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[読書]「きょうのシネマは シネ・スポット三百六十五夜 (山田宏一/1988)」


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データ

 作者: 山田 宏一
 出版社: 平凡社
 ページ数: 357頁
 初版: 1988年06月15日
 所持: 1988年07月15日 (第2版)

はじめに

 2021/1/21にmixi掲載分を転載・追記・修正しています。

感想

 1979年5月から1983年3月まで朝日新聞の金曜夕刊で連載されていた「シネスポット」は、翌日土曜から1週間、テレビで放映される映画のガイドで、執筆者は山田宏一。ちょうど映画にはまり、さりとて資金面の問題でテレビで放映される映画(?)を片っ端から観ていた時期で、このコーナーは貴重な情報源だった。

 ゴールデンタイムの洋画劇場だけでなく、テレ東の朝や昼に放映される映画や、深夜枠に放映される映画もフォーカスし、知名度より山田が語りたい映画を選出していたように今にして思う。

 「未公開作品なのでどんな内容かわからないが必見であることは間違いのない」と、今にして思えばなんつう無責任な…というコメントを信じて観た『雪に咲いたバラ (Gruppenbild mit Dame/1975)』は今でも心の片隅に引っかかっている作品となった。1981年2月20日の23時半から「金曜ロードショー(TBS)」枠で放映された。

 監督はアレクサンドル・ペトロヴィッチ。日本では『ジプシーの唄をきいた (Nakupovači peria/1967)』が公開されているが、ほぼ未知のユーゴスラビアの監督による西ドイツとフランスの合作映画で、ロミー・シュナイダーとブラッド・ドゥーリフを主演に迎えた戦争映画だった。

 実は原作がハインリヒ・ベルがノーベル文学賞受賞のきっかけとなった「女のいる群像 (Gruppenbild mit Dame/1971)」だったことは後々で知った。

 ベルの作品は「カタリーナの失われた名誉 言論の暴力はいかなる結果を生むか (Die verlorene Ehre der Katharina Blum oder: Wie Gewalt entstehen und wohin sie führen kann/1974)」が映画化やドラマ化されている。

 そんな未知の映画との橋渡しをしてくれたガイドを毎週切り抜いて、束にして読み直したりしていたのだが、どこかのタイミングで紛失してしまった。

 となると、それをまとめて掲載した本が無いものかといろいろと検索していたのだが、山田宏一の著作は大量に出ているため、なかなか見つからなかった。

 何年かに一度、思い出してはググり、を繰り返して、そして今回、偶然に見つけた。Amazonの商品説明には何も書いてなかったが、カスタマーレビューで「朝日新聞の夕刊に掲載された…」というコメントを見つけたのだ。

 1988年発刊なので新書は当然無くて中古本を入手。

 そして40年ぶりの再読となった。レビューにも書いてあった通り、掲載日ごとではなく、カテゴリーごとにまとめられているので、ちょっと印象は違ったけれど懐かしく読んだ。

 『サイコ (Psycho/1960)』や『2001年宇宙の旅 (2001: A Space Odyssey/1968)』放映後の激怒コメントは無く、普通の作品レビューのみだったのは残念。

 そして何よりも『雪に咲いたバラ』が無かった…。

 それでも良い買い物をいたしました。

追記#1 山田宏一が怒った話(の朧げな記憶)

 『サイコ』は1980年5月4日、『2001年~』は1981年10月25日にそれぞれ「日曜洋画劇場」で放映された。前者はシャワーシーンからの瞳孔開きのシーンでCMが入った件、後者はそもそも狭いブラウン管での放映にムリがあった。『2001年~』の一か月ほど前に放映した『ナッシュビル (Nashville/1975)』も相当な怒りようだった。

 ただ私はいずれも未見だったことで山田の怒りがいかなるものかを知るのはもっと先となる。

 『サイコ』に関しては1983年6月16日に「SONY PRESENTS 名作洋画ノーカット10週」で再見した。この企画はソニーのベータマックス販売促進を目的として、当時では民放では画期的だった、ノーカットCM無し(ただし吹替)の放映だった。そのため例のシーンがどういう編集になっているかを知ることができた。『サイコ』を初めて映画館で観たのはさらに後で90年代に入ってからだった。

 『2001年~』は1980年後半ぐらいに初めて映画館で観たが35mmだったかもしれない。

 『ナッシュビル』に至っては21世紀になってからようやく映画館で観ることができた。

 どちらも映画館で鑑賞できて初めて山田の悔しさがいかなるものかを感じることができた。

 余談だが、この番組の本編前後で流れたCM(もちろんソニー)でニナ・ハーゲンの曲が確か使われていたと思ったが、いろいろと探したが見つからず。オペラチックな歌い方はたぶんニナ・ハーゲンだと思うのだが…。

追記#2 この本に対する不満

 書籍化する以上、朝日新聞の協力が必要だし、文句を言っているのがテレビ朝日の「日曜洋画劇場」放映作品だった、ということで、忖度したのかどうかはわからない。もしくは"何分カットされた"とか"あの名シーンが無い"と言ったイチャモンの再掲は潔くないと感じたのか、そういった記載はほぼ無くなっていた。

 そのためこの本は"テレビで映画を視る場合のガイドブック"の範囲にとどまってしまった気がする。もちろん、そこは山田宏一なので分かりやすく、時にこだわりも感じさせる短評を味わうことができる。ただ私が堪能したかったのはやはり、放映前の期待、放映後の慚愧に堪えない…といった悔しさ、こういった繋がりも味わいたかった…と思うのは単なるノスタルジーで、ニーズは無いのかも、と思った。

 当時の地上波の映画放映はTVプログラムの一要素に過ぎなかった(今もそうか)。2時間枠で正味90分、90分枠で70分だったのでカットは当たり前、画面はブラウン管サイズ(4:3)にトリミング、吹替、そしてエンドクレジットは"無用の長物"としてカット。

 たまに短いからノーカットか!?と思ったら、バッサリとエンドクレジットを切って「水野晴郎の映画がいっぱい」が始まったり笑

 それでも当時はワクワクしながら見ていたのだ。

追記#3 『雪に咲いたバラ』

 内容はまったくと言って良いほど覚えていないが、場面場面で強烈な印象が残ったこの映画。

 YouTubeで探したら本編丸々上がっていて飛ばし見したが、その印象に残ったシーンが無いような気も。wikiを確認すると原作も映画も戦争中よりもどちらかと言うと戦後がメインの話だった。もちろんナチスがキーとなるのだが、英語題である『Group Portrait with a Lady』の意味を原作を理解してから字幕無しのこの動画に挑もうかしら⋯と思いつつ、原作は入手困難ぽく。

 この際、おぼろげな記憶としてソッとしておくか。

 リュディガー・フォーグラー、ペーター・カーン、クルト・ラープなどニュー・ジャーマン・シネマの常連役者たちも出演している。映画としては"著名な原作の映画化の失敗例"という評価が多いらしい。


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