つくってみた:コメディ脚本「共同作業」
共同作業
1章 ホテルのラウンジ「ガーデン」にて
明るめの照明
テーブルを囲んで女性が3人でお喋りをしている。この3人、祖母・母・娘であろうと思われる。積極的に喋っているのは、母と娘。祖母はうんうんと頷く聞き上手。
美波 「美華ちゃん、とうとう明日ね。タカヒロさんは優しそうだし、うちよりお金持ちだから安心ね。」
美華 「ママ、ありがとう。パパよりお金持ちでやさしい人をみつけるのも大変だったんだから~。さすが私。やっぱ、伊達進一の隔世遺伝に感謝だわ。今は亡きじいじの遺伝子は最強よね~。」
波子 「あら、ばあばにも感謝してほしいわ。ばあばが美波も美華ちゃんにも名前の最初に「美しい」って付けてあげたのだから。」
美波 「お母さん、お父さんとは確か、お見合いだったんだよね。」
と波子に聞く。美華が遮り、
美華 「ママ、早く注文してあげないとホテルのラウンジ「ガーデン」の人が困ってるわよ。コーヒーでいい? えっと、コーヒー3つね。甘いものも欲しいわね。ケーキも3つ、お願いします。」
美波 「食べ過ぎよ。明日、結婚式なんでしょ。ドレスが入らなくなるわよ。」
美華 「うける~。(笑)あ、じいじにも見て欲しかったなぁ。美華の花嫁姿!ウエディングケーキ入刀の共同作業!ママとパパのケーキ入刀の共同作業を昔からホームシアターで何度も見せられたわ。ママの結婚式。(笑)これからは美華がママに何度も何度も何度でも見せてあげるわ。」(笑)
ゲラゲラ笑う美華。ムッとする美波。親子というよりは友達のような関係である。
美波 「お母さんとお父さんは、本当に仲が良かったものね。」
波子 「お父さんとは、ここで出逢ったのよ。」
美華 「えっ、この、レッツガーデンホテルでぇ。」
波子 「ふふ。ここは昔、料亭だったのよ。今は見る影もないけど。でも庭園はそのまま。懐かしいわ。」
美華 「そうなの~?タカヒロさん、知ってたのかしら。タカヒロさんが選んだの。ここのホテルを。すっごーい。最高じゃん。」
美波 「お母さん、ここで、お見合いしたんだぁ。」
波子 「お父さんとはお見合いをしていないわ。お見合いに行ったら、偶然、お父さんもお見合いをしていたの。」
美波 「何、その展開、そんなことってあるんだぁ。お互いに別のお見合い相手と、燃え上がる愛の炎!炎上じゃん!」
波子 「ふふ。その時、進一さん曰く、私に釘付けになって身体が動かなくなったそうよ。初めての経験だって言ってたわ。一目惚れだって。恥ずかしいわ。」
下を向いて頬を赤くする波子。
美華 「スーパーイケメンのじいじが、ばあばに一目惚れって、すごくない。ばあば、スゴイわ。」
恥ずかしそうにする波子。
暗転
暗めの照明
2章 昭和の料亭
美波 「美華ちゃん、美華ちゃん、どこにいるの。」
美華 「ママ、ちょっと、何か変じゃない。ここラウンジじゃないよ。異世界転生ってやつかな。やだぁ、美華とママ、どっちがヒロインなの!」
美波 「そんな漫画の世界じゃないんだから。日本家屋、料亭っぽいわね」
美華 「ナニコレ~、ヤダ~。明日、結婚式なんですけど、タカヒロ~!」
パニックになっている美華。
美波 「ママだって困るわ。ママだって、パパに会いたい!」
叫び出す美波。その様子を見て冷静になる美華。
美華 「ここにじっとしていても仕方ないじゃん。とりあえず、行動しなくちゃ。外に出てみよう。」
美波 「美華ちゃん、ここって、料亭で、美華ちゃん達が結婚式を挙げるホテルじゃないかしら。だって、見て、庭が同じ!」
美華 「本当にぃ~。明日、レッツガーデンホテルのガーデンでガーデンパーティーもする予定だったから、この庭には詳しいわ。」
美波 「美華ちゃん、タイムスリップした感じなのかなぁ。」
美華 「そんな感じ。ばあばの夢の中も考えられるかも。」
美波 「・・・・。」
この親子、異世界転生シリーズオタクでもあった。
通り過ぎるお客様に声を掛ける美波。
美波 「美華ちゃん、誰も聞いてないし、驚ないし、私たちが見えないってこと?」
お客様の肩を叩く美華。それに反応するお客様。
美華 「見えないし聞こえないけど、ぶつかると反応はあるし、物は動かせるみたいね。」
お客様のお酒を奪って、呑む酒豪の美華。
3章 料亭の庭園にて
波子が椅子に座っている。
波子 「どうしよう。お見合い・・。緊張する。どうしよう。」
下を向いておどおどしている波子。
美波 「お母さんだ。震える。大丈夫かな。でも、お母さんの見た目って、あまり変わってないのね。」
美華 「正解は、タイムスリップかぁ~。ばあばが見合いしてる。」
美波 「ばあばの記憶の中とも考えられるわね。ということは、じいじもこの料亭の中にいるってことよね!」
美華 「会いたい~!え、ばあばの前の人がお見合い相手ってこと? ないわ~。」
美波 「ないわ~。 とりあえず、早く、じいじを探さないと。」
美華 「私は、庭を探すから、ママは料亭を探して!」
美波 「任せて!」
うつむいたまま歩く波子。(会話もなく見合い相手と歩いている。)
波子 「あ、ダメだ。帰りたい。ちょっと庭を歩きましょうと言われたけれど、帰りたい。」
美華 「ママ~!じいじ、みつけたぁ~!めっちゃ、男前みつけたぁ~!」大ぶりなガッツポーズの美華。「早く!池のほうに真っ直ぐ来て~!」
美波 「OK!元陸上部エースの力を見せてあげるわ。」
喋りながら、アキレス腱を伸ばす美波、走る。
伊達進一を発見。
美波 「お父さん、美波よ!」何度も挙手する美波。
美華 「だから、声をかけても無駄だってば。」
そこへ、うつむいたままの(見合い相手と)波子がととぼとぼとこちらに向かって歩いてくる。
美華 「え、これ、すれ違いするパターンじゃない。マズいでしょ。とりあえず、私たちがすることはじいじとばあばを逢わせなくちゃ!」
ガバっと、じいじの足に巻き付く美波。
美波 「美華ちゃん、美華ちゃんもじいじを止めて!」
とぼとぼと歩いてくる波子。
二人がかりで、じいじを必至で止める。じいじ、直立金縛り状態。
とぼとぼと歩いてくる波子。立ち止まり、進一と目が合う。波子は、そっとハンカチを出し、進一に渡す。
波子 「どうぞ、これをお使いください。たくさん、汗をかいておられます。お顔が真っ赤です。大丈夫ですか。」
美華 「おぉ~、じいじの顔が真っ赤!これは大いに勘違いしてもらいましょう。」
美波 「確か、お母さんに釘付けになって、身体が動かなくなったって言っていたわね。美華ちゃん、じいじの身体、2分ぐらい2人で止めましよう。」
美華 「任せて、ぬぉ~、格闘技オタクのプライドぉ~!」
美波 「格闘技オタクだったの~。美華ちゃんも。」
美波 「美華ちゃん、頑張って。ばあばとじいじが結婚しないと、私たちは生まれないのよ~!」
美華 「そんなのや~だ~。明日、私の結婚式なのよ~!美華は、絶対に玉の輿に乗るんだからぁ~!」
絶叫。
暗転
明るい照明
第4章 結婚式前の家族の共同作業
3人でラウンジ「ガーデン」のテーブル席に座っている。
波子 「美波、美華ちゃん、ケーキ食べないの。ばあば、先に食べちゃうわよ。」
美波、美華、顔を合わせる。
波子 「どうしたの。2人共。ちょっと疲れているようね。」
ケーキを食べながら話す波子。
美波も美華もケーキを食べだす。
美波 「ちょっとの疲れでないけれど、けっこう疲れてますけど。」
美華 「ばあば、今、ちょうどママと一緒に結婚式前の親子の共同作業をしてたの。」
美波 「そう、伊達家のための共同作業をね。」
波子 「そうなの。それは大変だったわね。」
モクモク(黙々)とケーキを食べる3人・・・・。
完
読んでいただいてありがとうございました。

2026年4月
