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原初のRPG特集に見る「RPGの面白さを伝えるのは難しかったのだ」という問い(ログイン 1983年11月号特集「ロールプレイングゲームの素晴らしき世界」)

 新作のRPGが発売され、ゲーム雑誌やゲームメディアがそれらを取り上げ、ユーザーたちもそのゲームについてレビューしたり批評したりする。
 今では当たり前のことだが、1980年代にRPGの日本上陸をリアルタイムに味わった世代としては隔世の感がある。
 そう、そもそも「RPG(ロールプレイグゲーム)」とは「どういうゲームなのか?」と説明するのが、極めて難しいジャンルだったのだ。
 実は現在でも「RPG(ロールプレイグゲーム)」の定義は曖昧でなんてなく「レベルアップとかで戦闘し続ければ強くなる」ぐらいの理解で通用しているのが現状だ。
 実際、この「RPGの定義」や「RPGとはなにか?」問題の多くはメディアを悩ませていたし、逆に言うと『ウィザードリィ』がRPGのモデルケースとして『ウルティマ』より人気があったのは、その「わかりやすいレベリングやアイテム集め」要素という、今で言う「ハクスラ要素」にとっかしたゲームだったからだと今では思っている。
 日本の場合、『ドラゴンクエスト』の発売によって、子どもたちや一般層にもコンシューマーゲームとして、「レベリングとハクスラ要素が楽しい」という事が理解され「努力が無駄にならないゲーム」という部分で受容された功績がある。
 ちなみにドラクエに批判的な私だが『ドラゴンクエストⅢ』までは間違いなく名作だし、そのユーザビリティの素晴らしさを評価している。『ドラゴンクエストⅥ』まではハードウェアとマッチしていて、十分なRPGだったと評価しているのだ。
 まあ身も蓋もない話だが、この初期のLOGINの『RPG特集』を読んでみると、「RPG(ロールプレイグゲーム)」とはファンタジーの世界観なのか?(この時代ヒロイック・ファンタジーというジャンル自体が未開拓で、インタビューにもあるが辛うじて『グイン・サーガ』が国産作品として人気になったというような時代である)、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のようなTRPGこそ本道なのか?、ゲームシステムの成長要素がキモなのか?、などなど「RPG(ロールプレイグゲーム)」となんなのか伝えようと四苦八苦していることが伺える。

 なので内容もRPGの歴史解説だったり、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の解説だったり、『コナン』や『ミラクルマスター』などの映画の紹介だったり、『グイン・サーガ』の栗本薫のインタビューだったり、良く言えば盛りだくさん悪く言えば記事の焦点が絞りきれていない特集になっている。

 別にこれは悪いことではなく、なにしろ当時は「SFブーム全盛期」であり、「ファンタジー」は有名な瀬田版『指輪物語』や早川文庫や創元推理文庫が翻訳するムアコックなどのペーパーバックファンタジーの翻訳しかなく、高千穂遙の『美獣』や栗本薫の『グイン・サーガ』などの「実験作的に観光された国産小説」ぐらいしかなく、むしろ『はてしない物語』や『ゲド戦記』など「童話的おとぎ話」のいちジャンル的な受容のされかたをしていた。
 決して悪い意味ではなく『はてしない物語』や『ゲド戦記』や『指輪物語』や『ホビットの冒険』など子供向けジュブナイル的な「良い子向け」の「良書」であり、不良やハズレ者の多い当時の若いオタクたちは「子供向けの良い子ぶった本なんて読まねえよ! 今はSFだよナ」ってノリの時代である(逆に言うとだからこそ、ロッカーなムアコック作品がウケたというのもある)。
 それぐらい現在にイメージされる「ファンタジー世界」とは縁遠い時代だったし、イラストレーターも漫画家も少なかった。『グイン・サーガ』もSFイラストレーターの加藤直之の時代だし、なんとなく「中世ヨーロッパ史実バリバリ」なイメージの方が強かった。
 おそらく日本における「ファンタジーのビジュアルイメージ」の原点となったマイケル・ムアコックと天野喜孝によるエルリック・サーガの早川文庫版が『メルニボネの皇子』(1984年11月30日刊行)があり、まだそれすら発売されていない時代なのだ。
 決定的なブレイクスルーとなる『ストームブリンガー』は1985年8月31日 は発売であり、翻訳:井辻朱美。
『ファイナルファンタジー』シリーズだけでなく呉ソフトウェア工房の『ファーストクイーンシリーズ』など「とにかくファンタジーといえば天野喜孝」とゲーム業界がなってのも無理はない。
 それぐらい今では信じられないぐらいに「ファンタジー世界のビジュアルイメージがよくわからなかった」のだ。

 いまの視点で見ると「RPG(ロールプレイグゲーム)」とはなにか? だけではなく「ファンタジー世界とはどういうものか?」を解説しなければならなかった時代だ。
 そうした苦心惨憺の時代であることを前提にして読むと、むしろ「日本にRPGとファンタジーはどのように入ってきて受容されたのか?」をたどる貴重な資料となる。

 つい40年余り前、我々は「RPG」も「ファンタジー」も理解できない国に生きていたのだ……。

1983年10月ごろの記事だから、ほぼ最初の日本における「RPG特集」である。面白いことにこれは「小島編集長」時代ではなく吉崎編集長時代だ、実はゲームに対しては創刊時から意欲的だったのだ。
「ロールプレイグゲームとはなにか?」そこから解説しなくてはならない時代は、おそらく1985年5月27の『ドラゴンクエスト』の発売まで続いた。

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