アニメは「心の支え」になりうるのか - 2026年度JOSCR第1回定例会のお知らせ
アニメ、ゲーム、マンガ、プラモデル、推し活などなど。
これらは、医療やリハビリテーションの世界では、まだ「趣味」や「余暇」として扱われることが多いかもしれません。
もちろん、それは間違いではありません。
けれど、臨床の場で人と関わっていると、単なる趣味という言葉だけでは収まりきらない場面に出会うことがあります。
好きな作品の話をした瞬間に、表情が変わる
キャラクターの話を通して、自分の気持ちを語り始める
推しや物語が、その人にとって日々を支える力になっている
アニメやサブカルチャーが、人とのつながりや社会参加の入口になる
そうした場面は、決して珍しいものではないのではないでしょうか。
日本オタク&サブカルチャーリハビリテーション研究会(JOSCR)では、サブカルチャーを単なる娯楽としてではなく、本人にとって意味のある作業、自己理解の媒介、社会参加の入口として捉えることを大切にしています。
昨年度、JOSCRではまだ小さな内輪の勉強会として、モンスターハンター、eスポーツ、プラモデル、ガンプラ、推し活うちわ、レトロゲームなどをテーマに、リハビリテーションや支援実践との接点を考える活動を行ってきました。
そして今回、2026年度第1回定例会では、いよいよ「アニメ」を正面から扱います。
テーマは「アニメと作業療法のクロスポイント」
今回の定例会のテーマは、
アニメと作業療法のクロスポイント
心理学研究からみたアニメの「癒し」と対人援助の可能性
です。
講師には、大阪大学大学院人間科学研究科 公認心理師プログラム運営室 講師の藪田拓哉先生をお招きします。
藪田先生は、臨床心理学・健康心理学の立場から、アニメが心の癒しをもたらすプロセスや心理的機序について探究されています。
公認心理師・臨床心理士としての臨床経験もお持ちで、小児科診療における親子支援を中心に活動されています。
講師情報はこちらです。
https://researchmap.jp/takuya_yabuta
アニメを「リハビリの道具」にしすぎないために
今回の定例会で考えたいのは、単に、
アニメをリハビリに使いましょう
という話ではありません。
むしろ、そこには注意が必要だと思っています。
本人が大切にしているアニメやキャラクター、物語体験を、支援者が安易に「治療の道具」として消費してしまうと、その人にとっての大切な世界を壊してしまう可能性があります。
だからこそ、まずはアニメが人の心にどのように作用するのか。
なぜアニメが心の支えになったり、癒しになったり、対話のきっかけになったりするのか。
その心理的な意味を丁寧に学ぶ必要があるのではないかと考えています。
作業療法では、その人にとって意味のある作業を大切にします。
であれば、アニメを見ること、語ること、考察すること、推すこと、作品世界に触れることも、その人の生活や自己理解、社会参加と深く関わる可能性があります。
今回の定例会では、アニメを単なる娯楽や消費対象としてではなく、人々の心を支える心理的資源として捉え直す視点を共有できればと思っています。
当日の内容
前半では、藪田先生より、臨床心理学・健康心理学の立場から、アニメがもたらすポジティブな心理的影響、とりわけ「心の癒し」に焦点を当てた知見をご紹介いただきます。
後半では、それらの知見をもとに、アニメが作業療法や心理的支援にどのように活用できるのか、その可能性と留意点について、参加者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
堅苦しい講義だけではなく、JOSCRらしく、和気あいあいとした対話の場にできればと思っています。
こんな方におすすめです
アニメやサブカルチャーを支援に活かすことに関心がある方
作業療法、心理的支援、対人援助に関わる方
対象者の「好きなもの」をどう支援に位置づけるか考えたい方
アニメが持つ「癒し」や心理的意味について学びたい方
ゲーム、マンガ、プラモデル、推し活などをリハビリテーションに活かす実践に関心がある方
作業療法士に限らず、理学療法士、言語聴覚士、心理職、福祉職、教育関係者など、対人支援に関わる方であれば、きっと何かヒントを持ち帰れる内容になると思います。
開催概要
2026年度JOSCR第1回定例会
テーマ
アニメと作業療法のクロスポイント
心理学研究からみたアニメの「癒し」と対人援助の可能性
講師
藪田拓哉 先生
大阪大学大学院人間科学研究科
公認心理師プログラム運営室 講師
博士(人間科学)/公認心理師/臨床心理士
日時
2026年7月15日(水)19:00〜21:00
開催方法
オンライン開催(Zoom)
参加費
無料
主催
日本オタク&サブカルチャーリハビリテーション研究会(JOSCR)
詳細・申込ページ
https://joscr.org/event/joscr-2026-regular-meeting-01/
「好きなもの」を支援の入口として考える
アニメやサブカルチャーは、誰かにとってはただの娯楽かもしれません。
けれど、別の誰かにとっては、人生のつらい時期を支えてくれたものかもしれません。
自分の気持ちを代弁してくれる物語。
孤独な時間に寄り添ってくれたキャラクター。
人と話すきっかけになった作品。
もう一度外に出てみようと思えた推し活。
そうした「好きなもの」の中には、支援者がまだ十分に言葉にできていない、大切な意味が含まれているのではないかと思います。
今回の定例会は、JOSCRにとっても大事な一歩です。
アニメを、心理学と作業療法の両面から考える。
その人らしい生活や作業を支えるために、サブカルチャーをどう丁寧に扱うかを考える。
そんな時間にできればと思っています。
ご関心のある方は、ぜひご参加ください。
また、周囲に関心のありそうな方がいらっしゃいましたら、ご案内いただけますと幸いです。
