『昨日も今日もひとりぼっち…おいら、捨てられたと思った話』~ジローのひとりごと~
おいら、ジロー。シュナウザーや。
時々連れて来られる『病院』って場所に、また来てしもーた。
ここな、前に来た時、ちょっと眠くなって目ぇ閉じて、起きたら歯が無くなっとったという、なかなかパンチ効いた場所やねん。
で、今回も「なんか嫌な予感するなぁ…」思っとったらや。
みつこがな、
『じゃあね〜ジロー、いい子にしとくんよ〜』
とか言い残して、サッと帰ってしもーた。
……いやいやいや。
待てや。
おいら、ここに置いてかれたんやけど。
それからや。
1日目、誰も来ん。
2日目も、来ん。
さすがに3日目なって、おいらも思ったわ。
「あれ?これ、ほんまに置いてかれてない?」
不安になってきてな、世話してくれる人間のお姉さんに必死で訴えた。
『出してくれー!!ここ違うー!!』
って何回も言うたんやけどな、どうも人間には犬語が通じへんみたいや。
ほんなら昼間に一回、リードつけて外に連れてってくれたんよ。
その瞬間、おいらの中でスイッチ入った。
「帰るで!!」
おいらと、まさおと、みつこが住んでるあの家に!!
全力で道案内したる!!
って張り切って歩いたんやけどな。
気づいたらや。
さっきまでおった病院に戻ってきとるやないかい。
なんでやねん。
そのままヒョイっと抱き上げられて、またあのゲージの中や。
『違う違う違う!!ここちゃう!!』
って言うても、やっぱり通じへん。
その時な、おいら思ってしもーたんよ。
「……あれ?もしかしておいら、ここに住むことになるんか?」
まさおのしょーもないダジャレも、
みつこの無駄に長くてオチのない話も、
もう聞かれへんのかもしれん。
……それはそれで静かでええ気もするけど、やっぱちょっと寂しいやん。
って思ったらな、なんか胸の奥がキューってなって、ちょっと泣きそうになってしもーた。
──でや。
それからさらに2晩くらい過ぎた朝。
ガチャッて音してな。
見たらや。
みつこや。
その顔見た瞬間な、なんかもう安心してしもーて。
おいら、思いっきり甘えた声で鳴いてしもーた。
……くっそ、悔しいけど嬉しかったんや。
そういえば最近な、あの2人、やたら
『オキナワ!オキナワ!』
って浮かれとったな。
……あいつか。
オキナワってやつのせいで、おいらこんな目におうたんやな。
よし決めた。
「おい、オキナワ。
今度おいら達の邪魔するようなことあったらな、ただじゃおかんぞ」
おいらの必殺技、食らわしたる。
最初に噛み噛み攻撃や(歯は全部ないけど)
次に――
うんこぶりぶり攻撃!
覚悟しとけよ。
……と、心の中でちょっと強気になってみたジローであった。
次回エピソード
(まさお)~沖縄、着いた瞬間に「めんそーれ」ではなく「なんやそれ」~
