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【紫陽花男子】八雲邸の紫陽花

曽祖父の家は戦後すぐに建てられた日本家屋。
水回り等室内は暮らし易いようにだいぶリフォームされているが、外観はほぼ当時のままだとか。

「小説家の家らしくて様になるだろう」

その家に一人で暮らす兄は、特に庭が好いと言う。飛び石や手水鉢も配置された純和風の庭には、こんもりとした大株の紫陽花が幾つも鎮座している。
パチリ、と切り落とした花を投げ渡して、兄が微笑う。

「花が終わったら切り落とすこと。そうすれば次もちゃんと咲いてくれる」

紫陽花は花びらに見える部分がガクなので、散る事もなく色褪せていく。『辛抱強さ』という花言葉はここから来るのだろうか。『移り気』な『無常』の花なのに、まるで『家族団欒』を愛するあの人みたい。

「ちぃちゃんが帰って来てくれて良かったよ」

妻子ある一回り年上の男性と泥沼不倫。その末に、身体を壊して出戻ってきた双子の片割れを迎え入れた兄は、お伽噺の魔法使いのような優しい顔で微笑う。

「終わり損なっちゃ駄目だよ」


こちら参加させて頂きました。(本文410字)

『 』内はすべて紫陽花の花言葉になります。
土壌のph値の違いによって色が変わるのは有名ですが、白色のものは土壌の影響を受けないそうですよ。


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