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「代理母」とひとくくりにしないでください——ホストマザー方式とは何か

代理出産には2つの方式があります。代理母自身の卵子を使う方式と、ご夫婦の受精卵を託す方式(ホストマザー方式)。ジョージアなど主要国の法律が認めているのはどちらか、そして「子どもは誰に似るのか」という疑問に答えます。

ここまでの連載で、日本の現在地、3カ国の輪郭、費用、戸籍、そしてキルギスの話をしてきました。前回の最後で「次はジョージアの深掘り」と予告しましたが、その前に一度だけ立ち止まらせてください。

国別の話を正確に理解するために、どうしても先に整理しておきたい言葉があるからです。

それは「代理母」という言葉そのものです。

ある相談者の、言いにくそうな質問

相談の場で、少し言いにくそうに、こう質問されることがあります。

「生まれてくる子は……代理母の方に、似るんでしょうか」

とても自然な疑問だと思います。そしてこの質問への答えは、「代理出産」という一つの言葉の中に、実はまったく別の2つの方式が混ざっていることを知ると、はっきりします。

方式1:代理母自身の卵子を使う(伝統的代理出産)

一つ目は、代理母自身の卵子と、依頼者の夫の精子で妊娠する方式です。英語ではトラディショナル・サロガシーと呼ばれます。

この場合、代理母は卵子の提供者でもあるため、生まれる子と代理母の間には遺伝的なつながりがあります。歴史的にはこちらが先に存在した方式ですが、親子関係をめぐる紛争が起きやすいことから、現在、制度を整備した国の多くはこの方式を認めていません。

方式2:ご夫婦の受精卵を託す(ホストマザー方式)

二つ目は、依頼者ご夫婦の卵子と精子を体外受精させ、その受精卵を代理母の子宮に移植する方式です。ホストマザー方式、あるいはジェステーショナル・サロガシーと呼ばれます。

例えるなら、種と土の関係です。種(受精卵)はご夫婦のもの。代理母は、その種を10ヶ月間大切に育てる土壌の役割を担います。土壌は種の設計図を書き換えません——つまり、この方式では代理母から子どもへ遺伝子は受け継がれません。

冒頭の質問への答えは、こうなります。ホストマザー方式であれば、子どもが遺伝的に受け継ぐのはご夫婦のものだけです。

主要国の法律が認めているのは、どちらか

そして、ここが国別の話につながる重要な点です。

ジョージアをはじめ、この連載で扱う主要国の制度が認めているのは、ホストマザー方式です。代理母自身の卵子を使う方式は、制度の対象外とされています。親子関係を明確にし、紛争を防ぐための設計です。

なお、妻の卵子が医学的に使えない場合には、第三者からの卵子提供とホストマザー方式を組み合わせるプログラムも存在します。この場合の遺伝的なつながり、法的な扱い、そして費用への影響は、それぞれ別の論点になります。ここは個別性が高いため、相談の場で丁寧に整理すべき領域です。

今日の結論

  • 「代理出産」には2つの方式があり、混同したまま情報収集をすると判断を誤る

  • 主要国の制度が認めているのはホストマザー方式。代理母と子の間に遺伝的つながりはない

  • 卵子提供を組み合わせるケースは、別の論点として個別に整理が必要

言葉の解像度が上がると、不安の輪郭もはっきりします。漠然とした「なんとなく怖い」の正体の多くは、この2つの方式の混同から来ているのです。

次回予告

道具が揃いました。次回こそ、お待たせしたジョージアの深掘りです。出生証明書に夫婦の名前が直接載る国の、制度と手続きと現実を、一本まるごと使って解説します。

フォローしてお待ちください。

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