140円の生殺与奪の権利
※少し大人な表現が出てきますが、
基本的にはマイルドです。
激しめが好きな方はごめんなさい。
深夜1時過ぎ。
行きつけのバーを出てから、次の河岸を求めて1人歩いていた時のことです。
「お姉さん、今からどこ行くんですか?」
今どき珍しく、ド直球でナンパされました。
「良かったらホテル行きませんか?」
「わたしまだ飲み足りないので、すみません」
「そこのPUBでも大丈夫ならご馳走しますよ」
「え、ビール飲んでいいなら行きます」
「もちろん。一緒に飲みましょ」
秒でついて行きますよね~、IQ2なんで。
普段なら適当に流すところなんですけど、その日はまだアルコールが足りていませんでした。
お酒を飲みたいわたしの目の前に、お酒を奢ってくれるという男性がいる。
乗るしかねぇこのビックウェーブに。
まんまとお酒に釣られたわたしを、彼は近くのPUBへ連れて行ってくれました。
念願のビールをあおりながら話を聞いたところ、彼は県外から出張に来ているらしく、2歳年上で職業は学校の先生とのこと。
学校の先生。
なんか、“先生”って言葉の響き、ちょっとえろくていいですよね。(バカの感想文)
ビールに釣られたバカが言うのもアレだけど、最初はいきなりナンパしてくるなんてヤベー奴だなと警戒していたものの、
よく見ると整った顔してるし、話も普通に面白くて会話慣れしてる。
さぞ生徒たちから人気があるんだろうなぁ。
なんて感心しながら、気付けばビールをしこたま奢ってもらっていました。
わたしはそろそろ遠慮と自重という言葉を覚えなくてはいけない。
楽しくお喋りをしたその後はまぁ、そういう流れになりますよねという感じでホテルへ。
酔っ払ってたからかどうかは定かではないのですが、触れ方が、この人分かってるな、慣れてるなって感じのねっとり加減()で大変好みでした。
学校の先生という情報も付加価値として作用して、死ぬほど良かったです。
と、
ここで終われば、よくある普通のワンナイトで済んだのですが。
問題は翌朝。
お互いに身支度を済ませ、精算しようとしたところ、まさかの所持金不足が発覚しました。
その金額なんと140円。
140円て。
自動販売機のジュース1本買えやしないが。
お互い電子マネー派で、現金をほぼ持ち歩いていなかったのが仇となりました。
たまたま入ったそのホテルは現金払いのみとのことで、完全に詰みです。
どうすんのこれ。
とはいえ、流石にこんなところで人生終了するのは御免被りたいので、
事情を説明すべくフロントに電話し、スライディング土下座を披露する勢いで謝り倒すと、一旦、1人だけ外に出してもらえることになりました。
その節は温情をありがとうございました。
幸い、自宅がホテルから徒歩圏内の位置にあったため、「お金取ってきますね」と言い残し、先生を部屋に残したまま、ひとまずわたしだけ外に出ることができました。
しかし、脱出に成功し、シャバに出た瞬間、わたしの頭の中にある考えが過ります。
このまま戻らなくてよくない?(クズ)
たかが140円のために、ラブホテルの一室へ置き去りにされる学校の先生。
どう考えても状況が面白い。
叶うならば、わたしがホテルに戻らなかった後の世界線を見てみたい。
そんな悪い考えを巡らせつつ、
とりあえず現金を手にし、どうしようか考えながら自宅付近をプラプラ歩いていると、5分おきにLINEと電話が届きます。
「大丈夫ですか?」
「今どの辺りに居ますか?」
「戻ってきてくれますよね?」
先生の生殺与奪の権利を、
たったの140円で握ってしまった。
わたしの頭の中でしばしの葛藤がありましたが、今回に関してはお互いに非があるなと思い止まり、大人しくお金を持ってホテルへ戻りました。
すると、
「ほんとに戻ってきてくれるとは思わなかった」
と言われました。
悪人と思われてて草。
いや、確かに一瞬帰ろうとしたけど。
無事に精算を済ませて2人で外に出て、
「朝マックが食べたい」と言う彼にそのまま付き合うことに。罪悪感を精算する作戦です。
駅までの道を雑談しながら歩き、マックでコーヒーを奢ってもらい、その後バスまで彼を見送って解散しました。
帰宅後すぐに「また一緒に飲みましょう。今回のお礼にぜひご馳走させてください」とLINEが来たので、ナンパ野郎にしては割とちゃんとした人だったんだと思います。
しかし、改めて、LINEアイコンのめちゃくちゃ気取った自撮りを認識した瞬間、
なんか嫌だな
とスンとなってしまい、「また飲もね」みたいな酒飲みスタンプだけ返しておきました。
とっても失礼な自覚はあります。
それ以降もちょこちょこ連絡は来ているのですが、返信はすべてスタンプ頼りです。

果たして、わたしと先生が再会する日は来るのか否か?続編にご期待ください。(たぶんない)
今回の事件を経て、大人として心に刻まねばと思った教訓は以下の通りです。
・“先生”という肩書きはえろくていいぞ
・手元に現金は忍ばせなさい
・クレジットOKのホテルは把握しとけ
・すっぴん隠し用マスクは常に持ち歩く
・ナンパ野郎には「まだ飲みたい」で対抗
→お酒を奢ってもらえたら確定演出
・深夜に人の金で飲むビールの美味さたるや
人生、いつどこでどんな知見が増えるか分からないものですね。
…こんなものを知見だとかライフハックだとかほざいてたら、偉い人にしこたま怒られそうなのでそろそろ黙りたいと思います。
本日もお粗末さまでした。
