ダレンドラの蹉跌 第4話:正義は誰のために??
葛藤の中で見つけた仲間たち──透明性こそが会計の力
佐紀子、心の葛藤
「このまま黙っていたほうがいいのかもしれない……」
佐紀子は、会社の実態と“黒字の嘘”に気づいてしまった。
だがそれを公にすることは、会社の信頼を揺るがし、
社員の雇用にも影響しかねない。 そして──自分自身も。
でも、そのまま目をそらしていていいのか?
「もし、嘘の数字に騙されて株を買った人が、大事な老後資金を失ったら……」
会社のために黙ることは、本当に“誰かのため”になるのか。
その問いが、佐紀子の胸に突き刺さる。

仲間という希望
「……佐紀子さん、私も気づいてました」
静かに、経理課の後輩・高木が声をかけてきた。
「この仕訳、去年も似たような期ズレ処理がされてて……おかしいと思ってて」
そして、財務部の若手や、他部署の管理職たちも少しずつ彼女の周りに集まり始める。
「会社の未来のために、ちゃんとした数字を出したい」
「間違ったことに手を貸したままじゃ、誇りを持って働けない」
彼らは“敵”ではなかった。
「……ひとりじゃない」
佐紀子は、心の中で静かに呟いた。
会計システムとは“信頼”のインフラ
簿記は、数字を記録するだけの作業ではない。
それは、会社の全ての取引を正確に記録し、
「誰もが信頼できる状態」を作るためのルールだ。
「数字を正しく見せることは、社員の未来を守ることでもある」
透明性は、会社の信用そのもの。
そして信用は、未来の事業・投資・雇用、すべての土台となる。
佐紀子は、確信した。 「私たちのしている仕事は、“ただの経費処理”なんかじゃない」
🔍高校生のためのやさしい用語解説
用語わかりやすい説明
簿記(ぼき)会社のお金の流れをきちんと記録するルール。すべての記録の基礎。
会計システム売上や経費、仕訳などを記録・管理するコンピューターシステム。
期ズレ記録すべき時期をズラして処理すること。ルール違反になる場合もある。
粉飾決算(ふんしょく)ウソを混ぜた決算。会社をよく見せるために不正な数字操作を行うこと。
透明性数字がきちんと正しく開示されていて、誰が見ても誤解がない状態。内部統制不正やミスが起きないように、社内でルールやチェック体制を作ること。
公益(こうえき)社会全体にとっての利益や正しさ。特定の誰かのためではなく、みんなのために。
内部告発社内で起きている問題を外部に知らせる行動。正しい行動でも、リスクを伴う。
次回予告:正義とは?
仲間とともに、佐紀子は「数字の正しさとは何か」を問い続ける。
正義を貫くために必要なものは「勇気」ではなく、
「確かな記録」と「知識」。
簿記は真実を語る言語
第5話の行方に注目──。
