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【映画感想】ちいかわ倫理学 ちいかわミリ知ら倫理オタクの感想

 Twitterでなんとなく漫画は読んでいた+なんとなく人気なキャラクターくらいの認知だったちいかわ。その映画化ということで、ちいかわ原作ファンの妻と原作ミリ知らの私が早速観に行ってきた。
 先に結論を言うと、ちいかわがかなり倫理学していた。
 ②では、倫理を専門?にしている私が感じた倫理学っぽさを述べる。

以下、感想。

①箇条書き感想

 ○キャラの見た目と名前は知っていたが、声を知らなかったので、「こんな声なの?!!」とびっくりした。ちなみに1番のびっくりは、ラッコがイケボでなんか師匠キャラだったこと。

 ○多分皆好きになるけど、島二郎がいい奴かつ強い。キャラとしても強いし、ちいかわのどん底のタイミングで現れるので最高

 ○曲が良い。キャンプファイヤーみたいな感じで歌うんだけど、特に2回目なんかはちいかわとフタバ達のシーンで流れていて泣けた。私にとってあの曲は「アスカが乗っているんだ!」(夕焼け)みたいなイメージだったので早くもトラウマ更新。恐るべしちいかわ。

それぞれに活躍があってよき

②ちいかわって倫理学だ…

 特にちいかわは基本喋らない設定なので、視聴者は想像するしかないのだが、そんな設定だからこそ最後のフタバ達とのやりとりがグッとくる。
 以下、どんなとこに倫理学っぽさを感じたかを述べていく。

○セイレーンという怪異?
 →そもそも島にこの人魚達がやってきたことから話が始まるわけだが、そこにたいした理由はない。
 ただ島にやってきた脅威である。それに対して島民は供物のようなものを捧げて…と、いわゆる古代の民俗風習という感じがする。

○それは正しいことなんだよね?
 →友を救うため、人魚を手にかけるという衝撃の展開なのだ。

 倫理学は小難しい話のように思うが、結局は選択と決断の話をしていることが多い。

 とりわけその判断を迫られる局面というのは「生きるか死ぬか」の極限場面であることが多く、倫理学の例え話は物騒なものが多い。(例えばトロッコ問題。1人を殺すか10人を殺すか?の奴)

 さて、そんな倫理学=選択と決断とすると、瀕死の友達を救うために人魚を手にかけるのは許されるのか?という映画でもあるのだ。

 そして、その結果助かった友人は望まず不老不死の力を手に入れる。

 別のニュアンスで出てくるセリフだが「それは正しいことなんだよね?」というのが、ある意味では倫理のテーマだと思っている。

 何故なら倫理学とは選択と決断の話で、その決断や選択を「それ(選択または決断)は正しいのか?」すら問える学問であるからだ。

 皆さんも「ちいかわ」の今回の展開にモヤモヤすると思うが、そのモヤモヤこそが倫理観というか倫理学なのだと思う。

 ぜひ、そのモヤモヤと向き合ってみると、案外それと同じことを歴代の哲学者達も考えているかもしれない。

○真実は沈黙の中
 →ちいかわがあまり話さないという設定なのだ。
 そのちいかわこそが、ひょんなことから誰が人魚を殺めたのか?を知ってしまう唯一の(?)キャラクターなのだ(故にちいかわが主人公なのかも知れないが)。
 そして島の住民の多くも「モニョモニョ」みたいな鳴き声しかない。そんなヒトバとフタバの秘密をちいかわのみが知ってしまう。

 ラスト、ちいかわは葛藤する。そのシーンにセリフがないからこそ、その葛藤が心にくる。(BGM「今日の日はさようなら」というのもまたこう、心にくる)

 そして、その沈黙の中に真実があり、それをあえて伝えないという選択をちいかわがするのだ。

 果たしてそれが本当に正しかったのか?これは映画を観た人同士であれこれ意見交換したいところではある。

 ちなみに、映画の構成的にちいかわと視聴者が共犯関係(真実を知りつつ伝えることができない、沈黙せざるを得ない)になる。

 この構成がちいかわ映画の素晴らしいところであり、倫理学のテーマとして良いなーと思っている。

 ※さらに視聴者はエンドロール後にその後を知ることになるので、ちいかわよりもハードなものを背負うことになる。

映画後に飲んだハワイアンの飲み物。島の海を連想する色


③まとめ

 ちいかわ、島二郎が今作の名バイプレイヤーすぎるので助演男優賞は島二郎でいいのでは?くらいの活躍をしている。
 ちなみに、「ちいかわ」は子供がたくさんいそうだったので平日のLIVE ZOUNDの回を選んだ。

※音響めちゃすご上映で料金が少しだけ高い。音響がすごいので、例のシーンの音が刑事ドラマ「相棒」でしか聞かない音で、エグかった…。確実に殺ってるよね、これ…。

 大人10人くらいの回だったが、カップルですらエンドロール後無言で去っていくほどの衝撃だった。

 個人的にはむしろキッズの率直な感想とモヤる親という図を見てみたいなーと思った映画なので、敢えてそんな回を狙ってもよかったかなーなんて思う。

 まぁ、気になった人はこちらの予告編を観てちいかわを見るか観ないか決めて欲しい。


④おまけ


ちいかわ映画を観て倫理学したい人向けへのオススメ文献


秋元康隆『その悩み、カントだったら、こう言うね』
小川仁志『身近にあふれる「哲学」が3時間でわかる本』
児玉聡『功利主義入門はじめての倫理学入門』
永井均『これがニーチェだ』
吉田徹也『不道徳的倫理学講義』
マイケル・サンデル『これからの正義の話をしよう』

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