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和知ダムのゲート破壊事故の原因と教訓

和知ダムのゲート破壊事故の原因と教訓
Chat GPTに訊きました 017 号

質問者:永山 功
回答者:Chat GPT

【質問】
 1967 年7 月に起こった和知ダムのゲート破壊事故は,その原因が施工の不備ではなく設計の不備にあったことを国が認めた点で大きな意味を持つものでした。そこで,そのような結論が得られるまでの経過について教えてください。

図ー1 和知ダムのゲート破壊事故

【回答】
1. 事故の概要と初期段階における見解

 本事故は,1967 年 7 月 2 日,完成して間もない和知ダム(堤高 25 m )において 4 門あるゲートのうち 1 門が突如破壊し,500 m3/s という流量の水が流失して下流で釣り人 1 名が死亡した事故です。しかし,建設省和歌山工事事務所が行ったダムの完成検査では,何ら問題箇所の指摘はなく,事故後の新聞の取材に対して同事務所長は「検査では問題はなかった」と述べていました。また,京都大学防災研究所(以下,京大防災研という)の石原安雄教授も,新聞の取材に対して「本型式のダムは古くからあるもので,設計ミスは考えにくい。工事の不手際が原因だと思う」と述べていました。

図ー2 当初、「溶接工事の不手際」が原因と報道されていた


2. 事故調査委員会の設置
 この事故は国会でも取り上げられました。当初,建設省は「施工ミスと検査不備が原因と考えられる」と答弁していましたが,国会では事故調査委員会を設置して原因を究明することが決まりました。また,同様な意見は専門家(学者)からも出されていました。
 そこで,建設省と通商産業省は『和知ダムゲート事故技術調査委員会』を設置して事故原因の究明にあたりました。委員長には京大防災研の矢野勝正教授が就任しました。
 本委員会は,国が設置した委員会としては珍しく,京大防災研が主体となった議事運営が行われました。また,現場調査や事故分析も京大防災研が主導して行われました。

3. 科学的分析と原因の究明
 当初,委員会では,国は施工ミスと完成検査の不備が事故の原因と述べていましたが,委員会による現場調査とゲートの構造解析が進んでいくと,施工不良だけではゲート破壊を説明できないことが明らかになってきました。そして最終的に,ゲート支柱の強度不足によって座屈破壊が生じ,これが破壊事故に繋がったという報告書が纏められたのでした。

4. 委員会の結論を受けた行政対応
 委員会の最終報告により,和知ダムのゲート破壊事故の原因が設計ミスにあったことが明らかになると,国会でも,同様な事故の再発防止策として同型ダムの全国一斉点検を行うこと,技術基準を改定することが決まりました。そこで,建設省は全国のダムの一斉点検を行って,必要な場合には補強工事を実施しました。また,設計基準も見直しが行われました。

5. ゲート破壊事故の原因のさらなる研究
 和知ダムのゲート破壊事故の原因究明とその後の対応については以上に述べたとおりですが,国(行政機関)ではなく,大学(学術研究機関)が主体となって科学的な事故原因調査が行われたことは大いに注目すべきです。これによって,真の事故原因が突き止められたのです。
 なお,大学では,その後も事故について追加研究が行われています。最新の研究によると,ゲート操作中の水流変動がもたらした動的荷重とゲート振動が破壊に大きく関与していた可能性が明らかになっています。つまり,事故当時の公式結論では事故原因が完全に究明された訳ではなかったことを示しています。このことは,公式結論が出されたとしても,学問の進歩に応じて公式結論を随時見直していくことが技術の発展と安全の向上のためには必要であることを示していると言えるでしょう。

6. まとめ
 和知ダムのゲート破壊事故は土木施設における安全確保の難しさを示す貴重な事例です。これから明らかなように,設計基準というものは絶対的なものではなく,科学の進歩に併せて随時見直すことが必要なのです。それを怠り,技術基準を絶対化してしまうと,事故の原因を施工や検査のミスに押しつけてしまう危険性が生まれます。しかし,科学や技術も間違いを起こすことがあるのです。和知ダムのゲート破壊事故はそれを如実に示す貴重な事例として深く記憶に留めておかなければなりません。

*** 筆者のコメント ***
 下記は、当時の朝日新聞の報道内容(図ー2 参照)である。
 発注者の関西電力、大学の学識経験者、検査をした建設省。皆、実にいい加減な発言をしている。新聞社も同罪だ。彼らの発言を鵜呑みにして報道している。
 国の完成検査もいい加減だ。単に書類のチェックを行うだけで、実は何も検査していない。勿論、溶接の不手際の有無など検査していない。
 気の毒なのは、いつも、工事の設計や施工を請け負って濡れ衣を着せられる民間業者なのだ。
 結局、和知ダムの事故原因は設計ミスだった。「溶接工事の不手際か 考えられぬ設計のミス」という当初の報道とは全く反対の結果であった。
 正しくはこう報道すべきだった―「設計のミスか 考えられぬ溶接工事の不手際」と。
 権威のある組織、学識経験者、報道機関。これらは如何にいい加減な存在であるかがよく分かる出来事だった。

朝日新聞朝刊( 1967 年 7 月 3 日)
溶接工事の不手際か 考えられぬ設計のミス
 35 トンもある鉄の水門のとびらが、なぜ、吹っとんだのか。関西電力の森岡俊男副社長は、水門を支えるコンクリートに異状がないことから「水門の溶接部分か、コンクリート柱への取付けに不備があったのではないか」とみており、水門の構造を徹底的に調べる、といっている。
 京大防災研所長、石原教授もこれと同意見で「この様式のダムは古くからある普通のものだ。設計的にも研究されつくしており、設計のミスとは考えられない。とびらの溶接、取付けなど、工事の不手際と考えた方が妥当」という。
 ところで、このダムは、水源の由良川が出水の大きいわりに川幅がせまいため土台のコンクリートを低くし、水門を大きく設計してある。つまり、水門の受ける水圧はきわめて大きいわけだ。そこで、考えられるのは、ダムが満水し、予想以上の水圧が加わって、とびらの溶接、取付け部分がこわれたのではないか、ということだ。この点について、水門をつくった大阪市・日立造船桜島工場鉄構設計部のいい分はこうだ。
 これまでに、この種の水門を数えきれないくらいつくっている。しかし、一度も事故を起したことはない。問題の水門にしても、下請けさせておらず、桜島工場で責任をもってつくった。ご指摘の溶接、取付け部分にしても、事放の原因になるとはまったく考えられない。
 となると、原因はどうなるか。河川を利用した水力ダムが多いわが国だけに、こんどの事故は各方面に大きな問題を投げかけた。しかも、建設、通産両省の検査にパスしているという。日立造船では現場に係員を急行させて調査しているが、3日中には資料を整えて原因を究明するという。
検査のときは異状なかった
【和知ダムを検査した松村正光近畿地建和歌山工事事務所長(42)の話】
 知らせを受けてびっくりしている。私はこの 4 月まで福知山工事事務所長をしており、その際に着工されたダムなので、6 月 26 日、完工検査のため現地へ行った。ダムの出来具合、とびらが動くか、また予備電源はどうなっているかなどを検査したが、その限りでは異状はなかった。

https://b17d27e9-7563-466f-a88e-3ede574aaf8f.filesusr.com/ugd/b1bf3a_b506f966bb6d4dc1ae2275915fc9c055.pdf

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