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ヘイトに合わないために「トルコ人と間違われないようにしろ」?

このポストね、本当ですよ。IKEAのあのバッグってロマとか路上生活者とかが持ってるものっていうイメージなので、日本に越してきた今も、あれを普段使いしている日本人を見ると少しだけギョッとします。刷り込みって怖いです。

「安っぽい格好をしていれば泥棒に合わない」なんて旅行者の間でもよく言ったもののようですが、意外にも在外邦人にとってはトラブルの元になったりすることもあるんですよ。

昔話をしましょう。


まだ90年代、しかも前半だったと思う。
在現地日本大使館から「トルコ人と間違われて犯罪に巻き込まれないように、身を守るために身なりに気をつけろ」というお達しが出されたことがある。

何が起こったかはわからないが、わざわざ大使館が注意喚起するくらいなのだから、邦人が移民に間違われて、何かしらの被害にあったと思われる。大使館がそこまで言うということは警察沙汰くらいにはなった可能性が高いし、「間違われないように」と言うには事件関係者がそのような事実があったようだと話したということなのかもしれない。

…むしろあの時代にどんな格好だったんだ、逆に。

(簡単にメンションしておくと私の地元はトルコ系移民が多く、彼らは、少なくとも当時は、ヘイトクライムに直面することが少なくなかった)

現地人は日本人、少なくとも都民の基準からすると服装はだいぶいい加減だ。東京のレベルからしたらどう頑張ってもおしゃれとは言えない。夏場は特に(日本だと部屋着扱いされそうな)薄いワンピース1枚にBirkenstockのサンダルとか、そういうおばちゃんが増える。それに習って、日本人でも(それ以上に)いい加減な格好の人がいても、まあ、おかしくはないし、むしろ金持ちっぽいと狙われることもあるので、違和感はない。

トルコ人と日本人、そんなに間違えるか?と思われるんでしょうが、現地人には本当に見分けがつかないらしく、私の友達の日本人ママさんたちも複数人間違えられたこと経験を語っていたので、少なくとも当時は、そこそこあったとさ。嘘じゃないよ。

というのもトルコは多民族国家で、見た目が本当に様々なのも関係しているだろう。中東系の顔立ちが大半を占める一方で、白人っぽいイメージもあるのはギリシャ系あたりの方のイメージで、更に当のトルコ人によると「中国人みたいな顔もいるよ」とのことだが私は個人的に会ったことが無いのでコメントできない。

まあ、そもそも嫌がらせとかするような輩は相手が厳密に何人かなんてサッパリ気にしてないだろう。むしろ国籍を正確に特定して攻撃するほど用意周到ではなく、通り魔的であることが多い。少なくとも私の経験上は。

で、何って。言い回しが悲しすぎるなと。

当然、今の時代なら「そんな言い方はすべきでない」と抗議の声も出てくるだろう。それに乗じて「移民を差別してる!」とか言う人も結構いそうだなと邪推してみたり。でも本当に差別してるのは移民に危害を加えた人間なんだということは強調せざるを得ない。
もちろん悲しい話ではあるんだけども、そういう現実が、日本人とトルコ人の両方にとってある、またはあったから、無視しないでほしいという気持ちが今の私にもある。

人種に加えて、服装という要素で、貧しそう、教養がなさそう、国のお金を自国に持って帰るためだけに来てそう、みたいに悪いイメージが増幅されているのだ。
とはいえ「そういう人が来てることが嫌なんだ!」っていう人がいるのは(決して良いことではないが)至って普通で、その中に手を出してしまうタイプの人間もいるということなのだ。過去の投稿で記したように、「服装から怪しげな人を回避する」というのは、実際のところ、トラブル回避する一つの術というか、「異質なものを避ける」のは人間の性|《さが》なのでそこはあまり否定しない。

ということで、事件が起きうる場所では自分の身を守るために服装を変えるのもやむなしとは感じる。

ヘイトクライムが極端な例だとはいえ、それでなくても見た目がダサいだけでも直接色々言われたり、されたりもするし、周囲に合わせることは決して逃げではない。防御だ。私が地元で過ごしたのは学生時代だったからというのもあるけれど、服装はいじめのメジャーな原因なんだとかなんとか。

向こうの人はあまりおしゃれなタイプでも、流行を気にするタイプでもないとやや自覚していると思う。というのもあの国特有の著しくダサい格好のテンプレみたいな物がある。Birkenstockのサンダルに白ソックス、茶色の半ズボン、ポロシャツのおじさん、みたいな。
と言いながらも実際には流行はあるし、それに合わせた格好はみんなしている。明らかに時代遅れな格好の人は普通は見かけない。
時折「外国人は流行を気にせず自分のスタイルを貫いている」という主張が日本のSNSで見かけるのだが、あれは単に投稿者が無自覚で「気にしてないよ〜」って言ってるだけなので、どこに行っても「おしゃれ」と「ダサい」とその間のグラデーションとそこから逸脱したファッションは存在する。

私自身も帰国後、服装が日本っぽくなるまで時間かかった記憶がある。しかも体型とのギャップがあるから余計に。(私はどうやら体系/肌色が日本人の最頻値から外れているらしく、街に溶け込める似合う服を見つけるのには相当時間がかかった。)
その一方で、日本では服装を日本人っぽくしなくても何も起きないことにも気づいたのである。ロリータファッションは昔はいろいろ言われがちだったけれど、最近はだいぶましになったと聞いたのだけどどうだろうか。とりあえず、向こうなら無事では済まないね!と笑うしか、私にはできない。
最近なんかは和服とかちょっと流行っているというか、いろんな着こなしが増えていいよなと思う。ただもっと簡単に着れないものか…。私も雑誌で見たデニムの着物を買ったのだがうまく着付けられない。しばらく前から中国では漢服がうけているとか聞いたような。大昔は中国国内で漢服を着てお花見をしていたら「日本人の服を着るなんて!」と怒られが発生したとかいう話も読んだ記憶があるので、変な国粋主義は流行ってほしくはないが、伝統が現代で姿を変えて続くのはなかなか悪くない。

結局何って、ただ歩いてるだけで難癖つけられたりしないってのは本当にすごい。そういう場所があると気づいてからは、私は肩の荷が下りた気持ちだ。

とはいえ、都内で青いビニールシートを用途外で使っている人を見ればやはり警戒はしてしまうだろう。路上生活者への嫌がらせや犯罪も日本にだってあるし。やはり身につけるものはどう頑張っても"装備"という役割を与えられてしまうのだなと。着飾っていても"装備"だし、夏場の薄いワンピース一枚だって「私は服にお金をかけるような愚かな人間ではありませんよ」と発信するための"装備"なのだ。

悲しいかな、IKEAのバッグはワードローブにしまって「私は路上生活者じゃありませんよ」、現地人と同じ程度に安っぽくない服装で出歩いて「私は金目当ての移民ではありませんよ」とメッセージを伝える"装備"を身につけないと同じ人間として扱ってもらえない、そんな世の中は90年代からずっと続いているのだ。そして私たち人類に"ステータス"がある限り、それは今後も続くだろう。

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