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【毎週ショートショートnote】恋に落ちる #こざかしい落下
「恋に“落ちる”って言うじゃん」
大学の購買部で菓子パンを物色していた同級生が唐突に喋り出す。
「俺は階段落ちたら恋にも落ちた」
「どういう事だよ」
二十歳を過ぎても少年めいた美貌の男が、渾身のドヤ顔をかますのは実に腹立たしい。
「いや、アパートの階段で滑って落ちて鍵まで無くした時に助けてくれたのが、今の恋人でさ」
「あーハルカサンね」
「下の名前で呼ぶな馴れ馴れしい」
「やかましい」
適当に流してから、おや、と思う。確かご両親とも弁護士で、家政婦付きの豪邸で育ったと噂に聞いた覚えがあるのだが。
「同じアパートに住んでた人?」
「うん、その頃両親が離婚調停中でごたついてたから、姉貴のアパートに転がり込んでてさ」
反応し辛い現実を述べながらも惚気は続く。
「一目惚れって本当にあるんだな」
「大丈夫か? 頭打った?」
「やかましい」
恋に落ちるとバカになる、なんて誰かの名言を連想するような、こざかしい顔で彼は語る。
「ちなみに鍵は自宅に忘れてた」
こちら参加させて頂きました。(本文410字)
どうして恋は落ちるって言うのでしょうね。気分は有頂天なのに。
