一応勝負は履いている|せりふ三題噺
彼とのデートは4回目。
彼と言ったが現状、彼ではなく、その男性の意味。
前回半個室の居酒屋で飲んだ時、終わりの方で、手を私の手に置いてくれた。嫌じゃなかったから引っ込めなかった。その夜は駅で別れた。
今夜はお互い観たいと盛り上がった『ひつじ探偵団』を観てから、映画館近くのビストロで食べて、その後都心を延々歩きつつ話している。
昼は牛丼で調整した、と彼が言うから、「調整」とはなんぞや?と延々話が転がるとかが楽しい。
神社の境内を通りがかる。
「なんか、ねぎ多めで……あ、禰宜さん多め」
と言い直すのも好感度高い。
好きな芸能人を聞かれカズレーザーと答えると、
「俺も金髪にする」
と笑う彼が、彼だったらいいな、といよいよ思う。
いや正確には家出るときから思っていたかもで、ジーンズにデッキシューズみたいな飾りっ気も素っ気もないスタイルでいて、パンツは一応勝負のだ。
手に触れてほしくなる。
並んで歩く距離を縮め、わざと、振る手を彼の手にかすらせる。
(了、417文字)
はらとけいさんの #せりふ三題噺 に参加します。
セリフ
「ねぎ多めで」
三つのお題
牛丼/金髪/デッキ
いいなと思ったら応援しよう!
スキとフォローくだされば(気に入ってくださるなら、でね)十分なのであります!
いつか有料記事に挑戦しますので、その時までチップ取っといてください笑