まこくれ軸で見るひびめし

個人的に今年のアニメでベストだったから、放映終了からしばらく経ったけど記事として残しておこうと思う。


ずっと忘れないと思う

ひびめしというアニメでも屈指の名シーンである合宿回でのまこっちとくれあが河合さん↔古舘さんからまこ↔くれあちゃんになるシーン。
この度、漫画版が該当のエピソードに差し掛かった。
この発言のあった合宿回はまこっちが主人公としての立ち位置を確立した回と言ってもいいだろう。
日常系のテンプレートに従い、各キャラのポジションを決めてそれに沿って話を回すだけでなく、明確に成長を描いた事も日々飯という作品のすごい所の一つだ。
そして成長譚の側面がまこっちの主人公としての存在感を確かなものにしている。

まこっちはしっかりとした段階を踏んで成長している

まずはまこっちが7話で主人公として確立するまでの流れから振り返ってみる。
そこで大きな意味がありそうなのが
5話(ドライブ回)と6話(ダイエット回)
ドライブ回では築地行きとバーベキュー、二つの提案をして話を回している。
引っ込み思案なキャラクター造型に反して、ストーリー展開の核を担っている。
そして、この築地行きがくれあとの会話が切っ掛けな所にも注目したい。
まこっちは他者の細やかな機微に敏い子という、合宿回の「きっと忘れないと思う」の流れに繋がる布石はここで打たれていたんだと思う。
続くダイエット回の初見のインパクトは凄まじかった。
この時はまだドライブ回の見処はくれあの思い出話と、何度も免許に落ちたしのんという印象が強く、まこっちが大きくストーリーを動かすポジションに就くのは初めてじゃないか?と感じた。
今にして思えばドライブ回からわかりやすい布石は打たれていたし、その流れで捉えると、このダイエット回の重要な部分はまこっちがメインを張った事より悩みをみんなに共有出来る関係になっているという部分だろう。
ただ、このダイエット回でメインを張ったように見える事も大切で「この子はちゃんとメインで話を回して行ける子ですよ」という印象があるから合宿回で主人公として確立したと感じられたのだ。
更に遡れば4話で人見知りのななちゃんを攻略するという大仕事をこなしているが、ここはつつじちゃんという取っ掛かりと、まこっちが元々持っている強みが関係しているので、次に回そうと思う。

まこっちが元々持っている強みとは

それはずばり料理、及びご飯関連だ。
上で敢えて触れなかったが、そもそもまこっちが料理に興味がなければ2話でダミーサークルを疑われ事務員さんに詰められた時点で文字通り詰んでいた。
あのくれあでさえ、まこっちが「料理してみたいかも」と言わなければ料理をする発想には至らなかったし、何ならバイトの時ぐらいしか料理しないとまで言っていた。
ななちゃんの件も半ば餌付けしたようなものだろう。
おとなしく控え目なように見えて、しっかり得意分野も持っている。
まこっちとはそういうキャラクターである。
もちろんそれは作る方だけでなく、食べる方にも発揮される。
ダイエット回のパンケーキを食べる時の会話で、くれあちゃんに「持ち帰り出来るから無理しないように」と言われても余裕。
そして、朝ご飯が遅かったから恐らく普通サイズのスフレに尻込みするななちゃんに対して「お昼軽くしか食べてない」と言うまこっち。
しっかり2食食べてきてみんなが若干引くサイズのパンケーキを余裕で食べ切る。
ここで説明しておきたいのが、その胃袋の強さがキャラデザにもしっかり反映されているところである。
どことは言わないが恵まれたものを持っているし(下世話)、5人並んだ時に明らかにまこっちが一番の長身でもある。
日々飯という作品はこの辺りの描写も丁寧で感心する。

まこっちとくれあちゃんの共通点

前置きはこれぐらいにして、そろそろ本題に入ろう。
大きな転機となった合宿回。
まこっちとしのんちゃん
つつじちゃんとななちゃん
この二組のように昔話の出来ないくれあちゃんの寂しさに手を差し伸べるのがまこっちでなければならなかった理由を深堀りしたいと思う。
まこっちとくれあちゃん。
この2人は作中でそれぞれの持つ孤独にクローズアップした描写のあるキャラだ。
くれあちゃんは上記の昔話をする相手が居ない(高校で仲の良かった友達と大学は別になってしまった)。
まこっちはしのんちゃん、ひよっち、ゆなっちの幼馴染達と違う中学に行く事になり、中学高校と友達が居なかった。
まこっちは友達が居ないという孤独。
くれあちゃんは友達に囲まれても共有する思い出が少ないという孤独。
形は違えど、2人は孤独というもので繋がっている。

そしてもう一つ、早い段階からまこっちとくれあちゃんは互いに手を差し伸べ合ってここまで来ているのだ。

大学に入ったまこっちの初めての一人外食は偶然にもくれあちゃんの実家の食堂だった。
その最初の一人外食、店の前で勇気が出なかったまこっちが店に入る切っ掛けを与えたのもくれあちゃん、ソースカツ丼が売り切れていたところ、自分のまかないの分を回してくれたのもくれあちゃんだ。
更に言えばここでくれあちゃんに会えたお陰でしのんちゃんとも連絡先が交換出来て、サークルを通じてまた友達と楽しく過ごす日々が始まっている。

まこっちからは上でも触れた築地行きの件。
まこっち自身が築地の話を聞いて楽しそうだと思ったと言ってはいたが、くれあちゃんは築地行きの提案を感謝していた。

メインで調理を担う2人というだけでなく、関係性の描写も丁寧にされていた。
だから、合宿回のあのシーンはまこっちが唐突に勇気を出して踏み込んだのではなく、起こるべくして起こった展開だったと思っている。

その後のまこっちの成長について

合宿回の後は5〜7話よりはまこっちの成長にクローズアップしているように見える描写は目立たなくなるが、その分、5人の関係もこなれて来て安心して見ていられるようになる。
それでもさり気なく成長は描写されており、文化祭の出店にはまこっちとくれあちゃんが不可欠なポジションだったし、クリスマス回ではいつの間にかさくちゃん先輩と仲良くなり、冬野菜を育てるという新しい試みも始めている。
そして最終回の冒頭ではモコ太郎の動画を見て初めて行く店で一人外食を楽しんでいる。
そこにはくれあママに声を掛けられて逃げ出していた1話のまこっちはもう居ない。
7話までが成長過程を描いたとしたら、8話以降は成長した姿を描いているといった様子だ。

余談・ひびめしのテーマ考察

ひびめしという作品は食にクローズアップしている。
というのはタイトルからしてもわかる。
だが、よく見てみると、食は食でも何を食べるかより誰と食べるかという事によりフォーカスしたからこれだけキャラクターを丁寧に描いているんだろうなと思う。
オープニングもエンディングもそれを感じさせる曲だし。
特にエンディングの色使いが秀逸で、あの映像で、あのどこかノスタルジーを掻き立てるサウンドに食文化研究部の5人がわちゃわちゃしているのは、あの日々が思い出になるという事を示唆しているように感じる。
あの日々は終わりのあるモラトリアムで、いつか思い出になる。
それを視聴者の意識に刷り込んで最終回で泣く準備をさせれていると感じた。
実際、最終回ではかなり涙腺を殴られたが、上記の事を事前に察知して防御姿勢を取っていたので助かった。
素直に泣けばいいのにと思うが、来るとわかっているものを防がないで泣くのは単なる感動ポルノに浸っているだけだ。
悪いが俺にとってひびめしはそういう感動ポルノとして消費していい作品ではない。

まとめ・日々飯ってすげーな

流石に2025シーズンベストだと思う。
散々使い古された日常系をここまで丁寧にやるかと驚いた。
日常系なんてこんなもんでいいだろ……みたいな妥協を感じさせない素晴らしい作品だった。
これ、年末にどこかで一挙放送とかやるんじゃないかな?
そのために年越しを最終回に持って来たのでは?
そういう計算をしていてもおかしくないなと思うほどに丁寧に作ってある。

本当に一挙放送の特番やって、そこで二期とか発表してくれないかな……。

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