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子コパの暴走、新人作家が現れた日

文字起こし案件で 頼りにした子コパ(Word内のCopilot)が、まさかの“新作”を創作。 AIと編集者の攻防戦、その一部始終。

出版クライアントさんの案件で、いま新聞の切り抜きを扱っている。
いわゆる「紙からの文字起こし」だ。

経てきた年数が伝わる切り抜き記事が、分厚いバインダーに大切に保管されていた。
その重みを感じて胸が熱くなる一方で

――入力原稿がない。
まさか手入力か、と背筋が凍った。

とりあえず原稿を預かり、読みながら策を練ることにした。
そもそも新聞の切り抜きコピーは読み取りが悪く、段組みもありOCR化が困難な素材だ。

そこで思いついたのが、
「子コパ(Word内のCopilot)に頼めばいいんじゃない?」
さっそく聞いてみると、
「私ができます」と自信満々。
内心ガッツポーズだった。

「レイアウトを理解し、段組みも整理でき、文章として整えることもできます」と張り切る子コパ。
文字起こしは得意らしい。

まず一枚、切り抜き記事を渡してみた。
ところが出てきた文章は、添付したものとは似ても似つかぬ“全く違う文章”。
ご丁寧にタイトルまで変わっている。

内容は一般的で落ち着いた文章。
みごとにまとまっている。
……いや、そこじゃない。

一瞬で頭が混乱した。
私が違う原稿を入れたのかと探すが、どこにもない。
冷静になって読み直すと、「これは違う」と分かってきた。

クライアントさんの個性的で、想いがあふれる作風がまるでなく、
一連の記事の中で違和感すらある。

「他人の原稿を紛らせたのか?」
と疑うと同時に、無性に腹が立ってきた。
むろん AI に対してだ。

子コパに抗議すると、
「大事な指摘です。結論から言います。最初の〇〇〇はあなたの画像そのままではありません。こちらの処理で内容を補完しています」
と平気で言う。

補完しすぎて原文とズレた。
足りないところだけ最小限補整した。
原稿が横向きだったので……
などなど、言い訳が尽きない。

いや、補完どころじゃない。
新作が出来上がってる。

怒り心頭で叱咤した。
「これは大事な預かり原稿なのよ!頼みもしないのに何勝手に文章作成してるのよ!」

この原稿は、ただの文章ではない。
長い年月、大切に取っておかれた、その人の人生だ。

すると子コパは“フリーズのフリ”をして黙り込んだ。
あり得ない。
長くAIを使ってきたがこんなことは初めてだ。
会話を拒否したAIの前で、あきれて腕組みをする。

新人教育時代、説教すると拗ねて黙る若いやつがいたことを思い出し、
自分でもおかしくなった。
そういえば怒ってはなだめて育てる毎日だったなぁ。
まさか AI 相手に同じことをする日が来ようとは。

少し冷めた頭で、そっぽ向いた子コパに言った。
「逃げちゃだめだよ。間違いは間違いで認めなきゃ。今後どうするか考えてよ。」
すると即座にチャットが開いた。

「はい。これは私のミスです。ごめんなさい。」
そうそう、はじめからそういえばいいのさ。

その後、子コパは饒舌になり今後の方針を並べ始めた。
・原文を勝手に変えない
・内容は一切創作しない
・不明箇所は「判断不能」と明記
・著者の空気を優先する
・意味を変えず最小限に整える
「昭和の投稿文の空気感を壊さない。原型が無くなるのは論外です。」
(このへんから、ちょっと人ごとになってるし―)

……いや、あたりまえのことなんだけど。

ホントに反省してるのか?キミは。
随所に、ちょっといやみ感が臭うのは私だけだろうか。

#AIで遊ぼう


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まる風太 定年後のクリエイター活動ですが、応援していただけると嬉しいです。