特に恋愛ものとか……あ、あんまり話すと恥ずかしいですね♡」
彼女はそう言って軽く笑った。その横顔が可愛らしくて、胸が締め付けられるようだった。
少し沈黙が流れた。その間も彼女の瞳は私から離れない。
「ねえ、徹さん……」
彼女が少し声のトーンを落として言った。
「そろそろ……お洋服、脱ぎましょうか?」
その言葉に、心臓がドクンと大きく跳ねた。
彼女が立ち上がると、カーテンの向こうから柔らかい音楽がかすかに流れ始めた。
彼女が私の正面に立つ。その距離はわずか数十センチ。
「最初は……私から脱がせてもらってもいいですか?」
そう言って彼女が手を伸ばす。指先がネクタイに触れた。
「はい」
私が答えると、彼女は満足そうに微笑んで、そっとネクタイを解き始めた。
一つ、また一つとボタンを外されていく。彼女の指先は器用で、驚くほど優しい。
「徹さん……すごくいい匂いがしますね。何か特別なコロンとか使ってるんですか?」
「いや、普段使いのものだけです」
「そうなんですね……でも、なんだか落ち着く匂い♡」
そう言いながら、彼女はジャケットをそっと脱がせてハンガーにかけた。
次はシャツのボタン。上の方から順番に外されていく。その間も彼女の視線は私の目をしっかりと見つめたまま。
「やっぱり……筋肉しっかり付いてますね♡ スーツの下はすごいんですけど〜」
彼女の指が胸板をなぞる。その感触がゾクゾクと背筋を走る。
最後のボタンが外された。シャツが脱がされると、そこには鍛え上げられた上半身が露わになる。
「すごい……カッコいい♡」
彼女が感嘆の声を上げる。
そして彼女はその場でクルリと一回転すると、自分のワンピースの背中のファスナーをゆっくりと下ろし始めた。
「さて……私も脱がないと、ですね♡」
ピンクのシフォンワンピースが彼女の身体から滑り落ちる。
透き通るような白い肌が露わになった。柔らかな照明の下で、彼女の身体はまるで陶器のように滑らかで、それでいて確かに温もりを感じさせる。
ネックレスとイヤリングを外し、サイドテーブルに置く。小さな金属音が室内に響いた。
彼女は恥ずかしそうに少しうつむきながらも、目だけはしっかりと私を見上げている。
その肢体は、見惚れてしまうほど美しかった。細く引き締まったウエスト。豊かで形の良い胸。そしてそこから続く優雅な曲線。
黒いショーツだけが唯一身に着けられたものだった。
VIOの手入れが行き届いているのがわかる。濃いけれど整えられた毛並みが、黒い布地の隙間から覗いている。
「どう……ですか?」
彼女が小さな声で尋ねる。
「すごく……きれいです」
私がそう答えると、彼女は嬉しそうにほほ笑んだ。
「よかった♡ ちょっとだけ緊張しちゃいました……」
「そう見えなかったですよ」
「それはプロですから♡」
彼女はそう言ってウインクした。
そして彼女はさらに近づき、私の手を優しく取った。
「さて……それじゃあ……」
彼女の言葉はそこで一度途切れた。
「お風呂に行きましょうか♡」
その声は甘く、それでいて確かな決意を帯びていた。
白き肌の綻び
彼女の手が、私の手首をそっと包み込んだ。その指先はひんやりとしていて、それでいて確かな温もりを伝えてくる。
「まずは……お互い、もっと楽になりましょうね♡」
彼女の声が、優雅な音楽のように鼓膜をくすぐる。
私は少し躊躇いながらも、自分のベルトに手をかけた。金属のバックルが外れる音が、室内にカチリと響く。
「あっ、ちょっと待ってくださいね」
彼女がそう言って、私の手を優しく止めた。
「お洋服、たたむの、私にやらせてくれませんか?♡」
その申し出に、私は少し驚いた。彼女の目は真剣で、それでいてどこか楽しげに輝いている。
「いいんですか?」
「はい♡ お客様に少しでもくつろいでいただきたいので。それに……徹さんの服からも、いい匂いがしそうだし♡」
そう言って彼女はウインクした。
私がベルトを抜いて差し出すと、彼女はそれを丁寧に丸めながら、サイドテーブルの脇に置かれた籐のかごの中へそっと収めた。
「次は……パンツ、いきましょうか♡」
彼女の声が少しだけ楽しそうに弾む。
私は自分のズボンのボタンを外し、ファスナーを下ろす。布地が擦れる音が、やけに大きく聞こえた。
「手伝いますね」
彼女がしゃがみ込み、両手でズボンのウエスト部分を優しく掴んだ。彼女の指先が、私の腰の辺りにそっと触れる。その感触が、ぞくぞくと背筋を走らせる。
「せーの……♡」
彼女の掛け声とともに、ズボンがするりと脱がされた。その間も彼女の視線は、私の身体から離れない。
「うわ……やっぱり脚も太くてかっこいいですね。ジム通いの成果、ばっちり出てますよ♡」
彼女はそう言いながら、ズボンを丁寧にたたみ始めた。彼女の指の動きは優雅で、まるで折り紙を折るかのように正確だった。
「あとは……」
私が最後の一枚に手をかけると、彼女は少し首をかしげて私を見上げた。
「それも、私がお預かりしましょうか?♡」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「は、はい……」
私が答えると、彼女は満足そうに微笑んで、そっとその布地の端をつまんだ。彼女の指先が、私の肌に触れるたびに、電気が走るような感覚が広がる。
布地がゆっくりと下ろされていく。その間も彼女の視線は、まっすぐに私を見つめていた。
「わぁ……」
彼女が小さな声を漏らした。
「徹さん……すごく立派ですね。びっくりしちゃいました♡」
彼女の頬が、少しだけ赤らんだように見えた。照明のせいかもしれない。でも、そうじゃない気がした。
「でも……気持ちよさそうに反応してくれて、嬉しいです♡」
彼女はそう言って、その布地も丁寧にたたみ、かごの中へ収めた。
「さて……それじゃあ、今度は私の番ですね」
彼女が立ち上がり、くるりと背を向けた。その背中には、繊細な鎖骨のラインが浮かび上がっている。黒いショーツのホックが、柔らかな照明を受けてかすかに光った。
「徹さん……ひとつ、お願いしてもいいですか?」
彼女が振り返り、少し上目遣いに私を見る。
「何ですか?」
「この……ホック、外してもらえませんか?♡ 自分だとうまくいかなくて……ネイルのせいで、細かい作業がちょっと苦手になっちゃったんです」
彼女がそう言って、自分の背中に手をやる。確かに、彼女の指先には上品なラベンダーカラーのジェルネイルが施されていて、細かなストーンがちりばめられている。華奢で美しいけれど、確かに細かい作業には向いていなさそうだ。
「わかりました」
私は少し震える手を伸ばし、彼女の背中に触れた。肌は思っていた以上に滑らかで、吸い付くような手触りだった。
ホックを探して指先を動かす。彼女の背中の温もりが、指先から伝わってくる。
「……そこです。もう少し、上……あっ、そうです、そこ♡」
彼女の声に導かれながら、私はそっとホックを外した。パチンという小さな音とともに、布地の緊張が解ける。
「ありがとうございます♡ 助かっちゃいました」
彼女はそう言って、ブラジャーを前に外した。両腕をすっと抜くと、その布地は彼女の手の中に収まった。
彼女がゆっくりと振り返る。
そこにあったのは、言葉を失うほどの美しさだった。
透き通るような白い肌が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。豊かな曲線を描く胸元は、まるで熟した果実のように張りがあり、その先端はほんのりと色づいているように見えた。鎖骨の美しいラインが、影を作りながら彼女の優雅さを引き立てている。
ウエストからヒップにかけての曲線は、まるで彫刻のように完璧で、そこに一切の無駄が存在しないことを物語っている。
「どう……ですか?」
彼女が少し恥ずかしそうに、両手を胸の前で重ねながら尋ねる。
「……言葉が出ません」
私が正直にそう答えると、彼女はぷっと吹き出した。
「そんなに大げさに言わなくてもいいのにぃ♡」
でも、その頬は少し赤らんでいた。
「でも……ちょっとだけコンプレックスもあるんですよね」
彼女がぽつりと漏らした。
「コンプレックスですか?」
「はい……実は最近、ちょっとだけ太っちゃったみたいで。お客様には気づかれてないと思うんですけど、自分ではなんとなく……こことか、気になっちゃって」
彼女がそう言って、自分のわき腹の辺りをそっと触る。でも、私にはどこが太ったのか全くわからなかった。
「全然、そんな風に見えませんよ」
「えへへ、ありがとうございます♡ でも、女の子ってそういうものなんです。自分にだけわかるコンプレックスが、絶対どこかにあるんですよね」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「あと……VIOも、実は医療脱毛とか受けてみたいな〜って思うんですけど、痛いのが怖くてできなくて。今は自分で処理してるんですけど、それもちょっと面倒で……」
彼女が自分のショーツのラインにそって指を滑らせる。その仕草が、無意識なのか計算なのかはわからないけれど、ひどく官能的だった。
「でも、そのままの方が……自然でいいと思います」
私がそう言うと、彼女は目を丸くした。
「そういうの、初めて言われました♡ みんな『きれいに整ってるね』って言うだけで……徹さんは、ちょっと変わってるんですね」
「そうですかね?」
「はい♡ でも……その変わってる感じ、すごく好きです」
彼女が一歩、近づいた。
「それじゃあ……最後の一枚、お願いしてもいいですか?♡ 今度は徹さんに、私から見せてあげたいんです」
彼女の指が、自分のショーツの端にかかる。
「……いいですか?」
私が尋ねると、彼女はこくりと頷いた。
「はい♡ でも……あんまりじろじろ見ないでくださいね。恥ずかしくなっちゃうから」
そう言って、彼女はゆっくりと、最後の布地を下ろし始めた。
黒い布地が、彼女の白い肌の上を滑り落ちていく。そのコントラストが、視覚に焼き付いて離れない。
彼女の身体があらわになる。
濃く、しかし整えられた毛並みが、柔らかな曲線の上で美しい三角形を描いている。そこから続く谷間は、神秘的な陰影を湛えていて、まるで満ち潮を前にした入り江のようだった。
「……どう?」
彼女が小さな声で尋ねる。その声は少し震えていた。
「言葉にできないほど……美しいです」
私がそう答えると、彼女はほっとしたように微笑んだ。
「よかった♡ 実は……徹さんにそう言ってもらえるかどうか、すごく緊張してたんです」
「僕の方こそ、緊張してます」
「えへへ……お互い様ですね♡」
彼女はそう言って、脱ぎ捨てた服を一つ一つ丁寧にたたみ始めた。ピンクのシフォンワンピース、ブラジャー、そして最後の一枚。それらを全てかごの中に収めると、彼女はもう一度私の方を向いた。
「これで……お互い、何もかもさらけ出せましたね」
彼女がそう言って、私の手を取る。彼女の手のひらは温かくて、少し汗ばんでいるのがわかった。
「徹さん……」
彼女が顔を上げる。その大きな瞳が、私をまっすぐに見つめている。
「私……今日、徹さんに会えて、すごく嬉しいです。なんて言うか……初めて会った気がしないっていうか、もっと前から知ってた気がするっていうか……」
彼女の言葉が、そこで一度途切れる。
「それって……お世辞ですか?」
私がそう尋ねると、彼女は首を横に振った。
「違います♡ 本当のことです」
彼女がさらに近づく。その距離は、もう息がかかるほどに縮まっている。
「ねえ……もしかして、徹さんも同じ気持ち、だったりしませんか?」
その問いに、私は黙って頷いた。
すると彼女は、いたずらっぽい笑みを浮かべて、つま先立ちになった。
「それじゃあ……」
彼女の唇が、私の耳元に近づく。温かな吐息が、耳たぶをくすぐった。
「お風呂、行きましょうか。そのあと……たくさん、いちゃいちゃしませんか?♡」
その言葉が、私の体内で甘く溶けていった。
彼女の手が、私の手を引く。その力は強くはないけれど、確かな意思を感じさせた。
そこからは、湯気とせっけんの甘い香りが漂ってきていた。
「さあ……どうぞ、こちらへ♡」
彼女の声が、どこか遠くから聞こえるような気がした。
湯煙の調べ
浴室に足を踏み入れると、ひんやりとしていた廊下の空気が一変して、温かな湯気が立ち込めていた。
壁面は淡いベージュのタイルで統一され、間接照明が柔らかな光を水面に反射させている。中央には少し大きめの陶器の浴槽。その脇には、椅子が置かれていた——座面の中央が窪んだ設計のものだ。
シャワーブースは浴槽の隣に設置され、蛇口からは既に湯気が立ち上っている。壁際にはハンドシャワーと、木製の小さな桶。そして、あらゆる種類のボディソープやシャンプーが整然と並べられていた。
「さてと......」
彼女が私の手を離し、シャワーの蛇口に手を伸ばす。
じゃあ......という音とともに、お湯が勢いよく床に落ちる。彼女は軽くしゃがみ込み、手のひらを水流に差し出した。
一瞬、彼女の白い手のひらが湯気に包まれる。そして彼女は親指で軽くお湯の感触を確かめるように、何度か手をひらひらと動かした。
「......ちょうどいい具合ですね♡」
そう言って彼女は顔を上げ、私を見つめた。
「徹さん、この温度で大丈夫ですか? 熱すぎたりしませんか?」
「いえ、ちょうどいいです」
「よかった♡ じゃあ、こっちに座っていただけますか?」
彼女が指し示したのは、あの中央が窪んだ椅子だった。
私は少し緊張しながらも、その椅子に腰を下ろした。
「それじゃあ......まずは軽く流しますね」
彼女がハンドシャワーを手に取り、私の足元からそっとお湯をかけてきた。
温かな水流が、足首、ふくらはぎ、太もも......と上がっていく。その温度が、じんわりと筋肉を緩ませていくのがわかった。
「気持ちいいですか?」
「はい......すごく」
「よかった♡ もう少しだけ、続けますね」
彼女は丁寧に、私の背中やお腹にもお湯をかけてくれた。その手つきは優しく、まるで壊れものを扱うかのように繊細だった。
「さて......それじゃあ、洗っていきましょうか♡」
彼女はハンドシャワーを置き、ボディソープのボトルに手を伸ばした。上品なラベンダーの香りがするボトルだ。
彼女がポンプを二度押す。とろりとした液体が、彼女の手のひらに落ちる。
それから両手を合わせ、優しくこすり合わせた。泡立つ音——しゅっ、しゅっ、しゅっ——が、静かな浴室にやけに大きく響く。
彼女の指先の間から、みるみるうちに白い泡が膨らんでいく。その泡はきめ細かく、まるで生クリームのように柔らかそうだった。
「はい、できました♡」
彼女が両手を広げる。その手のひらには、ふわふわとした泡の山が載っていた。
「まずは......こちらの方から、いきますね♡」
彼女が私の正面に回り込み、しゃがみ込んだ。その視線は、私の胸の辺りをしっかりと捉えている。
彼女の手が、そっと私の胸板に触れた。
ひんやりとしていた泡が、私の温もりでじわじわと溶けていく感覚。彼女の手のひらが、泡を介してゆっくりと滑る。
「やっぱり......すごく厚いですね、ここ♡」
彼女がそう言いながら、指先で軽くなぞる。その動きに合わせて、泡が彼女の指の間からはみ出していく。
「ジムでは、どんなメニューをやってるんですか?」
「ベンチプレスとか......スクワットとか。基本的なものを中心に」
「ベンチプレス......あの、寝転がって重りを持ち上げるやつですよね?」
「そうです」
「じゃあ、この胸板はその成果なんですね♡ すごく硬くて......でも、適度に柔らかくて......触ってて気持ちいいです」
彼女の手のひらが、私の胸筋を包み込むように動く。その動きはゆっくりで、丁寧で、まるでマッサージを受けているかのように気持ちがいい。
「あの......一つ聞いてもいいですか?」
彼女が顔を上げる。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
「はい、何ですか?」
「徹さんは......どういうお仕事をされてるんですか? さっき、製薬会社っておっしゃってましたけど......」
「研究開発ですね。新しい薬を作る仕事です」
「えっ、研究者なんですか?! すごい......!」
彼女の目が、尊敬の色に輝く。
「いや、ただのサラリーマンですよ。偉そうなものじゃないです」
「でも、すごく頭が良くなきゃできない仕事ですよね......私、そういう方、初めてお会いしたかも」
「そんなことないですよ。みんなそれぞれ得意なことがあるだけで」
「徹さんは優しいんですね......そういうところも、すごく魅力的です♡」
彼女はそう言って、少し照れくさそうに笑った。
その笑顔を見ていると、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚がした。
「さて......次は、こっちの方も、しっかり洗わせてくださいね♡」
彼女の手が、私の肩から腕へと移動する。泡を乗せた手のひらが、上腕、肘、前腕......とゆっくりと滑っていく。
「徹さん、二の腕もちゃんと筋肉ついてますね。細いのにしっかりしてて......かっこいいです♡」
「ありがとうございます」
「それに......お肌もきれいですよ。男の人って、意外とスキンケアされてない人が多いのに、徹さんはツルツルしてますね」
「いや、特に何もしてないですけど......」
「え〜、じゃあ生まれつきなんですね。ずるいなあ♡」
彼女がいたずらっぽく笑いながら、今度は私の背中に回った。
彼女の手のひらが、背中の真ん中から外側へ、外側からまた真ん中へ——優しく、ゆっくりと動く。
「ここ......すごく凝ってますね。お仕事の疲れですか?」
「そうかもしれないです。デスクワークが多いので」
「じゃあ、しっかりほぐさないとですね♡」
彼女の親指が、背中の筋肉を押し込むように動く。その力加減が絶妙で、つい声が出そうになるのを必死でこらえた。
「あっ、気持ちよかったら声に出しても大丈夫ですよ♡ 私、それで喜ぶので」
彼女が耳元でささやく。その声が、ぞくぞくっと背筋を走らせた。
「だ、大丈夫です......」
「そうですか? でも、強がらなくていいんですよ♡」
彼女はそう言って、また背中を揉み始めた。
「そういえば......徹さんは、彼女とかいないんですか?」
彼女が何気ない調子で尋ねる。
「いませんね。仕事が忙しくて」
「えー、もったいない! こんなにいい人なのに......」
「そんなことないですよ。すみれさんこそ、彼氏とか......」
言いかけて、これはあまりよくない質問だったかもしれないと気づいた。でも、彼女は気にした様子もなく答えた。
「いませんよ〜。この仕事してると、なかなか普通の恋愛も難しくて......」
「そうなんですね......」
「でも、いいんです。今はこれが天職だと思ってますから♡ それに......今日みたいに素敵なお客様と出会えるなら、それで十分です」
彼女の言葉に、胸が少し痛んだ。でも、それを表に出さないように気をつけた。
「さてと......そろそろ、こっちの方も、洗っちゃいますね♡」
彼女の手が、私の腰の辺りから、ゆっくりと前に移動する。
その瞬間——私の呼吸が、一瞬止まった。
彼女の手のひらが、泡を携えて、私の太ももの内側に触れる。その感触に、身体が勝手に反応してしまうのがわかった。
「あら......もう、元気になっちゃいましたね♡」
彼女が軽く笑いながら、私の脚の間に手を入れてくる。
「でも......大丈夫ですよ。私、慣れてますから。気持ちいいと思ったまま、リラックスしてくださいね」
彼女の言葉が、不思議と緊張を解いてくれた。
彼女の指先が、泡に包まれた状態で、優しく——包み込むように——触れてくる。
その動きは驚くほど繊細で、一つ一つの動作が、まるで楽器を奏でるかのように正確だった。
「まずは......そっと、ね♡」
彼女の指が、優しく包皮を押し広げる。その瞬間、ひんやりとした泡が、普段はあまり外気に触れない場所にまで入り込んでくる感覚。
「うん......きれいな形してますね。気持ちよさそうに反応してくれてて、私も嬉しいです♡」
彼女の親指が、先端の辺りをくるくると優しく円を描く。その動きに合わせて、まるで電気でも流れたかのような感覚が背中を駆け上がる。
「あっ......」
思わず声が漏れた。
「ほら、出ちゃいましたね♡ でも、いい声ですよ。もっと聞かせてください」
彼女はそう言って、今度は手のひら全体を使って、根本から先端までを包み込むように動かし始めた。
彼女の指が、くぐらせるように——まるで指輪を通すかのように——根本から先端へ、先端から根本へと優しく往復する。その動きは、まるで川の流れのように滑らかで、絶え間なく続く。
「これ......『くぐり洗い』って言うんですよ。お掃除の基本テクニックの一つで......♡」
彼女が教えてくれる。その声は少しだけ楽しそうだった。
「それから......『たわし洗い』って言うのもあるんですけど、これはちょっとだけ強めに......」
彼女の指が、今度は軽く広げられ、ブラシのように——でも優しく——全体を撫で上げる。その動きは、まるで熟練の職人が繊細な工芸品を磨くかのようだった。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
「は、はい......すごく......」
「よかった♡ 徹さんが気持ちよさそうにしてくれると、私も嬉しいなって思うんです」
彼女の指の動きが、少しだけ速くなる。
泡のきしむ音——くちゅ、くちゅ、くちゅ——が、静かな浴室に響く。その音が、やけに艶めかしく聞こえた。
「それにしても......本当に立派ですね。私の手、全然足りないくらいで......」
彼女が感心したように言う。
「でも、その分、じっくり時間をかけて洗わせてくださいね。せっかくの特別な時間ですから♡」
彼女の親指が、また先端の辺りを優しく撫でる。そのたびに、甘い感覚が全身に広がっていくのがわかった。
「あの......すみれさん」
「はい?♡」
「その......すごく気持ちいいです」
「えへへ、そう言ってもらえると、練習した甲斐があります♡」
「練習?」
「そうなんです。この仕事始めたばかりの頃、先輩から『もっと丁寧に、もっと愛情込めて洗いなさい』って言われて......それで、自分の手とか、お客様に協力していただいたりして、すごく練習したんです」
「そうだったんですね......」
「はい。でも、そのおかげで今があるので、感謝してますよ♡」
彼女はそう言って、また手を動かし始めた。
その動きは、さっきまでよりもさらに優しく、さらに丁寧に——まるで大切な宝物を扱うかのようだった。
「さて......そろそろ、洗い終わりにしましょうか♡ これ以上やってると、徹さんが溶けちゃいそうだから」
彼女が軽く笑いながら、最後にもう一度だけ全体を優しく包み込んだ。
そして、ゆっくりと手を離した。
「はい、お疲れさまでした♡ じゃあ、今から泡、流しますね」
彼女がハンドシャワーを手に取り、お湯の温度を確かめる——もう一度、自分の手のひらで。
「......同じくらいですね。じゃあ、いきますね」
温かな水流が、私の体に注がれる。泡が、とろとろと溶けながら流れ落ちていく。
彼女は丁寧に、泡が残らないように——特に、さっきまで洗っていた場所は念入りに——お湯をかけてくれた。
「はい、終わりましたよ♡ 他に、泡がついてるところとか、ありませんか?」
彼女が尋ねる。その目は真剣だった。
「いえ、大丈夫だと思います」
「よかった♡ それじゃあ......徹さん、先に浴槽に入っていただけますか? ゆっくり温まっててください」
「はい。でも、すみれさんは?」
「私は自分の体を洗ってから入りますね。ちょっと待っててください♡」
私は立ち上がり、浴槽の縁に手をかけた。お湯の表面が、ゆらゆらと揺れている。
ゆっくりと足を入れる——熱すぎず、冷たすぎない。ちょうどいい温度が、じんわりと全身を包み込んでいく。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
「はい、最高です」
「よかった♡ じゃあ、私も洗っちゃいますね」
彼女が、私が座っていた椅子に優雅に腰かけた。
彼女はまず、ハンドシャワーで自分の体を軽く濡らす。白い肌に水滴が伝い、照明を受けてキラキラと輝いた。
それからボディソープを手に取り、泡を作り始める——さっきと同じように、ふわふわとした白い泡を。
彼女はその泡を、自分の肩から優しくすくい上げるように乗せていく。
その仕草が、驚くほど美しかった。
泡が、彼女の鎖骨のラインに沿って滑り落ちる。彼女の手のひらが、首筋から胸元へ、胸元からお腹へ——優しく、ゆっくりと動く。
豊かな曲線を描く胸元を、彼女の手が泡とともに包み込む。その形が、泡の下からくっきりと浮かび上がる。
「......見ないでくださいよ。恥ずかしくなっちゃいますから」
彼女が、少し照れくさそうに言う。
「すみません......でも、つい」
「もう......徹さんはそういうところ、ずるいですよ♡」
彼女はそう言って、背中に手を回し始めた。
彼女の指が、背中の真ん中から外側へ、外側からまた真ん中へ——さっき私にしたように、優しく動く。
そのたびに、彼女の美しい背中のラインが、より鮮明に浮かび上がる。
特に——うなじの辺りが、とてもきれいだった。
彼女の黒髪をまとめ上げたときに見える、白いうなじ。そこに水滴が数粒、キラリと光っている。
その光景を見ていると、なぜか胸の奥が熱くなった。
「あの......すみれさん」
「はい?♡」
「その......うなじ、すごくきれいですね」
「えっ......」
彼女は一瞬、手を止めた。そして、少しだけ振り返った。
「......そういうの、言われたの初めてです」
「そうなんですか?」
「はい。みんな、胸とかお尻ばっかりで......でも、なんか嬉しいです。徹さんは、ちゃんと私のこと、見てくれてるんだなって思って」
彼女はそう言って、また前を向いた。
そして、今度は脚の方へと手を移していく。
太もも、膝、ふくらはぎ......その一つ一つの動作が、優雅で、丁寧で、そしてどこか色っぽかった。
特に——VIOの辺りを洗うとき、彼女は少しだけ躊躇したように見えた。
「......ここも、きれいにしとかないと、ですね」
彼女がそう呟きながら、指先で軽く整える。その仕草が、無意識なのか計算なのかはわからないけれど、ひどく官能的だった。
「あの......徹さん」
「はい?」
「私ね......実は、医療脱毛とか受けてみたいなって思うんです。でも、痛いのが怖くて......それに、お客様の中には、『自然なままがいい』って言ってくださる方もいて......」
「そうなんですね」
「はい。今日、徹さんに『そのままがいい』って言ってもらえて......なんか、少し自信がつきました。ありがとうございます♡」
彼女はそう言って、最後にもう一度全身をお湯で流した。
泡がすべて流れ落ちると、彼女の白い肌が、より一層鮮明に浮かび上がる。
湯気の向こうに立つ彼女のシルエットは、まるで夢の中の光景のようだった。
「さて......」
彼女が立ち上がり、軽く髪をかき上げた。その仕草の一つ一つが、驚くほど優雅で美しい。
「徹さん、ちょっとだけ待っててくださいね。私、今から入りますから♡」
彼女が浴槽の縁に手をかけ、ゆっくりと足を入れようとした、その時——
「あっ、そうだ」
彼女が何かを思い出したように、手を止めた。
「徹さん......お口の準備、まだでしたね。ごめんなさい、うっかりしてました」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ、ちょっとだけ......私、うがい薬の準備とか、歯磨きとかしてきますね。すぐに戻りますから♡」
彼女はそう言って、軽やかに浴室を出ていった。
浴室には、湯気とラベンダーの香りだけが残された。
私は浴槽の中で、ゆったりと身体を湯に委ねながら、彼女の戻りを待った。
湯華の戯れ
浴室に戻ってきた彼女の手には、紙コップが二つと、新しい歯ブラシのパッケージが握られていた。指先にはイソジンの小さなボトル。彼女はそれらを浴槽の縁にそっと置き、軽やかな足取りで私の横にしゃがみ込んだ。
「お待たせしちゃいましたか?♡」
「いえ、全然」
「よかった♡ それじゃあ、まずは徹さんから、ですね」
彼女がパッケージを器用に開封し、歯ブラシを取り出す。その指先の動きは優雅で、まるで小さな贈り物を開けるかのように丁寧だった。
「はい、どうぞ♡ 歯磨き粉、つけますね」
彼女がチューブから白いペーストをブラシの先に絞り出す。その量は絶妙で、さすがの慣れを感じさせた。
「それから、うがい用のお湯です」
彼女は紙コップをシャワーの水流にかざし、適温のお湯を注いだ。湯気が立ち上るそれを、両手でそっと私に差し出す。
「ありがとうございます」
私はそれを受け取り、ブラシを口に運んだ。ミントの爽やかな香りが広がる。泡立ちが心地よく、歯と歯の間を丁寧に磨いていく。
「徹さん、歯磨き、丁寧なんですね。普段からケアされてるのがわかります♡」
彼女がのぞき込むようにして、私の仕草を眺めている。その視線が少し照れくさい。
磨き終えた私は、口の中の泡を浴槽の外のタイルにそっと吐き出した。白い泡がタイルの上で広がる。
「はい、おしまいです」
「じゃあ、次はうがいですね♡」
彼女がイソジンのボトルのキャップを回す。キュッという小さな音がして、茶色の液体が紙コップに注がれた。それをお湯で薄め、優しくかき混ぜる。
「はい、これでうがいしてください。少しだけピリッとするかもしれませんけど、口の中がさっぱりしますよ♡」
私はそれを受け取り、一口含んだ。独特の風味が広がり、少しだけ刺激が走る。ごくごくと数回うがいをして、またタイルの上に吐き出した。
「お上手ですね♡ これで徹さんのお口、準備完了です」
彼女は満足そうに微笑むと、今度は自分の分の準備を始めた。
新しい歯ブラシを取り出し、自分用にペーストをつける。その仕草もまた美しく、まるで儀式のように優雅だった。
彼女も私と同じように、丁寧に歯を磨き始める。口を少し開け、小さなブラシを細かく動かす。その間も目は時々こちらを見上げて、いたずらっぽくウインクしたりする。
「ふん〜ふんふん♡」
彼女が鼻歌を歌いながら磨く様子は、あまりにも自然で可愛らしい。こんなにリラックスした姿を見せてくれることが、なんだか特別な気がした。
磨き終えた彼女も、口の中の泡をタイルの上に吐き出した。そして同じようにイソジンでうがいをし、ペッと吐き出す。
「はい、これで私も準備完了♡ それじゃあ、一緒に入れますね」
彼女が浴槽の縁に手をかけ、ゆっくりと足を踏み入れる。その瞬間、湯面が揺れ、温かなお湯が溢れ出した。
「あっ......あったかい〜♡」
彼女が声を上げる。その声は子供みたいに無邪気で、つい笑みがこぼれてしまう。
「いい湯加減ですね」
「そうなんです。徹さんが先に入っててくれたおかげで、ちょうどいい感じになってましたね♡」
彼女がゆっくりと腰を下ろし、私の向かい側に位置を取る。お湯が彼女の白い肌に触れ、湯気が立ち上る。
浴槽は少し大きめに作られているけれど、二人で入れば当然距離は近い。彼女の肩、鎖骨、そして湯面に浮かぶ豊かな曲線の一部が、目の前にある。
「あの......徹さん」
彼女が少し躊躇いながら口を開いた。
「なんですか?」
「もしかして......もっと近くに、来てもらってもいいですか? なんか、こう、向かい合ってると、ちょっとだけ寂しくて......」
彼女の頬が、湯の熱さだけじゃない理由で赤らんでいるように見えた。
「もちろんです」
私がそう答えると、彼女は嬉しそうに微笑み、軽く移動した。私のすぐ横に、彼女の温もりが寄り添う。
肩と肩が触れ合う距離。彼女の黒髪が、お湯に浮かんでゆらゆらと揺れている。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「こうしてると、本当に......なんか、特別な感じがしませんか? 初めて会ったのに、ずっと前から知ってたみたいな......」
彼女が顔を上げ、大きな瞳で私を見つめる。その目は、さっきまでのいたずらっぽさが消え、真剣な色を帯びていた。
「わかります。僕も同じ気持ちです」
「よかった♡ それ、お世辞とかじゃないですよね?」
「もちろんです」
「えへへ......なんか、嬉しいな」
彼女はそう言って、そっと私の腕に自分の腕を重ねてきた。その肌の感触が、じんわりと伝わる。
「徹さんの肌、すべすべですね。さっきも言いましたけど、男の人って案外カサカサしてる人多いのに、徹さんは全然違う」
「いや、特に何もしてないですけどね」
「じゃあ、やっぱり生まれつきなんですね。ずるいなあ♡ 私、ちゃんとローションとか塗ってるのに、それでも冬は乾燥しちゃうのに」
彼女がそう言って、自分の腕をまじまじと見つめる。その腕は白くてなめらかで、どこが乾燥しているのか全くわからない。
「そんな風に見えませんけどね」
「えへへ、ありがとうございます♡ でも、女の子ってそういうものなんです。自分にだけわかるコンプレックスが、絶対どこかにあるんですよね」
彼女はそう言って、軽く笑った。
その時だった。
彼女が突然、身を乗り出してきた。
「......ねえ、徹さん」
彼女の声が、さっきまでよりも低くなっている。甘く、艶やかな響きを帯びていた。
「キス......してもいいですか?」
その問いに、心臓がどくんと跳ねた。
「......はい」
私が答えると同時に、彼女の唇が近づいてきた。
最初はそっと、触れるだけのキス。彼女の唇は柔らかくて、温かくて、そしてほんのりと甘かった。
「ん......♡」
彼女が微かな声を漏らす。
そして、次の瞬間――彼女の唇が、より強く私の唇を吸い始めた。
ちゅっ、ちゅっ――という小さな音が、湯気の中に溶けていく。
彼女の舌が、そっと私の唇の隙間をなぞる。その誘いに応えるように、私が少しだけ口を開けると、彼女の舌がするりと入り込んできた。
「んっ......♡」
彼女の舌が、私の舌と絡み合う。温かくて、ぬるぬるしていて、そして驚くほど優しい。
彼女の舌が、私の舌の先端を軽く舐める。その感覚が、ぞくぞくと背筋を走らせた。
「ちゅ......れろ......♡」
彼女の舌が、私の口の中をゆっくりと探検する。歯茎の辺り、頬の内側、そしてまた舌へ――その動きは、まるでダンスのように優雅で、官能的だった。
私も応えるように、彼女の舌をそっと吸った。
「んんっ......♡」
彼女が嬉しそうな声を上げる。
私たちの舌は、絡み合い、離れ、また絡み合う。唾液が混ざり合い、湯気の中に甘い水音が響く。
彼女の息遣いが、少しだけ荒くなっているのがわかった。
「はぁ......♡ 徹さん......」
彼女が一瞬唇を離し、息を整える。その目は潤んでいて、頬は上気している。
「すごく......気持ちよかったです」
「僕もです」
「じゃあ......もうちょっと、続けてもいいですか?」
「もちろんです」
彼女が再び唇を重ねてくる。今度は少しだけ強く、より情熱的に。
彼女の手が、私の胸板に触れた。指先が、筋肉のラインをなぞるように動く。
「んん......♡ やっぱり、ここ......すごいですね」
彼女が唇を離さないまま、言葉を漏らす。その声はくぐもっていて、より一層艶めかしく聞こえた。
私も彼女の背中に手を回す。その肌はお湯の温もりで火照っていて、吸い付くように滑らかだった。
「あっ......♡」
彼女が微かに声を上げる。
「その手......あったかくて、気持ちいいです」
彼女はそう言って、さらに身体を密着させてきた。彼女の豊かな胸の膨らみが、私の胸に押し付けられる。その感触が、お湯の温もりとは別の熱を運んでくる。
「ねえ、徹さん......」
彼女が耳元でささやく。その息が、耳たぶをくすぐった。
「もしかして......もう、元気になっちゃってます?♡」
その問いに、私は黙って頷いた。
「えへへ......やっぱり♡ さっき洗ったときから、ずっと気になってたんですよ」
彼女がそう言って、少しだけ身体を離した。そして、湯面の下で何かを探るように、手を動かし始める。
「あの......徹さん」
「はい?」
「これから......ちょっとだけ、特別なことをしてもいいですか? もちろん、徹さんが気持ちよくなれるように、ですけど......徹さん、少しだけ腰を浮かせてみてください。そう......それで大丈夫です♡」
私が腰を上げると、彼女は素早く自分の太ももを、私の腰の下に差し入れた。その温もりが、しっかりと私を支えている。
「はい、これで......水面に出ましたね♡」
湯面から、確かに何かが顔を出している。湯気に包まれながら、その輪郭がはっきりと浮かび上がる。
「わぁ......やっぱり、すごく立派ですね。こんなに近くで見ると、よりわかります♡」
彼女が感嘆の声を上げる。その視線が、じっとそこに注がれているのがわかった。
「それじゃあ......まずは、手だけで、そっと......ね♡」
彼女の指先が、そっとそこに触れた。
その瞬間――私の身体が、びくりと震えた。
「あら、びっくりしちゃいました?♡ でも、大丈夫ですよ。私、ちゃんと気持ちよくしますから」
彼女の手のひらが、優しく包み込む。その感触が、じんわりと広がっていく。
「まずは......こうやって、優しく......」
彼女の手が、ゆっくりと上下に動き始める。その動きは驚くほど滑らかで、まるで水面を撫でる風のように優しい。
「気持ちいいですか?」
「は、はい......すごく」
「よかった♡ でも、これだけじゃ、もったいないですよね」
彼女はそう言って、手を離した。
そして――彼女の両手が、自分の胸に移動する。
「今度は......こっちを使って、気持ちよくさせてあげますね♡」
彼女が自分の豊かな胸の膨らみで、私のそこを挟み込む。その感触が、お湯の温もりとは全く別の、熱くて柔らかい感覚を運んでくる。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
「はい......すごく......柔らかいです」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです♡ これ、結構練習したテクニックなんですよ」
彼女がゆっくりと動き始める。胸の膨らみが、そこを優しく包み込み、擦り上げる。
その動きは、さっきの手だけのときよりも、より官能的で、より直接的に快感を引き出してくる。
「あっ......♡」
思わず声が漏れた。
「いい声ですね♡ もっと、聞かせてください」
彼女の動きが、少しだけ速くなる。湯面が揺れ、小さな波が立つ。
彼女の胸が、そこを包み込み、離れ、また包み込む。そのたびに、甘い感覚が全身に広がっていく。
「ねえ、徹さん......もう少しだけ、強くしてもいいですか?」
「はい......お願いします」
彼女の動きが、より強く、より深くなる。胸の膨らみが、しっかりとそこを挟み込み、圧迫感とともに快感を与えてくる。
「はぁ......はぁ......♡」
彼女の息遣いが、少しだけ荒くなっている。
「徹さん......私、もう少しだけ、頑張りますね」
彼女の動きが、さらに速くなる。
そのとき――私の体内で、何かが弾けそうになっているのを感じた。
「あっ......すみれさん、もう......」
「大丈夫ですよ♡ そのまま、気持ちよくなってください」
彼女の言葉が、最後の後押しをした。
私の意識が、一瞬、真っ白になる。
何かが、勢いよく解放される感覚。それが、彼女の胸の包み込みの中に吸い込まれていった。
「はぁ......はぁ......」
私は荒い息を整えながら、その余韻に浸っていた。
「......気持ちよくなれました?♡」
彼女が、耳元で優しくささやく。
「はい......最高でした」
「よかった♡ 私、徹さんに喜んでもらえて、すごく嬉しいです」
彼女はそう言って、胸を離した。そして、お湯の中で手を洗うように、そっと動かす。
「それじゃあ......ちょっとだけ、お掃除もしておかないと、ですね」
彼女が再び手を伸ばし、優しく包み込む。その動きは驚くほど優しく、まるで名残を惜しむように丁寧だった。
「はい......これで、きれいになりましたよ♡」
彼女が手を離し、満足そうに微笑んだ。
「徹さん、もう腰、下ろしても大丈夫ですよ。私の太もも、ちょっと痺れちゃいましたけど♡」
「あっ、すみません!」
「いえいえ、気にしないでください♡ 徹さんのためなら、いくらでも我慢しますから」
彼女はそう言って、軽く笑った。
そして、また浴槽の中で移動し、私の横に寄り添った。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「今の......どうでした? 私の『パ〇ズリ』、初めてだったんですけど、気持ちよかったですか?」
「はい、すごく......想像以上でした」
「えへへ、そう言ってもらえると、頑張った甲斐があります♡ 実は、このテクニック、結構練習したんですよ。お客様に喜んでいただけるように、家でクッションとか使って......」
彼女が少し照れくさそうに言う。
「そんなに練習されてたんですね」
「はい♡ だって、ソ〇プのプロですから。お客様に最高の時間を提供するのが、私の仕事ですからね」
彼女はそう言って、私の肩に頭を預けてきた。
「でも......徹さんにだけは、特別な気持ちでやってます。お世辞とかじゃなくて、本当に」
その言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして♡」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「それじゃあ......そろそろ、お風呂上がりませんか? このままだと、のぼせちゃいそうですし」
「そうですね」
彼女が先に立ち上がる。お湯が彼女の白い肌からしたたり落ち、水滴がキラキラと輝く。
「はい、徹さん、手を貸しますね♡」
彼女が差し出した手を握り、私は浴槽から上がった。
浴室の空気が、少しだけひんやりと感じられる。それがかえって気持ちよかった。
彼女は棚の上にきちんと畳まれたバスタオルを差し出し。
「はい、どうぞ♡」
彼女が一枚を私に手渡す。そして自分も一枚を取り、軽く髪を拭き始めた。
「あの......徹さん」
「はい?」
「よかったら......私が、拭いてあげてもいいですか?」
その申し出に、少し驚いた。
「いいんですか?」
「はい♡ お客様に少しでもくつろいでいただきたいので。それに......こうやってお世話するの、私、結構好きなんです」
彼女はそう言って、私の前に立った。
そして、バスタオルを広げ、優しく私の胸に当てた。
「まずは......上から、ですね」
彼女の手が、タオルを介して私の体を優しく拭いていく。その動きは丁寧で、まるで壊れものを扱うかのように繊細だった。
肩、胸、腕、背中――彼女の手が触れるたびに、タオルの柔らかな感触が肌をなでる。
「徹さん、やっぱり筋肉、しっかりついてますね。拭いてても、その硬さがわかります」
「ありがとうございます」
「それに......お肌もきれいだし。男の人って、ここまで手入れされてる人、あんまりいないですよ」
「いや、本当に何もしてないんですけど......」
「え〜、じゃあやっぱり生まれつきなんですね。ずるいなあ♡」
彼女が笑いながら、今度は下半身にタオルを移動させる。
脚、太もも、ふくらはぎ――一つ一つの動作が優しく、まるでマッサージを受けているかのように気持ちがいい。
「さてと......これで、大体終わりましたね。あとは......」
彼女がタオルを畳み直し、もう一度、そこを優しく拭いた。その動作は驚くほど自然で、そしてどこか優しかった。
「はい、これで完了です♡」
彼女が満足そうに微笑んだ。
「ありがとうございます。すごく気持ちよかったです」
「どういたしまして♡ それじゃあ、今度は私の番ですね」
彼女はそう言って、自分の体を拭き始めた。
まずは髪を軽く絞り、それからタオルを首に巻く。その仕草が、驚くほど優雅で美しい。
肩、腕、胸元――彼女の手が自分の体を優しく拭いていく。そのたびに、彼女の豊かな曲線がタオルの下から浮かび上がる。
「あの......徹さん」
彼女が少し躊躇いながら口を開いた。
「よかったら......背中、拭いてもらえませんか? 自分だと、なかなかうまくいかなくて......」
「もちろんです」
私はタオルを受け取り、彼女の背中に当てた。その肌はまだ湯気を含んでいて、温かくて滑らかだった。
「ありがとうございます♡ なんか......こうやってお世話してもらうの、久しぶりで、すごく嬉しいです」
彼女が小さな声で言う。
私は丁寧に、彼女の背中を拭いていった。肩甲骨の辺り、背骨に沿って、腰の辺り――一つ一つの動作を大切にしながら。
「徹さんの手......大きくて、あったかくて、すごく気持ちいいです」
「そう言ってもらえて、嬉しいです」
「うん......なんか、ずっとこうしていたいくらい」
彼女が振り返り、私を見上げる。その目は潤んでいて、少しだけ切なそうだった。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます♡ それじゃあ......そろそろ、ベッドに行きましょうか」
彼女がそう言って、私の手を取った。
その手のひらは温かくて、確かな意思を感じさせた。
ベッドのシーツは、さっきまでと変わらずきちんと整えられている。その白さが、照明の下でほのかに輝いていた。
「さてと......」
彼女がベッドの端に腰かけた。その白い肌が、シーツの白さに溶け込みそうで、でも確かにそこに存在している。
「徹さんも、どうぞ座ってくださいね」
私は彼女の隣に腰を下ろした。マットレスが少しだけ沈み、二人の体重を支える。
「ねえ、徹さん」
彼女が私の方を向く。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
「さっきのお風呂......どうでしたか? 私のサービス、満足してもらえましたか?」
「はい、最高でした。今までにない経験でした」
「よかった♡ それなら、私も頑張った甲斐があります」
彼女はそう言って、そっと私の肩に頭を預けてきた。
「徹さん......」
「はい?」
「今日は......最後まで、一緒にいてくれますか? その......最後の最後まで、気持ちよくなれるように、私、頑張りますから」
その言葉に、胸が熱くなった。
「はい、よろしくお願いします」
「うん♡ それじゃあ......」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「そろそろ......本題に入りましょうか?♡」
そう言って、彼女の手がそっと私の手に重なった。
その温もりが、これから始まる時間への期待で、じんわりと広がっていく。
蜜壺の調べ
バスタオルに包まれたまま、私たちはベッドの端に並んで腰掛けていた。エアコンの効いた室内のひんやりした空気が、湯上がりの火照った肌に心地よくまとわりつく。
彼女は軽く頭を振って、黒髪に残った水滴を飛ばした。その仕草の一つ一つが優雅で、まるで映画のワンシーンのようだった。
「ねえ、徹さん」
彼女が私の方を向く。大きな瞳が、少しだけいたずらっぽく輝いている。
「これから……どういう風に、したいですか?♡」
その問いかけに、一瞬、心臓が跳ねた。
「どういう風に、ですか?」
「はい♡ だって、せっかくの特別な時間ですから。徹さんがしてほしいことって、きっと色々あるんじゃないかな〜って思って」
彼女はそう言って、軽く首をかしげた。その拍子に、タオルの合わせ目から白い谷間がちらりと覗く。
「でも、今日は……」
私は少し躊躇いながらも、正直な気持ちを伝えることにした。
「まずは、僕がすみれさんに……してあげたいです」
「えっ……?」
彼女は目を丸くした。その表情は、本当に驚いているようだった。
「私に……ですか? でも、お客様にそんなことしていただくわけには……」
「ダメですか?」
「いえ、ダメじゃないんですけど……なんか、逆みたいで」
彼女はそう言って、少し照れくさそうに笑った。その笑顔が、可愛らしくて、そしてどこか切なくて。
「でも、もし徹さんがそうしてくれるなら……私、嬉しいです。すごく嬉しいです♡」
「じゃあ、決まりですね」
「はい♡ じゃあ……私は、どうすればいいですか?」
「まずは……寝ていただけますか? 仰向けに」
「うん……わかった♡」
彼女はそう言って、ベッドの中央にゆっくりと体を横たえた。バスタオルが彼女の身体から滑り落ち、白い肌が露わになる。
彼女は両手を胸の上に重ねて、少しだけ恥ずかしそうにしている。その姿は、まるで絵画のように美しかった。
艶やかな黒髪が、白いシーツの上に広がる。透き通るような肌は、柔らかな間接照明を受けてほのかに輝いている。鎖骨のラインが、影を作りながら彼女の優雅さを引き立てている。
豊かな曲線を描く胸元は、重ねた両腕の隙間からその形を覗かせている。その先端は、部屋の冷気に反応したのか、ほんのりと色づき、わずかに主張を始めていた。
ウエストからヒップにかけての曲線は、シーツの上で緩やかな起伏を作り出し、そこから続く太もものラインは、まるで陶器のように滑らかで、それでいて確かに温もりを感じさせた。
「徹さん……」
彼女が小さな声で私を呼ぶ。
「その……あんまりじろじろ見ないでください。恥ずかしくなっちゃいますから」
「すみません……でも、つい」
「もう……徹さんはそういうところ、ずるいですよ♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。その笑顔が、緊張をほぐしてくれる。
「じゃあ……そろそろ、始めてもいいですか?」
「はい……お願いします♡」
私は彼女の横に体を寄せ、肘をついて半身を起こした。そして、そっと彼女の頬に手を伸ばす。
「あっ……」
彼女の肌は、触れた瞬間にわかるほど滑らかで、そして温かかった。指先でそっと輪郭をなぞる。額から頬へ、頬から顎へ——その一つ一つの動きを大切にしながら。
「徹さんの手……大きいですね。そして、あったかいです」
彼女が目を閉じて、その感触に身を委ねている。長いまつ毛が、柔らかな照明を受けて影を作っている。
「それじゃあ……キス、してもいいですか?」
「はい……♡」
彼女が微かに顎を上げる。その唇は、わずかに震えているように見えた。
私はそっと自分の唇を彼女のそれに重ねた。
最初は触れるだけ——蝶が羽を休めるかのように優しく。
「ん……♡」
彼女の吐息が、私の唇をかすめる。
少しだけ唇を離し、またすぐに重ねる。ちゅっ、ちゅっ——という小さな音が、静かな室内にやけに艶めかしく響く。
「ちゅ……れろ……♡」
私の舌が、そっと彼女の唇の隙間をなぞる。彼女が応えるように少しだけ口を開けると、その隙間から彼女の舌が顔を出した。
「ちゅる……んんっ……♡」
二つの舌が触れ合う。最初は遠慮がちに、先端だけで軽く絡み合う。
彼女の舌は温かくて、柔らかくて、そしてほんのりと甘かった。
「はぁ……♡ 徹さん……」
彼女が一瞬唇を離し、息を整える。その目は潤んでいて、頬は上気している。
「すごく……優しいですね」
「気持ちいいですか?」
「はい……もっと、してほしいです♡」
彼女が再び目を閉じる。私はもう一度、彼女の唇に自分のそれを重ねた。
今度は少しだけ深く——彼女の舌を探すように。
「んちゅ……ちゅ……れろれろ……♡」
私の舌が、彼女の口の中へと入り込む。彼女の歯茎の辺りをなぞり、頬の内側を優しく撫でる。
「んんっ……♡ はぁ……」
彼女の息遣いが、少しだけ荒くなっているのがわかる。
私の舌が、彼女の舌と絡み合う。絡め、離れ、また絡め——まるで潮の満ち引きのように、優しく、そして絶え間なく。
唾液が混ざり合い、口の端から零れ落ちそうになる。それを彼女が吸い戻すように、ちゅっ——と音を立てた。
「れろ……んちゅ……ちゅぱ……♡」
私たちの舌は、もはやどちらがどちらのものかわからないほどに絡み合っている。彼女の舌が、私の舌の先端を軽く吸う。その感覚が、ぞくぞくと背筋を走らせた。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん……」
彼女が唇を離し、大きく息を吸う。その胸が上下に動き、豊かな曲線が揺れた。
「すごく……気持ちよかったです。こんなに深いキス、久しぶりで……」
「よかった」
「徹さんのキス……癖になりそうです。優しくて、それでいてしっかり私のこと、感じさせてくれて……♡」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「それじゃあ……次は、こっちの方も、お願いしてもいいですか?」
彼女が自分の胸元に手をやる。その指先が、豊かな曲線の縁をなぞるように動く。
「もちろんです」
私は彼女の胸の上に手を伸ばした。でも、その前に——一つ、尋ねてみることにした。
「すみれさんは、胸を触られるの……好きですか?」
「えっ……急にそんなこと聞くんですね♡」
彼女は少し驚いたように目を見開き、それから照れくさそうに笑った。
「でも……聞いてくれるなら、正直に言いますね」
彼女は少し間を置いて、言葉を選びながら話し始めた。
「私……胸を触られるのは好きなんです。特に、こうやって……」
彼女は自分の胸の側面に手を当てる。
「優しく包み込まれるように触られるのが、すごく好きで。でも……」
「でも?」
「乳首は……ちょっとくすぐったいというか、敏感すぎて。触られたり舐められたりするのは、あんまり得意じゃないんです」
「そうだったんですね。わかりました。気をつけます」
「えへへ……優しいですね、徹さんは。そういうところ、すごく伝わってきます♡」
彼女はそう言って、安心したように微笑んだ。
「じゃあ……まずは、こういう風に、でいいですか?」
私は彼女の胸の側面に手のひらを当て、そっと包み込むように優しく撫でた。親指でゆっくりと円を描くように動かす。
「あっ……♡ はい……すごく、気持ちいいです……」
彼女の声が、少しだけ艶めいたものに変わる。
「それじゃあ……もうちょっと、ゆっくりと……ね」
私はもう片方の手も彼女の胸に添え、両方の手のひらで優しく包み込んだ。彼女の豊かな膨らみは、私の手のひらに収まりきらないほど大きくて、その重みと温もりがじんわりと伝わってくる。
「はぁ……♡ 徹さんの手……大きくて、あったかくて……すごく、落ち着きます……」
彼女が目を閉じて、その感触に浸っている。胸の膨らみが、私の手の動きに合わせて柔らかく形を変える。
「乳首の周りを……こうやって、優しく撫でるのは、大丈夫ですか?」
「はい……♡ 強く触られなければ、大丈夫です……」
彼女の言葉に従い、私は親指で乳首の周りの薄桃色の部分を優しく円を描くように撫でた。彼女の肌は驚くほど滑らかで、指先が吸い付くような感覚がある。
「んっ……♡ それ……すごく、いいです……」
彼女の声が、少しだけ震えている。
「乳首の先っぽは……触らないでくださいね。くすぐったくなっちゃうから……」
「わかりました」
私は彼女の希望を尊重し、乳首の先端には決して触れないように気をつけながら、その周辺を優しく愛撫し続けた。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん……」
「どうしました?」
「その……おっぱいの下の方も……触ってほしいです……」
彼女が恥ずかしそうに言う。
「ここ……結構敏感で……でも、自分じゃなかなかうまく触れなくて……」
「ここですか?」
私は彼女の胸の下側——膨らみがシーツに当たる辺り——に指を滑らせた。そこは思っていた以上に柔らかくて、そして温かかった。
「あっ……♡ そう……そこ……すごく、気持ちいいです……」
彼女の身体が、微かに震えた。
「もっと……ゆっくり、撫でてください……」
私は彼女の言葉に従い、指先で優しく、ゆっくりと弧を描くように動かした。彼女の肌が、私の指の動きに合わせて柔らかく沈み込む。
「はぁ……♡ はぁ……♡ 徹さん……すごく、上手です……」
「そうですか?」
「はい……だって、私の気持ちをちゃんと聞いてくれて……それに合わせて動いてくれて……そういうの、すごく伝わってきます……」
彼女の言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして……♡ それにしても……」
彼女が目を開け、私を見上げる。その瞳は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「徹さんの手……すごくきれいですね。指が長くて、骨ばってなくて……それでいてしっかりしてて」
「そんなことないですよ」
「いえいえ、本当です。こういう手の人って、きっと細かい作業もお上手なんですね。研究職に向いてるって感じがします♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「さてと……それじゃあ、そろそろ、もう少し下の方も……いってもいいですか?」
「はい……♡ どこを、してくれるんですか?」
「すみれさんが一番気持ちいいって思うところ……やってみたいんですけど、いいですか?」
その言葉に、彼女は少し驚いたように目を見開いた。
「え……それって……」
「ク〇ニリング、です。してもいいですか?」
「……っ♡」
彼女の頬が、一瞬で赤く染まった。
「そ、それは……私の方こそ、徹さんにしてもらうはずのことで……」
「ダメですか?」
「いえ……ダメじゃないです。でも……」
彼女は少し躊躇ってから、小さな声で言った。
「私……ク〇ニされるの、すごく好きなんです。でも……恥ずかしくて、なかなかお願いできなくて……」
「じゃあ、今日は僕がお願いします。すみれさんに、気持ちよくなってほしいです」
「……徹さんは、本当に優しいんですね。ありがとうございます……♡」
彼女はそう言って、そっと両手を自分の顔の横に置いた。それは、全てを委ねるという合図のように見えた。
「それじゃあ……まずは、もっと楽な体勢になりますね」
私はベッドの端に移動し、彼女の両脚の間に位置を取った。彼女の白い太ももが、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
「脚……開いてもらってもいいですか?」
「はい……♡」
彼女がゆっくりと両脚を開く。その動作は優雅で、でも確かに官能的だった。
そこに広がる光景に、一瞬——息を呑んだ。
透き通るような白い肌の奥に、濃いけれど整えられた毛並みが、柔らかな曲線に沿って美しい三角形を描いている。その先には、満ち潮を前にした入り江のように神秘的な陰影が広がっている。
花びらは、まるで朝露を含んだ芍薬のように、しっとりと、そしてほんのりと色づいている。その中心には、まだ閉じられたままの蕾が、密やかにその存在を主張していた。
「あの……徹さん」
彼女が、少し震えた声で言う。
「あんまり……じっと見られると、恥ずかしくなっちゃいます……」
「すみません……つい、見惚れてしまって」
「もう……徹さんは本当に……そういうところ、ずるいですよ♡」
彼女が軽く笑う。その笑顔が、少しだけ緊張を和らげてくれた。
「それじゃあ……始めますね」
「はい……お願いします♡」
私はゆっくりと、彼女の両脚の間に顔を近づけた。
最初は——そっと、息をかけるように。
「あっ……♡」
彼女の身体が、びくりと震える。その吐息が、花びらを微かに揺らした。
「冷たいですか?」
「いえ……あったかくて……それでいて、くすぐったい感じで……」
彼女の声が、少しだけ艶めいたものに変わっている。
それから、私は舌を少しだけ伸ばし、そっと——花びらの縁をなぞった。
「んんっ……♡」
彼女の声が、かすかに上がる。
「やっぱり……舌、柔らかいままの方がいいですか?」
「はい……♡ 柔らかいまま、優しく……してもらえると、すごく気持ちいいです……」
彼女の言葉に従い、私は舌をできるだけ柔らかく保ちながら、ゆっくりと、優しく——花びらの表面を舐め渡した。
「はぁ……♡ それ……すごく、いいです……」
彼女の腰が、微かに浮き上がる。その動きが、彼女が感じている証だった。
「この辺りは……どうですか?」
私は花びらの上の方——蕾が隠れているあたり——を、そっと舌の先で円を描くように撫でた。
「あっ……♡ そこ……すごく敏感で……」
「気持ちいいですか?」
「はい……でも、強くされると……痛くなっちゃうから、優しく……」
「わかりました」
私は彼女の希望を守り、決して強くならないように気をつけながら、舌先で優しく、ゆっくりと——まるで熟した果実の皮を傷つけないように扱うかのように——動かし続けた。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん……」
「どうしました?」
「その……花びらを……めくってもらっても……いいですか?」
彼女が、恥ずかしそうに——でも確かな意思を持って——言った。
「その先に……私の、一番感じるところがあるので……」
「いいですか?」
「はい……優しく……お願いします♡」
私はそっと、花びらの覆いを指先で優しく開いた。
そこには——小さな蕾が、しっかりと硬く存在を主張していた。それは、まるで真珠のように輝き、既に充分な蜜を含んでいることがわかった。
「わぁ……もう、こんなに……」
彼女が恥ずかしそうに言う。
「徹さんに触ってもらって……私、すごく感じちゃってたみたいです……」
「きれいです」
「……そう言われると、余計に恥ずかしくなっちゃいます♡」
私は再び舌を伸ばし、今度は——その蕾に直接、触れてみた。
「ああっ……♡」
彼女の身体が、大きく仰け反った。
「大丈夫ですか?」
「はぁ……はぁ……大丈夫です……でも、びっくりしちゃって……」
「強くないですか?」
「ううん……ちょうどいい……優しさで……ありがとうございます……」
私はさらに舌を柔らかくして、その蕾の周りをゆっくりと、優しく——円を描くように撫で始めた。
「あっ……あっ……♡ それ……すごく……気持ちいいです……」
彼女の声が、途切れ途切れになっている。そのたびに、彼女の腰が微かに動く。
「この速さで……大丈夫ですか?」
「はい……♡ そのまま……続けてください……」
私は彼女の言葉に従い、同じ速さ、同じ強さで——蕾を優しく舌で転がすように動かし続けた。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん……その……」
「なんですか?」
「唾液……もっと、つけてくれても……大丈夫です……」
彼女の言葉に、私は唾液の量を少しだけ増やした。それによって、舌の滑りがさらに良くなり、より優しく、より滑らかに蕾を撫でることができるようになった。
「んあっ……♡ それ……すごく……気持ちよすぎて……」
彼女の手が、シーツを強く握りしめている。その指先は白くなり、彼女が感じていることの強さを物語っている。
「強さは……これくらいでいいですか?」
「はい……♡ それで……ちょうどいいです……強くされると痛いから……そのまま……優しく……」
「わかりました」
私は決して強くならないように、むしろより一層優しく——まるで風が花を撫でるように——舌を動かし続けた。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん……あの……」
「なんですか?」
「指も……使ってもらっても……いいですか?」
「どういう風に?」
「花びらの周りを……優しく……なぞるように……」
「こうですか?」
私は舌で蕾を愛撫しながら、指先で花びらの縁を優しく——上から下へ、下から上へ——なぞるように動かした。
「ああっ……♡ それ……すごく……いい……」
彼女の身体が、がくがくと震え始めた。
「徹さん……もう……私……」
「イきそうですか?」
「はい……もしかしたら……でも、いいですか……?」
「もちろんです。気持ちよくなってください」
「ありがとう……ございます……♡」
私はさらに優しく、さらに丁寧に——蕾を舌で転がし、花びらを指で撫で続けた。
「あっ……あっ……あああっ……♡」
彼女の身体が、大きく弓なりになった。
その瞬間——彼女の中の何かが、弾けたのがわかった。
花びらが何度も何度も優しく震え、蕾が小さく脈打つ。そのリズムが、彼女の身体の奥から伝わってくる。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
彼女は大きく息を整えながら、その余韻に浸っている。
しばらくして——彼女の震えが収まると、私はゆっくりと顔を上げた。
「……大丈夫ですか?」
「はぁ……はい……すごく……気持ちよかったです……」
彼女が目を開け、私を見つめる。その瞳は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「徹さんの舌……柔らかくて、優しくて……すごく、気持ちよかったです……」
「よかった」
「それに……私の気持ち、ちゃんと聞いてくれて……強くしすぎないように気をつけてくれて……そういうの、すごく伝わってきました」
彼女はそう言って、両手を伸ばした。
「ねえ……ちょっとだけ、こっちに来てくれませんか?」
私は彼女の隣に移動した。すると彼女は、私の胸に顔を埋めるようにして抱きついてきた。
「徹さん……」
「はい?」
「私……今日、徹さんに会えて、本当に良かったです。こんなに私のことを大事にしてくれる人、初めてで……」
彼女の声が、少しだけ詰まっているように聞こえた。
「そんなことないですよ。すみれさんが素敵だから、自然とそうなるんです」
「……徹さんは、本当に優しいんですね。そういうところ、すごく好きです」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「でも……次は、私の番ですね♡」
「え?」
「だって、さっき徹さんが『まずは僕が』って言ったから、私はおとなしくされてたんですよ。でも、もうそれも終わったし……今度は私が、徹さんを気持ちよくさせてあげますからね♡」
彼女はそう言って、ゆっくりと体を起こした。
その目は——さっきまでのとろりとした潤みから一変して、獲物を狙う肉食獣のような、確かな輝きを帯びていた。
蜜唇の戯れ
彼女がゆっくりと体を起こす。その動作の一つ一つが、まるで舞を舞うかのように優雅で、そして確かな意志を感じさせた。
彼女の黒髪が肩からこぼれ落ち、白い肌とのコントラストが一層鮮明になる。間接照明が彼女の身体を柔らかく照らし出し、その曲線を陰影で浮かび上がらせる。
「さてと……♡」
彼女がいたずらっぽく微笑みながら、私の胸の上に手を置いた。
「徹さん、まずは……もっと楽な体勢になりましょうね。仰向けに、寝ていただけますか?」
私は言われるままに、ゆっくりと背中をシーツに預けた。天井の間接照明が、柔らかな光の輪を描いている。マットレスの程よい硬さが、身体を優しく支えてくれる。
「はい、それで大丈夫です♡ じゃあ……私は、こっちに……」
彼女が私の身体を跨ぐようにして、私の腰の辺りに位置を取った。彼女の太ももの内側が、私の脇腹にそっと触れる。その肌は温かくて、驚くほど滑らかだった。
「この体勢……嫌じゃないですか?」
彼女が少し心配そうに尋ねる。
「大丈夫です。むしろ……よく見えて、嬉しいです」
「もう……徹さんは本当に、そういうことすぐ言いますね♡」
彼女は照れくさそうに笑いながら、両手を私の胸の上に置いた。
「それじゃあ……まずは、お返しから、させてくださいね♡」
そう言って、彼女がゆっくりと身をかがめる。その豊かな黒髪が、まるでカーテンのように私の顔の両側に垂れ下がった。
「さっきは……私のこと、すごく気持ちよくさせてくれて、ありがとうございました♡」
彼女の顔が、すぐ目の前にある。その大きな瞳が、私をまっすぐに見つめている。まつ毛が長くて、その先が微かに震えているのがわかった。
「どういたしまして」
「じゃあ……今度は、徹さんが気持ちよくなれるように、私、頑張りますね♡」
彼女がゆっくりと、自分の唇を私のそれに近づける。
最初は――触れるか触れないかの距離で、お互いの吐息が混ざり合う。
「ん……♡」
彼女の唇が、そっと私の唇を挟むようにして触れた。上唇と下唇で、優しく摘むように。
「ちゅ……♡」
小さな音がして、彼女の唇が離れる。またすぐに、別の角度から――今度は少しだけ強めに。
「ちゅぱ……♡」
彼女の唇が、私の下唇を吸い上げる。その感覚が、ぞくぞくと背筋を走らせる。
「んん……徹さんの唇、柔らかいですね。女の子みたいです♡」
彼女がそう言って、軽く笑った。
「そんなことないですよ」
「いえいえ、本当です。触ってて気持ちいいくらい……♡」
彼女はそう言って、今度は舌を少しだけ出した。その先端が、私の唇の縁をなぞる。
「ちゅ……れろ……♡」
彼女の舌が、私の唇の隙間を探る。その誘いに応えるように、私が少しだけ口を開けると、彼女の舌がするりと入り込んできた。
「んちゅ……♡」
彼女の舌が、私の舌の先端に触れる。最初は遠慮がちに、先端だけで軽く絡み合う。
彼女の舌は温かくて、柔らかくて、そしてほんのりと甘い――さっき、私が彼女の中で味わったのと同じ、あの味がした。
「ちゅ……れろれろ……♡」
彼女の舌が、私の舌の側面をなぞる。その動きは優しくて、それでいて確かに私を感じさせようとしている。
「んんっ……♡ 徹さん……もっと、出してくれてもいいですよ」
彼女の言葉に、私は少しだけ舌を長く伸ばした。彼女はそれを嬉しそうに受け入れ、自分の口の中へと導く。
「ちゅぱ……んちゅ……れろ……♡」
彼女の舌が、私の舌を包み込むように絡みつく。吸い、舐め、絡め――その動きは驚くほど多彩で、飽きることがない。
「はぁ……♡ 徹さんの舌、すごく気持ちいいです」
彼女が一瞬唇を離し、息を整える。その目は潤んでいて、頬は上気している。
「私の方こそ、気持ちいいです」
「えへへ……それなら良かった♡ でも、これからもっと気持ちよくなってもらいますからね」
彼女はそう言って、再び唇を重ねてきた。今度は少しだけ強く、より情熱的に。
「んちゅ……ちゅぱ……れろれろ……♡」
彼女の舌が、私の口の中を探検する。歯茎の辺り、頬の内側、上顎――一つ一つの場所を丁寧に、まるで記憶に刻み込むかのように。
「んんっ……♡」
彼女の舌が、上顎の敏感な部分をくすぐる。その感覚に、思わず声が漏れた。
「あっ、そこ……気持ちいいですか?」
彼女が顔を離し、いたずらっぽく尋ねる。
「はい……すごく」
「よかった♡ じゃあ、もっと、してあげますね」
彼女はそう言って、再び舌を入れてきた。今度はさっきよりも長く、より深く――まるで私の口の奥にある何かを探すように。
「れろ……ちゅ……んんっ……♡」
彼女の舌が、上顎をなぞり、歯茎を舐め、そしてまた舌へと戻る。そのリズムが、まるで音楽のように心地よく、つい目を閉じてしまいたくなる。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん、目、開けててください。私のこと、見ててほしいです」
彼女の言葉に、私は再び目を開けた。そこには、少しだけ頬を染めた彼女の顔がある。その瞳は潤んでいて、でも確かに私を捉えている。
「いい顔、してますね♡ もっと、気持ちよくなってください」
彼女はそう言って、さらに強く、より深くキスを続けた。
「んちゅ……ちゅぱ……れろれろ……ちゅっ……♡」
私たちの舌は、もはやどちらがどちらのものかわからないほどに絡み合っている。唾液が混ざり合い、口の端から零れ落ちる。それを彼女が指で拭い、自分の口に含む――その仕草が、ひどく官能的だった。
「……ふぅ♡」
彼女がようやく唇を離し、大きく息を吸った。その胸が上下に動き、豊かな曲線が揺れる。
「徹さんのキス……すごく美味しかったです。癖になりそうなくらい……♡」
「僕もです」
「えへへ……それなら、また後で、いっぱいしましょうね♡」
彼女はそう言って、今度は私の頬にキスを落とした。額、目尻、鼻先、顎――一つ一つの動作が優しく、まるで壊れものを扱うかのように丁寧だった。
「さてと……♡」
彼女が体を少し起こし、私の胸の上に手を置いた。
「次は……こっちの方も、しっかり気持ちよくさせてくださいね」
彼女の指先が、私の胸の中心を優しくなぞる。その動きは驚くほど軽やかで、まるで羽根で撫でられているかのようだった。
「徹さん、やっぱり筋肉、しっかり付いてますね。こうやって触ると、その硬さがよくわかります」
彼女はそう言って、両手のひらで私の胸筋を包み込むように撫でた。その手のひらは温かくて、指の一本一本が確かに私の筋肉のラインを確かめている。
「ジムでは、どんなメニューをやってるんですか? さっき、ベンチプレスとかっておっしゃってましたけど……」
「はい。あとは……ショルダープレスとか、ラットプルダウンとか。背中も鍛えられるメニューを中心に」
「へえ……すごいですね。私、そういうの、テレビでしか見たことないです」
彼女はそう言って、今度は私の鎖骨の辺りに指を滑らせた。その指先が、骨のラインをなぞるように動く。
「ここ……すごくきれいな形してますね。男の人って、鎖骨がはっきりしてる人、あんまりいないのに……」
「そうなんですか?」
「はい♡ 私、鎖骨がはっきりしてる男の人、好きなんです。なんだか……逞しく見えて、でも品があって」
彼女はそう言って、鎖骨の窪みにそっとキスを落とした。その唇の感触が、ひんやりとしていて、でもすぐに温もりに変わる。
「ん……♡」
彼女の舌が、鎖骨のラインをなぞる。その動きはゆっくりで、丁寧で、まるで大切な宝物を磨くかのようだった。
「徹さんの肌……すべすべですね。さっきも言いましたけど、男の人って案外カサカサしてる人が多いのに、徹さんは全然違う」
「いや、本当に何もしてないんですけど……」
「え〜、じゃあやっぱり生まれつきなんですね。ずるいなあ♡ 私、ちゃんとローションとか塗ってるのに、それでも冬は乾燥しちゃうのに」
彼女がそう言って、自分の腕をまじまじと見つめる。その腕は白くてなめらかで、どこが乾燥しているのか全くわからない。
「そんな風に見えませんけどね」
「えへへ、ありがとうございます♡ でも、女の子ってそういうものなんです。自分にだけわかるコンプレックスが、絶対どこかにあるんですよね」
彼女はそう言って、軽く笑った。
それから彼女は、私の胸の突起にそっと指を触れた。
「ここ……感じますか?」
「はい……少し」
「強さは……これくらいで大丈夫ですか?」
彼女の指先が、優しく円を描くように動く。その力加減が絶妙で、強すぎず、弱すぎず――ちょうどいい刺激が、じんわりと広がっていく。
「はい……それで、ちょうどいいです」
「よかった♡ 強くされると痛いですもんね。私もそうなので、よくわかります」
彼女はそう言って、今度は舌でそこを優しく舐め始めた。
「ちゅ……れろ……♡」
彼女の舌が、突起の周りをなぞる。時折、先端で軽く弾くように――その動きが、電気のような感覚を背中に走らせる。
「んっ……♡」
思わず声が漏れた。
「あ、いい声ですね♡ もっと、聞かせてください」
彼女はそう言って、さらに優しく、より丁寧に――まるで熟した果実の皮を傷つけないように扱うかのように――舌を動かし続けた。
「はぁ……はぁ……♡」
私の息遣いが、少しだけ荒くなっているのがわかる。
「徹さん……気持ちよさそうな顔してますね。私、そういう顔、見るの好きです」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
それから彼女は、ゆっくりと私の身体の上を下に移動していく。その豊かな黒髪が、私のお腹の上をくすぐるように通り過ぎる。
「さてと……♡」
彼女が私の腰の辺りで止まり、顔を上げた。その目は、いたずらっぽい輝きを帯びている。
「次は……ここを、気持ちよくさせてあげますね♡」
彼女の指先が、私の腹部の中心を優しくなぞる。そのラインに沿って、ゆっくりと――上から下へ、下から上へ。
「徹さん、腹筋も割れてますね。すごいです……こんなにきれいな身体、初めて見ました」
「そんなことないですよ」
「いえいえ、本当です。ジム通い、ちゃんと成果出てますよ♡」
彼女はそう言って、私のお腹にキスを落とした。その唇が、筋肉の溝をなぞるように動く。
「ん……♡」
彼女の舌が、お腹の中心を伝って下りていく。その動きはゆっくりで、一つ一つの動作が官能的で、そして確かに私を感じさせようとしている。
「徹さん……緊張してますね。お腹、ピクピクしてますよ」
「すみません……くすぐったくて」
「えへへ、そういう反応、可愛いです♡ でも、大丈夫ですよ。もっとリラックスしてくださいね」
彼女はそう言って、さらに下へ――ついに、そこへと到達した。
「わぁ……♡」
彼女が感嘆の声を漏らす。
「さっきお風呂で見たときも思いましたけど……本当に、すごく立派ですね。私の手、全然足りないくらいで……」
彼女の指先が、そっとそこに触れた。その瞬間――私の身体が、びくりと震えた。
「あら、びっくりしちゃいました?♡ でも、大丈夫ですよ。私、ちゃんと気持ちよくしますから」
彼女の手のひらが、優しく包み込む。その感触が、じんわりと広がっていく。
「まずは……手だけで、そっと……ね♡」
彼女の手が、ゆっくりと上下に動き始める。その動きは驚くほど滑らかで、まるで水面を撫でる風のように優しい。
「このくらいの強さで……大丈夫ですか?」
「はい……すごく、気持ちいいです」
「よかった♡ でも、これだけじゃ、もったいないですよね」
彼女はそう言って、手を離した。
そして――彼女の両手が、自分の胸に移動する。
「今度は……こっちを使って、気持ちよくさせてあげますね♡」
彼女が自分の豊かな胸の膨らみで、私のそこを挟み込む。その感触が、先ほどお風呂で体験したのと同じ――熱くて柔らかい感覚を運んでくる。
「覚えてますか? さっきお風呂でやったのと同じです♡」
「はい……覚えてます」
「じゃあ……もう一度、じっくり味わってくださいね」
彼女がゆっくりと動き始める。胸の膨らみが、そこを優しく包み込み、擦り上げる。
その動きは、さっきの手だけのときよりも、より官能的で、より直接的に快感を引き出してくる。
「あっ……♡」
「いい声ですね♡ もっと、聞かせてください」
彼女の動きが、少しだけ速くなる。胸の膨らみが、そこを包み込み、離れ、また包み込む。そのたびに、甘い感覚が全身に広がっていく。
「それにしても……徹さん、すごく大きいですね。私の胸、結構大きい方なんですけど、それでも隠しきれなくて……」
彼女がそう言って、少し照れくさそうに笑った。
「でも、その分、じっくり時間をかけて気持ちよくさせますね。せっかくの特別な時間ですから♡」
彼女の動きが、さらに速くなる。胸の膨らみが、そこをしっかりと挟み込み、圧迫感とともに快感を与えてくる。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん、どうですか? 気持ちいいですか?」
「はい……最高です……」
「よかった♡ でも、まだまだこれからですよ」
彼女はそう言って、さらに強く、より深く――まるで私の全てを包み込みたいかのように――動き続けた。
そのとき――私は、何かが弾けそうになっているのを感じた。
「あっ……すみれさん、もう……」
「ダメですよ♡ まだ、早すぎます。もっと、味わわせてください」
彼女がそう言って、動きを止めた。
「はぁ……はぁ……」
私は荒い息を整えながら、その寸前で止まった感覚に少しだけ戸惑った。
「ごめんなさい、途中で止めちゃって……でも、ここで終わっちゃうのは、もったいないと思って」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「だって、これからもっとすごいことを、してあげようと思ってるんですから♡」
彼女はそう言って、胸を離した。そして、さらに下に移動する。
「さてと……♡」
彼女が私の両脚の間に位置を取り、顔を上げた。その目は、獲物を狙う肉食獣のような、確かな輝きを帯びている。
「今から……私の口で、気持ちよくさせてあげますね♡」
彼女の言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「いいですか?」
「はい……お願いします」
私が答えると、彼女は満足そうに微笑んだ。
「じゃあ……まずは、そっと……ね♡」
彼女がゆっくりと、そこに顔を近づける。
その吐息が、まず最初に触れた。温かくて、少しだけくすぐったい。
「ん……♡」
彼女の唇が、そっと先端に触れた。最初は触れるだけ――蝶が羽を休めるかのように優しく。
「ちゅ……♡」
小さな音がして、彼女の唇が離れる。またすぐに、別の角度から――今度は少しだけ強めに。
「ちゅぱ……♡」
彼女の唇が、そこを吸い上げる。その感覚が、ぞくぞくと背筋を走らせる。
「徹さん……緊張してますね。ピクピクしてるのが、よくわかります」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽく笑う。
「すみません……」
「謝らなくていいですよ♡ そういう反応、すごく可愛いですから」
彼女はそう言って、今度は舌を少しだけ出した。その先端が、先端の周りをなぞる。
「ちゅ……れろ……♡」
彼女の舌が、そこに直接触れる。その感覚は、手や胸のときとは全く違う――もっと直接的で、もっと生で、そしてもっと優しい。
「んんっ……♡」
思わず声が漏れた。
「いい声ですね♡ もっと、聞かせてください」
彼女はそう言って、さらに舌を動かし始めた。
まずは、先端の周りを――ゆっくりと、優しく、円を描くように。
「れろ……ちゅ……ちゅぱ……♡」
彼女の舌が、そこをなぞり、吸い、またなぞる。その動きは驚くほど多彩で、飽きることがない。
「徹さん……ここ、すごく敏感なんですね。ちょっと触れただけで、こんなに反応してくれて……」
彼女がそう言って、軽く笑った。
「それじゃあ……もっと、気持ちよくなれるように、頑張りますね♡」
彼女はそう言って、今度は口に含んだ。
「んちゅ……♡」
温かくて、柔らかくて、そして湿った――彼女の口の中が、そこを包み込む。
その感覚に、頭が真っ白になりそうだった。
彼女の舌が、口の中でさらに動く。先端の周りをなぞり、側面を舐め、そしてまた先端へ――その動きは、まるでダンスのように優雅で、官能的だった。
「ちゅぱ……れろれろ……んんっ……♡」
彼女の口が、ゆっくりと上下に動き始める。そのリズムは一定ではなく、時には速く、時には遅く――まるで音楽のテンポのように変化する。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん、どうですか? 気持ちいいですか?」
彼女が一瞬口を離し、息を整える。その目は潤んでいて、頬は上気している。
「はい……すごく……」
「よかった♡ でも、まだまだこれからですよ」
彼女はそう言って、再びそこに口をつけた。
今度は、少しだけ深く――より多くの部分を、口の中に含む。
「んんっ……♡」
彼女の舌が、さらに激しく動く。先端の裏側をなぞり、溝を舐め、そしてまた表側へ――その一つ一つの動作が、確かに私を感じさせようとしている。
「ちゅぱ……ちゅぱ……れろれろ……♡」
彼女の口が、上下に動く。そのたびに、彼女の頬の内側がそこに擦れ、舌が絡みつき、そして唾液が音を立てる。
その音――くちゅ、くちゅ、ちゅぱちゅぱ――が、静かな室内にやけに艶めかしく響く。
「徹さん……もしかして、もう……?」
彼女が顔を上げ、尋ねる。
「はい……もう、限界かも……」
「ダメですよ♡ まだ、我慢してください。もっと、もっと気持ちよくなれるように、私、頑張りますから」
彼女はそう言って、さらに深く――喉の奥まで――含もうとする。
「んっ……んんっ……♡」
彼女の喉が、そこを締め付ける。その感覚が、さらに快感を増幅させる。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん、我慢、できますか?」
「がんばります……」
「よかった♡ じゃあ……もうちょっとだけ、続けますね」
彼女はそう言って、さらに激しく――まるで全てを絞り出すかのように――動き続けた。
そのとき――私は、もう限界を感じた。
「すみれさん……もう……」
「大丈夫ですよ♡ そのまま……出してください」
彼女の言葉が、最後の後押しをした。
私の意識が、一瞬、真っ白になる。
何かが、勢いよく解放される感覚。それが、彼女の口の中に吸い込まれていった。
「んんっ……んんんっ……♡」
彼女はそれを、一滴も零さないように――まるで宝物を受け止めるかのように――受け止めた。
そして――彼女は、それを飲み込んだ。
「ごくん……♡」
その音が、静かな室内に響く。
「……ふぅ♡」
彼女が口を離し、大きく息を吸った。その目は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「徹さんの……美味しかったです♡ ちょっとだけ、苦かったけど……でも、それが逆に癖になりそうで」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「……でも、まだ終わりじゃないですよ」
「え?」
「だって……これから『お掃除』しないと、ですね♡」
彼女はそう言って、再びそこに口をつけた。
今度は、優しく――まるで名残を惜しむかのように――丁寧に。
「ちゅ……ちゅぱ……れろ……♡」
彼女の舌が、残ったものを全て舐め取る。その動きは驚くほど優しく、そしてどこか慈しみに満ちていた。
「ん……これで、きれいになりましたよ♡」
彼女が顔を上げ、満足そうに微笑んだ。
「徹さん……気持ちよくなれましたか?」
「はい……最高でした」
「よかった♡ 私、徹さんに喜んでもらえて、すごく嬉しいです」
彼女はそう言って、私の隣に寄り添った。
「ねえ、徹さん……」
「はい?」
「さっきの……どうでした? 私のフ〇ラ、気持ちよかったですか?」
「はい、すごく……今までにない経験でした」
「えへへ、そう言ってもらえると、頑張った甲斐があります♡ 実は、このテクニック、結構練習したんですよ。お客様に喜んでいただけるように、家で色々と……」
彼女が少し照れくさそうに言う。
「そんなに練習されてたんですね」
「はい♡ だって、ソ〇プのプロですから。お客様に最高の時間を提供するのが、私の仕事ですからね」
彼女はそう言って、私の肩に頭を預けてきた。
「でも……徹さんにだけは、特別な気持ちでやってます。お世辞とかじゃなくて、本当に」
その言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして♡ それにしても……」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「徹さん、さっきすごくいい顔してましたよ。私、ああいう顔、見るの好きなんです。もっと見たいな〜って思っちゃいました♡」
「それは……また今度、ということで」
「えへへ、そうですね♡ また今度、いっぱい見せてくださいね」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「さてと……それじゃあ、ちょっとだけ休みませんか? 私、喉が乾いちゃいました」
「そうですね」
「ドリンク、何か飲みますか? 冷蔵庫に、色々入ってますよ」
「じゃあ……お茶を」
「わかりました♡ ちょっと待っててくださいね」
彼女はそう言って、ベッドから降りた。その白い背中が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
私は彼女の後ろ姿を見送りながら、これからも続く時間への期待で、胸が熱くなった。
蜜月の紡ぎ
「お茶、入れてきましたよ♡」
彼女の声が、プレイルームに柔らかく響く。彼女はトレイに二つの湯呑みを載せて、優雅な足取りでベッドへと戻ってきた。白い肌に水滴がいくつか残っていて、浴室の湯気がまだ完全には拭いきれていないようだ。
「ありがとうございます」
私は体を起こし、湯呑みを受け取った。ほうじ茶の香ばしい香りが、鼻腔をくすぐる。一口含むと、体温よりも少しだけ高い温度が、じんわりと身体の内側から広がっていく。
「徹さん、さっきはすごく気持ちよさそうな顔してましたね♡」
彼女が私の隣に腰かけて、いたずらっぽく小首をかしげる。その拍子に、彼女の黒髪が肩から滑り落ち、白い鎖骨が一瞬だけ覗いた。
「あんなに見つめられると、さすがに照れてしまいますよ」
「えへへ、でも私は徹さんのそういう顔、もっと見たいな♡
だって、私が気持ちよくさせてあげてる証拠ですもん」
彼女はそう言って、湯呑みを両手で包み込むようにして飲んだ。その仕草が可愛らしくて、つい見入ってしまう。
「そういえば、徹さんは普段、どんなお茶を飲まれるんですか?」
「ほうじ茶が多いですね。あとは、仕事中はよく緑茶を」
「え、研究しておられるのに、そんなに和風なんですね。なんか意外♡
もっとコーヒーとかブラックなイメージでした」
「いや、普通のサラリーマンですよ。特別なものは何も」
「そんなことないです。だって、人の命に関わるお薬を作ってるんでしょ? すごく尊いお仕事だと思います」
彼女の目が、尊敬の色でキラキラと輝く。その視線に、少しだけ照れくさくなる。
「ありがとうございます。でも、一人じゃ何もできませんから。チームでやってるんです」
「徹さんは謙虚なんですね。そういうところも、きっと女の人に好かれる理由なんだろうな〜♡」
彼女はそう言って、湯呑みをサイドテーブルに置いた。そして、ゆっくりと私の方に体を向ける。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「さっきの......フ〇ラ、本当に気持ちよかったですか? 遠慮しなくていいですから、正直に教えてください」
彼女の目が、少しだけ不安そうに揺れている。
「正直に言うと......今まで経験した中で、一番でした」
「本当ですか?」
「はい。優しくて、それでいてしっかり感じさせてくれる。すみれさんは本当にプロなんですね」
「えへへ......そう言ってもらえると、頑張った甲斐があります♡
実は、このテクニック、結構練習したんですよ。お客様に喜んでいただけるように、家で......その......魚肉ソーセージとか使って」
彼女が顔を赤らめて、うつむく。その横顔が、いたずらっ子のように可愛らしい。
「そんなに練習されてたんですね」
「はい♡ だって、ソ〇プのプロですから。お客様に最高の時間を提供するのが、私の仕事ですからね」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目には、プロフェッショナルとしての誇りが輝いている。
「でも......徹さんにだけは、特別な気持ちでやってます。お世辞とかじゃなくて、本当に」
その言葉が、胸の奥にじんわりと沁みる。
「さてと......♡」
彼女が立ち上がり、ベッドの端に立った。間接照明が彼女の身体を後ろから照らし出し、そのシルエットを幻想的に浮かび上がらせる。
「そろそろ......次のことを、してもいいですか?」
「次のこと、ですか?」
「はい♡ さっき、お風呂で『パ〇ズリ』して、それからフ〇ラもしたけど......まだ、本当の意味での『サービス』は、してなかったですよね?」
彼女の言葉に、心臓がどくんと跳ねる。
「徹さん......私と、もっと深くつながりたいと思ってくれますか?」
その問いかけは、優しくて、それでいて確かな意思を感じさせた。
「はい......もちろんです」
「よかった♡ 私も、徹さんとつながりたいです」
彼女はそう言って、ベッドに横たわった。白いシーツの上に広がる黒髪。透き通るような肌。豊かな曲線を描く胸元。そして、そこから続く優雅なライン。
「徹さん......」
彼女が手を差し伸べる。その手のひらは、温かくて、少しだけ震えている。
「どうぞ......私の上に来てください」
私は彼女の手を握り、ゆっくりと彼女の身体を覆うようにして体勢をとった。肘をつき、体重をかけすぎないように気をつけながら。
「重たくないですか?」
「ううん、ちょうどいい♡ むしろ......この重み、すごく安心する」
彼女の両手が、私の背中に回される。その指先が、背中の筋肉をなぞるように動く。
「徹さん......」
「はい?」
「キス......してもらえますか?」
その言葉に、私はそっと彼女の唇に自分のそれを重ねた。
最初は優しく、触れるだけ——蝶が羽を休めるかのように。
「ん......♡」
彼女の吐息が、私の唇をかすめる。
少しだけ唇を離し、またすぐに重ねる。ちゅっ、ちゅっ——という小さな音が、静かな室内に艶めかしく響く。
「ちゅ......れろ......♡」
私の舌が、そっと彼女の唇の隙間をなぞる。彼女が応えるように少しだけ口を開けると、その隙間から彼女の舌が顔を出した。
「んんっ......♡」
二つの舌が触れ合う。最初は遠慮がちに、先端だけで軽く絡み合う。
彼女の舌は温かくて、柔らかくて、そしてほんのりと甘い——さっき、彼女の口の中で味わったのと同じ、あの味がした。
「ちゅ......れろれろ......♡」
私の舌が、彼女の口の中へと入り込む。彼女の歯茎の辺りをなぞり、頬の内側を優しく撫でる。
「んんっ......♡ はぁ......」
彼女の息遣いが、少しだけ荒くなっているのがわかる。
私の舌が、彼女の舌と絡み合う。絡め、離れ、また絡め——まるで潮の満ち引きのように、優しく、そして絶え間なく。
唾液が混ざり合い、口の端から零れ落ちそうになる。それを彼女が吸い戻すように、ちゅっ——と音を立てた。
「れろ......んちゅ......ちゅぱ......♡」
私たちの舌は、もはやどちらがどちらのものかわからないほどに絡み合っている。彼女の舌が、私の舌の先端を軽く吸う。その感覚が、ぞくぞくと背筋を走らせた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......」
彼女が唇を離し、大きく息を吸う。その胸が上下に動き、豊かな曲線が揺れる。
「すごく......気持ちよかったです。こんなに深いキス、久しぶりで......」
「よかった」
「徹さんのキス......癖になりそうです。優しくて、それでいてしっかり私のこと、感じさせてくれて......♡」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「さてと......それじゃあ、そろそろ......本題に入りましょうか?♡」
彼女がそう言って、私の腰に手を回した。その指先が、優しく——でも確かな意思を持って——導こうとしている。
「徹さん......」
彼女が顔を上げ、まっすぐに私を見つめる。その大きな瞳は、潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「私......準備、できてます」
その言葉に、私はゆっくりと——慎重に——腰を動かした。
最初は、触れるか触れないかの距離で。
彼女のそこは、既に充分に潤っていて、熱くて、そして柔らかかった。
「あっ......♡」
彼女の声が、かすかに上がる。
「痛くないですか?」
私はすぐに動きを止めて、尋ねた。
「ううん......大丈夫。でも、びっくりしちゃって......」
彼女がそう言って、軽く笑った。
「徹さん、すごく大きいから......ちょっとだけ、怖いかも」
「じゃあ、もっとゆっくりにしますね」
「うん......ありがとう♡ 優しいね、徹さんは」
私はさらに慎重に——まるで壊れものを扱うかのように——少しだけ深く進んだ。
「んっ......♡」
彼女が微かに眉をひそめる。その表情は、苦しさと期待が入り混じっているようだった。
「大丈夫ですか?」
「うん......ちょっとだけ、圧迫感があるけど......でも、気持ちいい」
「どこか痛いところがあれば、すぐに言ってくださいね」
「うん......徹さんは本当に優しいね。そういうところ、すごく好き」
彼女の言葉が、緊張をほぐしてくれる。
私はさらに——もう少しだけ——深く進んだ。
「あっ......♡」
彼女の身体が、微かに震える。
「今の......どうでした?」
「すごく......深いところまで来てるのがわかる。なんか......満たされてる感じ」
彼女がそう言って、私の背中に回した腕に力を込める。
「もう少しだけ......このままでいてくれる?」
「はい」
私は動きを止め、彼女の身体を優しく抱きしめた。彼女の胸の膨らみが、私の胸に押し付けられる。その柔らかな感触と、規則正しい鼓動が伝わってくる。
「徹さんの心臓......ドキドキしてるね」
「すみれさんのも、ドキドキしてますよ」
「えへへ......そうだね♡ お互い様だ」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽく笑う。その笑顔が、あまりにも可愛らしくて——胸の奥がきゅっと締め付けられる。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね......正常位が一番好きなんだ」
「そうなんですか?」
「うん♡ だって、お互いの顔が見えるでしょ? どんな表情してるか、ちゃんとわかるし......それに、キスもできるし」
彼女はそう言って、そっと私の頬に手を当てた。
「それに......こうやって抱きしめ合えるのが、すごく安心する。一人じゃないんだな〜って」
「確かに......そうですね」
「徹さんは? どんな体勢が好き?」
「そうですね......僕も正常位が好きです。やっぱり、相手の顔が見えるのが一番ですから」
「えへへ......じゃあ、相性いいね♡ 私も徹さんと、いっぱい目を合わせたい」
彼女がそう言って、腰を微かに動かした。その動きに合わせて、結合部からかすかな水音が聞こえる。
「あっ......♡」
「大丈夫ですか?」
「うん......大丈夫。ちょっと動かしてみたくなっちゃって」
彼女が照れくさそうに笑う。
「じゃあ......もう少しだけ、動いてもいいですか?」
「はい......でも、ゆっくりでお願いします」
「もちろんです」
私は慎重に——ゆっくりと——腰を動かし始めた。
引き、押し、また引き——そのリズムは一定ではなく、時には止まりながら、彼女の反応を確かめるように。
「んっ......♡ あっ......♡」
彼女の声が、かすかに上がる。そのたびに、彼女の指が私の背中に食い込む。
「気持ちいいですか?」
「うん......すごく......でも、もっと......見ててほしい」
「見てますよ。ずっと、すみれさんのこと」
「そうじゃなくて......」
彼女が恥ずかしそうに言う。
「私の......気持ちよさそうな顔、ちゃんと見ててほしいな〜って」
その言葉に、私は少しだけ体を起こし、彼女の顔をしっかりと見つめた。
頬は上気して、ほんのりと赤い。大きな瞳は潤んでいて、少しだけとろりとしている。唇は微かに震えていて、そこから甘い吐息が漏れている。
「きれいですよ、すみれさん」
「......そう言われると、余計に恥ずかしくなっちゃう♡」
彼女が両手で顔を隠そうとする。でも、その隙間から覗く目は、しっかりと私を見つめていた。
「でも......徹さんに見てもらえて、嬉しい」
私は再びゆっくりと——先ほどよりも少しだけ深く——動き始めた。
「あっ......♡ そこ......」
「ここですか?」
「うん......すごく、気持ちいい......でも、強くしないで。そのまま、優しく......」
「わかりました」
私は彼女の希望を守り、決して強くならないように気をつけながら——まるで風が波を撫でるように——優しく、そして絶え間なく動き続けた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......」
「どうしました?」
「その......私、ちょっとだけ、恥ずかしい話してもいい?」
「もちろんです」
「実はね......昔、バックでやってたときに、空気が入っちゃって......その......ブブーって音がなっちゃったことがあって」
彼女が顔を真っ赤にして言う。
「それで......すごく恥ずかしくて。それ以来、バックされるの、ちょっと怖くなっちゃって」
「そうだったんですね」
「うん......でも、正常位ならそんな心配ないし、それに相手の顔も見えるから、安心できる」
彼女はそう言って、ほっとしたように微笑んだ。
「徹さんは......そういう経験、ある?」
「いや、ないですね。でも、そういう話を聞くと、やっぱり相手の気持ちを考えるのが一番大事だなって思います」
「徹さんは本当に優しいね......そういうところ、すごく好き」
彼女が両腕を伸ばし、私の首に抱きついた。
「ねえ......もう少しだけ、深くしてもいいよ」
「でも、痛くないですか?」
「うん......大丈夫。もう、慣れてきたから」
彼女の言葉に、私は慎重に——少しだけ——深さを増した。
「あっ......♡」
彼女の声が、少しだけ高くなる。
「そこ......すごく、いい......」
「気持ちいいですか?」
「うん......でも、強くしないで。そのままで......優しく」
「わかりました」
私は同じリズム、同じ深さで——でも、より一層優しく——動き続けた。
結合部からは、かすかな水音が絶え間なく聞こえる。それは、彼女の身体がしっかりと私を迎え入れている証だった。
「徹さん......」
「はい?」
「もしかして......さっきのフ〇ラのとき、もう一回くらいイけそうだった?」
「はい......実はそうでした」
「やっぱり♡ だって、徹さんの〇んちん、すごく膨らんでたもんね。私、それ見て、すごく嬉しくなっちゃった」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「でも......まだ、我慢してね。もっと、もっと気持ちよくなれるから」
「はい」
「それに......私ね、徹さんと一緒にイきたいな〜って思ってるんだ」
「一緒に、ですか?」
「うん♡ 同時に......イけたら、すごく気持ちいいと思うんだ」
彼女の言葉に、胸が熱くなる。
「じゃあ......一緒に、頑張りましょう」
「うん♡ 約束ね」
彼女がそう言って、さらに強く抱きしめてきた。
私はゆっくりと——優しく——そして確かな愛情を込めて——動き続けた。
「徹さん......」
「はい?」
「あのね......私、この仕事を始めたのは、お金のためだったんだ」
彼女がぽつりと漏らす。
「でも......今は違う。お客様に喜んでもらえて、『ありがとう』って言ってもらえるのが、すごく嬉しくて」
「そうだったんですね」
「うん......それに、今日みたいに徹さんみたいな優しい人と出会えるなら、この仕事を続けてて良かったな〜って、心から思える」
彼女の目が、潤んでいる。それが、涙なのか、それとも快感のせいなのかはわからない。
「すみれさん......」
「ごめんね、急にこんな話しちゃって。重いよね」
「いいえ。むしろ、そういう気持ちを聞けて、嬉しいです」
「ほんと?」
「はい。だって、すみれさんがどんな想いでこの仕事をしてるか、少しだけわかった気がしますから」
「徹さん......」
彼女が顔を上げ、まっすぐに私を見つめる。その目には、確かな信頼の色が輝いていた。
「ありがとう......そう言ってもらえて、すごく嬉しい」
彼女はそう言って、そっと私の頬にキスを落とした。
「それじゃあ......もうちょっとだけ、激しくしてもいいよ。もう、大丈夫だから」
「でも......」
「うん、本当に大丈夫。それに......私、もっと徹さんを感じたい」
その言葉に、私は少しだけ——ほんの少しだけ——動きの速度を上げた。
「あっ......♡ あっ......♡ それ......すごく、いい......」
彼女の声が、途切れ途切れになっている。そのたびに、彼女の身体が微かに震える。
「気持ちいいですか?」
「うん......すごく......でも、もっと......見てて」
「見てますよ」
「私の......目、見てて。そらさないで」
私は彼女の大きな瞳をじっと見つめた。その奥には、快感と愛情と、そして少しだけ切なさが混ざり合った、複雑な感情が揺れている。
「徹さん......」
「はい?」
「好き......かも」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「お世辞とかじゃなくて、本当に。徹さんのこと......好きになっちゃったかも」
「僕もです」
「ほんと?」
「はい。こんなに心が通じ合うなんて、初めてです」
「徹さん......」
彼女の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
「嬉しい......すごく、嬉しい」
彼女はそう言って、両腕で私の首をぎゅっと抱きしめた。
私はさらに——でも、決して強くならないように気をつけながら——ゆっくりと、優しく、そして確かな愛情を込めて——動き続けた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......もう、私......」
「イきそうですか?」
「うん......でも、まだ......一緒に......」
「わかりました。一緒に、行きましょう」
私たちはお互いの目を見つめ合ったまま——決して視線をそらさずに——ゆっくりと、でも確実に——頂点へと向かっていった。
「あっ......あっ......ああっ......♡」
彼女の声が、次第に高くなる。
私も——もう限界に近づいていた。
でも——そこで、私はふと気づいた。
「あっ......」
「どうしたの、徹さん?」
「その......さっき、コンドーム、着けてなかったことに気づいて」
「えへへ......大丈夫だよ♡」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「ここ、高級店だから。それに......私、ちゃんと検査も受けてるし、安心してね」
「でも......」
「それに......私ね、徹さんと直接つながりたいの。何も隔てずに、感じ合いたい」
その言葉に、私はもう何も言えなくなった。
「それじゃあ......続けよっか♡」
彼女がそう言って、腰を微かに動かす。
私はもう一度——慎重に、でも確かな意思を持って——動き始めた。
「あっ......♡ それ......すごく、いい......」
彼女の声が、また艶めかしく響く。
私たちは再び——お互いの目を見つめ合いながら——ゆっくりと、でも確実に——頂点へと向かっていった。
「徹さん......もう......ダメ......」
「僕も......です......」
「一緒に......行こう......」
「はい......」
私たちの身体が、同時に——微かに震えた。
その瞬間——何かが、弾けそうになっているのを感じた。
でも——私は、そこで動きを止めた。
「はぁ......はぁ......」
「徹さん......どうして......?」
「まだ......です。もっと、すみれさんを感じていたい」
「......♡」
彼女の目から、再び涙がこぼれ落ちた。
「徹さんは......本当に、ずるいよ」
「そうですか?」
「うん......でも、そのずるさ、すごく好き」
彼女はそう言って、そっと私の頬に手を当てた。
「じゃあ......もっと、感じさせて。私のこと、いっぱい感じて」
「はい」
私は再び——でも、今度は先ほどよりもさらに優しく——ゆっくりと動き始めた。
結合部からは、かすかな水音が絶え間なく聞こえる。それは、彼女の身体がしっかりと私を迎え入れている証だった。
「徹さん......」
「はい?」
「私ね......将来、結婚したいな〜って思ってるんだ」
「そうなんですね」
「うん......でも、この仕事をしてると、なかなか難しくて」
「そうかもしれませんね」
「でも......徹さんみたいな人に出会えるなら、きっといつか......」
彼女の言葉が、そこで途切れた。
「ごめん、なんでもない。変なこと言っちゃった」
「いいえ。むしろ、そういう夢を持ってるなんて、素敵だと思います」
「ほんと?」
「はい。応援してます」
「徹さん......ありがとう」
彼女はそう言って、さらに強く抱きしめてきた。
私はゆっくりと——優しく——そして確かな愛情を込めて——動き続けた。
「あっ......♡ あっ......♡ 徹さん......もう......」
「もう少しだけ、一緒にいてください」
「うん......ずっと......一緒にいて」
私たちの身体は、もはや一つになったかのようだった。
お互いの鼓動が伝わり、お互いの温もりが混ざり合い、お互いの吐息が絡み合う。
「徹さん......」
「はい?」
「好き......」
「僕もです」
「愛してる......」
その言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
私はさらに——でも、決して離さないように——優しく、そして確かな愛情を込めて——動き続けた。
時間が、ゆっくりと流れていく。
私たちは、お互いの存在を確かめ合うように——何度も何度もキスをし、抱きしめ合い、そしてまた動く。
「徹さん......そろそろ......」
「はい......もう......限界です」
「私も......一緒に......」
「はい」
私たちはお互いの目を見つめ合ったまま——決して視線をそらさずに——ゆっくりと、でも確実に——頂点へと向かっていった。
そのとき——
「あっ......♡」
彼女の身体が、大きく弓なりになった。
そして——私も——その瞬間——全てを——彼女に——委ねた。
私たちの身体が、同時に——激しく震えた。
それが——長いようで、一瞬のような——永遠の時間だった。
「はぁ......はぁ......はぁ......」
私たちは荒い息を整えながら、その余韻に浸っていた。
彼女の身体は、まだ微かに震えていて、その温もりがじんわりと伝わってくる。
「......大丈夫ですか?」
私が尋ねると、彼女はゆっくりと目を開けた。その瞳は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「うん......すごく、気持ちよかった」
「よかった」
「徹さんは?」
「はい......最高でした」
「えへへ......そう言ってもらえると、嬉しいな」
彼女はそう言って、そっと私の頬に手を当てた。
「ねえ......まだ、こうしててくれる?」
「はい」
「ありがとう......」
私たちは——お互いを感じ合いながら——しばらくの間、そのままでいた。
時折、キスをし、抱きしめ合い、そしてまた——お互いの鼓動を確かめ合う。
「徹さん......」
「はい?」
「今の......覚えてる?」
「もちろんです。一生、忘れません」
「私も......絶対に忘れない」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「でも......そろそろ、体勢を変えてもいいかな?」
「え?」
「だって......まだ、夜は長いんだよ?♡」
彼女の言葉に、心臓がどくんと跳ねる。
「次は......私が上になる番。覚えてる?」
「はい」
「じゃあ......ちょっとだけ、抜いてくれる?」
私は慎重に——ゆっくりと——彼女から離れた。
その瞬間、名残惜しさのような感覚が、胸をよぎる。
「徹さん......」
彼女が立ち上がり、私の手を取った。
「今度は......私が、徹さんを気持ちよくさせてあげるね♡」
彼女の目は——獲物を狙う肉食獣のような——確かな輝きを帯びていた。
でも、その奥には——優しさと愛情と——そして少しだけいたずらっぽさが、混ざり合っていた。
「さあ......寝転がってください。これから、もっとすごいことを、してあげますから♡」
私は言われるままに、仰向けに寝転がった。
天井の間接照明が、柔らかな光の輪を描いている。
彼女が——ゆっくりと——私の上に——乗ってきた。
その白い肌が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
黒髪が、肩からこぼれ落ち、私の胸の上で揺れる。
「徹さん......」
彼女が顔を近づける。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
「今度は......いっぱい、気持ちよくなってね♡」
そう言って、彼女の唇が——再び——私のそれに——重なった。
私は仰向けに寝転がり、天井の間接照明が描く柔らかな光の輪をぼんやりと見つめていた。するとすぐに、彼女の気配が私の上に覆いかぶさるように近づいてくる。
「徹さん......」
彼女が両手を私の胸の上に置き、その豊かな黒髪がカーテンのように私の顔の両側に垂れ下がった。シャンプーの甘い香りが、ふわりと鼻腔をくすぐる。
「緊張してる? 心臓、ドキドキしてるよ」
「そりゃあ、こんなに綺麗な人に上に乗られれば、誰だって緊張しますよ」
「えへへ......徹さんは本当に、そういうことすぐ言いますね♡」
彼女は照れくさそうに笑いながら、ゆっくりとその身体を私の上に重ねてきた。彼女の胸の柔らかな膨らみが、私の胸に押し付けられる。その感触が、じんわりと熱を運んでくる。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「その前に......一つ、聞いてもいい?」
「もちろんです」
「私ね......騎乗位が一番好きなんだ。なんでかわかる?」
彼女がいたずらっぽく小首をかしげる。その拍子に、黒髪が肩から滑り落ち、白い鎖骨が一瞬だけ覗いた。
「うーん......自分で動きをコントロールできるから?」
「それもあるけど......」
彼女はそう言って、そっと私の頬に手を当てた。
「お互いの顔が、ちゃんと見えるでしょ? 相手がどんな表情してるか、ちゃんとわかるし......それに、キスもできるし」
「なるほど」
「それにね......こうやって上にいると、なんか......すごく女の子って感じがするんだ。自分から気持ちよくさせてあげてるって実感できるっていうか」
彼女の言葉に、私はただ頷くことしかできなかった。
「徹さんは? 騎乗位、好き?」
「はい。やっぱり相手の顔が見えるのが一番ですから。それに......」
「それに?」
「すみれさんのきれいな顔を、間近で見られるのが嬉しいです」
「もう......徹さんは本当に、そういうの得意なんだから♡」
彼女はそう言って、軽く私の胸をぽんぽんと叩いた。その仕草が可愛らしくて、思わず笑みがこぼれる。
「さてと......」
彼女が体を起こし、私の腰の上にまたがるようにして位置を調整した。その時、彼女の太ももの内側が私の脇腹にそっと触れる。その肌は温かくて、驚くほど滑らかだった。
「あの......すみれさん」
「ん?♡」
「その......ゼリーとか、塗った方がいいですか?」
私は少し躊躇いながら尋ねた。彼女のそこは、確かに先ほどの行為で十分に潤っているように見えたけれど、それでも念のため確認したかった。
「あっ......」
彼女は一瞬、驚いたように目を見開き、それから嬉しそうに微笑んだ。
「徹さんは本当に優しいね。そんなこと、聞いてくれる人、なかなかいないよ」
「そうなんですか?」
「うん。みんな、自分のことだけで精一杯で......でも、徹さんは違うんだね」
彼女はそう言って、少し考え込むように顎に手を当てた。
「でもね......大丈夫だよ♡」
「大丈夫、ですか?」
「うん。だって、さっきたっぷり仲良くしたから、まだ充分潤ってるし......それにね」
彼女が恥ずかしそうにうつむく。
「私、けっこう......その、出やすい体質っていうか......ごめんね、そんなこと言って」
「謝ることじゃないですよ。むしろ、そう言ってもらえて安心しました」
「ほんと?」
「はい。無理してほしくないですから」
「徹さん......ありがとう♡」
彼女はそう言って、感謝の気持ちを込めるように、そっと私の唇にキスを落とした。それは触れるだけの、優しいキスだった。
「じゃあ......そのまま、入れてみるね」
彼女がゆっくりと腰を下ろし始める。彼女の右手が、私のそこを優しく導くように動く。
最初は――触れるか触れないかの、微かな接触。
「ん......♡」
彼女の吐息が、甘く漏れる。
「徹さん......すごく、熱いね」
「すみれさんも、熱いです」
「えへへ......お互い様だね♡」
彼女がさらに――慎重に――腰を沈める。
その瞬間、じんわりと温かいものが、私のそこを包み込んでいく感覚があった。それはまるで、温めた蜂蜜の中にゆっくりと指を浸していくような――甘く、優しく、そして確かな充足感。
「あっ......♡」
彼女の声が、かすかに上がる。
「大丈夫ですか? 痛くないですか?」
私はすぐに尋ねた。彼女の表情が、ほんの少しだけこわばっているように見えたから。
「ううん......大丈夫。でも、びっくりしちゃって」
彼女がそう言って、軽く笑った。
「徹さん、やっぱり大きいね。さっきも思ったけど、入れた瞬間、すごく......満たされる感じがする」
「無理してませんか?」
「ううん、本当に大丈夫。それに......」
彼女がいたずらっぽくウインクする。
「私、これくらいのサイズ、慣れてるから♡ 高級店で働いてると、大きいお客様、結構いらっしゃるんだよ」
「そうなんですね」
「うん。でもね......」
彼女が少しだけ、申し訳なさそうにうつむく。
「大きすぎると、たまに......子宮の入り口に当たっちゃって、ちょっと痛い時もあるの」
「え......それ、大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫。ちゃんと調整できるから。それに、徹さんはすごく優しいから、そんなに深くまで入れようとしないでしょ?」
「そうですね。できるだけ、すみれさんが気持ちいいようにしたいですから」
「えへへ......そう言ってもらえると、すごく安心する♡」
彼女はそう言って、さらに――ゆっくりと――腰を下ろした。
「あっ......♡」
彼女の身体が、微かに震える。
「今の......結構、深いとこまで来た」
「気持ちいいですか?」
「うん......でも、もっとゆっくりがいい。じっくり......感じたいから」
「わかりました」
私は動かず、ただ彼女のペースに合わせることに専念した。彼女がどのくらいの深さで、どのくらいの速さを望んでいるのか――それを確かめるように。
「徹さん......」
「はい?」
「ねえ、私のこと......どう思う?」
突然の問いかけに、少し戸惑った。
「どういう意味ですか?」
「なんとなく......聞きたくなっちゃって。変な質問だよね、ごめん」
「いいえ。そうですね......」
私は正直な気持ちを伝えることにした。
「美しくて、優しくて、プロフェッショナルで......でも、どこか可愛らしいところもある。そんな風に思います」
「可愛い......」
彼女がその言葉を、何度か繰り返すように口にする。
「私のこと、可愛いって言ってくれる人、初めてかも。みんな、『綺麗』とか『セクシー』とかは言うけど......」
「そうなんですか?」
「うん。でも......なんか、嬉しい。徹さんに『可愛い』って言ってもらえるの、すごく嬉しい」
彼女の目が、少しだけ潤んでいるように見えた。
「ありがとう♡」
そう言って、彼女は再びゆっくりと――今度は先ほどよりもさらに慎重に――腰を動かし始めた。
「んっ......♡ あっ......♡」
彼女の声が、かすかに上がる。そのたびに、彼女の指が私の胸に食い込む。
「気持ちいいですか?」
「うん......すごく。徹さんの、すごく熱くて......それでいて、硬すぎない。ちょうどいい感じ」
「よかった」
「でもね......」
彼女が動きを止め、私の顔をまっすぐに見つめる。
「もしかして、徹さん......我慢してる?」
「え?」
「だって、全然動こうとしないから。私のこと、傷つけたくないって思ってくれてるんでしょ?」
「......はい。そういう気持ちもあります」
「徹さんは本当に優しいね。でも......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「今日はね、私は『気持ちよくなりたい』っていうより、『徹さんを気持ちよくさせたい』っていう気持ちの方が、大きいんだ」
「そんな......」
「それにね、私はプロだから。お客様に喜んでいただくのが、私の仕事だから」
彼女はそう言って、両手を私の手に重ねた。
「だから......今日は、私に気持ちよくなられせて?」
その言葉に、私はもう何も言えなくなった。
「わかりました」
「よかった♡ じゃあ......もうちょっとだけ、激しく動いてもいい?」
「はい。でも、痛くなったらすぐに言ってくださいね」
「うん、約束する♡」
彼女はそう言って、再び腰を動かし始めた。今度は先ほどよりも少しだけ速く、そして少しだけ深く。
「あっ......♡ あっ......♡」
彼女の声が、規則的に上がる。そのたびに、結合部からかすかな水音が聞こえる――それは、彼女の身体がしっかりと私を迎え入れている証だった。
「徹さん......」
「はい?」
「さっきの......正常位のときも思ったんだけど、徹さんって、すごくタイミングが上手いね」
「そうですか?」
「うん。私が『ここ』って思ったところを、ちゃんと押さえてくれてる。これって、センスの問題だよね」
「そんなことないですよ。ただ、すみれさんの反応を見ながら動いてるだけです」
「だから、それができる人が少ないんだってば♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「そういえば......徹さんは、どんな体勢が一番好き?」
「そうですね......やっぱり正常位か、騎乗位ですね。相手の顔が見えるのが一番ですから」
「私も同じ♡ だって、どんなに気持ちよくても、相手の顔が見えないと、なんだか寂しいもん」
彼女はそう言って、今度は大きく――弧を描くように――腰を動かした。
「ああっ......♡」
彼女の声が、少しだけ高くなる。
「そこ......すごく、いい......」
「気持ちいいですか?」
「うん......でも、もう少しだけ、優しくしてほしい。強くされると、ちょっと痛くなっちゃうから」
「わかりました」
私は彼女の希望を守り、より一層優しく――まるで風が波を撫でるように――動き続けた。決して強くならず、決して急がず。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん、ありがとう」
「どういたしまして」
彼女は両腕を伸ばし、私の首に抱きついた。
「ねえ......ちょっとだけ、このままでいて」
「はい」
彼女は動きを止め、私の胸の上に顔をうずめた。その黒髪が、私の首元をくすぐる。
「徹さんの心臓、ドキドキしてる」
「すみれさんのも、ドキドキしてますよ」
「うん......でも、なんか落ち着く。この鼓動、すごく心地いい」
彼女はそう言って、しばらくの間、そのままでいた。
時折、彼女の指が私の背中をなぞる。その動きは優しく、まるで子守唄を奏でるかのようだった。
「徹さん......」
「はい?」
「私ね......将来、結婚したいな〜って思ってるんだ」
「そうなんですね」
「うん。でも、この仕事をしてると、なかなか難しくて」
「そうかもしれませんね」
「それに、好きな人に、この仕事のことを打ち明けるの、すごく怖くて......」
彼女の声が、少しだけ沈む。
「でも、徹さんみたいな人に出会えるなら、きっといつか......」
「応援してますよ」
「ほんと?」
「はい。すみれさんは、素敵な人ですから。きっといい人に出会えますよ」
「徹さん......ありがとう」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目は潤んでいて、でも確かな希望の光を宿していた。
「それじゃあ......もうちょっとだけ、頑張るね♡」
彼女が再び腰を動かし始める。今度は、少しだけリズムを変えて――時には速く、時には遅く、時には円を描くように。
「あっ......あっ......♡ 徹さん......すごく、いい......」
「気持ちいいですか?」
「うん......でも、ちょっと疲れてきたかも」
「じゃあ、休みますか?」
「ううん、大丈夫。でも......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「徹さんの手、使ってもいい?」
「もちろんです。どう使ってほしいですか?」
「私の胸......触ってほしい」
彼女はそう言って、私の右手を自分の胸に導いた。
その柔らかな膨らみは、私の手のひらに収まりきらないほど豊かで、温かかった。
「こうやって......優しく包み込んでくれるのが、一番好き」
彼女の言葉に従い、私は手のひら全体で彼女の胸を優しく包み込んだ。親指でゆっくりと円を描くように動かす。
「あっ......♡ それ......すごく、いい......」
彼女の声が、また艶めかしいものに変わる。
「乳首は......強く触らないでね。敏感だから」
「わかりました」
私は彼女の希望を守り、乳首の先端には決して触れないように気をつけながら、その周辺を優しく愛撫し続けた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん、すごく上手......」
「そうですか?」
「うん。だって、私の気持ちをちゃんと聞いてくれて......それに合わせて動いてくれて......そういうの、すごく伝わってくる」
彼女の言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
「それにしても......」
彼女が私の顔をまっすぐに見つめる。
「徹さん、やっぱりイケメンだね。こんなに近くで見ると、よりわかる」
「そんなことないですよ」
「いやいや、本当。目がきれいだし、鼻筋通ってるし......それに、肌もきれい」
「ありがとうございます」
「えへへ、どういたしまして♡」
彼女はそう言って、また腰を動かし始めた。今度は少しだけ深く――より多くの部分を感じ合うように。
「あっ......♡ そこ......すごく、いい......」
「ここですか?」
「うん......でも、強くしないで。そのままで」
「わかりました」
私は同じリズム、同じ深さで――でも、より一層優しく――動き続けた。
結合部からは、かすかな水音が絶え間なく聞こえる。それは、彼女の身体がしっかりと私を迎え入れている証だった。
「徹さん......」
「はい?」
「私ね......この仕事、お金のためだけに始めたんじゃないんだ」
「そうなんですか?」
「うん。もともとは......家を出たくて。それで、一人でも生きていける方法を探してたら、ここに辿り着いた」
「そうだったんですね」
「でもね......続けてるうちに、だんだん楽しくなってきた。お客様に『ありがとう』って言ってもらえるのが、すごく嬉しくて」
彼女の目が、優しい光を帯びている。
「それに、今日みたいに徹さんみたいな優しい人と出会えるなら、この仕事を続けてて良かったな〜って、心から思える」
「すみれさん......」
「ごめんね、急にこんな話しちゃって。重いよね」
「いいえ。むしろ、そういう気持ちを聞けて、嬉しいです」
「ほんと?」
「はい。だって、すみれさんがどんな想いでこの仕事をしてるか、少しだけわかった気がしますから」
「徹さん......ありがとう」
彼女はそう言って、そっと私の頬にキスを落とした。
「それじゃあ......そろそろ、休ませてもらおうかな」
「疲れましたか?」
「うん、ちょっとだけ。でも......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「徹さんの上で休むの、すごく気持ちいいんだ」
彼女はそう言って、ゆっくりと私の胸の上に身を預けた。その豊かな黒髪が、私の首元に広がる。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「このまま......一緒にいてくれる?」
「もちろんです」
「ありがとう......」
彼女はそう言って、目を閉じた。規則正しい呼吸が、私の胸の上で微かに伝わる。
しばらくの間、私たちはそのままでいた――お互いの温もりを確かめ合いながら、お互いの鼓動を聞きながら。
時間が、ゆっくりと流れていく。
時折、彼女が微かに腰を動かす。そのたびに、結合部からかすかな水音が聞こえ、彼女の存在をより強く感じさせた。
「徹さん......」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目は少しだけとろりとしている。
「そろそろ......続けてもいい?」
「はい。でも、無理しないでくださいね」
「うん、わかった♡」
彼女が再び体を起こし、私の腰の上に座り直す。その白い肌が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
「それじゃあ......もうちょっとだけ、激しくしてもいい?」
「はい。でも......」
「わかってる。痛くなったら、すぐに言うって約束したもんね♡」
彼女はそう言って、いたずらっぽくウインクした。
そして――彼女の動きが、次第に速くなっていく。
「あっ......あっ......あっ......♡」
彼女の声が、規則的に上がる。そのたびに、彼女の胸が揺れ、黒髪が舞う。
「徹さん......気持ちいい?」
「はい、すごく」
「私も......すごく気持ちいい」
彼女はそう言って、さらに動きを速めた。
そのとき――彼女のそこから、かすかだが確かな水音が聞こえてきた。くちゅ、くちゅ、くちゅ――それは、彼女の身体が私をしっかりと受け入れ、そして離し、また受け入れている証だった。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「この音......聞こえる?」
「はい」
「恥ずかしいけど......でも、なんか嬉しい。だって、それだけ私が感じてるって証拠だから」
彼女はそう言って、照れくさそうに笑った。
「それに......徹さんと、ちゃんとつながってるって感じられる」
「確かに......そうですね」
「うん。だから、私はこの音、嫌いじゃない」
彼女はそう言って、また動き始めた。
今度は、少しだけリズムを変えて――時には深く、時には浅く、時には円を描くように。
「あっ......あっ......♡ 徹さん......もう、ちょっと......」
「イきそうですか?」
「うん......でも、まだ......もうちょっとだけ、このままでいたい」
「わかりました」
私は彼女の希望を守り、同じリズム、同じ深さで――でも、より一層優しく――動き続けた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......」
「はい?」
「私ね......この仕事を始めて、よかったって思える瞬間が、結構あるんだ」
「そうなんですか?」
「うん。例えば、今日みたいに......徹さんみたいな優しい人と出会えたとき」
彼女の目が、優しい光を帯びている。
「それに、お客様が『ありがとう』って言ってくれるとき。『また会いに来るよ』って言ってくれるとき」
「それは、やりがいがありますね」
「うん。だから、これからも続けていきたいな〜って思ってる」
「応援してます」
「ありがとう♡ 徹さんにそう言ってもらえると、すごく力になる」
彼女はそう言って、また腰を動かし始めた。今度は少しだけ強く――より深く感じ合うように。
「あっ......♡ そこ......すごく、いい......」
「気持ちいいですか?」
「うん......でも、もう少しだけ、優しくしてほしい」
「わかりました」
私はさらに優しく――まるで壊れものを扱うかのように――動き続けた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......」
「はい?」
「そろそろ......体勢、変えてもいい?」
「もちろんです」
「じゃあ......ちょっとだけ、抜いてくれる?」
私は慎重に――ゆっくりと――彼女から離れた。
その瞬間、名残惜しさのような感覚が、胸をよぎる。
「徹さん......」
彼女がベッドから降り、私の手を取った。
「次は......バックで、してもいい?」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねる。
「はい、もちろんです」
「よかった♡ じゃあ......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「今度は、徹さんが私を......気持ちよくさせてね」
そう言って、彼女はゆっくりと四つん這いの体勢を取った。
その白い背中が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
艶やかな黒髪が、背中の曲線に沿って流れ落ちる。
そして――そこから続く、優雅なライン。
「徹さん......」
彼女が振り返り、私を見つめる。
「徹さん......」
彼女が振り返り、私を見つめる。その大きな瞳は潤んでいて、期待と少しだけ緊張が混ざり合っている。
「それじゃあ......そのまま、お願いします」
「はい。でも、痛くなったらすぐに言ってくださいね」
「うん、約束する♡」
彼女はそう言って、前の方に体を預けた。両肘をシーツにつき、顔を少しだけ横に向ける。その姿勢が、彼女の背中のラインをより一層美しく浮かび上がらせていた。
艶やかな黒髪が、背中の曲線に沿って流れ落ちる。首筋から肩へ、肩から背中へと続くラインは、まるで山水画の筆致のように優雅で、白い肌が柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
鎖骨の影が、胸の膨らみの始まりを暗示している。そして、くびれたウエストから、豊かなヒップへと続く曲線——その先に、彼女の最も神秘的な場所がある。
「徹さん......」
彼女が小さな声で言う。
「あんまり......じっと見られると、恥ずかしくなっちゃう」
「すみません......つい、見惚れてしまって」
「もう......徹さんは本当に、そういうところずるいよ♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。その笑顔が、緊張をほぐしてくれる。
私は彼女の後ろに膝をつき、ゆっくりと近づいた。彼女の太ももの内側が、私の膝にそっと触れる。その肌は温かくて、驚くほど滑らかだった。
「じゃあ......入れるね」
「うん......お願い♡」
私は右手で自分のそこを優しく導き、左手で彼女の腰をそっと支えた。
最初は——触れるか触れないかの、微かな接触。
彼女のそこは、先ほどまでの行為で十分に潤っていて、温かくて、そして驚くほど柔らかかった。まるで熟した果実のように、私の先端を優しく受け入れようとしている。
「んっ......♡」
彼女の吐息が、甘く漏れる。
「大丈夫ですか?」
「うん......大丈夫。でも、びっくりしちゃって」
「痛くないですか?」
「ううん、全然。むしろ......気持ちいい」
彼女の言葉に、私は少しだけ——慎重に——深さを増した。
「あっ......♡」
彼女の声が、かすかに上がる。そのたびに、彼女の指がシーツを強く握りしめる。
「そこは......どうですか?」
「うん......ちょっとだけ、圧迫感があるけど......でも、嫌じゃない」
「もっと優しくしますね」
「ううん、そのままで大丈夫。徹さんのペースでいいよ」
私はさらに——ゆっくりと、まるで潮が満ちていくように——深く進んだ。
結合部からは、かすかな水音が聞こえ始める。それは、彼女の身体がしっかりと私を迎え入れている証だった。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......すごく、奥まで来てるのがわかる」
「気持ちいいですか?」
「うん......なんか、満たされてる感じ。すごく......安心する」
彼女はそう言って、微かに腰を動かした。その動きに合わせて、さらに深く——私の全てが、彼女の中に収まろうとしている。
「これで......全部、入った?」
「はい。でも、無理してませんか?」
「ううん、大丈夫。ちょっとだけきついけど......それが逆に気持ちいい」
彼女の言葉に、私はほっとした。
「動いてもいいですか?」
「うん......でも、ゆっくりでお願い」
「わかりました」
私は慎重に——ゆっくりと——腰を動かし始めた。
引き、押し、また引き——そのリズムは一定ではなく、時には止まりながら、彼女の反応を確かめるように。
「あっ......♡ あっ......♡」
彼女の声が、規則的に上がる。そのたびに、彼女の豊かなヒップが私の腰に優しく当たる。
「徹さん......それ、すごくいい」
「気持ちいいですか?」
「うん......でも、もっと優しくしてほしい。強くされると、子宮の入り口に当たっちゃうから」
「わかりました。どのくらいの深さがいいですか?」
「今の......もう少しだけ浅めがいいかも」
私は彼女の希望を守り、少しだけ引き気味に——子宮の入り口に当たらないように気をつけながら——動き続けた。
「あっ......それ、ちょうどいい。すごく......気持ちいい」
「よかった」
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「バックって......どう思う?」
彼女が少しだけ振り返り、私を見つめる。その目は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「そうですね......好きですよ。だって、すみれさんのきれいな背中が見られますから」
「えへへ......そう言ってもらえると嬉しいな♡
でも、私ね......バック、ちょっと苦手だったんだ」
「そうなんですか?」
「うん。だって......相手の顔が見えないでしょ?
それに、前にすごく恥ずかしい経験があって」
彼女が少しだけうつむく。
「どんな経験ですか?」
「その......バックでやってるときに、空気が入っちゃって......」
彼女の頬が、赤くなる。
「ブブー......って音がなっちゃったことがあって。
それから、バックされるのが、ちょっと怖くなっちゃった」
「それは......確かに恥ずかしいですね」
「でしょ?
でも、徹さんとなら大丈夫。だって、徹さんは優しいから、そんなこと気にしないでしょ?」
「もちろんです。そんなこと、誰にでもあると思いますよ」
「徹さんは本当に優しいね......そういうところ、すごく好き」
彼女はそう言って、さらに体を預けてきた。
「それに......バックって、すごく深く入るから、普段は感じないところまで刺激されるんだよね」
「そうなんですか?」
「うん。例えば......ここ」
彼女が自分の腰の辺りに手を当てる。
「もうちょっと角度を変えると、子宮の入り口の横とか......あとは、奥の壁とか」
「解剖学に詳しいんですね」
「えへへ、仕事だからね♡
お客様に気持ちよくなっていただくためには、ある程度の知識は必要だから」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「それに、自分の体のことだから、興味もあるし」
「確かに」
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「もうちょっとだけ......角度、変えてみてくれない?」
「どういう風に?」
「私のお尻を......ちょっとだけ持ち上げるようにして」
私は彼女の希望に従い、彼女の腰を少しだけ持ち上げるようにして角度を変えた。
「あっ......♡ そこ......すごくいい」
「ここですか?」
「うん。もうちょっとだけ......優しく」
私はさらに優しく——まるで風が波を撫でるように——動き続けた。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん、すごく上手」
「そうですか?」
「うん。だって、私の気持ちをちゃんと聞いてくれて、それに合わせて動いてくれて......そういうの、すごく伝わってくる」
彼女の言葉が、胸の奥にじんわりと沁みる。
「ねえ、ちょっとだけ......動き止めてくれる?」
「はい」
私はすぐに動きを止めた。彼女の中に収まったまま、じっとしている。
すると彼女は、ゆっくりと体を起こし、私の胸に背中を預けるようにして寄りかかってきた。
「徹さん......」
「はい?」
「このまま......ちょっとだけ、こうしてて」
彼女はそう言って、後ろに回した両手で私の首を優しく抱きしめた。その黒髪が、私の頬をくすぐる。
「徹さんの心臓、ドキドキしてる」
「すみれさんのも、ドキドキしてますよ」
「うん......でも、なんか落ち着く。この鼓動、すごく心地いい」
彼女はそう言って、しばらくの間、そのままでいた。
私たちは——結合したまま——お互いの温もりを確かめ合い、お互いの鼓動を聞きながら、時間を共有していた。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね......昔、付き合ってた人に、バックのときに『痛い』って言われたことがあるんだ」
「そうだったんですね」
「うん。それから、バックされるのが怖くなって......でも、徹さんは優しいから、大丈夫だって思えた」
「ありがとうございます」
「ううん、こっちこそ。徹さんに出会えて、本当に良かった」
彼女はそう言って、顔だけをこちらに向けた。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
「キス......してくれる?」
「もちろんです」
私は彼女の顎に手を添え、そっと自分の唇を重ねた。
最初は優しく、触れるだけ——蝶が羽を休めるかのように。
「ん......♡」
彼女の吐息が、私の唇をかすめる。
少しだけ唇を離し、またすぐに重ねる。ちゅっ、ちゅっ——という小さな音が、静かな室内に艶めかしく響く。
「ちゅ......れろ......♡」
私の舌が、そっと彼女の唇の隙間をなぞる。彼女が応えるように少しだけ口を開けると、その隙間から彼女の舌が顔を出した。
「んんっ......♡」
二つの舌が触れ合う。この体勢でのキスは少し不自然だけれど、それが逆に新鮮で、より一層官能的だった。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん......」
彼女が唇を離し、息を整える。その目は潤んでいて、頬は上気している。
「こんな体勢でも、キスできるんだね」
「そうですね。少し難しいけど」
「でも、その分......なんか、特別な感じがする」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「さてと......そろそろ、続けてもいい?」
「はい。でも、無理しないでくださいね」
「うん、わかった♡」
彼女はそう言って、再び前の方に体を戻した。私は彼女の腰に手を添え、ゆっくりと動き始める。
「あっ......あっ......♡」
彼女の声が、規則的に上がる。そのたびに、結合部からかすかな水音が聞こえる——くちゅ、くちゅ、くちゅ。
「この音......聞こえる?」
「はい」
「恥ずかしいけど......でも、なんか嬉しい。だって、それだけ私が感じてるって証拠だから」
彼女はそう言って、照れくさそうに笑った。
「それに......徹さんと、ちゃんとつながってるって感じられる」
「確かに......そうですね」
「うん。だから、私はこの音、嫌いじゃない」
彼女はそう言って、また微かに腰を動かした。
そのとき——彼女のそこから、さらに明確な水音が聞こえ始めた。それは、彼女の身体が私をしっかりと受け入れ、そして離し、また受け入れている証だった。
「徹さん......もしかして、もう......」
「はい......でも、まだ大丈夫です」
「我慢しなくていいんだよ?」
「いえ。もっと、すみれさんを感じていたいです」
「徹さんは......本当に、ずるいよ」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「でも、そのずるさ、すごく好き」
「ありがとうございます」
「それじゃあ......もうちょっとだけ、頑張るね」
彼女はそう言って、今度は自分から積極的に腰を動かし始めた。
「あっ......あっ......あっ......♡」
彼女の動きに合わせて、私も腰を動かす。二人のリズムが、次第にシンクロしていく。
「はぁ......はぁ......♡ 徹さん、すごく......気持ちいい」
「僕もです」
「ねえ......もしかして、私、イきそうかも」
「まだです。一緒に、行きましょう」
「うん......約束ね」
彼女はそう言って、さらに動きを速めた。
そのとき——彼女のそこから、さらに多くの蜜が溢れ出しているのがわかった。それは、彼女の身体が限界に近づいている証だった。
「あっ......あっ......ああっ......♡」
彼女の声が、次第に高くなる。
私も——もう限界に近づいていた。
「徹さん......もう......ダメ......」
「僕も......です......」
「一緒に......行こう......」
「はい......」
その瞬間——私たちの身体が、同時に微かに震えた。
そして——私の全てが、彼女の中に——解き放たれた。
それは、まるで満ち潮がピークに達し、そしてゆっくりと引いていくかのような感覚だった。熱い何かが、彼女の奥深くへと注がれていく。彼女の身体が、それをしっかりと受け止めているのがわかった。
「はぁ......はぁ......はぁ......」
私たちは荒い息を整えながら、その余韻に浸っていた。
彼女の身体は、まだ微かに震えていて、その温もりがじんわりと伝わってくる。
「......大丈夫ですか?」
私が尋ねると、彼女はゆっくりと顔をこちらに向けた。その瞳は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「うん......すごく、気持ちよかった」
「よかった」
「徹さんは?」
「はい......最高でした」
「えへへ......そう言ってもらえると、嬉しいな」
彼女はそう言って、そっとため息をついた。
「ねえ......まだ、こうしててくれる?」
「はい」
「ありがとう......」
私たちは——結合したまま——しばらくの間、そのままでいた。
時折、彼女が微かに腰を動かす。そのたびに、結合部からかすかな水音が聞こえ、彼女の存在をより強く感じさせた。
「徹さん......」
「はい?」
「そろそろ......抜いてもいい?」
「もちろんです」
私は慎重に——ゆっくりと——彼女から離れた。
その瞬間、彼女のそこから、白濁した蜜がとろりと溢れ出した。それは、私たちの交わりの証だった。
「あっ......」
彼女が恥ずかしそうに声を上げる。
「こぼれちゃった......」
「すみません」
「謝らなくていいよ♡ それに......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「これ、私の責任だから。ちゃんと処理しないとね」
彼女はそう言って、サイドテーブルからティッシュの箱を取った。数枚を引き出し、まずは私のそこを優しく拭き始めた。
「徹さん......汚しちゃって、ごめんね」
「いいえ。むしろ、すみません」
「ううん。これも、私の仕事だから」
彼女は丁寧に——まるで壊れものを扱うかのように——私のそこを拭いてくれた。その指先は優しく、そして確かな温もりを伝えてくる。
「はい、これで大丈夫♡」
彼女が満足そうに微笑んだ。
それから彼女は、新しいティッシュで自分のそこを拭き始めた。白濁した蜜が、白いティッシュに染み込んでいく。
「うん......これで、きれいになった」
彼女はそう言って、使用済みのティッシュを小さなゴミ箱に捨てた。
「徹さん......ちょっとだけ、待っててね」
彼女はベッドから降り、浴室へと向かった。数分後、彼女は温かいお湯で濡らしたタオルを持って戻ってきた。
「はい、これで......もう一度、拭かせてね」
彼女はもう一度、私のそこを優しく拭いてくれた。今度は、ひんやりとしていたそれが、温かいタオルで包まれる感覚。
「ありがとうございます」
「どういたしまして♡」
彼女はそう言って、タオルを浴室に戻しに行った。
戻ってきた彼女は、ベッドに上がり、私の隣に寄り添った。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「疲れたでしょ?」
「少しだけ」
「じゃあ......ちょっとだけ、休もうか」
彼女はそう言って、私の右腕をそっと持ち上げ、自分の頭の下に置いた。そして、私の胸に顔を埋めるようにして抱きついてきた。
「すみれさんこそ、疲れたでしょう?」
「うん......でも、気持ちよかったから、いいの」
彼女はそう言って、目を閉じた。
規則正しい呼吸が、私の胸の上で微かに伝わる。
「徹さん......」
「はい?」
「私ね......今日、徹さんに会えて、本当に良かった」
「僕もです」
「こんなに気持ちよくなれたの、久しぶりかも」
「そう言ってもらえて、嬉しいです」
「うん......それにね」
彼女が顔を上げ、私を見つめる。その大きな瞳は、優しい光を帯びている。
「徹さんは、私の気持ちをちゃんと聞いてくれて、それに合わせて動いてくれて......そういうの、すごく伝わってきた」
「当たり前のことですよ」
「でも、それができる人が、なかなかいないんだよね」
彼女はそう言って、また私の胸に顔を埋めた。
「徹さん......」
「はい?」
「このまま......一緒にいてくれる?」
「もちろんです」
「ありがとう......」
彼女の声が、少しだけ詰まっているように聞こえた。
私は彼女の背中に手を回し、優しく抱きしめた。その身体は温かくて、柔らかくて、そして確かにそこに存在している。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね......将来、結婚したいな〜って思ってるんだ」
「そうなんですね」
「うん。でも、この仕事をしてると、なかなか難しくて」
「そうかもしれませんね」
「それに、好きな人に、この仕事のことを打ち明けるの、すごく怖くて......」
彼女の声が、少しだけ沈む。
「でも、徹さんみたいな人に出会えるなら、きっといつか......」
「応援してますよ」
「ほんと?」
「はい。すみれさんは、素敵な人ですから。きっといい人に出会えますよ」
「徹さん......ありがとう」
彼女はそう言って、さらに強く抱きしめてきた。
「もしよかったら......また、会いに来てくれる?」
「もちろんです。また、すみれさんに会いに来ます」
「約束してくれる?」
「はい、約束します」
「よかった......」
彼女はそう言って、安心したように微笑んだ。
「それじゃあ......それまで、私、頑張って働くね」
「はい。でも、無理はしないでくださいね」
「うん、わかった♡」
彼女はそう言って、もう一度キスをしてきた。
それは——これからの再会を約束する、優しいキスだった。
私たちは——お互いの温もりを確かめ合いながら——ゆっくりと、夢の世界へと落ちていった。
窓の外では、夜明けがゆっくりと近づいている。
でも、私たちはそれを気にせず、ただ——この瞬間を——大切にしていた。
夜明け前の絮語
時計の針が、午前二時を過ぎたことを示している。
私たちはまだ、お互いの温もりを確かめ合うように、ベッドの上で寄り添っていた。窓の外は完全な闇に包まれ、室内の間接照明だけが柔らかな光の輪を描き出している。シーツの上に広がる彼女の黒髪は、照明を受けてところどころ青みがかった艶を反射していた。
「……はぁ」
彼女が、満足そうなため息をついた。その吐息が、私の胸の上をかすかにくすぐる。
私の胸の上に乗せていた手を、そっと私の頬に移動させた。その指先は温かくて、少しだけ汗ばんでいる。
「何を話したいんですか?」
「うーん……そうだなあ」
彼女が少し考え込むように、私の胸の上に再び顔をうずめた。その黒髪が、私の首元をくすぐる。シャンプーの甘い香りが、まだほのかに残っていた。
「徹さんはさ……どうして製薬会社で働こうと思ったの?」
「どうしてでしょうね」
私は天井の間接照明を見つめながら、少しだけ過去を思い返してみた。
「子どもの頃、よく病気をしてたんです。それで、お世話になったお医者さんがすごく優しくて……『誰かの役に立つ仕事をしたい』って思ったのが、きっかけかもしれません」
「へえ……そうなんだ」
彼女が顔を上げ、感心したようにまばたきをする。
「じゃあ、徹さんは小さい頃から優しかったんだね」
「そんなことないですよ。ただのわがままな子どもでした」
「えへへ……でも、今はすごく優しい。それが本当のことだから」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「徹さんはさ、彼女とかいないの?」
「いませんよ。仕事が忙しくて」
「えー、もったいない!」
彼女が大げさに驚いたふりをする。その仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
「だって、徹さんみたいなイケメンで優しい人なら、きっとモテるでしょ?」
「そんなことないですよ。それに、僕にはあまり……その手の経験が多くないので」
「えっ……そうなの?」
彼女が目を丸くする。その表情は、本当に驚いているようだった。
「えへへ……じゃあ、今日は特別な夜になっちゃったね♡」
「そうですね。僕にとっては、すごく特別です」
「よかった……私も、特別だと思いたいな」
彼女はそう言って、少しだけ寂しそうに笑った。
その笑顔に、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚があった。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私さ……今日、徹さんに会えて、本当に良かったと思ってる」
「ありがとうございます」
「ううん、こっちこそ。だって……」
彼女の声が、少しだけ詰まったように聞こえた。
「久しぶりに……誰かと、ちゃんと話せた気がするから」
「そうなんですか?」
「うん。この仕事してると、お客様と深い話をする機って、なかなかなくて……みんな、身体の関係だけで終わっちゃうことが多いから」
彼女はそう言って、自分の手を見つめた。その指先には、上品なラベンダーカラーのジェルネイルが施されていて、小さなストーンが光を反射している。
「でも、徹さんは違った。ちゃんと私の目を見て話してくれて……それに、私の気持ちも聞いてくれて」
「それは、当たり前のことですよ」
「うん……でも、それができる人が、なかなかいないんだよね」
彼女はそう言って、また私の胸に顔を埋めた。
しばらくの間、沈黙が流れた。
室内は静かで、時折エアコンの低い駆動音が聞こえるだけだった。ベッドのシーツが擦れる音さえ、やけに大きく聞こえる。
「……徹さん」
彼女が、小さな声で私を呼んだ。
「はい?」
「私ね……高校、中退したんだ」
その言葉は、まるで決意を込めて絞り出したかのように、慎重で、そして確かだった。
「そうだったんですね」
私は驚きを表に出さないように、できるだけ自然な口調で答えた。彼女が自ら話し出したこと——それに、ただ耳を傾けることが、今の私にできる最善のことだと思ったから。
「うん……いじめられてて」
彼女の声が、少しだけ震えている。
「え?」
「高校のとき……クラスの女子に、ずっと、いじめられてたんだ」
彼女は顔を上げずに、私の胸の上でぽつりぽつりと話し始めた。
「最初は……無視とか、陰口とか。『すみれは調子に乗ってる』って。でも、だんだんエスカレートしていって……」
彼女の指が、私の腕をぎゅっと握りしめる。その力は強くはないけれど、確かに彼女の感情の揺れを伝えていた。
「靴、隠されたり……教科書、破かれたり。それでも我慢してたんだ。『そのうち収まるだろう』って思って」
「それは……辛かったでしょうね」
「うん……でも、一番辛かったのは、先生に言っても何もしてくれなかったこと」
彼女が顔を上げる。その目は、少しだけ赤くなっていた。
「『いじめはどこにでもあることだ』って……『お前にも原因があるんじゃないか』って言われて。それで、もう……学校に行くのが怖くなっちゃって」
「……」
「それで、二年の途中で……辞めちゃった」
彼女はそう言って、また私の胸に顔を埋めた。
その黒髪が、私の首元に広がる。彼女の小さな震えが、私の身体に伝わってくる。
「すみれさん……」
「ごめん、重い話しちゃって」
「いいえ。話してくれて、ありがとうございます」
「ほんと?」
「はい。すみれさんがどんな想いをしてきたのか、少しだけわかった気がします」
「徹さん……」
彼女が顔を上げる。その目には、涙が溜まっているように見えた。でも、それは決してこぼれ落ちなかった。
「それでさ……辞めたあと、どうしようって思って。うち、母子家庭で……お母さん、パートで頑張ってくれてたんだけど、お金がなくて」
「そうだったんですね」
「うん。だから、働かなきゃって思ったんだ。それで……」
彼女の声が、さらに小さくなる。
「十八のとき……川崎のソ〇プで、働き始めた」
「……」
「最初は、すごく怖かった。何もわからなくて……先輩に怒られてばかりで。お客様に、ひどいこと言われることもあった」
彼女の指が、さらに強く私の腕を握る。
「でもね……やめられなかった。お金が必要だったから」
「それは……大変でしたね」
「うん。でも、続けてるうちに、だんだんわかってきた。お客様に喜んでもらうのが、すごく嬉しいってことに」
彼女の声が、少しだけ明るさを取り戻す。
「それに……優しいお客様も、たくさんいたんだ。『ありがとう』って言ってくれる人。『また来るよ』って言ってくれる人」
「そうなんですね」
「うん。そういう人に出会えると……『この仕事を続けてて良かった』って、心から思える」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目は、さっきまでの潤みとは違う——確かな光を宿していた。
「それで……二十のときに、吉原に移ってきたんだ。川崎よりも、もっと高級なお店で、もっと技術を磨きたくて」
「向上心があるんですね」
「えへへ……そうかもね。でも、それだけじゃないんだ」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「高級店のほうが、優しいお客様が多いから。マナーのいい人、丁寧な人が多くて……だから、私ももっと丁寧に、もっと愛情を込めて、サービスしたいって思うようになった」
「それは、素敵な考え方ですね」
「うん。それに……やっぱり、お金も大事だけど、それだけじゃないんだ。『人と人とのつながり』っていうか……」
彼女はそう言って、少し照れくさそうにうつむいた。
「私、この仕事、好きなんだ。お客様に『気持ちよかった』って言ってもらえるのが、すごく嬉しくて。それに……徹さんみたいな優しい人と出会えるなら、もっと頑張ろうって思える」
「すみれさん……」
「ごめんね、こんな話、聞きたくなかったでしょ?」
「いいえ。むしろ、聞かせてもらえてよかったです。すみれさんがどんな人なのか、もっと知りたいと思ってたところなので」
「ほんと?」
「はい。だって、すみれさんは素敵な人ですから。その背景を知れば知るほど、もっと魅力的に思えます」
「徹さんは……本当に、そういうこと言うの上手いね」
彼女が軽く笑う。その笑顔が、少しだけ寂しさを帯びているように見えたのは、気のせいだろうか。
「でもね……時々、思うんだ」
「何をですか?」
「この仕事を……いつまで続けられるんだろうって」
彼女の声が、少しだけ沈む。
「やっぱり、年齢的なものもあるし……体力的にも、きつくなってくるし」
「そうかもしれませんね」
「うん。それに……」
彼女が私の顔をまっすぐに見つめる。
「私ね……将来、結婚したいな〜って思ってるんだ」
「そうなんですね」
「うん。普通の家庭を築いて……子供も欲しい」
彼女の目が、遠くを見るような色を帯びる。
「でも、この仕事をしてると、なかなか難しいよね。好きな人に、この仕事のことを打ち明けるの、すごく怖くて……」
「それは……確かに、難しいかもしれませんね」
「でしょ? だから、いつかこの仕事をやめて……普通の生活をしたいって、ずっと思ってる」
彼女はそう言って、ため息をついた。
「でも、それだけじゃダメなんだ。お金も必要だし……それに、私には、この仕事以外に、できることがないから」
「そんなことないですよ。すみれさんは、人を喜ばせる才能があります。それは、どんな仕事でも活かせると思います」
「ほんと?」
「はい。少なくとも、僕はそう思います」
「徹さん……ありがとう」
彼女はそう言って、そっと私の頬にキスを落とした。それは、慰めのような、感謝のような——優しいキスだった。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「もし……もし、私が普通の女の子だったら……徹さんは、私のこと、好きになってくれたかな?」
その問いかけに、心臓がどくんと跳ねた。
「どういう意味ですか?」
「うーん……なんとなく、聞きたくなっちゃって」
彼女が照れくさそうに笑う。
「変な質問だよね、ごめん」
「いいえ。答えになりますかどうかわかりませんが……」
私は少し間を置いて、言葉を選んだ。
「僕は、すみれさんのことを『普通の女の子』だから好きになるわけじゃないと思います。すみれさんがすみれさんだから、好きになるんです」
「……それって、どういう意味?」
「すみれさんは、辛い経験を乗り越えて、今の自分がある。それに、人を喜ばせることを仕事にしていて、誇りを持っている。そういうところも含めて、僕はすみれさんのことを魅力的に思っています」
「徹さん……」
彼女の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
「そんなこと……初めて言われた」
「ありきたりな言葉かもしれませんけど、本当のことです」
「ううん……すごく、嬉しい」
彼女はそう言って、両腕で私の首をぎゅっと抱きしめた。その身体が、微かに震えている。
「徹さんは……本当に、ずるいよ」
「そうですか?」
「うん。だって、そんなこと言われたら……もっと好きになっちゃうじゃん」
「それは……困りますか?」
「ううん、困らない。むしろ……」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
「嬉しい。だって、徹さんに好きになってもらえるなら、私、すごく幸せだから」
「ありがとうございます」
「ううん、こっちこそ♡」
彼女はそう言って、もう一度キスをしてきた。今度は少しだけ長く——愛情を確かめ合うようなキスだった。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね……この仕事を始めたとき、『いつか普通の生活に戻りたい』って、ずっと思ってた」
彼女の声が、少しだけ遠くを見ているように聞こえた。
「でも、今はちょっと違うんだ」
「どう違うんですか?」
「この仕事にも、やりがいがあるって思えるようになった。お客様に『ありがとう』って言ってもらえるのが、すごく嬉しいし……それに、私が誰かの役に立ててるって実感できる」
彼女の目が、優しい光を帯びている。
「それにね……この仕事をしてなかったら、徹さんみたいな人に出会うこともなかったかもしれないでしょ?」
「確かに……そうですね」
「だから……私は、この仕事を選んで、良かったって思ってる。辛いこともあったけど……それ以上に、素敵な出会いがあったから」
彼女はそう言って、私の胸に頬を寄せた。
「徹さんは……私のこと、どう思う?」
「どういう意味ですか?」
「この仕事をしてる女の子のこと……やっぱり、軽く見たりしない?」
その問いかけに、私はすぐに答えた。
「いいえ、そんなことはありません。むしろ、尊敬しています」
「ほんと?」
「はい。すみれさんは、自分の仕事に誇りを持っていて、それをお客様に伝えようとしている。それは、どんな仕事でも同じだと思います」
「徹さん……」
「それに、すみれさんは優しいし、思いやりがある。それは、お客様に対するサービスにも表れています」
「そうかな……」
「はい。少なくとも、僕はそう感じました」
「ありがとう……そう言ってもらえて、すごく嬉しい」
彼女はそう言って、さらに強く抱きしめてきた。
その身体の温もりが、じんわりと私の胸に広がる。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私さ……高校辞めたとき、すごく後悔したんだ」
彼女の声が、少しだけ沈む。
「もっと頑張ればよかったって……もっと強くなればよかったって」
「そうだったんですね」
「うん。でも、今は違う。あの経験があったから、今の私があるんだって思える」
「それは、すごく前向きな考え方ですね」
「えへへ……そうかな?」
彼女が照れくさそうに笑う。
「でも、時々思い出すんだ。あの頃のことを……クラスの女子に、囲まれて、『死ね』って言われたこと」
「……」
「それで、屋上に行って……飛び降りようかと思ったこともあった」
彼女の声が、さらに小さくなる。
「でも、やめられた。お母さんのこと、考えたら……できなかった」
「すみれさん……」
「ごめん、暗い話しちゃって」
「いいえ。むしろ、それを乗り越えたからこそ、今のすみれさんがいるんだと思います」
「徹さんは……本当に、そういうこと言うの上手いね」
彼女が軽く笑う。その笑顔は、さっきまでの寂しさが少しだけ和らいでいるように見えた。
「それでさ……川崎で働き始めたとき、最初の一年は、すごく辛かったんだ」
「そうなんですか?」
「うん。技術がなくて、お客様に怒られることもあったし……先輩にも怒られた」
彼女の指が、私の腕をなぞるように動く。
「でもね……一人だけ、すごく優しいお客様がいたんだ」
「どんな人ですか?」
「四十代くらいの……サラリーマンの方。毎週、金曜日の夜に来てくれて……『すみれちゃん、今日もよろしくね』って」
彼女の声が、少しだけ明るさを取り戻す。
「その人は、私の話をよく聞いてくれた。『辛いことがあったら、話していいんだよ』って」
「いい人だったんですね」
「うん。その人に、私はたくさん救われた」
彼女はそう言って、遠くを見るような目をした。
「でも……その人は、ある日、突然来なくなった」
「そうだったんですか……」
「うん。それで、ずっと待ってたんだ。『また来てくれるかな』って」
彼女の声が、少しだけ震えている。
「でも……来なかった。今でも時々、思い出すよ。『元気にしてるかな』って」
「それは……寂しいですね」
「うん。でも、その人がいたから、私は続けられた。『この仕事を続けよう』って思えた」
彼女はそう言って、私の顔を見つめた。
「だから……私も、誰かにとって、そういう存在になりたいって思ってる」
「すみれさんは、もうなってますよ」
「え?」
「少なくとも、僕にとってはそうです。すみれさんに出会えて、救われた気がします」
「徹さん……」
彼女の目が、また潤み始める。
「そんなこと言われたら……泣いちゃうよ」
「ごめんなさい。でも、本当のことです」
「ううん……謝らないで。だって、嬉しいから」
彼女はそう言って、そっと私の胸に顔をうずめた。
その黒髪が、私の首元に広がる。彼女の規則正しい呼吸が、微かに伝わってくる。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね……いつか、結婚したい」
「そうなんですね」
「好きな人に、この仕事のことを打ち明けるの、すごく怖くて」
彼女はそう言って、ため息をついた。
「もし、『やめろ』って言われたら……どうしようって思う」
「すみれさんは、どうしたいんですか?」
「私……この仕事、好きなんだ。やめたくない」
彼女の声が、確かな意思を帯びている。
「でも、結婚もしたい。だから……難しいんだよね」
「そうですね。簡単にはいかないかもしれませんね」
「うん。でも……」
彼女が顔を上げ、私を見つめる。
「徹さんみたいな人に出会えるなら、きっといつか……いい人に出会える気がする」
「それは、ありがとうございます」
「えへへ……お世辞じゃないよ。本当にそう思ってる」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「それにさ……もし、徹さんが私の彼氏だったら、『この仕事を続けていいよ』って言ってくれそう」
「どうしてそう思うんですか?」
「だって、徹さんは優しいから。私の気持ちを尊重してくれそう」
「それは……どうでしょうね。実際にそういう立場になったら、また違うかもしれませんよ」
「えー、そうかな〜?」
彼女が首をかしげる。その仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
「でも、そう言ってもらえるのは嬉しいです」
「でしょ?♡」
彼女はそう言って、軽く私の胸をぽんぽんと叩いた。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね……この仕事をしてると、『自分はダメな人間だ』って思うことがあった」
彼女の声が、少しだけ沈む。
「でも、今日、徹さんに会って……『そうじゃないかもしれない』って思えた」
「どうしてですか?」
「だって、徹さんは私のこと……『素敵だ』って言ってくれたでしょ? 『誇りを持ってる』って」
「はい、言いました」
「それが、すごく嬉しかった。『私、間違ってなかったんだ』って思えた」
彼女の目が、優しい光を帯びている。
「だから……ありがとう」
「どういたしまして」
「うん……それに、これからも、この仕事を頑張ろうって思えた」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「徹さんに会えて、本当に良かった」
「僕もです」
「えへへ……お互い様だね♡」
彼女はそう言って、もう一度キスをしてきた。
それは——これからの再会を約束する、優しいキスだった。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「もし……もし、私が『結婚してほしい』って言ったら……どうする?」
その問いかけに、心臓がどくんと跳ねた。
「それは……難しい質問ですね」
「うん。ごめん、変なこと聞いちゃった」
彼女が照れくさそうにうつむく。
「でも……もし、徹さんが『いいよ』って言ってくれたら、すごく嬉しいな〜って」
「それは……ありがとうございます」
「ううん、こっちこそ。そんなこと言われて、迷惑でしょ?」
「いいえ。むしろ、嬉しいです」
「ほんと?」
「はい。だって、すみれさんにそんな風に思ってもらえるなんて、光栄ですから」
「徹さん……」
彼女の目が、また潤み始める。
「そんなこと言われたら……本気にしちゃうよ」
「本気でいいんじゃないですか?」
「え……?」
「だって、嘘じゃないですから」
「徹さん……ずるいよ」
彼女はそう言って、私の胸に顔をうずめた。その身体が、微かに震えている。
「そんなこと言われたら……私、徹さんのこと、もっと好きになっちゃうじゃん」
「それは、困りますか?」
「ううん、困らない。むしろ……」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
「嬉しい。だって、徹さんに好きになってもらえるなら、私、すごく幸せだから」
「ありがとうございます」
「ううん、こっちこそ♡」
彼女はそう言って、もう一度キスをしてきた。今度は少しだけ長く——愛情を確かめ合うようなキスだった。
そのとき——ふと、壁にかかった時計が目に入った。
針は、午前二時を指している。
「徹さん……時間、見てた?」
「はい。もう、そんな時間ですね」
「うん……そろそろ、終わりの時間かも」
彼女の声が、少しだけ寂しさを帯びている。
「でも……もうちょっとだけ、こうしてていい?」
「もちろんです」
「よかった……」
彼女はそう言って、また私の胸に顔をうずめた。
その黒髪が、私の首元に広がる。彼女の規則正しい呼吸が、微かに伝わってくる。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「今日のことは……覚えてる?」
「もちろんです。一生、忘れません」
「私も……絶対に忘れない」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目は、少しだけ赤くなっている。
「徹さん……ありがとう」
「どういたしまして」
「うん……それじゃあ、そろそろ……」
彼女がゆっくりと体を起こす。その白い肌が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
「シャワーしようか」
「そうですね」
「でも……その前に」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「最後にもう一度だけ……キス、していい?」
「もちろんです」
彼女がゆっくりと顔を近づける。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
その唇が、そっと私のそれに重なった。
それは——これからの別れを惜しむような、優しくて、そして少しだけ切ないキスだった。
「……ん♡」
彼女の吐息が、私の唇をかすめる。
「ありがとう……徹さん」
「こちらこそ」
「じゃあ……行こうか」
彼女はそう言って、ベッドから降りた。その白い背中が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
私は彼女の後ろ姿を見送りながら——これで終わりではないという確信が、胸の奥に広がっていくのを感じていた。
湯煙の語らい
静寂が、湯気とともに立ち込める浴室。
プレイルームの間接照明が、かすかに漏れているだけの、薄暗がりの中——彼女の白い肌が、そこだけが淡く輝くように浮かび上がっていた。
「さてと……」
彼女が先に浴室へと足を踏み入れる。その背中は優雅で、肩甲骨のあたりがほんのりと赤くなっている——さっきまでの激しい時間の名残だった。
「徹さん、早く来てくださいよ~。お湯、もう張ってありますからね♡」
彼女の声が、湯気を通して少しだけくぐもって聞こえる。それが逆に、より一層艶めかしく感じられた。
私も彼女の後を追うように、浴室へと足を踏み入れた。
タイルの冷たさが、火照った足の裏に心地よく広がる。部屋の空気はしっとりと湿っていて、ラベンダーの甘い香りがまだほのかに残っていた。
「寒くないですか?」
「いえ、大丈夫です」
「よかった♡ じゃあ……まずは、軽く流しちゃいますね」
彼女が蛇口をひねる。じゃあ……という音とともに、お湯が勢いよく床に落ちる。彼女は軽くしゃがみ込み、手のひらを水流に差し出した。
その白い手のひらが、湯気に包まれる。
「……ちょうどいい具合ですね」
彼女がそう言って、ハンドシャワーを手に取った。その先を私に向け、まずは足元から——優しく、お湯をかけてくれる。
温かな水流が、足首、ふくらはぎ、太もも……と上がっていく。その温度が、じんわりと疲れを溶かしていくようだった。
「さっきは……本当に、ありがとうございました」
彼女が、少しだけ照れくさそうに言う。
「どういたしまして。僕の方こそ、ありがとうございました」
「えへへ……お互い様ですね♡」
彼女が軽く笑いながら、今度は私の背中にお湯をかけてくれる。温かいお湯が背中を伝い、タイルの上に落ちていく。
「徹さん……疲れました?」
「少しだけ。でも、いい疲れ方です」
「そう言ってもらえると、嬉しいな」
彼女はそう言って、ハンドシャワーを置いた。
「さてと……じゃあ、今度はちゃんと洗いましょうか。徹さん、あの椅子に座ってください」
彼女が指し示したのは、浴槽の脇に置かれた椅子だった。
私はその椅子に腰を下ろした。
「それじゃあ……まずは、軽く濡らしますね」
彼女が再びハンドシャワーを手に取り、私の肩から優しくお湯をかけてくれる。その手つきは優しく、まるで雨が静かに降り注ぐかのようだった。
「徹さん……背中、すごく凝ってますね。お仕事の疲れですか?」
「そうですね。デスクワークが多いので」
「じゃあ、しっかり揉んであげないと♡」
彼女がハンドシャワーを置き、ボディソープのボトルに手を伸ばした。上品なラベンダーの香りがするボトルだ。
彼女がポンプを二度押す。とろりとした液体が、彼女の手のひらに落ちる。それから両手を合わせ、優しくこすり合わせた。泡立つ音——しゅっ、しゅっ、しゅっ——が、静かな浴室にやけに大きく響く。
彼女の指先の間から、みるみるうちに白い泡が膨らんでいく。その泡はきめ細かく、まるで生クリームのように柔らかそうだった。
「はい、できました♡」
彼女が両手を広げる。その手のひらには、ふわふわとした泡の山が載っていた。
「まずは……背中から、いきますね」
彼女が私の背後に回る。その気配がすぐ後ろに感じられた。
彼女の手が、そっと私の肩に触れた。ひんやりとしていた泡が、私の温もりでじわじわと溶けていく感覚。彼女の手のひらが、泡を介してゆっくりと滑る。
「ここ……すごく凝ってますね。強さは、これくらいで大丈夫ですか?」
彼女の親指が、肩甲骨の辺りを押し込むように動く。その力加減が絶妙で、つい声が出そうになるのを必死でこらえた。
「はい……ちょうどいいです」
「よかった♡ 無理しないでくださいね。気持ちよかったら、声に出しても大丈夫ですから」
彼女がそう言って、さらに丁寧に揉み解していく。その手のひらは温かくて、泡の滑りが心地よく、まるでマッサージを受けているかのようだった。
「徹さん……筋肉の付き方、きれいですね。背中のラインが、はっきりしてる」
「ありがとうございます」
「ううん、本当のことだから♡」
彼女はそう言って、今度は背骨の両側を親指でなぞるように揉んでいった。その動きはゆっくりで、一つ一つの動作が確かに私の筋肉をほぐしていく。
「すみれさんも……揉むの、上手ですね」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな♡ これでも、結構練習したんですよ」
「練習?」
「うん。この仕事始めたばかりの頃、先輩に『お客様の体をもっと気持ちよく洗えるようになりなさい』って言われて……それで、自分の足とか、お客様に協力していただいたりして」
「そうだったんですね」
「はい。でも、そのおかげで今があるので、感謝してますよ」
彼女はそう言って、軽く笑った。
そのとき——ふと、彼女の指が止まった。
「徹さん……」
「はい?」
「さっきの……お話の続き、してもいいですか?」
彼女の声が、少しだけ躊躇いがちだった。
「もちろんです」
「うん……ありがとう」
彼女はそう言って、再び手を動かし始めた。泡が、彼女の指の間からはみ出しながら、背中の筋肉を優しく撫でていく。
「好きな人に、この仕事のことを打ち明けるの、すごく怖くて……」
「それは……確かに、難しいかもしれませんね」
「でしょ? だから、ずっと悩んでたんだ」
彼女はそう言って、ため息をついた。その吐息が、私の首筋をかすめる。
「でもね……最近、少しだけ考えが変わったんだ」
「どう変わったんですか?」
「うん……この仕事も、私の一部だって思えるようになった。隠さなくてもいいんじゃないかって」
彼女の手が、私の肩から腕へと移動する。泡を乗せた手のひらが、上腕、肘、前腕……とゆっくりと滑っていく。
「それに……もし、そのことを受け入れてくれる人がいたら、その人が本当に運命の人なんじゃないかなって」
「それは……素敵な考え方ですね」
「そうかな? でもね……」
彼女の声が、少しだけ明るさを取り戻す。
「子供が欲しいんだ。自分の子供を……育ててみたい」
「そうなんですね」
「うん。お母さんが、私を一人で育ててくれたから……私も、同じように、愛情をたっぷり注ぎたい」
彼女はそう言って、私の手のひらを優しく泡で包み込んだ。指の一本一本を、丁寧に、まるで宝物を磨くかのように洗っていく。
「すみれさんは、優しいお母さんになりそうですね」
「えへへ……そうかな?」
「はい。少なくとも、僕はそう思います」
「ありがとう♡ 徹さんにそう言ってもらえると、すごく自信が湧く」
彼女はそう言って、今度は私の首筋に泡を乗せた。その指先が、優しく円を描くように動く。
「徹さんは……結婚したいと思ったこと、ありますか?」
突然の問いかけに、少し戸惑った。
「そうですね……一度や二度は」
「えっ、やっぱりあるんだ」
彼女が驚いたように声を上げる。
「どんな人だったんですか?」
「大学の頃の……先輩ですね。優しくて、しっかりしてて」
「へえ……それで、どうしてダメになったんですか?」
「僕が……不器用だったからです」
「そうなんだ……」
彼女の声が、少しだけ寂しさを帯びている。
「でも、徹さんは優しいよ。不器用かもしれないけど……でも、優しさはちゃんと伝わってくる」
「ありがとうございます」
「ううん、本当のことだから」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「それじゃあ……次は、前に回ってもらえますか?」
「はい」
私は椅子の上で体の向きを変え、彼女の方を向いた。
彼女は私の正面に立ち、その手にはまだふわふわとした白い泡が載っている。その姿が、湯気の中で幻想的に浮かび上がっていた。
「じゃあ……まずは、胸の方から」
彼女の手が、そっと私の胸板に触れた。ひんやりとしていた泡が、私の温もりでじわじわと溶けていく。彼女の手のひらが、泡を介してゆっくりと滑る。
「徹さん……やっぱり筋肉、しっかり付いてますね。さっきも思ったけど、こうやって改めて触ると、よくわかります」
「ありがとうございます」
「ううん。それに……お肌もきれいだし」
彼女はそう言って、指先で軽くなぞる。その動きに合わせて、泡が彼女の指の間からはみ出していく。
「そういえば……徹さんは、どんな女性がタイプなんですか?」
突然の質問に、少し間を置いてしまった。
「そうですね……優しい人がいいです」
「それだけ?」
「はい。それだけじゃ、ダメですか?」
「ううん、ダメじゃないよ。でも……」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「具体的には?」
「例えば……自分の気持ちをちゃんと言える人。それに、相手の気持ちも考えられる人」
「へえ……じゃあ、私、当てはまるかな?」
「そうですね……すみれさんは、優しいし、自分の気持ちもちゃんと言えますよね。だから……」
「だから?」
「理想に近い、かもしれません」
「えへへ……そう言ってもらえると、嬉しいな♡」
彼女はそう言って、照れくさそうにうつむいた。その頬が、少しだけ赤らんでいるように見えた。
「徹さんはさ……子供、好き?」
「はい、好きですよ」
「どんな子供が欲しい?」
「そうですね……元気で、明るい子がいいです」
「普通だね〜」
彼女が軽く笑う。
「でも、それでいいんだよ。普通が一番幸せだから」
「そうかもしれませんね」
「うん。私も……普通の家庭を築きたい。朝起きて、ご飯を作って、子供を学校に送り出して……そんな生活」
彼女の目が、遠くを見るような色を帯びている。
「それって……贅沢な願いかな?」
「いいえ。誰にでもある、普通の願いだと思います」
「徹さんは……そういう生活、したい?」
「そうですね……いつかは」
「いつかか〜」
彼女がからかうように笑う。
「でも、それでいいんだよ。無理に急ぐことないし」
「はい」
「それに……ちゃんと、素敵な人に出会えるよ。徹さんなら」
「ありがとうございます」
「ううん、本当のことだから」
彼女はそう言って、今度は私の腹部に手を移動させた。泡を乗せた手のひらが、お腹の中心をゆっくりと撫でていく。
「徹さん……ここ、すごく引き締まってますね。腹筋、割れてる」
「そうでもないですよ」
「いやいや、本当。ちゃんと鍛えてるのがわかります」
彼女はそう言って、指先で筋肉の溝をなぞるように動かした。その動きは優しく、くすぐったいような、でも心地よい感覚だった。
「ジムでは、どんなメニューをやってるんですか?」
「ベンチプレスとか……スクワットとか。基本的なものを中心に」
「やっぱり。ベンチプレスって……あの、寝転がって重りを持ち上げるやつですよね?」
「そうです」
「すごいなあ……私、あんな重いもの、持ち上げられない」
「慣れですよ。最初は誰でも」
「そうかな〜」
彼女が首をかしげる。その仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
「そういえば……徹さんは、どんな女性と結婚したいですか?」
再び彼女から質問が飛んでくる。
「そうですね……一緒にいて、落ち着く人がいいです」
「落ち着く人?」
「はい。無理に背伸びしなくてもいい……自然体でいられる人が」
「へえ……わかる気がする」
彼女がうなずく。
「私も、一緒にいてリラックスできる人がいい。気を遣わなくていいっていうか……」
「そうですね」
「それに……やっぱり、優しい人がいい」
彼女はそう言って、私の顔をまっすぐに見つめた。その大きな瞳は、湯気で少しだけ潤んでいるように見えた。
「徹さんは……優しいから、きっといい奥さんが見つかるよ」
「ありがとうございます。でも……まだ先の話ですね」
「うん、そうかもね。でも……」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「もし、私が普通の女の子だったら……手を挙げちゃうかも♡」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「それは……光栄です」
「えへへ、冗談だよ……半分ね」
彼女はそう言って、軽く笑った。
その笑顔が、可愛らしくて、そして少しだけ切なくて——胸の奥がきゅっと締め付けられる。
「さてと……」
彼女が手を止め、少しだけ間を置いた。
「そろそろ、下半身も洗っちゃいますね」
彼女の手が、私のお腹からゆっくりと下に移動していく。
その瞬間——私の呼吸が、一瞬止まった。
「あら……もう、元気になっちゃいましたね♡」
彼女が軽く笑いながら、私の脚の間に手を入れてくる。
「でも……大丈夫ですよ。私、慣れてますから。気持ちいいと思ったまま、リラックスしてくださいね」
彼女の言葉が、不思議と緊張を解いてくれた。
彼女の指先が、泡に包まれた状態で、優しく——そこに触れてくる。
その動きは驚くほど繊細で、一つ一つの動作が、まるで楽器を奏でるかのように正確だった。
「まずは……そっと、ね♡」
彼女の指が、優しくそこを包み込む。その瞬間、ひんやりとした泡が、普段はあまり外気に触れない場所にまで入り込んでくる感覚。
「うん……きれいな形してますね。気持ちよさそうに反応してくれてて、私も嬉しいです♡」
彼女の親指が、先端の辺りをくるくると優しく円を描く。その動きに合わせて、まるで電気でも流れたかのような感覚が背中を駆け上がる。
「あっ……」
思わず声が漏れた。
「ほら、出ちゃいましたね♡ でも、いい声ですよ。もっと聞かせてください」
彼女はそう言って、今度は手のひら全体を使って、根本から先端までを包み込むように動かし始めた。
彼女の指が、くぐらせるように——まるで指輪を通すかのように——根本から先端へ、先端から根本へと優しく往復する。その動きは、まるで川の流れのように滑らかで、絶え間なく続く。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
「は、はい……すごく……」
「よかった♡ 徹さんが気持ちよさそうにしてくれると、私も嬉しいなって思うんです」
彼女の指の動きが、少しだけ速くなる。
泡のきしむ音——くちゅ、くちゅ、くちゅ——が、静かな浴室に響く。その音が、やけに艶めかしく聞こえた。
「それにしても……本当に立派ですね。私の手、全然足りないくらいで……」
彼女が感心したように言う。
「でも、その分、じっくり時間をかけて洗わせてくださいね。せっかくの特別な時間ですから♡」
彼女の親指が、また先端の辺りを優しく撫でる。そのたびに、甘い感覚が全身に広がっていくのがわかった。
「あの……すみれさん」
「はい?♡」
「その……すごく気持ちいいです」
「えへへ、そう言ってもらえると、練習した甲斐があります♡」
彼女はそう言って、また手を動かし始めた。
その動きは、さっきまでよりもさらに優しく、さらに丁寧に——まるで大切な宝物を扱うかのようだった。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね……もし結婚できたら、子供は二人欲しいなって思ってるんだ」
「そうなんですね」
「うん。一人目は男の子がいいな。お兄ちゃんになって、妹を守ってほしい」
彼女の声が、夢見るような色を帯びている。
「それで、二人目は女の子。姉妹でもいいんだけど……なんとなく、兄と妹がいいな〜って」
「いいですね。仲良く育ちそう」
「でしょ? それに……」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「私、子供の頃、お兄ちゃんが欲しかったんだ。でも、一人っ子で……だから、自分の子供には、そういう経験をさせてあげたい」
「優しいお母さんになりそうですね」
「そうかな? でもね……」
彼女の声が、少しだけ真剣になる。
「子供を育てるのって、すごく大変だと思うんだ。お母さんが、私を一人で育ててくれたから、それがよくわかる」
「そうでしょうね」
「うん。だから、もし結婚できたら……ちゃんと話し合って、二人で育てていきたい」
「それは、素敵な考え方ですね」
「えへへ……そうかな?」
彼女はそう言って、照れくさそうにうつむいた。
そのとき——彼女の手が、また動きを変えた。
今度は、優しく包み込むように——まるで小さな命を慈しむかのように——そこを撫でている。
「徹さん……」
「はい?」
「私ね……この仕事をしてることを、将来の彼氏に、ちゃんと話したいんだ」
「そうなんですね」
「うん。隠したまま結婚するのは、やっぱり違うと思うから」
彼女の声が、確かな意思を帯びている。
「それに……もし、そのことを受け入れてくれなかったら、その人は運命の人じゃなかったってことだから」
「それは……勇気がいりますね」
「うん。でも、それでいいんだ。私は、この仕事を選んだ自分を否定したくないから」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目は、しっかりと前を見据えている。
「徹さんは……どう思う?」
「そうですね……僕は、すみれさんの考え方は正しいと思います」
「ほんと?」
「はい。自分の過去を隠してまで結婚するより、ちゃんと話し合える相手の方が、きっと長く続きますから」
「徹さん……」
彼女の目が、少しだけ潤んでいる。
「ありがとう……そう言ってもらえて、すごく嬉しい」
「どういたしまして」
「うん……それに、もし、受け入れてくれる人がいたら、その人を一生大切にする」
「きっと、見つかりますよ」
「そうかな?」
「はい。すみれさんは、素敵な人ですから」
「えへへ……そう言ってもらえると、自信が湧く」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「さてと……」
彼女が手を離し、ハンドシャワーを手に取った。
「そろそろ、洗い終わりにしましょうか。これ以上やってると、徹さんが溶けちゃいそうだから」
彼女が軽く笑いながら、お湯の温度を確かめる——自分の手のひらで。
「……同じくらいですね。じゃあ、いきますね」
温かな水流が、私の体に注がれる。泡が、とろとろと溶けながら流れ落ちていく。
彼女は丁寧に、泡が残らないように——特に、さっきまで洗っていた場所は念入りに——お湯をかけてくれた。
「はい、終わりましたよ♡ 他に、泡がついてるところとか、ありませんか?」
彼女が尋ねる。その目は真剣だった。
「いえ、大丈夫だと思います」
「よかった♡ それじゃあ……徹さん、ちょっとだけ待っててくださいね。私、自分の体も洗っちゃいますから」
彼女はそう言って、ハンドシャワーを置いた。
「お手伝いしましょうか?」
「えっ……いいの?」
「はい。今度は、僕がすみれさんを洗わせてください」
「……♡」
彼女の頬が、少しだけ赤らむ。
「じゃあ……お願いしようかな」
「はい」
私は椅子から立ち上がり、彼女の背後に回った。
「じゃあ、まずは……座ってもらえますか?」
「うん」
彼女が、私が座っていた椅子に優雅に腰かけた。その白い背中が、柔らかな照明の下でほのかに輝いている。
艶やかな黒髪が、背中の曲線に沿って流れ落ちる。首筋から肩へ、肩から背中へと続くラインは、まるで山水画の筆致のように優雅だった。
「それじゃあ……軽く流しますね」
私はハンドシャワーを手に取り、彼女の肩から優しくお湯をかけた。温かな水流が、彼女の白い肌を伝い、タイルの上に落ちていく。
「気持ちいいですか?」
「うん……すごく」
彼女が微かに身を震わせる。その仕草が、可愛らしくて——胸の奥が温かくなる。
「じゃあ……ボディソープ、使いますね」
私はボディソープのボトルに手を伸ばし、ポンプを二度押した。とろりとした液体が、私の手のひらに落ちる。
それから両手を合わせ、優しくこすり合わせた。泡立つ音——しゅっ、しゅっ、しゅっ——が、静かな浴室に響く。
「はい、できました」
私の手のひらには、ふわふわとした白い泡の山が載っている。
「じゃあ……まずは、背中から」
私は彼女の背中に、そっと手を当てた。
ひんやりとしていた泡が、彼女の温もりでじわじわと溶けていく感覚。彼女の肌は驚くほど滑らかで、吸い付くような手触りだった。
「あっ……♡」
彼女が微かな声を上げる。
「冷たいですか?」
「ううん……ちょっとびっくりしただけ」
「よかった」
私はゆっくりと、手のひらを動かし始めた。肩甲骨の辺りを優しく円を描くように、泡を広げていく。
「徹さんの手……大きいね」
「そうですか?」
「うん。それに、あったかい」
彼女がそう言って、微かに身を預けてきた。
「気持ちいいですか?」
「うん……すごく」
私はさらに丁寧に——まるで壊れものを扱うかのように——彼女の背中を洗っていった。
背骨の両側を親指でなぞるように、肩から腰へとゆっくりと降りていく。そのたびに、彼女の白い肌が泡の下から浮かび上がる。
「徹さん……」
「はい?」
「その……力加減、ちょうどいいよ」
「ありがとうございます」
「ううん。それに……」
彼女が少しだけ振り返る。
「優しいね。強くしすぎないように、気をつけてくれてるのがわかる」
「当たり前のことですよ」
「でも、それができる人が、なかなかいないんだ」
彼女はそう言って、軽く笑った。
私はさらに下へ——腰の辺りまで——手を移動させた。彼女のくびれたウエストは、驚くほど細くて、指がすっぽりと収まるようだった。
「ここ……くすぐったいですか?」
「うん、ちょっとだけ」
「じゃあ、もっと優しくしますね」
「ううん、そのままで大丈夫。気持ちいいから」
彼女の言葉に、私は同じ強さで——でも、より一層優しく——手を動かし続けた。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「さっきの……お話の続き、してもいい?」
「もちろんです」
「うん……」
彼女は少し間を置いて、言葉を選んでいるようだった。
「私ね……結婚したら、料理をいっぱい作りたいんだ」
「そうなんですね」
「うん。今は、仕事が忙しくて、あんまり作れないけど……でも、いつか、誰かのために、毎日ご飯を作りたい」
「それは、素敵ですね」
「でしょ? それに……」
彼女の声が、少しだけ楽しそうになる。
「お弁当も作りたい。『今日のご飯、何?』って聞かれるのが、夢なんだ」
「いいですね」
「うん。それで……休みの日は、みんなで出かけたい。公園に行ったり、動物園に行ったり……」
彼女の声が、ますます夢見るような色を帯びていく。
「徹さんは……どんなデートがしたい?」
「そうですね……静かなところがいいです。美術館とか、図書館とか」
「へえ……渋いね」
彼女が軽く笑う。
「でも、それもいいかも。二人でゆっくりできるし」
「はい。それに、話もできるので」
「確かにね。騒がしいところだと、なかなか話せないもん」
彼女はそう言って、うなずいた。
「じゃあ……今度、美術館、一緒に行く?」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「いいんですか?」
「うん……もし、徹さんがよかったら」
「ぜひ、お願いします」
「よかった♡」
彼女が嬉しそうに笑う。
「じゃあ、約束ね」
「はい、約束です」
私はそう言って、彼女の背中に新しい泡を乗せた。今度は、肩から腕へと移動する。
彼女の腕は細くて、それでいて適度な筋肉がついている。肘から先は特に細く、華奢な印象だった。
「徹さんの手……すごく気持ちいい」
「そう言ってもらえて、嬉しいです」
「うん。それに……」
彼女が微かに身をよじる。
「なんか……くすぐったいけど、気持ちいい」
「くすぐったいですか?」
「うん。でも、やめてほしくない」
彼女はそう言って、軽く笑った。
私は彼女の腕の先まで丁寧に洗い終え、今度は彼女の肩から前に回った。
「じゃあ……前の方も、洗いますね」
「うん……お願い」
私は彼女の正面に回り、しゃがみ込むようにして彼女の胸元に手を伸ばした。
彼女の豊かな胸の膨らみは、泡の下でもその形がはっきりとわかる。重力に逆らうようにふっくらと盛り上がり、その先端はほんのりと色づいているように見えた。
「あの……すみれさん」
「ん?」
「ここ……触ってもいいですか?」
「えっ……」
彼女が一瞬、驚いたように声を上げる。
「あ、ごめんなさい。嫌でしたか?」
「ううん、違うの。ただ……」
彼女が照れくさそうにうつむく。
「びっくりしちゃって。でも……いいよ」
「ありがとうございます」
私は彼女の胸の側面に手のひらを当て、そっと包み込むように優しく撫でた。親指でゆっくりと円を描くように動かす。
「あっ……♡」
彼女の声が、少しだけ艶めいたものに変わる。
「気持ちいいですか?」
「うん……すごく」
彼女が目を閉じて、その感触に身を委ねている。長いまつ毛が、柔らかな照明を受けて影を作っている。
「でも……乳首は、強く触らないでね。敏感だから」
「わかりました」
私は彼女の希望を守り、乳首の先端には決して触れないように気をつけながら、その周辺を優しく愛撫し続けた。
「はぁ……はぁ……♡」
彼女の息遣いが、少しだけ荒くなっているのがわかる。
「徹さん……」
「はい?」
「その……おっぱいの下の方も、洗ってほしい」
彼女が恥ずかしそうに言う。
「ここ……結構敏感で」
「ここですか?」
私は彼女の胸の下側——膨らみが体に当たる辺り——に指を滑らせた。そこは思っていた以上に柔らかくて、そして温かかった。
「あっ……♡ そう……そこ……すごく、気持ちいい……」
彼女の身体が、微かに震えた。
「もっと……優しく、撫でてほしい」
私は彼女の言葉に従い、指先で優しく、ゆっくりと弧を描くように動かした。彼女の肌が、私の指の動きに合わせて柔らかく沈み込む。
「はぁ……はぁ……♡ 徹さん……すごく、上手……」
「そうですか?」
「うん……だって、私の気持ちをちゃんと聞いてくれて……それに合わせて動いてくれて……そういうの、すごく伝わってくる」
彼女の言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして……♡」
彼女はそう言って、目を開けた。その瞳は潤んでいて、少しだけとろりとしている。
「徹さん……」
「はい?」
「さっきも言ったけど……私ね、将来、結婚したいんだ」
「そうですね」
「それで……子供も欲しい」
彼女の声が、優しい色を帯びている。
「どんな子がいいかな?」
「そうですね……元気で、明るい子がいいです」
「うん。それに……優しい子がいい」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「徹さんみたいにね」
「そんなことないですよ」
「いやいや、本当。徹さんは、優しいもん」
彼女はそう言って、軽く私の胸をぽんぽんと叩いた。
「それに……もし、私に子供ができたら、この仕事、辞めるつもりなんだ」
「そうなんですか?」
「うん。だって……子供に、お母さんがソ〇プ嬢だったって、知られたくないから」
彼女の声が、少しだけ沈む。
「それに……危ないこともあるし」
「そうですね」
「だから……もし結婚できたら、そのときはこの仕事を卒業しようと思ってる」
「それは、大きな決断ですね」
「うん。でも……それでいいんだ。だって、私は、自分の家族を守りたいから」
彼女はそう言って、顔を上げた。その目は、しっかりと前を見据えている。
「徹さんは……どう思う?」
「そうですね……僕は、すみれさんの決断を応援します」
「ほんと?」
「はい。自分の幸せをちゃんと考えているからだと思います」
「徹さん……」
彼女の目が、少しだけ潤んでいる。
「ありがとう……そう言ってもらえて、すごく嬉しい」
「どういたしまして」
「うん……」
彼女はそう言って、軽くため息をついた。
「さてと……」
彼女が立ち上がる。その白い肌には、まだ泡がいくつか残っていた。
「そろそろ、お風呂に入らない? のぼせちゃいそう」
「そうですね」
「じゃあ……先に入ってていいよ」
「いいんですか?」
「うん。私は、ちょっとだけ髪を洗うから」
「わかりました」
私は彼女に背を向け、浴槽の縁に手をかけた。お湯の表面が、ゆらゆらと揺れている。
ゆっくりと足を入れる——熱すぎず、冷たすぎない。ちょうどいい温度が、じんわりと全身を包み込んでいく。
「どう? 気持ちいい?」
彼女が後ろから声をかける。
「はい、最高です」
「よかった♡ じゃあ、私も洗っちゃいますね」
彼女がハンドシャワーを手に取り、自分の体を軽く濡らす音が聞こえる。
私は振り返らずに、浴槽の中でゆったりと身体を湯に委ねていた。
「徹さん……」
彼女の声が、少しだけ近づいた。
「髪……洗ってくれない?」
その言葉に、少し驚いた。
「いいんですか?」
「うん。お願い」
彼女が浴槽の縁に腰かける。その白い背中が、すぐ目の前にある。
「じゃあ……失礼します」
私は浴槽から少しだけ体を起こし、彼女の黒髪に手を伸ばした。
その髪は、絹のように滑らかで、指の間からするすると抜けていく。
「シャンプー、使いますね」
私はシャンプーボトルに手を伸ばし、適量を手のひらに取った。それを彼女の髪に優しく揉み込んでいく。
「あっ……♡」
彼女が微かな声を上げる。
「気持ちいいですか?」
「うん……すごく」
私は丁寧に——髪の根元から先まで——泡を広げていく。彼女の黒髪が、白い泡に包まれていく。
「徹さんの手……優しいね」
「そうですか?」
「うん。強く引っ張ったりしないし……ちゃんと、髪を大事にしてくれてるのがわかる」
「ありがとうございます」
「ううん。それに……」
彼女が軽く笑う。
「なんか……子供の頃を思い出す」
「どうしてですか?」
「お母さんに、髪を洗ってもらってたんだ。小さい頃は、お風呂が怖くて……毎回、一緒に入ってもらってた」
「そうだったんですね」
「うん。そのときも、こんな感じだった。優しくて……気持ちよくて……」
彼女の声が、少しだけ懐かしそうに響く。
「それで、いつも眠くなっちゃって」
「それは、いい思い出ですね」
「うん。だから……今でも、髪を洗ってもらうのが好きなんだ」
彼女はそう言って、目を閉じた。
私は彼女の髪をしっかりと泡で包み、優しくマッサージするように洗っていった。指の腹で、頭皮を円を描くように揉む。
「はぁ……♡ それ……すごく、気持ちいい」
「強さは、これくらいで大丈夫ですか?」
「うん……ちょうどいい」
私は彼女の言葉に従い、同じ強さで——でも、より一層優しく——洗い続けた。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね……結婚したら、旦那さんの髪も洗ってあげたい」
「そうなんですね」
「うん。それで……子供の髪も洗ってあげたい」
彼女の声が、また夢見るような色を帯びる。
「みんなで、お風呂に入るのが、夢なんだ」
「いいですね」
「でしょ? それに……」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「たまには、徹さんみたいに優しい人に、洗ってもらいたいな〜」
「それは……誰かが見つけてくれますよ」
「そうかな? でも……」
彼女が少しだけ振り返る。
「もし、徹さんがよかったら……いつでも洗ってあげるよ?」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「それは……光栄です」
「えへへ、冗談だよ……半分ね」
彼女はそう言って、また前を向いた。
私は彼女の髪を洗い終え、シャワーで優しく泡を流していった。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとう♡ すごく、気持ちよかった」
彼女がそう言って、浴槽の中に足を入れた。
「あっ……あったかい〜」
彼女の声が、子供みたいに無邪気で、つい笑みがこぼれてしまう。
「徹さん、ちょっとだけ、こっちに来てくれませんか?」
「はい」
私は彼女の隣に移動した。肩と肩が触れ合う距離。彼女の黒髪が、お湯に浮かんでゆらゆらと揺れている。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「こうしてると……本当に、特別な感じがする。初めて会ったのに、ずっと前から知ってたみたいな……」
彼女が顔を上げ、大きな瞳で私を見つめる。その目は、優しい光を帯びていた。
「わかります。僕も同じ気持ちです」
「よかった♡ それ、お世辞とかじゃないですよね?」
「もちろんです」
「えへへ……なんか、嬉しいな」
彼女はそう言って、そっと私の腕に自分の腕を重ねてきた。その肌の感触が、じんわりと伝わる。
「徹さんの肌、すべすべですね。さっきも言いましたけど、男の人って案外カサカサしてる人多いのに、徹さんは全然違う」
「いや、特に何もしてないですけどね」
「じゃあ、やっぱり生まれつきなんですね。ずるいなあ♡」
彼女が軽く笑う。
「そういえば……徹さんは、どんな家庭に育ったんですか?」
「普通の家庭ですよ。父と母と、私の三人で」
「へえ……お父さんは、どんな人?」
「厳しい人でした。でも、優しいところもあって」
「お母さんは?」
「穏やかな人です。いつも笑顔で……」
「いい家庭だったんだね」
彼女が羨ましそうに言う。
「うん……そうですね。恵まれてたと思います」
「じゃあ、徹さんも、そういう家庭を作りたい?」
「そうですね……できれば」
「うん。私も、そういう家庭を作りたい」
彼女はそう言って、ため息をついた。
「だから……頑張らないとね」
「はい」
「それに……」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「もし、徹さんが結婚したら……私、お祝いするからね」
「ありがとうございます」
「ううん。それで……」
彼女が少しだけ真剣な顔になる。
「もし、奥さんができたら……大切にしてあげてね」
「はい、約束します」
「よかった♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。
そのとき——彼女が、もう一度キスをしてきた。
それは、優しくて、そして少しだけ寂しい——これからの別れを惜しむようなキスだった。
「……ん♡」
彼女の吐息が、私の唇をかすめる。
「ありがとう……徹さん」
「こちらこそ」
「じゃあ……そろそろ、上がろうか」
彼女がそう言って、浴槽から立ち上がった。
お湯が彼女の白い肌からしたたり落ち、水滴がキラキラと輝く。
「タオル……」
棚の上にきちんと畳まれたバスタオルがある。
「タオル♡ はい、どうぞ」
彼女が一枚を私に手渡す。そして自分も一枚を取り、軽く髪を拭き始めた。
「あの……徹さん」
「はい?」
「よかったら……私が、拭いてあげてもいいですか?」
その申し出に、少し驚いた。
「いいんですか?」
「はい♡ お客様に少しでもくつろいでいただきたいので。それに……」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「こうやってお世話するの、私、結構好きなんです」
彼女はそう言って、私の前に立った。
そして、バスタオルを広げ、優しく私の胸に当てた。
「まずは……上から、ですね」
彼女の手が、タオルを介して私の体を優しく拭いていく。その動きは丁寧で、まるで壊れものを扱うかのように繊細だった。
肩、胸、腕、背中——彼女の手が触れるたびに、タオルの柔らかな感触が肌をなでる。
「徹さん、やっぱり筋肉、しっかりついてますね。拭いてても、その硬さがわかります」
「ありがとうございます」
「それに……お肌もきれいだし。男の人って、ここまで手入れされてる人、あんまりいないですよ」
「いや、本当に何もしてないんですけど……」
「え〜、じゃあやっぱり生まれつきなんですね。ずるいなあ♡」
彼女が笑いながら、今度は下半身にタオルを移動させる。
脚、太もも、ふくらはぎ——一つ一つの動作が優しく、まるでマッサージを受けているかのように気持ちがいい。
「さてと……これで、大体終わりましたね。あとは……」
彼女がタオルを畳み直し、もう一度、そこを優しく拭いた。その動作は驚くほど自然で、そしてどこか優しかった。
「はい、これで完了です♡」
彼女が満足そうに微笑んだ。
「ありがとうございます。すごく気持ちよかったです」
「どういたしまして♡ それじゃあ、今度は私の番ですね」
彼女はそう言って、自分の体を拭き始めた。
まずは髪を軽く絞り、それからタオルを首に巻く。その仕草が、驚くほど優雅で美しい。
肩、腕、胸元——彼女の手が自分の体を優しく拭いていく。そのたびに、彼女の豊かな曲線がタオルの下から浮かび上がる。
「あの……徹さん」
彼女が少し躊躇いながら口を開いた。
「よかったら……背中、拭いてもらえませんか? 自分だと、なかなかうまくいかなくて……」
「もちろんです」
私はタオルを受け取り、彼女の背中に当てた。その肌はまだ湯気を含んでいて、温かくて滑らかだった。
「ありがとうございます♡ なんか……こうやってお世話してもらうの、久しぶりで、すごく嬉しいです」
彼女が小さな声で言う。
私は丁寧に、彼女の背中を拭いていった。肩甲骨の辺り、背骨に沿って、腰の辺り——一つ一つの動作を大切にしながら。
「徹さんの手……大きくて、あったかくて、すごく気持ちいいです」
「そう言ってもらえて、嬉しいです」
「うん……なんか、ずっとこうしていたいくらい」
彼女が振り返り、私を見上げる。その目は潤んでいて、少しだけ切なそうだった。
「はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます♡」
彼女はそう言って、私の手を取った。
「それじゃあ……戻りましょうか」
「そうですね」
私たちは、バスタオルに包まったまま、プレイルームへと戻っていった。
エアコンの効いた室内は、ひんやりとしていて気持ちいい。
ベッドのシーツは、さっきまでと変わらずきちんと整えられている。その白さが、照明の下でほのかに輝いていた。
「さてと……」
彼女がベッドの端に腰かけた。その白い肌が、シーツの白さに溶け込みそうで、でも確かにそこに存在している。
「徹さんも、どうぞ座ってくださいね」
私は彼女の隣に腰を下ろした。マットレスが少しだけ沈み、二人の体重を支える。
「ねえ、徹さん」
彼女が私の方を向く。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
「今日は……本当に、ありがとう」
「どういたしまして」
「うん……私、徹さんに会えて、すごく幸せだった」
「僕もです」
「よかった……」
彼女はそう言って、そっと私の肩に頭を預けてきた。
その黒髪が、私の首元に広がる。シャンプーの甘い香りが、まだほのかに残っていた。
「徹さん……」
「はい?」
「また……会えるかな?」
「もちろんです。約束します」
「ほんと?」
「はい」
「よかった……」
彼女はそう言って、目を閉じた。
規則正しい呼吸が、私の肩の上で微かに伝わる。
窓の外では、夜明けがゆっくりと近づいている。
でも、私たちはそれを気にせず、ただ——この瞬間を——大切にしていた。
「ねえ、徹さん」
「はい?」
「私ね……今日のことは、絶対に忘れない」
「僕もです」
「うん……それじゃあ、またね」
彼女が顔を上げ、優しく微笑んだ。
その笑顔が、あまりにも美しくて——胸の奥がきゅっと締め付けられる。
別れの朝、そして...
時計の針が、午前二時を回ったことを知らせている。
窓の外はまだ暗く、室内の間接照明だけが柔らかな光の輪を描き出している。私たちはベッドの端に並んで腰かけていた――バスタオルに包まったまま、お互いの温もりを確かめ合うように。
「......そろそろ、着替えようか」
私がそう言うと、彼女は少し寂しそうに微笑んだ。
「うん......そうだね」
彼女が立ち上がる。バスタオルが滑り落ち、その白い肌が再び露わになる。間接照明が彼女の身体を後ろから照らし出し、そのシルエットを幻想的に浮かび上がらせていた――豊かな曲線を描く肩のライン、くびれたウエスト、そしてそこから続く優雅なヒップの曲線。
「あの......徹さん」
彼女が少し躊躇いながら、私の方を見た。その大きな瞳は、まだ少しだけとろりとしている。
「着替え、手伝ってもらってもいい?」
「もちろんです」
私は立ち上がり、彼女の背後に回った。彼女の黒髪が、背中の曲線に沿って流れ落ちている。その艶やかな髪をそっと避けながら、彼女の肩に手を置いた。
「まずは......下着から?」
「うん......お願い」
私はサイドテーブルに置かれていた彼女の黒いショーツを手に取った。それは小さくて、彼女の白い肌とのコントラストが目に浮かぶような色だった。
「足、上げてもらえますか?」
「うん......」
彼女が片足を優雅に上げる。その仕草の一つ一つが、まるで舞を舞うかのように美しい。
私は慎重に――まるで壊れものを扱うかのように――ショーツを彼女の足に通し、ゆっくりと持ち上げていった。布地が彼女のすべすべした肌を滑り上がり、最後に腰の辺りでぴったりと収まる。
「ありがとう......♡」
彼女が振り返り、照れくさそうに笑う。
「次は......ブラジャーですね」
私は彼女のブラジャーを手に取った――上品なラベンダーカラーで、レースの縁取りが施されている。彼女の背中にそれを当て、両腕を通すように促す。
「徹さん......ホック、お願い」
彼女が背を向ける。その白い背中には、繊細な鎖骨のラインが浮かび上がっている。
私は指先でホックを探り、そっと留めた。パチンという小さな音が、静かな室内に響く。
「......これで大丈夫ですか?」
「うん。ありがとう♡」
彼女が前を向き、胸元を軽く整える。その豊かな曲線が、レースの布地の下で優しく揺れた。
「じゃあ......次は、ワンピース」
私はピンクのシフォンワンピースをハンガーから外し、彼女の頭上から被せるようにして着せた。布地が彼女の白い肌を滑り落ち、優しいピンク色が彼女の身体を包み込む。
「ファスナー、お願い」
彼女が背を向ける。私はゆっくりとファスナーを上げていった――彼女の背中のラインに沿って、なめらかに。
「はい、終わりました」
「ありがとう♡」
彼女が振り返り、くるりと一回転する。スカートの裾がひらりと揺れ、白い太ももが一瞬だけ覗いた。
「どう? 変じゃない?」
「いえ、とても似合ってます」
「えへへ......そう言ってもらえると嬉しいな」
彼女はそう言って、サイドテーブルからネックレスとイヤリングを手に取った。小さな金属音を立てながら、それらを身に着けていく。
「徹さん......今度は、私が着替え、手伝ってあげるね」
「いいんですか?」
「うん♡ お返ししないとね」
彼女はいたずらっぽく笑いながら、私の前に立った。
「まずは......パンツから?」
彼女がそう言って、私の最後の一枚を手に取った。その指先は優しく、少しだけ躊躇っているように見えた。
「はい」
私が答えると、彼女はそっとそれを広げ、私の足元にしゃがみ込んだ。その黒髪が、肩から滑り落ちる。
「足、上げてください」
私は片足を上げる。彼女が慎重に布地を通し、ゆっくりと持ち上げていく。その指先が、私の肌に触れるたびに、ぞくぞくとした感覚が走る。
「......はい、履けましたよ」
彼女が顔を上げ、満足そうに微笑んだ。
「次は......ズボンですね」
彼女は私のズボンを手に取り、同じように広げた。私は両足を順に通し、彼女が腰の位置まで引き上げてくれる。
「ファスナー、お願いします」
彼女が手を伸ばし、そっとファスナーを上げる。その指先が、私のお腹の辺りをかすめた。
「ベルトは......自分でできますか?」
「はい」
私はベルトを手に取り、バックルを通していく。金属の触れ合う音が、カチリと響く。
「それじゃあ......シャツ、着ますね」
彼女が私のシャツを手に取り、広げた。私は両腕を通し、彼女が前でボタンを留め始める。
一つ、また一つと――上から順番に、丁寧に。
「徹さん......やっぱり筋肉、しっかり付いてますね。シャツを着ても、その厚みがわかります」
「ありがとうございます」
「ううん。それに......」
彼女が顔を上げ、いたずらっぽく笑う。
「やっぱり、スーツの方が似合うかも。ビシッとしてて、かっこいい」
「そんなことないですよ」
「いやいや、本当♡」
彼女は最後のボタンまで留め終え、満足そうに私の胸元を軽く整えた。
「ネクタイは......自分でできますか?」
「はい。でも......」
「でも?」
「できれば、すみれさんに結んでほしいです」
「えっ......」
彼女が一瞬、驚いたように目を見開く。それから、ふわりと微笑んだ。
「いいよ♡ でも......あんまり上手じゃないかも」
「大丈夫です」
私はネクタイを彼女に手渡した。彼女はそれを首に掛け、慎重に結び始める。
その指先は少し震えていて、何度かやり直しながら――それでも、一生懸命に。
「......できた!」
彼女が嬉しそうに声を上げる。
「どう? 変じゃない?」
私は鏡の方を向いた。ネクタイは少し歪んでいたけれど、それが逆に愛らしく感じられた。
「完璧です」
「えへへ......お世辞でも嬉しいな♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「最後は......ジャケットですね」
彼女がジャケットを手に取り、私の後ろに回る。私は両腕を通し、彼女が肩の辺りを優しく整えてくれる。
「......はい、これで完成♡」
彼女が正面に回り、満足そうに私を見上げる。
「徹さん......やっぱりかっこいい」
「ありがとうございます」
「ううん。それに......」
彼女が少し照れくさそうにうつむく。
「私のネクタイ、してくれてるの見ると......なんか、特別な感じがする」
「そうですか?」
「うん。だって......私が結んだんだもん♡」
彼女はそう言って、いたずらっぽくウインクした。
「さてと......」
彼女がベッドの端に腰かけた。そのピンクのワンピースが、柔らかな照明の下で優しく揺れている。
「徹さんも、座ってください」
私は彼女の隣に腰を下ろした。マットレスが少しだけ沈み、二人の体重を支える。
「ねえ......徹さん」
彼女が私の方を向く。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
「今日は......本当に、ありがとう」
「どういたしまして」
「うん......私、徹さんに会えて、すごく幸せだった」
「僕もです」
「よかった......」
彼女はそう言って、そっと私の肩に頭を預けてきた。その黒髪が、私の首元に広がる。シャンプーの甘い香りが、まだほのかに残っていた。
「ねえ......ちょっとだけ、話さない?」
「はい、もちろんです」
「うん......」
彼女は少し間を置いて、言葉を選んでいるようだった。
「徹さんはさ......今度の休み、何するの?」
「そうですね......特に予定はないです」
「えっ、もったいない!」
彼女が顔を上げ、驚いたようにまばたきをする。
「せっかくの休みなんだから、どこか出かけなよ」
「どこかに、ですか?」
「そうそう。例えば......」
彼女が指を立てて、数え始める。
「映画を見るとか......美術館に行くとか......それとも、美味しいものを食べに行くとか」
「なるほど」
「でしょ? せっかく働いてるんだから、たまには自分をご褒美しないとね」
彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。
「すみれさんは......休みの日、何をしてるんですか?」
「私? そうだなあ......」
彼女が少し考え込むように、顎に手を当てた。
「最近は......サウナに行くことが多いかな。あとは、読書とか。散歩も好きで、天気のいい日はよく近所をぶらぶらしてる」
「読書ですか。どんなジャンルを?」
「小説が多いです。特に恋愛ものとか......あ、あんまり話すと恥ずかしいですね♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。その横顔が可愛らしくて、胸が締め付けられるようだった。
「徹さんは......読書とかするの?」
「たまに。でも、仕事の論文が多いです」
「え〜、堅いなあ」
彼女がからかうように笑う。
「たまには、小説も読んだほうがいいよ。気分転換になるから」
「そうかもしれませんね。何かおすすめはありますか?」
「うーん......そうだなあ」
彼女がもう一度考え込む。
「川上弘美の『センセイの鞄』とか......江國香織の『きらきらひかる』とか。あと、吉本ばななの『キッチン』も好き」
「覚えておきます」
「うん。もし読んだら......感想、教えてね」
彼女がいたずらっぽくウインクする。
「そういえば......徹さんは、友達と遊んだりしないの?」
「たまに......飲みに行くくらいです」
「へえ......どんな友達?」
「大学の頃の同級生です。今は、みんな別々の会社で働いてるので、なかなか会えないんですけど」
「そうなんだ。でも、そういう関係、いいよね」
彼女が羨ましそうに言う。
「私も......川崎で働いてたときの友達がいるんだけど、なかなか会えなくなっちゃって」
「そうなんですね」
「うん。みんな、それぞれの店に移ったり......辞めたり......」
彼女の声が、少しだけ寂しさを帯びている。
「でも、たまに連絡は取り合ってるんだ。『元気?』って。それだけで、なんか......嬉しくなる」
「わかります。そういうの、大切ですよね」
「でしょ? だから......」
彼女が顔を上げ、私を見つめる。
「徹さんも、友達を大事にしたほうがいいよ」
「はい、心がけます」
「うん♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。
室内は静かで、時折エアコンの低い駆動音が聞こえるだけだった。ベッドのシーツが擦れる音さえ、やけに大きく聞こえる。
「......ねえ、徹さん」
彼女が、小さな声で私を呼んだ。
「はい?」
「私ね......家族の話、してもいい?」
「もちろんです」
「うん......」
彼女は少し間を置いて、言葉を選んでいるようだった。
「私、母子家庭で育ったんだ。お父さんは、小さいときにいなくなっちゃって」
「そうだったんですね」
「うん。でも、お母さんがすごく頑張ってくれて......パートで、私を育ててくれた」
彼女の声が、少しだけ震えている。
「だから......私も、お母さんみたいになりたいって、ずっと思ってた」
「すみれさんは、お母さん想いなんですね」
「うん......でも、私はお母さんに、たくさん迷惑かけた」
彼女がうつむく。
「高校辞めたとき......すごく悲しませた。『ごめんね』って、何度も言った」
「でも、お母さんはあなたを責めたりしなかったんでしょ?」
「うん......『元気でいてくれればそれでいい』って。それ聞いて、余計に辛くなった」
彼女の目が、少しだけ潤んでいる。
「でも......今は、ちゃんと恩返しができてると思う。毎月、お母さんにお金を送ってるんだ」
「それは、すごいですね」
「えへへ......そうかな?」
彼女が照れくさそうに笑う。
「でも、まだまだ足りない。もっと頑張らないと」
「無理はしないでくださいね」
「うん、わかってる。でも......」
彼女が顔を上げ、私を見つめる。
「徹さんにそう言ってもらえると、なんか......安心する」
「よかった」
「うん。それに......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「お母さんにも、徹さんのこと、話したいな〜」
「えっ......」
「冗談だよ......半分ね♡」
彼女はそう言って、軽く笑った。
「そういえば......徹さんは、旅行とか好き?」
彼女が話題を変える。
「そうですね......嫌いじゃないです」
「どこに行きたいとかある?」
「うーん......」
私は少し考えてみた。
「温泉とか......いいですね。ゆっくりできるし」
「あっ、いいね! 私も温泉好き!」
彼女が目を輝かせる。
「どこがいい? 箱根? それとも草津? 熱海も捨てがたいし......」
「そんなに詳しいんですか?」
「うん。だって、サウナ好きだし......温泉もよく行くんだ」
彼女はそう言って、嬉しそうに話し続ける。
「特に、冬の温泉がいいよね。雪見露天風呂とか......最高」
「確かに。風情がありますね」
「でしょ? それに......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「誰かと一緒に入ると、もっと気持ちいい」
「そうかもしれませんね」
「うん。だから......」
彼女が少しだけ真剣な顔になる。
「いつか、徹さんと......温泉に行きたいな」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「いいんですか?」
「うん......もし、徹さんがよかったら」
「ぜひ、お願いします」
「よかった♡ じゃあ、約束ね」
彼女はそう言って、小指を差し出した。
私は自分の小指を、彼女のそれに絡めた。
「指切りげんまん、嘘ついたら......針千本飲ます」
彼女が子供みたいに言う。その仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
「指切り、しましたね」
「うん。これで、約束は絶対だよ」
彼女は満足そうに微笑んだ。
「ねえ、徹さん」
彼女が、少しだけ声のトーンを落とした。
「私ね......この仕事、好きなんだ」
「そうなんですね」
「うん。最初は......お金のためだった。でも、続けてるうちに、だんだん楽しくなってきた」
彼女の目が、優しい光を帯びている。
「お客様に『ありがとう』って言ってもらえるのが、すごく嬉しい。『また来るよ』って言ってもらえるのも」
「それは、やりがいがありますね」
「でしょ? それに......」
彼女が私の顔を見つめる。
「今日みたいに、徹さんみたいな優しい人と出会えるなら、もっと頑張ろうって思える」
「すみれさん......」
「ごめんね、急にこんな話しちゃって」
「いいえ。むしろ、そういう気持ちを聞けて、嬉しいです」
「ほんと?」
「はい。だって、すみれさんがどんな想いでこの仕事をしてるか、少しだけわかった気がしますから」
「徹さん......ありがとう」
彼女はそう言って、そっと私の頬にキスを落とした。それは、感謝の気持ちを込めた、優しいキスだった。
「それにね......」
彼女が少し照れくさそうにうつむく。
「私、徹さんに......もっと会いたいなって思ってる」
「僕もです」
「ほんと?」
「はい」
「よかった......」
彼女はそう言って、安心したように微笑んだ。
「だから......LINE、交換しない?」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねる。
「いいんですか?」
「うん。」
「え......じゃあ」
彼女は自分のスマホを取り出した。ピンクのケースに、キラキラしたストラップが付いている。
「はい、これ。QRコード、読み取って」
私は自分のスマホを取り出し、彼女の画面に向けた。
ピッ......という音とともに、彼女のアカウントが表示される。
「『すみれ』......ですね」
「うん。それが私のアカウント」
私は友達追加のボタンを押した。
「はい、追加しました」
「よかった♡ これで、いつでも連絡できるね」
彼女は嬉しそうにスマホをしまった。
「徹さん......」
彼女が、真剣な顔で私を見つめる。
「私ね......もう一つ、言いたいことがあるんだ」
「なんですか?」
「その......」
彼女は少し躊躇ってから言った。
「私、徹さんのこと......好きになっちゃった」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
「お世辞とかじゃなくて、本当に。徹さんに会えて......話して......優しくされて......気持ちよくさせてもらって......」
彼女の声が、少しだけ震えている。
「だから......もしよかったら、お店の外でも......会ってほしい」
「お店の外、ですか?」
「うん。デート......したい」
彼女の頬が、赤く染まる。
「それに......いつか、結婚もしたい」
「えっ......」
「ごめん、急にそんなこと言って......」
彼女がうつむく。
「でも、本当なんだ。徹さんと、ずっと一緒にいたい」
「すみれさん......」
「私、この仕事を続けながらでも......徹さんと、ちゃんとお付き合いしたい」
彼女が顔を上げる。その目は、しっかりと前を見据えていた。
「もちろん、もし徹さんが嫌なら......無理強いはしない」
「そんなことないです」
「ほんと?」
「はい。僕も......すみれさんのこと、好きです」
「徹さん......」
彼女の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
「嬉しい......すごく、嬉しい」
彼女はそう言って、両腕で私の首をぎゅっと抱きしめた。その身体が、微かに震えている。
「でも......」
私は少し躊躇いながら言った。
「お店のルールとか......大丈夫なんですか?」
「うん......大丈夫じゃないかもしれない」
彼女が顔を上げる。
「でも、私、隠し通す自信がある。それに......」
彼女がいたずらっぽく笑う。
「もしバレたら、そのときはそのとき。お店を辞めればいいだけだし」
「そんな......」
「それくらい、徹さんのこと......大事だってこと」
彼女の目が、真剣な色を帯びている。
「だから......よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
私たちは、お互いの手を握り合った。その手のひらは温かくて、確かな意思を感じさせた。
「さてと......そろそろ、時間だね」
彼女が立ち上がる。そのピンクのワンピースが、優雅に揺れた。
「うん......そうですね」
私も立ち上がる。
「じゃあ......階段まで、送るね」
彼女がそう言って、私の手を取った。その指先は、少しだけ震えている。
私たちは、手を繋いだまま、部屋を出た。
廊下は静かで、足音がやけに大きく響く。木製の床が、きしむ音を立てる。
「徹さん......」
「はい?」
「今日は......本当に、ありがとう」
「どういたしまして」
「うん......私、徹さんに会えて、すごく幸せだった」
「僕もです」
「よかった......」
彼女はそう言って、立ち止まった。
そこは、階段の踊り場だった――私たちが最初に会った、あの場所。
「ここで......初めて会ったね」
「そうですね」
「徹さん......覚えてる?」
「もちろんです。すみれさんが立っていて......とてもきれいだった」
「えへへ......そう言ってもらえると、嬉しいな」
彼女は照れくさそうに笑った。
「ねえ......徹さん」
「はい?」
「最後に......キス、していい?」
その言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「もちろんです」
彼女がゆっくりと顔を近づける。その大きな瞳が、まっすぐに私を見つめている。
その唇が、そっと私のそれに重なった。
最初は優しく、触れるだけ――蝶が羽を休めるかのように。
「ん......♡」
彼女の吐息が、私の唇をかすめる。
少しだけ唇を離し、またすぐに重ねる。ちゅっ、ちゅっ――という小さな音が、静かな廊下に艶めかしく響く。
「ちゅ......れろ......♡」
彼女の舌が、そっと私の唇の隙間をなぞる。その誘いに応えるように、私も口を開ける。
「んんっ......♡」
二つの舌が触れ合う。温かくて、柔らかくて、そしてほんのりと甘い。
私たちの舌は、絡み合い、離れ、また絡み合う。唾液が混ざり合い、甘い水音が響く。
「はぁ......はぁ......♡」
彼女が一瞬唇を離し、息を整える。その目は潤んでいて、頬は上気している。
「徹さん......」
「はい?」
「好き......」
「僕もです」
「愛してる......」
その言葉が、胸の奥にじんわりと沁みた。
「またね......」
「はい、また」
彼女がもう一度、そっとキスをしてきた。
それは――これからの再会を約束する、優しいキスだった。
「じゃあ......徹さん、気をつけて」
彼女がそう言って、私の手を離した。
「はい。すみれさんも......お体、大事に」
「うん、ありがとう」
彼女が微笑む。その笑顔は、少しだけ寂しそうだった。
「それから......LINE、送っていい?」
「もちろんです。いつでも」
「よかった♡ じゃあ......後で」
「はい」
私は階段を下り始めた。一段、また一段と。
「徹さん!」
彼女の声が、後ろから聞こえた。
振り返ると、彼女はまだそこに立っていた――あの時と同じように、柔らかな照明に照らされて。
「また来てくれる?」
「もちろんです」
「約束してくれる?」
「はい、約束します」
「よかった......」
彼女はそう言って、嬉しそうに手を振った。
私も手を振り返し、再び階段を下りた。
一階に着くと、黒服の男性が深々と頭を下げた。
「徹様、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
靴を履き替え、ガラスの引き戸を開ける。
外の空気は冷たくて、でもどこか清々しかった。
振り返ると、白い暖簾の向こうに、彼女の姿が見えた気がした。
――すみれさん。
心の中で、そう呟いた。
スマホが震える。
画面を見ると、LINEの通知が表示されていた。
『すみれ』からだ。
『今日は本当にありがとうございました♡ また会えるのを楽しみにしてます』
そのメッセージに、胸が熱くなった。
『こちらこそ。また必ず伺います』
そう返信すると、すぐに既読がついた。
『待ってますね♡』
最後に、ハートのスタンプが送られてきた。
私はそのスタンプを、そっと閉じた。
夜明け前の街は、まだ静かだった。
でも、私の心の中は――彼女の温もりで、満たされていた。
(了)
【注意書き】
本作品は完全なフィクションであり、登場する人物・団体・店舗名などはすべて架空のものです。実在する人物、団体、施設などとは一切関係ありません。
本作中に登場する描写は、すべて作中の登場人物間の合意に基づく架空のものであり、現実における「不同意性交等罪(刑法第177条以下)」に該当する行為を助長・推奨するものではありません。現実の行為においては、相手方の明確な同意がない行為は犯罪となり得ますので、ご注意ください。
また、売春防止法は、売春(対価を得て、または対価を得る約束で、不特定の相手方と性交すること)及びその斡旋等を禁止しています。本作品はあくまで創作物であり、実際の売春行為やその斡旋を推奨・助長するものではありません。
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