【毎週ショートショートnote】夜桜系男子 #創作怪談
裏庭の桜には、木の精霊が宿っている。
M県K小学校の七不思議によると、精霊の名前はさくらくん。日が暮れた後に桜の木の前を通ると、「早く帰りなさい」と声をかけられるそうだ。普段は声しか聞こえないが、桜の花が咲いている時期だけは姿も見えるのだとか。
「この手の怪談で男の人って珍しいですね?」
「桜の精と言われたら、なんとなく女性かな、とは思うよね」
この話をしてくれたNさんは、その学校の卒業生だ。彼女自身はさくらくんの声も形も知らないが、彼女の友達には、実際に『彼』を目撃した子もいるらしい。
「まぁその子達、全員卒業してから連絡取れないんだけどさ」
怖い話なのか世知辛い話なのかは、判断が分かれそうな展開だ。
「なんか、声を聞くだけなら問題ないけど、姿も見ちゃうと危ないらしいよ」
「危ない?」
「連れていかれるとか魅入られるとか、詳細は話によって変わるけど、最後は大体土の中」
ーー桜の下には死体が埋まっている。
定番だが、趣のある話だ。
以上、410字。こちら参加させて頂きました。
なお、見出し写真はご近所の芝桜。
