気づきを促すには、「見える化」がいちばんシンプルで本質的
説得よりも、気づき。変化のきっかけは“内側”から
「相手にどうすれば影響を与えられるのか?」
これは、病院組織を支援する中で私がずっと考えているテーマです。
よく知られているように、人は他者に“変えられる”ことを本能的に嫌います。
では、どうすれば人は動くのか。私自身の経験をふり返っても、やはり自ら「変わりたい」と思えたときにしか、本当の意味で動けたことはありません。
ことに医師や専門職の方々は、自律性と専門性が高く、外からの言葉だけでは動かないのが自然です。
だからこそ、「本人の内側から、変わろうとする気持ちが芽生えるような“きっかけ”をつくること」が重要だと日々感じています。
“見せること”が、問いを引き出す
そのきっかけのひとつが、「可視化」だと私は考えています。
たとえば、医師に病棟の稼働状況を言葉で丁寧に説明しても、ピンとこないことがよくあります。
しかし、稼働率の推移をグラフで“見える化”した瞬間、「これはまずいな」という空気が変わる。そこから自然に、「どうしたらいいだろうか?」という問いが生まれるのです。
この“見せる力”は、コーチングで言うところの「内省言語」にも通じます。
自分の中でどんな問いが立ち上がるかによって、行動の質は変わってきます。
その意味でも、「今、どこにいるのか(現状)」「どこを目指すのか(期待)」「その差は何か(ギャップ)」をシンプルに整理して見せることは、気づきを促すうえでとても効果的です。
図で見えるだけで、人は動きたくなる
病院によっては、空床数を医局に貼り出すだけで稼働率が改善すると言われます。
それも、可視化によって「いま」が見えたからこそ起きる変化です。
ただ、会議や対話の場であれば、現状だけでなく「目指す姿」と「その差」をセットで示すことで、より本質的な対話が生まれやすくなります。
組織開発の考え方でも、可視化 → ガチ対話 → 未来づくりという流れがありますが、それを体感的に実感することが多いです。
もちろん、発散的な対話も必要ですが、多忙な現場では限られた時間で意味ある対話をするための仕掛けも必要です。
その意味で、「見える化」はとてもシンプルで、かつ本質的な方法ではないでしょうか。
