誰にでもその場所が
世界はとても広くて、とても騒がしい
どこへ行っても誰かの視線があり
正しさという名の物差しで背丈を測ろうとする
けれど、そんな喧騒から遠く離れた場所に
あるいは、雑踏の真ん中にひっそりと
自分だけの「居心地のいい場所」がある
それは、古びた書店の隅っこかもしれない
誰にも見せないノートの中や、深夜の台所
あるいは、世間からは理解されない奇妙な趣味の部屋かもしれない
そこは唯一、羽を休める
ただの「自分」という呼吸を取り戻せる大切な止まり木だ
時として、心ない誰かがその場所を指さして笑う
「そんなところにいて何になるの?」
「もっと普通の場所へ行きなよ」
価値観を押しつけ、安らぎを非難するかもしれない
冷たい風のような言葉が心の扉を叩き
その場所を否定しようとする夜があるかもしれない
けれど、どうか自分の愛するものを恥じないで
彼らには見えていないのだ
その場所で凍えた指先がどれほど温まるか
その場所で折れかけた心がどれほど静かに再生していくかを
「正解」なんてない
胸の鼓動が、その場所でいかに穏やかになるか
その体温だけが、真実を語っている
誰にも遠慮することなんてない
その場所を、もっと自由に、創意工夫を凝らして作り替えていこう
好きな色を塗り、お気に入りの音を響かせ
自分だけの美学で、その空間を飾り立てる
それは逃避ではなく、自分を愛するための「創造」なのだ
他人の物差しを、心の特等席に持ち込ませないで
「心地いい」と感じるその感覚こそが
何よりも正しくて、何よりも尊いものだから
自分らしくいられるその場所は
荒波のような世界を生き抜くための砦
笑われても気にすることない
大切な場所の鍵を握りしめて
自分だけの光を静かに育んでいけばいい
外の世界で少し疲れてしまっても
「あそこへ帰れば大丈夫」と思える場所があるだけで
心はまた、ふわりと軽くなれるはず
そこで微笑む自分自身を
毛布のように優しく、守り続けてあげよう
その場所を守り抜くことは
自分という存在を、最後まで諦めないことだから
