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昨日覚えたはずが、なぜか抹消されている

朝、単語帳アプリの通知が来た。

「"ephemeral" を復習しましょう!」

ephemeral。

えっと。

見覚えはある。
昨日、覚えたはずだ。

例文まで読んだ。ノートにも書いた。
「これ絶対使えるやつだ」と思った記憶もある。

けど、意味が出てこない。

完全に、他人。

昨日あんなに仲良くなったのに、今朝にはもう目も合わせてくれない。

つくづく薄情である。

こういう経験、英語を勉強している人なら誰でもあるんじゃないだろうか。

私はもう何百回とやっている。

単語帳を開く。
覚える。
忘れる。

「あっ、またお前か」と再会。
そしてまた忘れる。

この無限ループを繰り返していると、だんだん自分の記憶力そのものが信じられなくなってくる。

「私の海馬(脳の記憶を司る一部)、ちゃんと働いてる?」と不安になる。

ある日のレッスンでそれは起きた。

先生が、ある話をしてくれていた。

「it was stunning, you know? It was almost... what's the word... fleeting? Like a dream.」

fleeting。
はかない、一瞬の。

あれ。

ephemeralと似てない?

突然、脳の奥の方で何かがカチッとはまった。

昨日覚えて、今朝には忘れていたあの単語。

先生の言葉をきっかけに、昨日ノートに書いた例文まで一気に蘇ってきた。

「Like ephemeral?」

「Yes! Exactly! Thank you.」

「I learned it yesterday but I already forgot it this morning...」

「Haha, that happens to everyone.」

先生は笑っていたけど、私は内心めちゃくちゃ感動していた。

忘れたはずの単語が、ちゃんと残っていた。

思い返すと、こういうことは前にもあった。

"reluctant" という単語。
「気が進まない」という意味だ。

何度覚えても忘れて、もう5回くらい初めまして。

でもある朝、月曜日の朝、布団の中でアラームを止めながら、ふと思った。

「あー、I'm reluctant to go to school.」

誰に言うでもなく、心の中でつぶやいていた。

単語帳の中の文字列ではなく、月曜の朝の気だるさと一緒に、体に染み込んでいた。

英語学習の本やサイトには、「効率的な暗記法」が紹介されている。

反復、語源分解、イメージ記憶法。
どれも試した。

でも正直、よく覚えているのは、そういうテクニックで覚えた単語じゃない。

レッスン中に先生が使って「あっ」と思った単語。
映画を観ていて「あ、これ知ってる!」と興奮した単語。
月曜の朝、浮かんだ単語。

単語はもう簡単には離れていかない。

忘却は、裏切りじゃない。
脳の疲労回復。

今朝もアプリの通知が来た。

「"ubiquitous" を復習しましょう!」

ubiquitous。

まったく思い出せない。

まあそのうち会うだろう。

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颯公 (さつき) | 偏差値35 → IELTS 6.5 チップを送っていただいた方へ、良い旅(人生)を。