Day32|制作現場見学を通して理解した製造機能の専門化
Day32は、制作現場の見学でした。
これまで学んできた内容を踏まえ、実際の制作現場を訪問する機会となりました。
今回の見学で得た最大の学びは、花の仕事を「製造機能の専門化」という視点で捉え直せたことです。
感性産業における分業モデル
これまで私は、花の仕事を感性中心の業務だと考えていました。
しかし、現場で確認できたのは、役割が明確に分かれた分業型の仕組みでした。
受注側と制作側が機能を分担し、仕様に基づいて制作を行い、完成品を納める。
この構造は特異なものではありません。
むしろ、他業界に広く存在する合理的な分業モデルです。
例えば医薬品業界では、製造販売側が原料や仕様を提示し、それに基づいて受託側が製造を行う「受託製造」という仕組みがあります。企画・販売機能と製造機能を分ける構造です。
今回見学した制作請負も、同様の構造を持っていました。
業界が違っても、製造機能を専門化することで効率と品質を高めるという考え方は共通しています。
製造機能の専門化という「選択と集中」
この構造の背景にあるのが、「選択と集中」という戦略思想です。
この概念を体系的に整理したのが、ハーバード・ビジネス・スクール教授の
マイケル・ポーター です。
ポーターは、企業が持続的な競争優位を築くためには、すべてで勝とうとするのではなく、自社の強みに資源を集中させるべきだと説きました。
製造機能の専門化も、この思想の延長線上にあります。
自社の強みが企画や営業にあるなら、製造は専門企業に任せる。
逆に製造技術が強みなら、その機能を磨き上げる。
すべてを抱え込まないこと。
それが合理的な戦略になります。
制作工程は「生産活動」である
制作工程では、事前準備と確認体制が徹底されていました。
個人の感覚だけに依存しない。
工程と再確認によって品質を担保する設計です。
資材の事前セットや作業の平準化は、サプライチェーンマネジメントの発想そのものです。
作業を細かく分解し、負荷を均し、再現性を高める。
花という感性を扱う産業でありながら、裏側には高度に設計されたBtoB型の製造機能が存在していました。
制作は単なる作業ではありません。細かく分業、管理された生産活動です。
その事実を、具体的に確認できました。
二軸モデルによる安定性
業務内容には、性質の異なる2つの案件が存在していました。
高付加価値型の制作と、数量重視型の制作。
特性の異なる案件を組み合わせることで、収益構造の安定性を目指そうという企業の思惑が理解できます。
単一モデルへの過度な依存はリスクになります。
制作の際に複数の軸を持つことは、製造機能を安定的に稼働させるうえで合理的な設計です。
働き方設計と持続可能性
印象に残ったもう一つの点は、働き方の柔軟性でした。
勤務日数や時間の選択肢を設けることは、単なる福利厚生ではありません。
人材確保の戦略です。
労働力不足が進む社会において、製造機能を維持するためには安定した人材の確保が不可欠です。
製造機能の専門化は、工程設計だけでは成立しません。
それを支える人材設計との両立があって初めて、持続可能な虹ネスモデルとして機能することが出来ます。
総合的な学び
今回の見学を通して理解できたことは以下の通りです。
・感性産業でも製造機能の専門化は成立する
・分業は専門性と生産効率及び時間効率を高める合理的な仕組みである
・製造工程の標準化が品質と再現性を担保している
・複数軸の事業設計が安定稼働を可能にする
花の仕事は「好き」だけでは成り立ちません。
しかし、製造機能を専門化し、選択と集中を行い、製造工程の標準化と人材を設計することで、継続可能なビジネスとなります。
感覚ではなく、機能で捉える。
その視点を得られたことが、Day32の最大の成果でした。
