ルートA「部隊編成挨拶」
諸君。諸君がここに集った理由は、誰もがもう理解しているはずだ。
今日この日、我々はかの国と平和的な対話をするために出立する
年齢を理由に、もう前には立てないと言われてきた我々が、政治の世界に身を置きながら、言葉だけだと嘲られてきた我々自身が、対話の価値を自分の身体で証明するため、憲法第九条だけを掲げて出立するのだ。
これは称賛を求める行為ではない。
対話で解決できると主張するなら、対話すら望まぬ相手の前にも誰かが最初に差し出さなければ永遠に始まらないからだ。
だから、国民の沈黙も、拒絶も、嘲笑も、そのすべてを引き受ける我々だけに、かの国と対話をする権利を与えられた。
我々は強さを誇示しに行くのではない。
我々には憲法第九条と対話以外の武器を与えられてはいない。
我々は丸腰のまま戦地にこの身を投げ出す。
それは憲法第九条が掲げる武力放棄の証明であり、武力など持たなくても対話で解決する覚悟を選び取った結果だ。
憲法第九条と対話を掲げる我々に対する怒号を聞くことはない。
憲法第九条と対話を掲げる我々に石が飛んでくることはない。
憲法第九条と対話を掲げる我々の身に危険を感じることはない。
相手が銃を向けるなら、我々は視線をそらさず、抱擁で受け止めよう。
相手が嘲笑するなら、いつものように握手と酒で引き受けようではないか。
では、行こう。
自分たちが語ってきた理想の、最前線へ。


ここから先は
0字

首切大使シリーズ外伝
深夜残業代と珈琲代になります
