作品15 お砂場コロコロ
娘がまだ幼稚園に入る前、
2歳〜3歳くらいの頃。
私はよく昼休みに、公園へ娘を連れて遊びに行っていました。
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普通の会社員なら、昼休みはランチをする時間。
でも、競馬場で働く人間の朝は早い。
どのくらい早いかというと――
今の目覚ましは朝4時20分。
「意外と普通じゃん」と思ったあなた。
夏になると、これが毎日2時20分。
さらに競馬開催の土日は、早い日で1時20分。
もはや朝ではなく、深夜です(笑)

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これだけ朝が早いと、昼休みは長くなる。
多くの人は、その時間で昼寝をする。
でも私は、
睡魔に襲われながらも、
その時間を削って娘と公園に行っていました。
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最初は普通のお砂場遊び。

山を作ったり、ケーキを作ったり。
どこにでもある、よくある光景。
でもある日、その山は――
“コロコロ”に進化します。
ボールを転がせる山。
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最初はシンプルなコース。
けれど回数を重ねるうちに、
私の中の“創作魂”が目を覚ましました。
「ここにカーブつけたら面白いな」
「ここはトンネルにしよう」

気づけば、どんどんクオリティが上がっていく。
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すると不思議なことが起きます。
近所の子どもたちが、自然と集まってくる。
「コロコロ作って!」
そう言われるようになり、

中には“マイボール持参”の強者まで登場(笑)
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本来は、娘を遊ばせるために来ていた公園。
でも気づけば――
自分が一番楽しんでいました。
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ちなみにこのコロコロ、制作時間は約10分。
なぜそんなに早く作るのか。
理由はシンプルです。
早く作らないと、娘が飽きてどこかへ行ってしまう。

そうなると私は――
ただ一人、砂場でコロコロを作る変なおじさんになる(笑)
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しかし、この“高速制作”には代償がありました。
ある日、私のスコップ捌きに耐えきれず、
アンパンマンのスコップが破壊。
完全に、やりすぎです。
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家に帰って妻に報告し、
「次は硬い園芸用スコップが欲しい」と伝えると――
「あなたは公園に何をしに行ってるの?」
と、冷静な一言(笑)
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私は答えました。

「コロコロを楽しみにしてるフォロワー(子ども達)のために行ってるんだ」
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…今思うと、ちょっと意味がわからないですね(笑)
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でも、この“コロコロ”がきっかけで、

近所の子どもたちやママ友とも自然と仲良くなり、
娘は幼稚園の初日から泣かずに笑顔で登園していきました。
あの時間は、確実に無駄じゃなかった。
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今は公園に行く機会も減りましたが、
たまに顔を出すと、
「遊んで!」と子どもたちが集まってきてくれます。
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これって、シーグラスと同じだなと思うんです。

自分がただ楽しくて、作りたいものを作っていただけ。
それなのに、いつの間にか人が集まってくる。
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お金じゃない価値。
時間を使ったからこそ得られたもの。
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あの砂場で作っていたのは、
コロコロだけじゃなくて、
人とのつながりだったのかもしれません。
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そして今は――
あの頃とは違って、昼休みにぐっすり昼寝ができている。
それはそれで大事な時間。
だけど、今だからこそ思うんです。
あの砂場で過ごした時間が、
少しだけ恋しくて。
たまに、ちょっと寂しくなることがあります。
