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#004 社会保障から,医師の働き方について考えてみる

毎年2月の後半くらいから研修医は巣立ちの準備、中には長年の勤務を終え他施設に移動する先生もいて病院はなんだかざわざわした特殊な雰囲気がでてくる。最近進路について後期研修医に相談されたのだが、この後いきなり開業できるか?という内容でちょっとびっくりした。少なくとも専門医はあった方がいいねと伝えたが、大きな病院の常勤は給料が少なくてもそれなりに守られているなと改めて思ったので、そのことも伝えた。研修医には中期的な目標やイメージがあっても、10年後くらいのイメージってたしかになかなか難しいかもしれない。特に社会保障に関して大きく変化するし、このところ医療を取り巻く事情も変化が大きいので少しでも役に立てばと思い、記すことにする。



大きな病院を退職後、医師としての選択肢は様々だがこの数年の周りの動きを見ていると大きく3パターン。

1.開業


圧倒的に男性が多い。大きな病院や医局で過ごしてきた先生は、その中でいろいろなプレッシャー、人間関係にも耐えてきていたと思う。そう言う中での開業はまさに自分の城を持つことになり、雑音をミュートして診療に専念できるので熱意のある先生は開業が向いていると思う。ただ、時間的に余裕ができるかと言うとそうでもなく、むしろ平日は忙しくほぼ休めないと思った方が良い。暦通りの休日を取得することになることがほとんどだろう。その中で、学会や地域の医師会の仕事などが入ってくると思われる。
近年では医師個人が初期投資してゼロからクリニックを開業するのではなく、企業が作ったクリニックに雇われ院長として就職し、いずれ買取も可能などという斡旋業者もいる。また後継者のいないクリニックをM&Aする専門の業者も出てきている。
いずれにしてもどこで開業するのかに際して、以前よりもマーケティングが必要になっているのを感じる。医師は私も含め医療以外のリテラシーが異常に低いため、いずれ開業を考えている先生は早い時期からリサーチを始めると良いと思う。AIの活用も今後は期待したい。
いろいろな事情はあると思うが、水面下で準備をしながらいきなり辞める先生を私はよく思っていないので、うまく準備して欲しい。

▶️医師会に入ることがほとんどなので、保険は医師国保に加入することができる。厚生年金に関しては規模や法人化しているかによって変わる。いずれにしても個人年金対策は必要。退職金という概念がなくなるため退職金に変わる対策も必要。

2.クリニックの常勤・非常勤


すでにあるクリニックに非常勤として勤める。専門医は持っていることが望ましい。週3日以上など条件がある場合が多いが、勤務時間の相談など柔軟なクリニックもある。そういった意味では女性が働きやすい環境である。
場所や条件、募集があるかなどは時期によって様々だが、求人が出やすいのは10月から12月にかけてが多いとのこと。斡旋業者に先に条件を伝えておくと連絡が入るのもこの時期が多い。

▶️週20時間以下の勤務の場合、またはクリニックの規模によっては社会保険(健康保険・厚生年金)の対象外になる。雇い主(クリニック側)にとっては社会保険料がかからないメリットはある。
当然個人年金対策は必要。

3.自費診療

美容などを代表する自費診療に進む場合は特に専門医を必須としていないと思うが、後から取るのは大変なのでできたらとっていた方がいいと思う。
これは職種によってさまざまだが、患者さんのニーズに応えるため勤務時間が大幅にかわるケースが多い。10:00~19:00が一般的だがもっと夜遅くまでやっているクリニックもあるだろう。出勤日数や休暇はクリニックの規模により調整できるが土日出勤は避けられない。接遇スキルやクレーム対応もそれなりに勉強する必要がある。
▶️協会けんぽ+厚生年金が基本。収入によって保険料ががんと上がる。

大病院の常勤医

実は社会保障という点ではかなり守られている、ということを常勤をやめて私も初めて気がついた。厚生年金だけでなく年金が2階建になっている病院もあると思う。
当直など体力的にきつい時間もあるが、近年は働き方改革で当直明けは帰宅できる、当直入りは日勤がないなどの工夫もされている。また相談がいつでもできるというのは当たり前に思えるかもしれないが実はたいへん貴重なことである。知識のアップデートも自然と入ってくることが多い。
認識しにくいがメリットはたくさんあると改めて感じている。
退職して戸惑ったこととしては

  • 住民税の天引きがなくなるためまとめて支払うが結構高額になるのでびっくりする

  • 厚生年金ってありがたかったのかもと今更思う、、、

  • 年金を取り巻く手続きがややこしすぎる

社会保障の比較
年金の比較

それでも病院からの人材流出は止まらない

そんなわけで若手の間は、大病院常勤の社会保障や専門家の集団にいるというメリットはとても大きい。しかしそれでも人材が流出しているのが現状でもある。
結果的には社会保障なんかでは人を引き止める魅力はない ということなんですけどね、、、。


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