親子でどんぐりクッキーを焼いたら、秋がもっと好きになった
どんぐりが落ちていると、つい拾いたくなる。

丸っこくて、つるんとしていて。
手のひらに乗せると、ぎゅっと握りたくなる。
ひとつ見つけたら、またひとつ。
しゃがんで、キョロキョロして、また拾う。
もう止まらない。
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幼稚園のころ、私はどんぐりを靴箱いっぱいに集めていた。
ある日、どんぐりに小さな穴が開いていて、中から虫が出てきた。
「どうやってここまで来たの?」
幼い私は、ただただ不思議だった。
父と行った近所の神社には、シイの実という小さな黒いどんぐりが落ちていた。
「今年もあるかな」と言いながら拾って帰るのが、毎年の恒例。
家に帰ると、母がフライパンで炒ってくれる。
香ばしい匂いが部屋いっぱいに広がり、殻をむいて口に入れると、ほんのり甘くて、秋の味がした。
小学校高学年になっても、どんぐり拾いが好きだった。
友だちと空き箱を持って公園へ。
何かに使うわけでもなく、おしゃべりしながら、ただ拾う。
落ち葉の中から顔を出すどんぐりを見つけるたびに、なんだかうれしくなった。
しゃがんだまま上を見あげて、木にどんぐりがまだついていたら、「明日も来よう」と約束していた。
やがて大人になって、工作に使うために種類を調べたり、職場に飾ったりするようになった。
どんぐり虫の正体が「ゾウムシ」で、まだ青いうちに卵を産みつけること。
落ちているどんぐりの帽子に穴がなければ、虫がいないこと。
そんな知識も増えていった。
大学では、先生が作ったクヌギの「どんぐりクッキー」や「どんぐり羊羹」を食べた。
少し渋くて、香ばしくて、あのシイの実を思い出す味だった。
社会人になってからも、マテバシイというどんぐりを炒って食べた。
意外といける。クヌギよりおいしくて、香ばしい。
どんぐりには味の違いがあることを、そのとき初めて知った。
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母になった今。
私が拾えば、子どもたちも拾う。
「ママ、どんぐりがあったよ!」
5歳の娘と7歳の息子の小さな手の中には、まるまるとしたクヌギ。

先日は、家族でたまたま遊びに行った場所に、たくさん落ちていた。
私たちの地域では、今年は豊作のようだ。
娘の手からこぼれるどんぐりを、私は受け取った。

それでも溢れてしまって袋を渡す。
30分もすれば、ずっしり。
娘の分だけでもこんなにたくさん!

見上げると、木の枝にはまだ緑のどんぐりが揺れている。

命がめぐる秋の光景に、私は思わず息をのんだ。
拾ったどんぐりは、動物たちの食べ物になり、春には芽を出す。
持ち帰るものを選んで、残りはそっと地面に返した。


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家に持ち帰り、何に使おうかとどんぐりを眺める。
コロコロと手のひらで転がすと、気持ちがいい。

そうだ、子どもたちにも食べてもらおう。
娘も運動会の振替休日だったので、一緒に「どんぐりクッキー」を作ることにした。
私自身、食べたことはあっても、作るのは初めて。
子どもたちにとっては、おいしくないかもしれない。
それでも、どんぐりにもっと親しみ、できるだけおいしく食べられるように作った。
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▼作り方
1.どんぐり(クヌギ)5つを、30分水に浸す。

2.どんぐりを半分に切って、殻を剥く。

3.小さく刻んで鍋に入れ、どんぐりがかぶるくらい水を入れる。
「沸騰したら1分茹でて水を変える」を、3回続けてアクを抜く。

4.炒って、すり鉢でする。
粉になるまでよく潰している方が、口当たりが良い。この作業が一番大変。

5.ボウルに[米粉70g・きび糖30g・塩2つまみ・すり潰したどんぐり]を入れる。
ぎゅっと握ると形になるまで、米油を少しずつ加えて混ぜる。

6.形をととのえて、オーブンへ入れ、
140〜160℃で30分ほど、様子を見ながら焼いていく。

7.焼きながら、部屋いっぱいに香ばしい匂いが広がったら、できあがり。

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娘と2人で食べてみた。
ひと口食べて、驚いた。
ほろほろしていて、サクサクしていて、
ちょっと塩の効いた、
どんぐりの香りがほんのりする、やさしい甘さ。
娘は「おいしい!また作りたい!」と笑う。
「どんぐり拾い、今度も行こう♪」と言って、秋の楽しみがまたひとつ広がった。
学校から帰ってきた兄にも娘が伝える。
「どんぐりクッキー作ったよー!食べる?おいしいよ♪」
息子は、「え!どんぐりでクッキー作れるの?!」と目を丸くしていた。
息子の友だちにもおすそわけ。
「どんぐりの味がする!まだ食べたい!」と言いながら食べてくれた。
夜、帰ってきた夫にもひとつ出すと、「意外と美味しい」と笑った。
アクが強くておいしくないと思っていたクヌギも、丁寧に下ごしらえすれば、自然の恵みそのものの味になる。
バターも卵も使わなかったが、十分おいしかった。
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どんぐりは、ただの木の実ではない。
拾う楽しみの先に、知る喜び、作る楽しさ、
そして誰かと分け合う幸せがある。
あの日、幼い私が夢中で拾っていたどんぐりは、
今、子どもたちの手の中で、また転がっている。
秋になるたびに、どんぐりを通して、季節も思い出も、やさしくめぐっていくんだね。
娘とどんぐりクッキーを焼いたら、
秋がもっと好きになった。

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お読みいただき、ありがとうございました。
「どんぐりクッキー」の作り方は、こちらを参考にアレンジしています。
材料は、自宅にあるものに変更しました。
薄力粉→米粉
砂糖→きび糖
サラダ油→米油
素材の味を生かして、よりおいしくいただけるよう、体に優しいものを選んでいます。
焼き時間や温度も、クッキーの形や大きさで調節してくださいね。
アクの強い「クヌギ」でも、おいしく食べられますよ♪
