妊活と漢方|基礎体温と生理の状態で選ぶ、やさしい漢方ケア
妊活の漢方選びには、実は分かりやすい手がかりがあります。それが基礎体温のパターンと、生理の状態です。ご自身の体がいまどんなリズムで動いているかが分かると、選ぶものは自然と絞り込まれていきます。今回の動画では、かんぽぽ博士がその見方を5つのチェックポイントに沿ってやさしく解説しています。
まず確認したい5つのポイント
1.低体温かどうか。36.2度以下の日があれば低体温と考えます。
2.高温期が正常かどうか。36.7度以上の日が9〜16日あれば正常です。
3.低温期が正常かどうか。36.2度以上の日が11〜16日あれば正常です。
4.生理痛があるかどうか。5.不正出血があるかどうか。
この5つで、ご自身に合う漢方薬がかなり見えてきます。
基礎体温のパターン別・漢方の選び方
低体温がある|トナカイの角製剤
36.2度以下の日がある方は、体を温める力が根本的に足りていない状態と考えます。ここにはトナカイの角製剤を。体を強く温めるはたらきがあるとされる生薬です。低体温のままでは体づくりが進みにくいため、まずは体温を戻すことを優先します。改善するまで続けることが大切です。
高温期に異常がある|低温期に鹿茸製剤/高温期にトナカイの角製剤
36.7度以上の日が9日に満たない方はこちら。鹿茸(ろくじょう)は鹿の若い角で、体を温めるエネルギーを補い、漢方でいう「腎」のはたらきを高めるとされています。腎とは腎臓だけを指すのではなく、生殖機能やホルモンバランスと深く関わる考え方です。
低温期に異常がある|低温期に亀板・鹿角製剤/高温期に鹿茸製剤
36.2度以上の日が11日に満たない方はこちら。亀板(きばん)は亀の甲羅、鹿角(ろっかく)は伸びて硬くなった鹿の角です。体の潤いと栄養を補い、卵胞の成長を助けると考えられています。低温期を整えることは、質のよい卵子を育てるうえで大切です。
高温期にも低温期にも異常がある|低温期に亀板・鹿角製剤/高温期にトナカイの角製剤
両方の時期を支えることで、体のリズム全体を整えていきます。
生理痛・不正出血があるとき
生理痛がある|生理の前後に丹参製剤を加える
体温パターンに合わせた組み合わせに、丹参(たんじん)製剤を足します。丹参は血のめぐりをよくし、血の滞りを改善する生薬です。漢方では、生理痛は血の流れが滞っているサインと考えます。
たとえば高温期に異常があって生理痛もある方なら、低温期に鹿茸製剤、高温期にトナカイの角製剤、そこに生理の前後の丹参製剤を加えるかたちになります。
不正出血がある|当帰芍薬散をベースに
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血を補い、血のめぐりをよくし、体の水分バランスを整える、代表的な婦人科の漢方薬です。漢方では、不正出血は血を補う力が足りていないサインと考えます。
こちらを飲み続けながら、高温期に異常があればトナカイの角製剤を、低温期に異常があれば亀板・鹿角製剤を、両方なら両方を、それぞれの時期に加えていきます。
なお、体温に異常はなく生理痛だけ、あるいは不正出血だけという方は、それぞれ別の動画で詳しく解説しています。
漢方薬剤師からの補足|漢方より先に、冷やさないこと
ここからは、動画の内容に薬局での実感を少し添えてお伝えします。運龍堂は妊活のご相談がとくに多いのですが、感じるのは「冷やさない」の徹底が結果を大きく左右するということです。動画で紹介されている養生を整理します。
1.血を補う食べもの
黒豆、黒ごま、ほうれん草、レバー、赤身の肉、プルーン、なつめ、クコの実。漢方では、これらは血を補う食材と考えられています。
2.体を温める食べもの
蒸し生姜、ネギ、にんにく、シナモン、山椒などのスパイス。鶏肉、羊肉、えび、くるみ、なつめも温める食材です。
ひとつ注意点があります。生のままの生姜は汗をかかせて、かえって体を冷やす方向にはたらきます。必ず蒸した生姜を使ってください。ここは意外と知られていないところです。
3.控えたいもの
冷たい飲み物、生野菜、南国のフルーツ、甘いお菓子、カフェインの多い飲み物。冷たいものを習慣的に飲んでおられる方は、ご自覚のないまま体を冷やしていることがとても多いです。
4.三つの首を冷やさない
首・手首・足首。この三つを冷やさないようにしましょう。とくに下半身が大切です。腹巻きやレッグウォーマーで子宮まわりを温かく保ってください。夏でもエアコンの冷えには要注意です。
5.夜11時から午前3時の睡眠
漢方では、この時間帯は腎がもっともよくはたらく時間とされています。ここにぐっすり眠れているかどうかが、体づくりに響きます。夜更かしは避け、早寝早起きを。
6.ストレスケアと適度な運動
ストレスが続くと、漢方でいう「肝」の気の流れが乱れ、血の流れが悪くなったり、排卵や生理のリズムに影響することがあります。深呼吸、軽い運動、趣味の時間を。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、1日30分程度の気持ちよく動ける運動が理想です。
7.男性側の妊活も
妊活は女性だけのものではありません。男性も亜鉛やビタミンEを意識して摂り、禁煙・節酒、適度な運動を。ご夫婦で一緒に取り組むと、お互いを支え合えて、ストレスもやわらぎます。
薬局での実感として
妊活のご相談で最初にお願いしているのが、朝の基礎体温を3か月ほど測ることです。
1か月分では、たまたまなのかパターンなのかが判断できません。3か月あれば、ご自身のリズムがはっきり見えてきます。生理痛や不正出血など気になる症状も、あわせて記録しておいてください。この記事の5つのチェックは、まさにその記録から読み取るためのものです。
なお、ご年齢やこれまでの経過によっては、婦人科での検査を並行して進めたほうがよい場合もあります。漢方はそれと並行して取り組めるものですので、通院中の方も遠慮なくご相談ください。
まとめ
妊活の漢方選びは、ご自身の基礎体温のパターンと生理の状態を知るところから始まります。低体温ならトナカイの角製剤。高温期の異常なら低温期に鹿茸製剤・高温期にトナカイの角製剤。低温期の異常なら低温期に亀板・鹿角製剤・高温期に鹿茸製剤。生理痛があれば丹参製剤を、不正出血があれば当帰芍薬散を組み合わせて。
そして血を補う食事、体を温める食事、冷やさない服装、十分な睡眠、ストレスケア、適度な運動。この積み重ねが、体の内側から整えていきます。
妊活は焦らず、じっくりと。漢方は、ご自身の体が本来持っている力を引き出すお手伝いをするものです。まずは3か月、基礎体温を測るところから始めてみてください。
漢方についてのご相談は、仙台の漢方薬局・運龍堂までお気軽にどうぞ。オンライン相談も承っております。
運龍堂公式サイト:https://www.unryudo.com/
