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第7話 怒らない上司が、実はチームを壊している——25年間で見てきた、「いい人上司」の落とし穴——

\職場の人間関係・全10話シリーズ/
第1話 「頑張ってるのに報われない」のは、あなたのせいじゃない
第2話 「報連相しない部下」は上司が作っている
第3話 「上司ガチャ」にハズれた時の生存戦略
第4話 優秀な部下ほど急に辞める本当の理由
第5話 「板挟み管理職」のストレスを半分にする技術
第6話 嫌いな同僚と、戦わずに勝つ方法
▶第7話 怒らない上司が、実はチームを壊している ←今回


「うちの上司、怒らないし、いい人なんだけど……なんか物足りない」

そう感じたことはありませんか。

怒鳴らない。
詰めない。
いつも穏やか。

一見すると、理想の上司像です。

でも、25年間現場を見てきた中で、気づいたことがあります。

「怒らない上司」の下で、静かに消耗していく部下が、思いのほか多い。

今日は、その話をします。

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① 「怒らない上司」は、なぜ問題なのか
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なぜか。

怒らない上司の職場では、3つのことが起きています。

一つ目は、基準が見えなくなること。

ミスをしても何も言われない。
良い仕事をしても、特に反応がない。

すると部下は「どこまでやればいいのか」がわからなくなっていく。

二つ目は、不信感が積み上がること。

「この人、私のことをちゃんと見ているんだろうか」

そういう疑問が、じわじわと湧いてくる。

三つ目は、自信が静かに削れていくこと。

褒めもしない、叱りもしない。
その無反応が続くと、部下は「自分、ちゃんとできてるのかな」と
自問し続けることになります。

怒らないことは、優しさに見えて、
実は部下から「手がかり」を奪っているんです。

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② 「怒らない」の裏にある3つの正体
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ひとくちに「怒らない上司」といっても、
実は中身が違います。

僕が見てきた中で、大きく3つのタイプに分かれていました。

【回避型】嫌われたくない上司


怒ることが怖い。
部下に嫌われたくない。
だから問題が起きても、見て見ぬふりをする。

本人は「優しくしている」つもりです。

でも部下からすると、
「この人に何を言っても、何も変わらない」
という諦めに変わっていく。

【無関心型】部下に興味がない上司


悪意はありません。
ただ、部下が何をしているか、
どんな状態にあるかに、本気で関心がない。

怒らないのではなく、
気にしていないから怒る理由もない。

このタイプが一番厄介です。

部下は「存在を認識されていない」という感覚になるからです。

【丸投げ型】フィードバックを出さない上司


「自分で考えろ」が口癖。
部下の成長を信じているように見えて、
実はただ関わりたくないだけのことが多い。

結果だけを見て、プロセスには何も言わない。

部下は「何が正解かわからないまま」走り続けることになります。

あなたの上司は、どのタイプでしたか。

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③ 部下はこう感じている
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部下の立場から見ると、どう感じているのか。

ここから少し私の職場の経験談になります。

現場でこんな主任がいました。

口数が少なく、いつも静かな人でした。
怒鳴ることも、詰めることも、一切ない。

でも、部下たちの間でよく聞こえてきた言葉がありました。

「あの主任、何を考えているかわからない」
「指示の意味がよくわからなくて、自分の解釈で動いたら違った」
「怒ってるのか、怒ってないのかもわからない」

本人は怒っていました。
ただ、それを外に出さなかっただけで。

でも部下には、その怒りは届かない。
届くのは「沈黙」だけです。

沈黙は、受け取る側が勝手に解釈します。
「自分は信頼されていないのかな」
「何かまずいことをしたのかな」
「この人に何を言っても無駄なのかな」

怒りを飲み込むことは、
一見大人に見えます。

でも現場では、その沈黙が部下の不安を静かに育てていきます。

怒りを飲み込むことは、部下にとって意味がないんです。

伝わらない感情は、存在しないのと同じです。

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④ じゃあ「怒る上司」がいいのか?
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「じゃあ、怒る上司の方がいいのか」

そう思った方もいるかもしれません。

違います。

怒る・怒らないの二択ではありません。
部下に本当に必要なのは、反応してくれる上司です。

私自身が意識してきたことが2つあります。

良いことは、ちゃんと褒める。

当たり前に聞こえるかもしれません。
でも、これができていない管理職が驚くほど多い。

「できて当然」という空気の中で、
良い仕事はスルーされ続ける。

褒めるのは、甘やかしではありません。
「ちゃんと見ている」という信号を送ることです。

問題が起きたとき、個人を責めない。

何かトラブルが起きたとき、
私はその場で個人を詰めることをしません。

たいていの問題は、個人のミスではなく、
チーム全体の共通認識が足りていないことが原因だからです。

だから、全課の代表者が集まる会議の場で、
事実を確認しながら認識をすり合わせる。

「誰が悪い」ではなく、
「どこで認識がズレていたか」を探る。

これだけで、同じ問題が繰り返されることが、
ぐっと減ります。

感情で反応するのではなく、
事実に反応する。

それが、部下の安心感につながっていきます。

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⑤ 管理職へ「怒っていい、注意していい」
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最後に、管理職の方へ正直に伝えさせてください。

「怒らない上司」が増えている背景に、
パワハラへの恐れがあることを、
現場で強く感じています。

「強く言ったらパワハラになるんじゃないか」
「注意して訴えられたら困る」
「とにかく怒らなければ安全だ」

その気持ちは、わかります。
パワハラ相談件数が増え続ける今、
管理職が慎重になるのは当然です。

でも、その恐れが行き過ぎると、
部下への「無反応」になってしまう。

ここで一度、パワハラの定義を整理しておきます。

パワハラと認定されるには、3つの条件が重なる必要があります。

①優越的な関係を背景にした言動であること
②業務上、必要かつ相当な範囲を超えていること
③労働者の就業環境が害されること

この3つが重なって、はじめてパワハラになります。
これを知らないビジネスパーソンが多すぎます。

つまり、業務上必要な指導や注意は、
パワハラではありません。

怒っていい。
注意していい。
問題があれば、ちゃんと伝えていい。
逆にそうしないと組織が機能しません。

それは管理職としての責任であり、
部下への誠実さでもあります。

過剰に恐れて黙り続けることは、
部下を守っているのではなく、
部下から「反応」を奪っているだけです。

あなたは今、部下の行動に
ちゃんと反応できていますか?

無反応は、部下にとって無関心と同じに映ります。

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まとめ
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怒らないことは、優しさではありません。

反応することが、信頼になります。

良いことには「良い」と伝える。
問題があれば「ここが気になる」と伝える。
感情ではなく、事実に反応する。

それだけで、チームの空気は変わっていきます。

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次回予告
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第8話は「会議で空気を支配する人の心理構造」。

発言しているわけでもない。
声が大きいわけでもない。
なのに、あの人が一言言うと会議の流れが変わる。

その人たちに共通する「動き方」を、次回書きます。

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人事の事務長 管理職歴25年/現役事務長/150人の部下と日々格闘中

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