「それは満開だったね」桜よりも咲いていたもの
あなたは、
今年、桜は見ましたか?
わたしの住む町、
今夜は雨です。
もう、散ってしまうかもしれませんね。
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わたしは以前、
約1000本の桜が咲く職場で働いていました。
仕事場までは、標高126mの道を歩きます。
結婚後、40分電車に揺らされて、
その後は、その道を歩いていました。
雨の日は、靴もバッグもびちょびちょです。
フルマラソンを経験していても、
慣れるまでは、ふくらはぎもパンパンになるくらいの坂道でした。
でも、あの坂道には、
桜を好きになった理由があります。
1つ目は、
桜の季節に出会えた方たちとの時間です。
多くて1日に20人ほど。
毎日歩かれている方も多かったので、
近所のおじちゃんおばちゃんみたいな感覚です。
「今日は、大荷物だね!」
「がんばってね」
「今月のお茶はなに?」
「またあとで行くね」
わたしの元職場は、月々変わる季節のお茶を提供していたのもあって、そのように声をかけてくださる方もいました。

朝から、誰かと顔を合わせて、
声をかけてくれる人がいる。
わたしにとって、うれしい時間でした。
2つ目は、
桜が見せてくれた景色です。
もちろん、約1000本もありますから、
その道だけに桜があったのではないんですけどね。
歩いていると桜のトンネルがありました。
毎日歩いていると、季節の移り変わりを体全体で感じられたんです。
桜が咲くと、ふんわりとしたピンク色に囲まれるんです。
散れば、その道は、ピンク色の花道です。

誰かがハートにした桜を
置いていっていることもありました♡

もう少し歩けば、上からひらひら。
メジロが、こちらにも気づかれないほど、
夢中に桜の花をちょんちょんしていることもありました。
職場の高さまで登ると、
目の前に広がる景色すべてが、桜、桜、桜。
「おはよう」と迎えてくれるんです。
散るころになると、風が吹いた途端、
何もない日常が、「おめでとう」になるんです。
職場につくと、
いつも座っている場所がありました。
そこからの景色は、
目の前が天井から床までガラス張り。
外に見える2mくらいの塀の上には、
何本もの桜の木が花を咲かせていました。
そんな景色を一人占めして、
その景色を1日中眺めながら仕事をしていました。
土日は人が多いのですが、
平日はお散歩の人がぽつぽつと。
とても静かでした。
しかも、満開のときはたくさん人が来るのに、
散りはじめると少ないんです。
でも、わたしはその桜が散る景色が好きでした。
少し高いところから、
たくさんの桜の花びらが散る景色。
カメラにはおさめきれない美しさでした。
お昼休憩には、
自分で詰めたお弁当を持って外に出ます。
もう少し登ったところは、
360度、桜で囲まれていました。
その職場を退職する年の最後の春は、
妊娠5か月でした。
草むらに座り、
少しふっくらするお腹に手をあて、
お弁当を包んだ風呂敷を、膝の上で広げます。
自分のお弁当なので、
特にこだわったお弁当にはしていませんでした。
でも、周りを見渡せば桜が咲いていて、
蓋を開けると春のお弁当でした。
春のあたたかさも感じ、
鳥のさえずりも聴こえる。
1人で食べていたのに、
自分で作ったお弁当なのに、
“おいしい”
そう感じたのは、
初めてだったかもしれません。
「入園おめでとう」「入学おめでとう」という
ドキドキした不安も感じることはありませんでした。
自分の環境や感情を置いて、
本当の春のあたたかさや美しさを感じることができたのです。
これが、今、わたしの桜が好きな理由です。
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今年は4回ほど、
家族や友だちと桜を見ることができました。
でも、こんなに桜が好きだったのに、
今年は少し違いました。
桜が咲いていても、
わが子が友だちと汗をかくほど遊んでいる姿。
笑い合い、くっつき合って、
帰るときにはみんなで手を繋いで帰っている姿。
桜よりも、子どもたちのことを見ていました。
他の日にも、お弁当やお菓子を持ち寄って、
息子の友だち親子ともお花見をしました。
子どもたちはパクパクっと食べると追いかけ合って遊びはじめました。
母たちは、座ったまま、ときに子どもたちを追いかけて、ずっと話して笑っていました。
そして、みんなと別れて夕ご飯を作っているとき、ふと思い出したんです。
桜の写真を1枚も撮ってない。
それだけ、楽しかったのです。
夕食のとき、隣に座る夫に話しました。
「今日お花見したのに、花の写真1枚も撮らなかったんよ!
おしゃべりの花が咲いとったみたい♡」
そう言うと、夫は言いました。
それは満開やったね!
わたしにとっての
「お花見」の景色が変わった瞬間でした。
お読みいただき、ありがとうございました。
今年も「桜」との思い出ができて、
うれしい春でした♪

とってもかわいかったです♡

風が吹くとひらひら。
息子は、「桜が落ちる前にゲットして!」と。
そんな息子は、「ママ、そこに立って」と
なんども写真を撮ってくれました♡
夫の姿と重なりました。

背のたかーい枝垂れ桜です。

ピカピカのランドセルを背負って
写真を撮った場所です。
光を照らされた桜が、水面に映る美しさ。
子どもたちも「いいねぇ!」と。
スマホのシャッターが止まりませんでした。

春はずーっとずっと向こうまで続いていたんです。
空気も少しひんやりしていて、
全ての空間から、自然の美しさを感じました。

大きくなっても、親がいなくても、
支え合える友だちでいてくれたら、いいなと思います。
来年も、
どんな景色をみせてくれるのか楽しみです♪
