これだけは知っておきたい労働基準法について(第十九回)
第19回:副業・兼業は「届出・競業・労働時間通算」で設計する
覚えるのは3つだけ
届出と審査をルール化
届出制(事前申請)で、業務差し支え・健康・守秘・利益相反を審査
許可の条件(時間上限・業務範囲・情報管理)と取り消し事由を明文化
競業・守秘・成果物の扱いを明確に
競業避止=合理的範囲・期間・地域・職務に限定し、必要性と代替可能性を検討
守秘=情報区分・持出禁止・生成AI等の利用範囲、成果物の権利帰属を規程化
労働時間は通算で見る
雇用×雇用は労働時間通算の考え方を前提に、過重労働・深夜継続の健康リスクを管理
36協定・健康確保措置との一体運用(面談・月次確認)
たとえ
副業運用は“二刀流の起用表”。出場時間(健康)・守備範囲(競業)・サイン管理(守秘)を決めてから試合に出す。
“あるある”判断
申請なしで開始 → 勤怠・情報漏えい・事故時の責任が宙ぶらりん
同業での夜間シフト → 休息不足・過重労働の温床。通算の把握が不可欠
成果物の権利が未定 → 本業の時間や設備で作ったものの帰属が争いに
個人事業と雇用の区別が曖昧 → 守秘や競業の線がぼやける
実例
エンジニアが無届で同業スタートアップを副業。深夜継続勤務で本業の遅刻・ミスが増加。
本業プロダクトコードと副業コードの混在が発覚、権利帰属と守秘違反が争点に。
結果:副業規程・届出フロー・権利条項が未整備で、是正と再発防止の大掛かりな見直しに。
教訓
先に“線”を引く。届出→審査→許可条件→実績モニタ→見直しのサイクルを制度化。競業・守秘・知財・時間通算の4点セットを文書で揃える。
よくある質問
就業規則で原則禁止はまだアリ?→事業特性次第。全面禁止は合理性の説明が必要で、届出制+審査にシフトする企業が多い
雇用×雇用の副業で労働時間は通算?→通算の考え方が前提。過重労働・休息確保を重視し、記録と面談で管理
同業の副業は絶対NG?→競業性・顧客重複・機密接触の度合いで個別判断。代替策(非競業タスク限定)を検討
成果物は誰のもの?→本業の時間・設備・情報を用いたかで分かれる。就業規則・契約に権利帰属と職務著作の扱いを明記
1分クイズ
設問:副業は業務委託(フリーランス)なので、労働時間の通算は不要。正しい?
A. 正しい
B. 誤り(正解)
解説:雇用×雇用は通算の考え方が前提。業務委託でも、実質的に健康・安全を害する長時間が常態化すれば本業の安全配慮や就業規則の観点で運用見直しが必要。届出・条件設定・モニタで過重を防ぐ。
